ニーチェの「永劫回帰」とは、地獄の最底辺にいる魂が苦しんでいる意識状態を指し示す。

かたせ2号 投稿日:2022/03/13 10:46

ニーチェが主著「ツァラトゥストラはこう言った」で述べる「永劫回帰」。
これを「永遠に今の時間(今の人生)が繰り返されるということ。」と理解した上で論を進める。

「永劫回帰」とはすなわち、時間を未来に進められない状態である。
これがどれだけ苦しい状態が、みなさんわかるだろうか。

普段のわれわれは「時間」という、得体の知れない存在を信じていて、これが過去から現在そして未来へと流れていく感覚を得て生活している。この流れがあるから、人間は、過去の失敗を振り払って前向きに生きていくことが可能なのだ。実はこれは人間に与えられた大いなる福音なのだ。
こういう時間の流れが当たり前にあって途絶えたことがないから、わからないかもしれないが、これがもし、現在の私から未来に時間が進められなくなったら、どうなるか?

そこにあるのは恐怖、それのみである。地獄の最底辺で苦しむ魂の意識状態である。

だから、永劫回帰の状態(未来が永遠にやってこない状態)で、「超人」となって、前向きに生きるということは不可能であり、ありえない。前向きに行きるとは、未来が存在して、現在の自分にやってくるという保証が前提であるから。

最後に補足する。
このニーチェの「永劫回帰」の状態を表していると私が考えるのが、スペインの画家サルバドール=ダリの有名な絵画「記憶の固執 / The Persistence of Memory」である。
https://www.wikiart.org/en/salvador-dali/the-persistence-of-memory-1931
ニーチェの「永劫回帰」とは言い換えるならば、この絵の通り、時間が死んだ状態である。これは地獄絵である。

以上