ドイツ外相、ウクライナのブチャを訪問 残虐行為を批判(ロイター)(2022年5月10日)
かたせ2号です。
<結論>
ドイツのベーアボック外相は、ゼレンスキーのウクライナがブチャの事件にもう触れてほしくない状況を察知して、2022年5月10日に、ブチャの街を「急襲」した(AFP)。そして、「ブチャの殺害に関与した人間が裁きを受けるべきだ」と主張した(ロイター)。
これは、1ヶ月前にEU首脳が、「ブチャの事件はロシア軍の仕業」と本人たち(2名)の口から表明したのとは著(いちじるし)しく異なっている。
すなわち、ドイツは、ブチャの事件がロシア軍の仕業であると表明することを拒否し、ロイターの厳しい検閲をかいくぐって、その意思を世界に伝えた。あわせて、世界の目をふたたびブチャの事件に注目させるように仕向けた。
<データ提示と解釈>
AFP通信サイトから。
独外相、ウクライナ・ブチャを訪問 住民と面会
https://www.afpbb.com/articles/-/3404117
(引用開始)
[2022年5月10日AFP]ドイツのアナレーナ・ベーアボック(Annalena Baerbock)外相は2022年5月10日、ロシア軍が民間人を多数殺害したとされるウクライナ首都キーウ近郊ブチャ(Bucha)を予告なしに訪問し、地元住民と面会した。
ブチャには各国の首脳や外交官が訪れている。ロシア軍はキーウ周辺の複数の村や町で戦争犯罪に及んだと非難されている。
(引用終わり)
かたせ2号です。予告なしの訪問。
ドイツ外相のブチャ訪問は、ウクライナ側ではセッティングしていない。
ロイター通信のサイトから。
記事名:ドイツ外相、ウクライナのブチャを訪問 残虐行為を批判
2022年5月10日配信
https://jp.reuters.com/article/idJPL3N2X22C2
(引用開始)
[ブチャ(ウクライナ)ロイター] ドイツのベーアボック外相が2022年5月10日、ウクライナ入りした。ロシアのウクライナ侵攻後にウクライナを訪れたドイツ政府関係者としては最高位となった。
ベーアボック氏はまず、ロシア軍が民間人に残虐行為を行ったとされる首都キーウ(キエフ)近郊のブチャを訪問。ロシア政府は残虐行為を繰り返し否定しているが、同氏はブチャの殺害に関与した人間が裁きを受けるべきだと主張。
「それが被害者に対する私たちの義務だ。ここでは被害者のことが強く感じられる。被害者は私たちかもしれなかった」と述べた。
ドイツ政府は当初、ウクライナへの重火器の供与に消極的で同国との関係が悪化。両国は関係修復に動いている。
(引用終わり)
かたせ2号です。「ロシア政府は残虐行為を繰り返し否定しているが」の表現はロイターによる情報撹乱(disinformation)。外相はそんなことは言っていない。
「同氏はブチャの殺害に関与した人間が裁きを受けるべきだと主張。」
ここに注目。「ブチャの殺害に関与した人間」と述べている。「ロシア」とは一言も言っていない。1ヶ月前のEU首脳のブチャ訪問では「ブチャの事件はロシア軍の仕業」とEU首脳本人たち(2人)の口から明言されている。それからは大きく表現が異なっている。
ドイツのベーアボック外相のツイッターから。
https://twitter.com/ABaerbock/status/1523975468365623296
2022年5月10日ツイート
(引用開始)
ブチャはシンボルになりました。想像を絶する犯罪、拷問、レイプ、殺人のために。想像できない分、この場所が遠く感じられます。そして、この地に立つと、ブチャはまったく普通の、平和な郊外であることに気づきます。誰にでも起こりうることだ。
また、家族や近所の人たちであったかもしれません。その恣意性には唖然とするばかりです。私たちは遺族の痛みを取り除くことはできませんが、正義を確保するためにできることはすべてできます。誰一人として、結果なしに犯罪を犯すことができると信じてはなりません。
国際社会として証拠を集めていく。私はウクライナのイリナ・ベネディクトヴァ検事総長に、戦争犯罪の捜査においてドイツが政治的、財政的、人的な面で全面的に支援することを確約した。
(引用終わり)
かたせ2号です。たしかに「ロシアの仕業」等は何も触れていない。
比較対象としての、1ヶ月前にブチャを訪問したEU首脳発言を以下に載せます。ロシア軍の残酷な顔、無謀で冷淡な行動が明示されたと述べている。
ロイター通信のサイトから。
記事名:民間人殺害のブチャ、ロ軍の「残忍な顔」明示 欧州委員長が訪問
2022年4月9日配信
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-eu-idJPKCN2M01OW
(引用開始)
[キーウ 2022年4月8日 ロイター] – 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長は2022年4月8日、民間人とみられる遺体が多数発見されたウクライナ首都キーウ(キエフ)近郊ブチャを訪問し、ロシア軍の「残酷な顔、無謀で冷淡な行動」が明示されたと述べ、ウクライナへの支援を確約した。
フォンデアライエン委員長は「全世界がブチャの人々と共に悼んでいる。ブチャの人々は欧州の国境や人間性、民主主義を擁護している。われわれもこの重要な戦いで共に立ち上がる」と述べた。
さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領が求めるEU加盟について、EUはウクライナが「必要な措置」を取ることを全力で後押しすると指摘。EUがウクライナの加盟を判断する上で必要な質問書をゼレンスキー大統領に手渡し、ゼレンスキー大統領は1週間以内に回答すると述べたという。
また、フォンデアライエン委員長はウクライナ侵攻を受けたロシアへの制裁を強調し、「ロシアは経済面、財政面、技術面で衰退する一方、ウクライナは欧州の未来に向かって進んでいる」と語った。
(引用終わり)
以上