「106」 サブプライム危機から世界恐慌へ(35) 2007年の10月と11月の記事をまとめて載せます。2009.6.3
副島隆彦です。今日は、2009年6月3日です。
私は、4月22日から、体調を崩して、40日間ぐらい具合が悪かった。 6月に入って、かなり回復しました。それで、ここの第2ぼやきに、昔の記事の集成(束)を載せます。 2007年の10月と11月の記事です。
サブプライム危機が、2007年の8月17日に、勃発して、しばらくしてからの記事です。NYダウは、10月に、14000ドルの市場最高値をつけました。アメリカの指導者たちは、まだこの時期には、事態の深刻さに気付いていない。
そんなことがあるだろうか、と私たち日本人は、信じられないこととして疑う。彼らアメリカの指導者たちが、真っ青になって、慌てだしたのは、翌2008年の3月の、ベア・スターンズの破綻からである。 副島隆彦記
(転載貼り付け始め)
● (副島隆彦注記。以下の記事には私も笑った。シティのほうは、バンカメからの吸収合併の打ち上げ花火に、ムカッとしただろう。唖然としたと言ってもいい。ここには、食うか食われるかの大銀行(メガバンク)たちの関係の姿が如実に現れていて、まるでアフリカのサバンナのライオンの世界だ。おもしろい記事だ。副島隆彦注記終わり)
● 「バンク・オブ・アメリカが、 首位のシティグループに合併を打診」
2007年11月29日 読売新聞
【ニューヨーク=山本正実】 米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は28日、米銀行2位のバンク・オブ・アメリカが、 首位のシティグループに合併を打診したと報じた。 シティの取締役会がただちに拒否し、合併協議には至らなかったという。
ただ、米大手銀は低所得者向け住宅融資 「サブプライムローン」焦げ付き問題で巨額の損失を出しており、立て直しには再編が必要との指摘も多い。 報道によると、バンク・オブ・アメリカが今月に入り、有力な投資銀行の仲介で非公式に打診した。 これに対しシティは「新しい最高経営責任者(CEO)が決まっておらず、合併を話し合うような時間はない」と断ったという。
シティは、サブプライム関連損失が最大約174億ドル(約1兆9000億円)に膨らむ見通しで、 今月4日、チャールズ・プリンス会長兼CEOが引責辞任した。26日には、経営立て直しの一環として、世界最大の政府系ファンド、アブダビ投資庁から75億ドル(約8200億円)の出資受け入れを決めた。
一方、バンク・オブ・アメリカは、サブプライム関連の損失が約38億5000万ドル(約4200億円)と傷が比較的浅い。 シティとの統合で業容を一気に拡大する戦略に打って出た模様だ。
●「米MBIA、08年第2四半期にも破たんの可能性=パーシングのアックマン氏」
2007年 11月 28日 ニューヨーク、ロイター
アクティビスト投資家のウィリアム・アックマン氏は28日、米金融保証会社のMBIA は、追加資本を調達できなければ2008年第2・四半期にも破たんする可能性があるとの見方を示した。
同氏が率いるヘッジファンド、パーシング・スクエア・キャピタルは、MBIAと同業アンバック・フィナンシャル・グループ の株式を売り持ちにしている。同氏は、MBIAは第4・四半期に22億ドルの、アンバックは42億ドルの損失を出すと予想している。
MBIAのスポークスマンは「08年第2・四半期に当社が破たんするというアックマン氏の発言に強く異議を唱える。同氏は02年にも同様の発言を複数行ったが、どれもはずれに終わっている」と述べた。
金融保証会社はサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連のストラクチャード・ファイナンス証券に多額の保証を提供しており、アックマン氏によると、サブプライム関連で巨額の評価損を計上したメリルリンチ やシティグループ と同規模のエクスポージャーがある。
金融保証会社は資本が比較的少ないため、保証した債券で少数でも大規模なデフォルト(債務不履行)が起これば、深刻な状況に陥る可能性があるという。MBIA株は年初来ほぼ60%、アンバック株は同75%近く、それぞれ下落している。
●「米シティグループ:コスト削減を検討、最大4万5000人を削減も…CNBC報 」
日経新聞 2007年11月27日
【ニューヨーク=蔭山道子】米銀最大手シティグループは26日、経営環境の悪化に対応するため、業務の効率化とコスト削減を検討中であることを明らかにした。
米経済専門テレビ局CNBCはコスト削減に伴い最大4万5000人を削減する可能性もあると報じた。これに対しシティは「報道された削減人数は事実に基づくものではない」とコメントしている。
●「シティなど銀行にさらなる損失リスク、今度は「導管」で-フォーチュン 」
2007年11月26日 ブルームバーグ
米誌フォーチュン(オンライン版)は26 日までに、大手銀行はコンデュイット(導管)と呼ばれる資金調達の仕組みに関連して、投資家に開示されていない巨額のリスクを抱えている可能性があると指摘した。同誌によると、コンデュイットが発行する証券の多くは住宅ローンなどの資産を担保としている。
銀行は資金調達のためにコンデュイットを設立する。コンデュイットは通常、銀行のバランスシートに連結されてはいないが、コンデュイットが証券を発行できなくなった場合は、債務担保証券(CDO)の場合と同様のプロセスでリスクが銀行のバランスシートに移ると同誌は説明している。多くの大手銀行は「コンデュイットに関する大きなリスクを抱えている」という。
フォーチュン誌によると、9月30日の時点で米銀シティグループには、コンデュイット関連で730億ドル(約7兆8400億円)の簿外資産があった。また、メリルリンチは50億ドル相当のコンデュイット資産を買い取った結果、2007年7-9月(第3四半期)に5億ドル余りの税引き前損失を出したという。
