「1932」 「世界頭脳(ワールド・ブレイン)」とは何か(第2回・全2回) 2021年5月5日

 副島隆彦です。今日は2021年5月5日です。

 H・G・ウエルズの「世界頭脳(ワールド・ブレイン)」の話の続きです。


H・G・ウエルズ

『ワールド・ブレイン(World Brain)』の表紙

 この、「ワールド・ブレイン (世界頭脳)」については、ウィキペディア Wiki では、冒頭の説明文で、このように書かれている。 その英文の原文も載せる。

(転載貼り付け始め)

https://en.wikipedia.org/wiki/World_Brain

 ワールド・ブレインは、1936年から1938年の時代にさかのぼる、英国のSFのパイオニア、社会改革者、進化生物学者、歴史家H.G.ウェルズによるエッセイと演説のコレクションです。本書全体を通して、ウェルズは世界の脳のビジョンを説明しています:世界市民が普遍的な情報資源を最大限に活用し、世界平和に最も貢献するのを助けることができる新しい、自由で、合成的で権威ある、恒久的な「世界百科事典」。・・・・

World Brain – Wikipedia
 World Brain is a collection of essays and addresses by the English science fiction pioneer, social reformer, evolutionary biologist and historian H. G. Wells, dating from the period of 1936-1938.[1] Throughout the book, Wells describes his vision of the World Brain: a new, free, synthetic, authoritative, permanent “World Encyclopaedia” that could help world citizens make the best use of universal information resources and make the best contribution to world peace.・・・・・

(転載貼り付け終わり)

 副島隆彦です。そして、さらに、このWiki の 「ワールド・ブレイン」の説明文の
終わりの方で、はっきりと、次のように書かれている。
 私たち、日本人も今、現在、毎日、使っている WWW (インターネットのこと)と Wiki  の 両方が、まさしく、「ワールド・ブレイン」そのものなのである。 ここまで、世界支配者たちは、あからさまに真実を、何気なくを装って、私たちに、「ほらよ」と放り投げるように、書いている。

(転載貼り付け始め)

 つづき・・・・

◯  ワールド・ワイド・ウェブ WWW :ワールド・ブレイン[編集]

 ブライアン・R・ゲインズは1996年の論文「情報ハイウェイへの収束」で、個人がパーソナルコンピュータを使用してアクセスできるウェルズの「ワールド・ブレイン」の延長線上にあると考えています。1996年と1997年に発表された論文では、ウェルズを引用しなかったが、フランシス・ヘイリヘンとベン・ゲルツェルは、ワールド・ワイド・ウェブの世界的な脳への発展、すなわち惑星レベルの人とコンピュータのインテリジェントなネットワークを想定した。 [4]:558

 「グローバル脳」と「世界脳」の違いは、後者がウェルズが想定しているように、後者が中央に制御され、前者が完全に分散化され、自己組織化されている[4]ということです。

 2001年、エバーグリーン州立大学のダグ・シューラー教授は、ウェルズの世界脳の充実として世界的な市民情報ネットワークを提案しました。例として、彼は持続可能なシアトルとシアトルの「テクノロジー・ヘルシー・シティ」プロジェクトを挙げました。 [12]

◯ 世界脳としてのウィキペディア[編集]
  H.G.ウェルズのワールド・ブレインをウィキペディアの前駆体として結びつけるいくつかの類似点があります。2つはウィキペディアとワールド・ブレインの両方の非商業的な側面であり、国際的な側面です。ウェルズは、ジミー・ウェールズがウィキペディアに広告を掲載しないことを決定したように、ブレインに商業的資金を提供することを望まなかった。

 さらに、ウェルズはマイクロフィルムを世界脳を通じて人々が情報を共有できる普遍的なフォーマットとして構想しました。マイクロフィルムをワールドブレインの形として使用するという彼の意図は、マイクロフィルムの使用が情報と知識の間の距離を廃止すると主張したため、インターネットの使用を模倣しています。 [4]:564

