ロシアへの経済制裁についての詳細資料を紹介し、あわせて考察(2点)を加える
かたせ2号です。
ロシアへの経済制裁についての詳細資料を紹介します。すばらしい資料です。ウクライナ情勢にご興味のある方は、ご参考ください。
https://www.cistec.or.jp/service/zdata_russia/20220318.pdf
ちなみにこの資料を発行している「CISTEC」とは、一般財団法人安全保障貿易情報センターの英文略称で、安全保障貿易管理に関する調査研究や輸出企業の自主輸出管理の支援などを行っている、日本国内唯一の法人です。
以下、かたせ2号が気づいた疑問点と考察
(1) ロシア外貨凍結を実施したのは「アメリカ」。にもかかわらず、凍結された金額(約40兆円)を西側諸国で公表したのは、アメリカのバイデン大統領ではなく、2022年4月5日の「イギリス」のトラス外相(のみ)。これは、あきらかに変。
⇒かたせ2号:ドナルド・トランプがこの日までは、バイデンの言動のコントロールのできていた証拠。
(2) SWIFTからのロシアの銀行の排除。EUによる決定だが、事前にアメリカが合意している。なのに、いまだ、ロシア最大手のズベルバンクとエネルギー部門に強いガスプロムバンクとは排除の対象からはずしている。なぜ、対象からはずしたまま放置するのか?
DS最高幹部は、対象に含めることをしたくてもできないからなのか、あるいは、できるのだがあえてしていないのか?
⇒かたせ2号:やりたくてもできない。
もし、それをすると、「非」西側諸国とロシア産資源輸出取引の決済を止めてしまうことになり、結果として非西側諸国がSWIFTの運用から離れていってしまうからだ。あまりに反作用が大きいのだ。ここに、DS最高幹部の、経済活動面での行動の限界点がみつかった。
その証拠に、それができないから、DS最高幹部が2022年4月に1ヶ月もかけて、ウクライナのゼレンスキー大統領とイギリのトラス外相とを牧羊犬にして、ドイツを「ロシア産エネルギー(天然ガス含む)の年内輸入停止」という柵の中に追い込むという、なんとも「余計な手間」をかけたのだ。ロシア最大手のズベルバンクとエネルギー部門に強いガスプロムバンクとをSWIFT排除の対象にする決定ができるのであれば、こんな手間をかける必要は最初からない。
なので、SWIFT(国際銀行間通信協会=銀行間国際送金ネットワーク)からの排除についてロシア最大手のズベルバンクとエネルギー部門に強いガスプロムバンクとを対象からはずす、というこの奇妙な運用は今後も継続する。
すなわち、SWIFTからのロシアの排除という手段は経済制裁の手段としては、最初から機能しないし、今後も機能しない。だから、DS最高幹部も、EU諸国の政治的指導者も、ロシアのプーチンも、そのことを前提に、それぞれが自己の利益を求めて動いている。これが世界の現状である。
(補足)
田中宇さんがよく使用している「米国中枢に巣食う超党派の過激=覇権放棄的な隠れ多極主義勢力」はDS内部には存在しないと、かたせ2号は考えます。DS内部に存在するとすれば、とっくの昔に、「ロシア最大手のズベルバンクとエネルギー部門に強いガスプロムバンクとをSWIFT排除の対象にする決定」をしているはずです。これが、世界を「多極化」するために一番強力な方法だからです。でもそれを、いまだにしようとしない。
なぜでしょう?
DSは、ドル覇権体制の継続という目的を統一して維持しているからです。すなわち、DSの内部に「覇権放棄的な隠れ多極主義勢力」はいません。該当する勢力がいるとすれば、それはDS外にいるトランプ=プーチン連合になるでしょう。
以上