●「ジム・ロジャーズ氏、投資家に米ドル建て資産からの脱却勧める」
2007年11月15日 ブルーンバーグ
投資家ジム・ロジャーズ氏は15日、米ド ル建て資産を保有する投資家に対し、米ドルからの脱却を勧めた。また、自身の 米ドル建て資産を来年夏までに すべて処分する予定だと述べた。
ロジャーズ氏はシンガポールでインタビューに応じ、「ドルを持っている人には、処分を勧める。保有すべき通貨ではない」と語った。ロジャーズ氏は1999年に 世界的な商品相場の上昇を予言したことで知られる。 また同氏は、商品と円、人民元、スイス・フランを買っていることを明らかにした。
シカゴ商品取引所(CBOT)の金利先物動向によれば、12月11日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標が4.25%に引き下げられる見込みは72%となっている。 ドルは9日、主要6通貨のバスケットに対し最安値を更新した。
●「7日間で56兆円吹き飛ぶ=東証1部の時価総額」
2007年11月12日 時事通信
日経平均株価が7営業日続落した12日、東京証券取引所第一部の時価総額は469兆6263億円となり、 この間に目減りした金額は56兆5894億円に達した。 同日の取引では、東証1部に上場する1722銘柄のうち9割超に当たる1579銘柄が値下がりし、うち606銘柄が今年の最安値を更新した。
日経平均が今年の最高値(1万8261円98銭)を記録した7月9日の時価総額は572兆9951億円。 これに比べると、103兆3687億円減った計算になる。
● 「シティグループCEOが引責辞任か、サブプライム関連の損失で」
2007年11月03日 ニューヨーク AFP
シティグループ(Citigroup)が4日に開く取締役総会で、チャールズ・プリンス(Charles Prince)最高経営責任者(CEO、57)が辞任表明するとの見通しを米ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が2日、報じた。
同紙が掲載した関係者の話によると、プリンス氏は取締役会の決定前に辞意を表明するという。シティグループの業績は信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の損失で大きな打撃を受けた。
同グループが前月15日に発表した7-9月期決算では、住宅ローン関連の損失を15億6000万ドル(約1800億円)、買収融資の評価損が税引き前で13億5000万ドル(約1550億円)とし、その結果、純利益は約24億ドル(約2760億円)と大幅減益となった。
グループの大幅減益について一部の投資家からはプリンス氏の引責辞任を求める声が上がっていた。同紙はこれに先立ち、シティグループが何らかの理由で週末に緊急取締役会を招集すると報じていた。(c)AFP
●「ノーザン・ロック、中銀借入250億ポンドの可能性─会長=英紙」
2007年11月3日 ロイター
英ノーザン・ロック
同紙によると、会長は「債務は200億ポンドにはなっていない。ただその額に迫っており、2月までに最高250億ポンドになる可能性がある」と述べた。これは最近の推定額を下回る。ノーザン・ロックからのコメントは得られていない。
前日発表された英中銀の週間収支データによると、英中銀が緊急支援を承認した9月14日以来のノーザン・ロックの借入総額は、現時点で最大で228億ポンドになっているとみられる。
英中銀は支援額についてコメントを避けている。ファンド運用会社ニュースターのエコノミスト、サイモン・ワード氏は1日、最新の推定額(228億ポンド)から、ノーザン・ロックの借入額が300億ポンドに達する可能性があると指摘した。
●「ジム・ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判」
Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut’ for Cutting Rates
2007年11月2日 ブルームバーグ
投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。
ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。
ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。
FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。
S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。
シティグループ、ファニーメイ
シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。
ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。
ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。
●「米メリルリンチが3%超える下げ、WSJ報道を嫌気=2日寄り前取引」
2007年 11月 2日 ニューヨーク ロイター
11月2日の米国株式市場は、寄り付き前の取引で、米メリルリンチが3%を超える下げとなっている。2日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、関係筋の話として、メリルリンチがリスクの高いモーゲージ担保証券のエクスポージャーを少なくするため、ヘッジファンドとの間で、損失の算出日を遅らせることを狙った取引を行ったと伝えた。
また、ドイツ銀行のアナリストは、メリルリンチはクレジットの損失に関連し、追加で評価損の計上を迫られる可能性のある金融機関のひとつだ、としている。