 多くのコメンテーターは、ウィキペディアがウェルズによって記述されているように世界の脳を表すことを示唆しています。 [3]:24[13] ジョセフ・ライグルは、世界百科事典をプロパガンダから守る必要性についてのウェルズの警告をウィキペディアの「ニュートラル・ポイント・オブ・ビュー」の規範と比較した。

 普遍的なビジョンに従い、ウィキペディアの重要な規範を予想して、H.G.ウェルズは、彼の世界脳が「すべての人類にアピールする百科事典」であることを懸念していたので、それは是正批判に開かれたままで、神話に懐疑的でなければならない(どんなに「尊敬」されても)、「狭いプロパガンダ」を防ぐ必要があります。これは、ウィキペディアの「ニュートラル・ポイント・オブ・ビュー」の目標である「重要な見解を公平、比例的、偏見なく表現する」という目標に内在する多元主義に似ています。 [3]:26

(つづき・・・英文の原文)
World Brain – Wikipedia

World Wide Web as a World Brain[edit] 
 Brian R. Gaines in his 1996 paper “Convergence to the Information Highway” saw the World Wide Web as an extension of Wells’s “World Brain” that individuals can access using personal computers.[11]

 In papers published in 1996 and 1997 that did not cite Wells, Francis Heylighen and Ben Goertzel envisaged the further development of the World Wide Web into a global brain, i.e. an intelligent network of people and computers at the planetary level.[4]:558 The difference between “global brain” and “world brain” is that the latter, as envisaged by Wells, is centrally controlled,[4] while the former is fully decentralised and self-organizing.

 In 2001, Doug Schuler, a professor at Evergreen State University, proposed a worldwide civic intelligence network as the fulfillment of Wells’s world brain. As examples he cited Sustainable Seattle and the “Technology Healthy City” project in Seattle.[12]

Wikipedia as a World Brain[edit]
  There are a few similarities that link Wells’ World Brain as a precursor to Wikipedia. Two to mention are the noncommercial aspect of both Wikipedia and the World Brain, as well as its international aspect. Wells did not want the Brain to be commercially funded, just as Jimmy Wales has decided not to have advertisements on Wikipedia, ensuring both were free from commercial bias. In addition,

 Wells envisioned microfilm as a universal format for which people could share information through the World Brain. His intention of using microfilm as the form for the World Brain mimics the use of the internet because he contended that the use of microfilm would abolish the distance between information and knowledge.[4]:564

 A number of commentators have suggested that Wikipedia represents the World Brain as described by Wells.[3]:24[13] Joseph Reagle has compared Wells’s warning about the need to defend the World Encyclopedia from propaganda with Wikipedia’s “Neutral Point of View” norm:

In keeping with the universal vision, and anticipating a key Wikipedia norm, H. G. Wells was concerned that his World Brain be an “encyclopedia appealing to all mankind,” and therefore it must remain open to corrective criticism, be skeptical of myths (no matter how “venerated”) and guard against “narrowing propaganda.” This strikes me as similar to the pluralism inherent in the Wikipedia “Neutral Point of View” goal of “representing significant views fairly, proportionately, and without bias.”[3]:26

(転載貼り付け終わり)

 副島隆彦です。上記のとおり、WWW (インターネットのこと)と、Wiki ウイキペディアは、「世界(を支配する)頭脳」の、具現(ぐげん)、現実化のことだと、はっきりと書いている。 私、副島隆彦が、日本国を代表する知識人として、このことに、一番始めにはっきりと気づいて、驚いた。

上記の事実は、もの凄く重要なことである。

 私は1984年に『道具としての英語 しくみ編 (別冊宝島 43)』(宝島社)というのを書いた(31歳のとき)。

この本は、現在、復刊されている。書名を変えて、『英語国民の頭の中の研究』となって、PHP研究所から、2014年9月17日に刊行されている。

(ここに アマゾンのURLを入れる)

