ロシア産天然ガスのルーブル建て支払いを巡る対立状況
かたせ2号です。
「田中宇の国際ニュース解説」から引用します。
私には、下記記事での、(私が引いた)下線部の情報・推測が特に参考になりました。
記事名:ガスをルーブル建てにして米国側に報復するロシア
2022年4月1日 田中 宇
https://tanakanews.com/220401gas.htm
(一部引用開始)
ロシアはルーブル払いの義務化に従わない米国側への天然ガス供給を本当に減らす可能性が高い。ガスを止められたら欧州は大混乱と大不況になり、とても困る。とりあえずルーブル払いしておくのが得策だ。しかし、ドイツなどEUはルーブル払いを拒否し続けている。ロシア側は、ルーブル払いにするのは簡単だよ、と言っている。しかし米国側は、ガスを減らされたらすぐに大混乱に陥るEUでさえ、ルーブル払いを拒否し続けている。なぜなのか。私なりに考えてみた。
ロシア側によると、米国側がルーブル払いをするには、ガスプロム銀行に口座を新規開設し、そこにドルやユーロでガス代を預け、ガスプロム銀行に両替を頼んで口座内の資金をルーブルに替えてもらい、そのルーブルでガスプロムにガス代を払えば良い。しかし、米国側はこの手続きをやらないと言っている。3月30日、ドイツのショルツ首相とプーチンが電話会談し、プーチンがショルツに上記のやり方を説明したが、ショルツは断った。ドイツが断った理由について私が推測したのは、ドイツ政府は米国から強要された対露経済制裁の一環としてロシア政府の資産を凍結・没収しているので、ドイツ側がガスプロム銀行に口座を作ってユーロ資金を入れたら、没収された資産の一部を回収する名目で、ロシア政府がその資金を没収し、ガス代として使わせてくれないと予測されたからでないか、ということだ。
この推測が正しいのかどうかわからないが、とにかくドイツなどEUはロシアにガス代のルーブル払いを拒否しており、このままだとロシアが欧州へのガス送付を減らし、欧州経済は大混乱に陥る。土壇場の今日明日じゅうにEU側がルーブル払いの手続きを実行すればこの問題は解決するが、まだわからない。
独仏は国内にあるロシア側の資産を凍結・没収したが、日本政府は国内にあるロシア側の資産を凍結・没収していない。日本政府は「没収はG7で決めたことなのでやりたいですが、外国政府の資産を没収できる法律がないので実行できません」と言っている。実際は、資源大国であるロシアとの対立を強めたくないので放置してあるのだろう。日本政府は今のところ米欧と歩調を合わせてガス代のルーブル払いを拒否しているが、今後、ロシアが日本へのガス送付を止める(サハリンからのLNGの船積みを止める)展開にったら「やむを得ない」と言いつつルーブル払いをやるかもしれない。EUはロシアの資産を没収しているので対抗的な没収を恐れてルーブル払いに対応できないが、日本はロシア資産を没収していないのでルーブル払いに対応できる。「法律がありません」と無能な小役人を演じる日本政府は、実は賢い。
(一部引用終わり)