●「日本の債券相場は大幅高、欧米金融機関懸念で株売り・債券買い-1.6%割れ」
2007年11月2日 ブルームバーグ
日本の債券相場は大幅高(利回りは低下)。前日の米国市場で米債高・株安となった流れを受けて、国内市場でも日経平均株価が 350円超の大幅安となったことから、債券は買い戻しが優勢となった。欧米金融機関への懸念が再燃しており、海外勢を中心に先物で株式売り・債券買いの動きとなった。10年債利回りは10月26日以来の1.6%割れ。先物中心限月12月物は136円台を回復した。
ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「午後に株価が一段安となったことから、先物に株売り・債券買いの資金フローが入った。特に超長期債が堅調。20年債利回りは2.15%近辺での攻防がみられ、ポジション(持ち高)調整となった」と述べた。
東京先物市場の中心限月12月物は、前日比86銭高の136円8銭と2営業日ぶりに136円台を回復して寄り付き、直後に136円15銭の日中高値をつけた。その後は戻り売りに押されて上げ幅を縮小し、午後零時40分ごろに日中安値 135円77銭をつけた。引けにかけては再び上値を試す展開となり、87銭高の 136円09銭で取引を終了した。
現物債市場で新発10年物の288回債(11月債)利回りは、前日終値(1.665%)に比べ6ベーシスポイント(bp)低い1.605%で開始。その後は水準を切り上げ、午後零時36分ごろに1.615%まで利回りの低下幅を縮めた。午後は逆に水準を切り下げ、午後2時18分ごろに1.585%まで低下した。午後3時すぎは8bp低い1.585%で推移している。
福井俊彦日銀総裁は、衆院財務金融委員会で、「世界的にインフレに注意していく必要がある」と述べる一方で、「世界経済にはダウンサイドリスクも強く出ている」と指摘。長期金利の動向について「上下かなりのリスクをはらんでおり、市場の予想外の変動リスクを念頭に置いている」と語った。
日経平均株価は大幅反落。前日比352円92銭安の1万6517円48銭で取引を終了した。一部投資判断引き下げで欧米金融機関への懸念が再燃1日の米国市場では、CIBCワールド・マーケッツのエクイティアナリストが米シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式投資判断を引き下げたほか、米メリルリンチのアナリストがスイスのUBSの投資判断を引き下げたことから、株式相場が大幅下落し、国債の需要が高まった。
米国債相場は急反発し、2年債は今年に入り2番目の上げを記録した。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは前日比19bp下げて 3.76%。10年債利回りは13bp下げ4.34%とほぼ2年ぶりの大幅低下となった。
一方、米株式相場は大幅反落。ダウ工業株30種平均は362.14ドル(2.6%)下落し13567.87ドル。ナスダック総合指数は64.29ポイント(2.3%)下げて2794.83で終了した。シティグループの株価は4年ぶりの安値に急落した。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場動向によると、12月11日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げが実施される確率は60%と、前日の42%から上昇した。金利据え置きを見込む確率は58%から 40%に低下した。
●「米シティ減配の可能性言えるのは 自分だけ-CIBCのホイットニー氏 」
CIBC’s Whitney Spurred Market Swoon With `Moxie’ Citigroup Call
2007年11月2日 ブルームバーグ
カナダのCIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏による米銀最大手シティグループの株式投資判断引き下げで米株式相場の時価総額は3690億ドル(約42兆3000億円)吹き飛んだ。市場を大きく揺さぶったホイットニー氏は、シティの減配の可能性に言及できる気骨のあるウォール街のアナリストは自分だけだったと話す。
ホイットニー氏(37)は、「自分が活字にしたことを書ける勇気のある人はほかにいない」と述べ、シティが財務再建のために現金配当の縮小を余儀なくされかねないと予想する。
シティが2週間前に2007年7-9月(第3四半期)の57%減益決算を発表して以来、ドイツ銀行のマイク・マヨ氏ら3人のアナリストがシティグループ株の売りを勧めていたが、ホイットニー氏ほど市場に大きなインパクトを与えていなかった。ホイットニー氏は、シティがあまりに多くの買収を行っている上、損失に備えた余剰資金が「数十年ぶり」の低水準にあるため、シティ株の保有リスクが高まったとみる。
同氏が売りを勧めたのをきっかけに、シティの株価は1日、02年9月以来最大の下げを演じた。S&P500種株価指数も2.6%安と、2カ月ぶりの大幅安。シティの広報担当者、マイケル・ハンレッタ氏は、配当見直しに関する思惑にはコメントしないと述べている。
マヨ氏と同様ホイットニー氏も、シティの問題の責任はチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)にあると批判。プリンスCEOの「退任の必要性には疑問の余地がない」と述べ、「資本の水準を回復させ、技術投資を増額しなければならない。利益は伸びていないし、総収入も増えていない」と指摘する。
シティの株価は1日、前日比2.85ドル(6.9%)安の38.51ドルと、03年5月以来の安値を付けた。ホイットニー氏はシティ株が「30ドル台前半に向かう」とみている。
● 「米紙 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を子会社に先送り」
2007年11月3日 読売新聞
【ニューヨーク=山本正実】 2日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米大手証券 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を先送りする 取引を、複数のヘッジファンドと行っていたと報じた。
低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に伴う損失を隠す取引と言え、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出す可能性がある。 メリルリンチは2日発表した声明で「不適切な取引が行われたと信じる理由がない」と報道内容を否定する声明を発表した。
しかし、この日は米銀最大手シティグループのトップがサブプライム問題で引責辞任する意向を固めたとの報道も流れ、市場では「米金融機関のサブプライム関連の損失がどこまで膨らむか分からない」という不安が再燃している。
メリルリンチに関する報道が事実なら、同社が10月24日に発表した7~9月期決算で示したサブプライム関連の損失79億ドルが、実際はさらに多額だったことになる。 報道によると、ある取引では、メリルの関連会社が住宅ローン債権を担保にした10億ドル(約1140億円)のCP(コマーシャルペーパー)を発行し、ヘッジファンドが買い取った。
このCPにはメリルが1年後に買い戻す条件が付いており、CPに含み損が生じた場合でも、同社の決算に計上されるのは少なくとも1年後となり、すぐには損失が明るみにならない。
一方、ドイツ銀行が2日発表した報告で、米大手銀行・証券が第4四半期に100億ドルを超える追加の損失を計上するとの見通しが示された。前日には、カナダの投資銀行CIBCが、シティグループは300億ドル(約3兆4200億円)以上の資本増強が必要だとする試算を示した。
●「サブプライム危機の悪影響は今後も続く-英ヘッジファンド3社首脳 」
Subprime Fallout Continues, Hedge Chiefs Oppetit, Hintze Say
2007年11月1日 ブルームバーグ
CQSとケンタウルス・キャピタル、アスペクト・キャピタルの英ヘッジファンド3社の首脳は1日、ロンドンで開かれた投資戦略会合で、米国でのサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機の悪影響が今後も続くとの見方を明らかにした。
CQSを運営するマイケル・ヒンツェ氏、ケンタウルスのバーナード・オペティット氏、アスペクトの共同創業者、マーティン・ルーイック氏は、今年8-9月に米住宅調整が発端となり信用市場で金利が上昇したが、今後混乱が拡大するとの見通しを示した。投資家は最も安全とされる投資対象以外から資金を引き揚げ、保有債券で評価損が生じ、一部のヘッジファンドの解約が相次ぐ事態が生じた。
ルーイック氏は「悪影響が完全に出たとは考えていない」とし、「米市場は非常に厳しい時期を迎えつつある」と話した。 ヒンツェ氏は「いくつかの金融機関は業績の下振れで、市場関係者を驚かせる可能性がある」と語ったが、詳細には言及しなかった。
●「米メリル:ヘッジファンドとモーゲージ損失先送り目的の取引-WSJ 」
Merrill Struck Hedge-Fund Deals to Postpone Losses, WSJ Says
2007年11月2日 ブルームバーグ
11月2日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、証券大手メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間で、高リスクのモーゲージ担保証券(MBS)関連の損失の影響先送りを意図した取引を行っていたと報じた。関係者からの情報として伝えた。
同紙は、米証券取引委員会(SEC)がメリルのモーゲージ関連証券の評価方法や投資内容の開示状況を調査しているとも報じた。同社は先週、モーゲージ投資に関連して79億ドル(約9050億円)の評価損を計上したことを明らかにした。
同紙によると、あるヘッジファンドは、メリルのモーゲージ関連の事業体が発行したコマーシャルペーパー(CP)10億ドルを買い取った。ヘッジファンドには、1年後にメリルにこのCPを売却し、一定のリターンを得る権利が保証されているという。
メリルの女性広報担当者は匿名で、同社が個別の取引にはコメントしないと述べるとともに、投資対象の評価には自信があると語った。
● 「英バークレイズ株が一時8.7%安:英中銀に緊急融資求めたとの観測で 」
Barclays Falls on Speculation It Asked BOE for Funds
2007年11月2日 ブルームバーグ
2日のロンドン株式市場では、英銀バークレイズの株価が一時、前日比8.7%下落し、ここ3カ月で最大の下げとなった。バークレイズがイングランド銀行に緊急融資を求めたとの観測が広がった。
バークレイズ株はロンドン時間午前10時45分現在、6%安の537.5ペンスで推移している。バークレイズの広報担当者アリステア・スミス氏と、英中銀の報道官はいずれもコメントを控えた。英中銀が1日発表した日報では、ペナルティー金利での市中銀行に対する緊急融資はないとしていた。
MFグローバル・セキュリティーズのアナリスト、マムーン・タジ氏(ロンドン在勤)は、「バークレイズが若干の融資を求めて英中銀に接触したという憶測がある」と述べた上で、「私の考えではその可能性は非常に小さい。しかし、決してないとは言えない」と語った。
●「サブプライム住宅ローンを組み込んだ債務担保証券(CDO)7本がデフォルト」
ニューヨーク 2007年11月1日 ロイター
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は1日、サブプライム住宅ローンを組みこんだ債務担保証券(CDO)7本がデフォルト(債務不履行)通告を受けたことを明らかにした。
S&Pによると、住宅ローン担保証券(RMBS)の格下げでデフォルト通告を受けたもので、今後様々なCDOが清算される可能性がある。
デフォルト通告を受けたCDO7本は、格付けが最上級の「AAA」からジャンク等級最上級の「BBプラス」までとされるが、S&Pはこれ以外に影響を受けるCDOがどのくらいあるかは明らかにしていない。
●「ジム・ロジャーズ氏:バーナンキ議長は「正気の沙汰ではない」-利下げ批判」
Jim Rogers Says Bernanke Is `A Nut’ for Cutting Rates
2007年11月2日 ブルームバーグ
投資家ジム・ロジャーズ氏は米利下げがインフレ加速を引き起こし経済を損なっているとして、バーナンキ連邦準備制度理事会(FRB)議長の政策は「正気の沙汰ではない」と批判した。
ロジャーズ氏はニューヨークでインタビューに応じ、「バーナンキ氏はお札を印刷したくて仕方がない」と述べ、「正気の沙汰ではない。ドルの価値は崩壊しつつある。商品価格は天井知らずの高騰だ。つまりインフレも天井知らずに上昇するということだ。連中のせいでとんでもない事態になるだろう」と続けた。
ロジャーズ氏(65)はビーランド・インタレスツの会長。同氏はまた、米銀大手のシティグループと住宅金融最大手のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)の株式を空売りしていることも明らかにした。
FOMCは10月31日、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25 ポイント引き下げて4.5%に設定。これで6週間で合計0.75ポイントの利下げが実施されたことになる。
S&P500種金融株価指数は今年に入り15%急落。サブプライム(信用力の低い借り手向け)住宅ローン市場の急激な悪化で借り入れコストが上昇、証券の評価損計上を余儀なくされる銀行が相次いだ。
シティグループ、ファニーメイ
シティグループが先月発表した第3四半期決算は57%の減益だった。2日のニューヨーク株式市場でシティの株価は2003年4月以来の安値に急落。現地時間午前10時44分現在、前日比1.02ドル(2.7%)安の37.49ドルで推移している。
ファニーメイの株価は前日比2.32ドル(4.3%)下げて52.18ドル。年初来では12%下げ、2006年9月以来の安値で推移している。 シティの広報担当者マイケル・ハンレッタ氏、およびファニーの広報担当者ジェイソン・ロボ氏のコメントは得られていない。
ロジャーズ氏はジョージ・ソロス氏と共同で1970年代にクオンタム・ヘッジ・ファンドを創立。90年代には世界を旅して思いついたアイデアを著書「冒険投資家ジム・ロジャーズ世界大発見」、「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」などの執筆に活かしたという。同氏はまた、世界的な商品の上昇相場が1999年に始まると予想したことでも知られる。
●「米メリルリンチが3%超える下げ、WSJ報道を嫌気=2日寄り前取引」
2007年 11月 2日 ニューヨーク ロイター
11月2日の米国株式市場は、寄り付き前の取引で、米メリルリンチが3%を超える下げとなっている。2日付のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙電子版は、関係筋の話として、メリルリンチがリスクの高いモーゲージ担保証券のエクスポージャーを少なくするため、ヘッジファンドとの間で、損失の算出日を遅らせることを狙った取引を行ったと伝えた。
また、ドイツ銀行のアナリストは、メリルリンチはクレジットの損失に関連し、追加で評価損の計上を迫られる可能性のある金融機関のひとつだ、としている。
●「日本の債券相場は大幅高、欧米金融機関懸念で株売り・債券買い-1.6%割れ」
2007年11月2日 ブルームバーグ
日本の債券相場は大幅高(利回りは低下)。前日の米国市場で米債高・株安となった流れを受けて、国内市場でも日経平均株価が 350円超の大幅安となったことから、債券は買い戻しが優勢となった。欧米金融機関への懸念が再燃しており、海外勢を中心に先物で株式売り・債券買いの動きとなった。10年債利回りは10月26日以来の1.6%割れ。先物中心限月12月物は136円台を回復した。
ABNアムロ証券チーフ債券ストラテジストの市川達夫氏は、「午後に株価が一段安となったことから、先物に株売り・債券買いの資金フローが入った。特に超長期債が堅調。20年債利回りは2.15%近辺での攻防がみられ、ポジション(持ち高)調整となった」と述べた。
東京先物市場の中心限月12月物は、前日比86銭高の136円8銭と2営業日ぶりに136円台を回復して寄り付き、直後に136円15銭の日中高値をつけた。その後は戻り売りに押されて上げ幅を縮小し、午後零時40分ごろに日中安値 135円77銭をつけた。引けにかけては再び上値を試す展開となり、87銭高の 136円09銭で取引を終了した。
現物債市場で新発10年物の288回債(11月債)利回りは、前日終値(1.665%)に比べ6ベーシスポイント(bp)低い1.605%で開始。その後は水準を切り上げ、午後零時36分ごろに1.615%まで利回りの低下幅を縮めた。午後は逆に水準を切り下げ、午後2時18分ごろに1.585%まで低下した。午後3時すぎは8bp低い1.585%で推移している。
福井俊彦日銀総裁は、衆院財務金融委員会で、「世界的にインフレに注意していく必要がある」と述べる一方で、「世界経済にはダウンサイドリスクも強く出ている」と指摘。長期金利の動向について「上下かなりのリスクをはらんでおり、市場の予想外の変動リスクを念頭に置いている」と語った。
日経平均株価は大幅反落。前日比352円92銭安の1万6517円48銭で取引を終了した。一部投資判断引き下げで欧米金融機関への懸念が再燃1日の米国市場では、CIBCワールド・マーケッツのエクイティアナリストが米シティグループとバンク・オブ・アメリカ(BOA)の株式投資判断を引き下げたほか、米メリルリンチのアナリストがスイスのUBSの投資判断を引き下げたことから、株式相場が大幅下落し、国債の需要が高まった。
米国債相場は急反発し、2年債は今年に入り2番目の上げを記録した。キャンター・フィッツジェラルドによると、2年債利回りは前日比19bp下げて 3.76%。10年債利回りは13bp下げ4.34%とほぼ2年ぶりの大幅低下となった。
一方、米株式相場は大幅反落。ダウ工業株30種平均は362.14ドル(2.6%)下落し13567.87ドル。ナスダック総合指数は64.29ポイント(2.3%)下げて2794.83で終了した。シティグループの株価は4年ぶりの安値に急落した。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場動向によると、12月11日の次回米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの利下げが実施される確率は60%と、前日の42%から上昇した。金利据え置きを見込む確率は58%から 40%に低下した。
●「米シティ減配の可能性言えるのは 自分だけ-CIBCのホイットニー氏 」 CIBC’s Whitney Spurred Market Swoon With `Moxie’ Citigroup Call
2007年11月2日 ブルームバーグ
カナダのCIBCワールド・マーケッツのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏による米銀最大手シティグループの株式投資判断引き下げで米株式相場の時価総額は3690億ドル(約42兆3000億円)吹き飛んだ。市場を大きく揺さぶったホイットニー氏は、シティの減配の可能性に言及できる気骨のあるウォール街のアナリストは自分だけだったと話す。
ホイットニー氏(37)は、「自分が活字にしたことを書ける勇気のある人はほかにいない」と述べ、シティが財務再建のために現金配当の縮小を余儀なくされかねないと予想する。
シティが2週間前に2007年7-9月(第3四半期)の57%減益決算を発表して以来、ドイツ銀行のマイク・マヨ氏ら3人のアナリストがシティグループ株の売りを勧めていたが、ホイットニー氏ほど市場に大きなインパクトを与えていなかった。ホイットニー氏は、シティがあまりに多くの買収を行っている上、損失に備えた余剰資金が「数十年ぶり」の低水準にあるため、シティ株の保有リスクが高まったとみる。
同氏が売りを勧めたのをきっかけに、シティの株価は1日、02年9月以来最大の下げを演じた。S&P500種株価指数も2.6%安と、2カ月ぶりの大幅安。シティの広報担当者、マイケル・ハンレッタ氏は、配当見直しに関する思惑にはコメントしないと述べている。
マヨ氏と同様ホイットニー氏も、シティの問題の責任はチャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)にあると批判。プリンスCEOの「退任の必要性には疑問の余地がない」と述べ、「資本の水準を回復させ、技術投資を増額しなければならない。利益は伸びていないし、総収入も増えていない」と指摘する。
シティの株価は1日、前日比2.85ドル(6.9%)安の38.51ドルと、03年5月以来の安値を付けた。ホイットニー氏はシティ株が「30ドル台前半に向かう」とみている。
● 「米紙 メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上をこ会社に先送り」
2007年11月3日 読売新聞
【ニューヨーク=山本正実】2日付の米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、米大手証券メリルリンチが、保有する住宅ローン担保証券(MBS)が抱える含み損の決算への計上を先送りする 取引を、複数のヘッジファンドと行っていたと報じた。
低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き急増に伴う損失を隠す取引と言え、米証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出す可能性がある。 メリルリンチは2日発表した声明で「不適切な取引が行われたと信じる理由がない」と報道内容を否定する声明を発表した。
しかし、この日は米銀最大手シティグループのトップがサブプライム問題で引責辞任する意向を固めたとの報道も流れ、市場では「米金融機関のサブプライム関連の損失がどこまで膨らむか分からない」という不安が再燃している。
メリルリンチに関する報道が事実なら、同社が10月24日に発表した7~9月期決算で示したサブプライム関連の損失79億ドルが、実際はさらに多額だったことになる。 報道によると、ある取引では、メリルの関連会社が住宅ローン債権を担保にした10億ドル(約1140億円)のCP(コマーシャルペーパー)を発行し、ヘッジファンドが買い取った。
このCPにはメリルが1年後に買い戻す条件が付いており、CPに含み損が生じた場合でも、同社の決算に計上されるのは少なくとも1年後となり、すぐには損失が明るみにならない。
一方、ドイツ銀行が2日発表した報告で、米大手銀行・証券が第4四半期に100億ドルを超える追加の損失を計上するとの見通しが示された。前日には、カナダの投資銀行CIBCが、シティグループは300億ドル(約3兆4200億円)以上の資本増強が必要だとする試算を示した。
●「サブプライム危機の悪影響は今後も続く-英ヘッジファンド3社首脳 」
Subprime Fallout Continues, Hedge Chiefs Oppetit, Hintze Say
2007年11月1日 ブルームバーグ
CQSとケンタウルス・キャピタル、アスペクト・キャピタルの英ヘッジファンド3社の首脳は1日、ロンドンで開かれた投資戦略会合で、米国でのサブプライム(信用力が低い個人向け)住宅ローン危機の悪影響が今後も続くとの見方を明らかにした。
CQSを運営するマイケル・ヒンツェ氏、ケンタウルスのバーナード・オペティット氏、アスペクトの共同創業者、マーティン・ルーイック氏は、今年8-9月に米住宅調整が発端となり信用市場で金利が上昇したが、今後混乱が拡大するとの見通しを示した。投資家は最も安全とされる投資対象以外から資金を引き揚げ、保有債券で評価損が生じ、一部のヘッジファンドの解約が相次ぐ事態が生じた。
ルーイック氏は「悪影響が完全に出たとは考えていない」とし、「米市場は非常に厳しい時期を迎えつつある」と話した。 ヒンツェ氏は「いくつかの金融機関は業績の下振れで、市場関係者を驚かせる可能性がある」と語ったが、詳細には言及しなかった。
●「米メリル:ヘッジファンドとモーゲージ損失先送り目的の取引-WSJ 」 Merrill Struck Hedge-Fund Deals to Postpone Losses, WSJ Says
2007年11月2日 ブルームバーグ
11月2日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、証券大手メリルリンチが複数のヘッジファンドとの間で、高リスクのモーゲージ担保証券(MBS)関連の損失の影響先送りを意図した取引を行っていたと報じた。関係者からの情報として伝えた。
同紙は、米証券取引委員会(SEC)がメリルのモーゲージ関連証券の評価方法や投資内容の開示状況を調査しているとも報じた。同社は先週、モーゲージ投資に関連して79億ドル(約9050億円)の評価損を計上したことを明らかにした。
同紙によると、あるヘッジファンドは、メリルのモーゲージ関連の事業体が発行したコマーシャルペーパー(CP)10億ドルを買い取った。ヘッジファンドには、1年後にメリルにこのCPを売却し、一定のリターンを得る権利が保証されているという。
メリルの女性広報担当者は匿名で、同社が個別の取引にはコメントしないと述べるとともに、投資対象の評価には自信があると語った。
● 「英バークレイズ株が一時8.7%安:英中銀に緊急融資求めたとの観測で 」 Barclays Falls on Speculation It Asked BOE for Funds
2007年11月2日 ブルームバーグ
2日のロンドン株式市場では、英銀バークレイズの株価が一時、前日比8.7%下落し、ここ3カ月で最大の下げとなった。バークレイズがイングランド銀行に緊急融資を求めたとの観測が広がった。
バークレイズ株はロンドン時間午前10時45分現在、6%安の537.5ペンスで推移している。バークレイズの広報担当者アリステア・スミス氏と、英中銀の報道官はいずれもコメントを控えた。英中銀が1日発表した日報では、ペナルティー金利での市中銀行に対する緊急融資はないとしていた。
MFグローバル・セキュリティーズのアナリスト、マムーン・タジ氏(ロンドン在勤)は、「バークレイズが若干の融資を求めて英中銀に接触したという憶測がある」と述べた上で、「私の考えではその可能性は非常に小さい。しかし、決してないとは言えない」と語った。
●「米経済専門雑誌「フォーチュン」の最近号 」
2007年10月30日付け の内容の要約
米国でクレジットカードの負債が大幅に増え、「第2のモーゲージ(住宅ローン)爆弾」になりかねないという警告が出た。 米経済専門雑誌「フォーチュン」の最近号(2007年10月30日付け)では、米国のクレジットカード負債が9150億ドル(約100兆円)と大幅に増え、モーゲージ事態のように爆発する可能性を示していると分析した。
昨年末から始まって、今年、本格化したサブプライムモーゲージ(低所得者向けの住宅ローン)関連の負債規模も、今回のクレジットカードの負債と同水準の約9000億ドル規模だった。 米国の各銀行では消費者が使用したカードの代金を財務諸表上に「資産」として表示し、同資産をもとに債権を発行し、続いて「貸出債権」を活用して、さまざまな金融商品を流動化してきた。
これを受け、消費者たちがカードを使用した後、カード代金を期限内に決済しなければ、クレジットカード会社やクレジットカード勘定と連携した証券会社が数珠繋ぎで打撃を受けることになる。 住宅ローンを受けた貸付者たちが借金を返済できず、銀行や該当銀行は発行した各種の派生金融商品が打撃を受けたのと同様のことが起きるわけだ。
ただし、今回は消費者たちが「住宅ローン」ではなく「クレジットカードの代金」という謝金を返済できないということが違うだけだ。 消費者たちが、「カード代金を支払えない」と「返済不履行状態」を宣言し、連携債権の価格が暴落すれば、これを保有したヘッジファンドや年金基金などの機関投資家たちも、連鎖的に打撃を受けることになる。
フォーチュンは、クレジットカードの負債急増で影響を受ける可能性があるところとして、シティーグループやアメリカンエクスプレス、バンクオブアメリカ、キャピタルワン、ワシントンミューチュアルなどをあげた。 フォーチュンのこのような懸念は、これらの銀行が01年以降、最悪の業績を相次いで出したことに基づいている。シティーグループは第3四半期(7~9月)に、クレジットカードの延滞で22億4000万ドルを損失処理した。
シティーグループのゲリークリテンドン財務担当最高責任者(CFO)は、「初めて、シティーカード客の未決済残高が増加し、現金の引き出しが増えた」と、状況が悪化する可能性への懸念を示した。
アメリカンエキスプレスもカードの延滞を憂慮し、準備金を44%増やした。キャピタルワンやバンクオフアメリカ、それからワシントンミューチュアルの状況もさほど変わらない。これらの会社もカード分野の状況悪化に備えて、普段より20%以上、準備金を増やした。
ただ、クレジットカード負債は、サブプライムモーゲージのように一瞬にして爆発せず、モーゲージのような危機はもたらさないだろうという楽観的な分析もある。 フィフスサード銀行のクリストファー・マーシャルCFOは、「クレジットカードの危機は、すぐ隣で爆発するものではない」とした上で、「米国は金融派生証券化の長い歴史を有しており、カードの延滞による影響を十分管理できるだろう」と語った。
シティーグループの抱える不良債権の額など、円高ドル安と相場がきりもみ状態の 今のような状況では、確定しようもない。かつ、正確な額がシティーから 出てくるはずも無い。
だから、日経が出している数字から、最悪のケースをオレ的にあてずっぽしてみた。 バブルはいつかはじけるから、これだけ原油高インフレになって、 原油取引をアラブがドル以外の通貨決済でも行うという方針をほぼ決めた時点で、ドルのバブルがはじけるのはほとんど不可避に近い。
そうすると、デリバティブ(金融派生商品)に含まれるサブプライム爆弾におけるシティーグループ(子会社、日興含めた持ち株会社等も含む)の持分を適当に見積もって、そこから最悪どれぐらいになるかって出しただけ
もちろん、あてずっぽの最悪の場合の数字だから、こここまではならないだろう。だが、みんなが思ってるよりも桁が、一桁違うレベルの欠損になる可能性は高い。 私が、今出した数字に対して、シティーグループの全帳簿からサブプライム含んだファンドと、含み資産の欠損引き当てを出せばわかる。それでも本当の損失はいくらかはわからない。
怖いことに、デリバティブ総額の4京9千3百兆円に、さらに資産の減価分が不良資産化する可能性があるから、全世界で二桁の京の資産がサブプライムで影響を受けるかもしれない。
● 「ロジャーズ氏、米金融株の売り持ち高を拡大-過剰報酬で70%下落も 」
Jim Rogers Bets Against U.S. Investment Banks, Housing Stocks
2007年10月31日 ブルームバーグ
投資家のジム・ロジャーズ氏は31日、ロンドンでインタビューに応じ、証券や投資銀行など米金融株の売り持ち高を増やしていることを明らかにした。金融業界の「過剰に高い」報酬と投資損が理由。同氏は資産家ジョージ・ソロスとヘッジファンドのクオンタムを創設したことで知られる。
ロジャーズ氏は「ウォール街では29歳の若者が1年に1000万―2000万ドルも稼いでおり、それを当たり前だと考えている。過剰報酬が横行している」と指摘。弱気相場に入れば金融株は最大70%下落する可能性もあるとの見解を示した。
同氏は過去1年にわたり売り持ちにしている米金融株のポジションをここ6週間でさらに拡大させたと述べた。ETF(上場投資信託)や個別銘柄を通じて売り持ち高を膨らませたとしたが、具体的な銘柄への言及は避けた。
米金融機関で最も利益を上げているゴールドマン・サックス・グループは9月20日、1-9月に従業員に支払う報酬(給与・諸手当・賞与)の準備金として169億ドルを積み立てたことを明らかにした。昨年度通期を上回る過去最高額となっている。その1カ月後、メリルリンチはサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン関連の証券投資などで四半期の評価損としては過去最高となる84億ドルを計上した。
ロジャーズ氏は「投資銀行は巨額の悪質な証券を抱えており、財務状況がどれだけ悪いかは誰にも分からない」と指摘した。 同氏は自己資金を使ってこれらの投資を実施したとし、運用資産の規模については言及を拒否した。
住宅市場
米住宅市場の低迷については、「回復にはまだ長い時間がかかる。4、5カ月では過剰な住宅在庫は解消できない。数年はかかるだろう」と語った。 全米不動産業者協会(NAR)が24日に発表した9月の中古住宅販売件数(季節調整済み、年換算)は前月比8%減の504万戸と、同統計の算出開始(1999年)以来で最低だった。
ロジャーズ氏は米住宅株を3年前から売り持ちにしていることを明らかにした。ただ、ニューヨークで保有している6階建て住宅を提示価格の1500万ドルを上回る値段で売却しようとしていることも明らかにした。その上で、「米住宅市場は堅調な地域もあれば、そうでない地域もある」と述べた。
● 「NY株、終値も史上最高値 サブプライム問題に一服感」
2007年10月1日 ニューヨーク 共同通信
週明け1日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、米サブプライム住宅ローン問題が最悪の時期を脱したとの安心感から大幅反発し、1万4000ドルの大台を回復。前週末比191・92ドル高の1万4087・55ドルで取引を終え、7月19日以来、約2カ月半ぶりに終値の最高値を更新した。上げ幅は今年6番目で、一時、219ドル高に達し、取引時間中の最高値も塗り替えた。
サブプライム問題の拡大で、ダウ平均は昨年10月から続いた最高値更新が途絶えていたが、市場では「この問題に一区切りついた」(邦銀)と楽観的な見方も広がった。 ただ米住宅市場の低迷が続くほか、原油価格も高止まりしており、株価の先行きには不透明な要素も目立つ。
ハイテク株主体のナスダック総合指数は39・49ポイント高の2740・99で、6年8カ月ぶりの高値
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
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