 私は、この頃、英語文法理論を支えている骨格の研究をしていた。格(かく)文法(ケイス・グラマー、case grammar)という文法学派がドイツやアメリカにある。この格文法学派の理論を使って、それに日本語の文を当てはめていくというのを懸命に自分で研究していた。

 簡単に言うと、「私は、何時に、どこどこで、ご飯を食べました」みたいな、「は、が、に、を、で」を助詞というが、日本文(ジャパニーズ・センテンス)は、これらで単語と単語をつないでいく。最後に「です」とか「だ」をつければいい。それがケイス・グラマーで、単語(ワード)をどのようにつないでいくかだ。この理論から、自動翻訳機が実際に出来ている。

格文法

 当時私は、1983年に、茨城県筑波市の研究学園都市にあった、電子技術総合研究所というところに手紙を書いて、そこの研究の様子を見せてくださいと言って、許可をもらって、行った。
 ここは昔は、経産省の電気試験所と言った。それが、やがて電子技術総合研究所、電総研(でんそうけん)になった。その中に「システム推論研究所」というのがあって、ここが人工知能(AI,エイ・アイ)の研究のはしりだった。

 もう一つI C O T(アイコット)というのが有った。ここは、「新世代コンピュータ技術開発機構」であって、渕一博(ふち かずひろ、1936-2006年、70歳で死)という日本の学者が率いていた。大手電機会社のコンピュータの開発技術者を各社から集めて、AIの研究を始めた。
 1980年の初めごろは、ここに、ビル・ゲイツ(Bill Gates、1955年-、65歳)までが、びくびくして、日本が人工知能の研究では先に行っているようだ、と、日本にまで調べに来たと言われていた。所謂(いわゆる)、「第5世代コンピュータ」ですね。今は、このコトバそのものが消えた。しかし、I C O T は、失敗した。人工知能は出来なかった。ICOTは解散になった。

 そのあと、日本の大手電気会社各社は、最先端のコンピュータ開発競争に、負けてしまった。とくに、CPU (中央演算装置)と呼ばれる、超小型半導体のチップの製造で、政治的に脅し上げられて、決定的に打ち負かされた。そして、ビル・ゲイツたち、ただの「通信屋」のくせに、彼らのが勝ってしまった。今のアメリカによる通信技術での世界支配が続いている。

渕一博

ビル・ゲイツ
 今の、GAFA+MS big tech ビッグ・テックなんて、通信屋のくせに、通信機械がものすごく発達して、インターネットというのが1995年から始まって、Windows95 というのをマイクロソフト社が作って、それで、全体を支配した。この機械をつくった ビル・ゲイツが世界一の金持ちになった。今でもそうですね。
 それ以外にApple と Googleが 出てきて、Amazonは、物販屋のくせに、ネット書店を始めて、そこに何億人もの人を集めて、それで地上の一般書店が、どんどん潰れていったわけです。ネット書店から、今は物販業でいろんなものを販売するようになった。

 他に、Facebookみたいなチャットのサイト系、日本でいえばLINE ですか、それからツウイッターもそうだけど、そういうおしゃべりサイトみたいなところが今花盛りで、月3万円とか、みんなお金を出して、子供たちと頭の軽い人たちは、ゲームやらアニメ、映画、スポーツ鑑賞とかをやっているわけです。地下鉄の中でも、どこでもやっている。それが今の世界の現実です。

 これらが、ワールド・ブレイン(世界頭脳)という考え方と合体しているというか、共通していることを皆さんもわかると思う。ここが大事なんです。ワールド・ブレイン(世界頭脳)、すなわち、ウィキペディアを引けば、コトバの解説文が、どんどん出てくる。でも、自分から考える力がない。利用されている、というか、日本人は、この程度の知能ですから、ヨーロッパ、アメリカでできてしまったコンセプトというか重要概念を、もう一回、自分の脳で考え直して、自分たちがその考えにどのように囚(とらわ)れていったかを考え直すべきなのだ。

 便利だからいいじゃないか、でどんどん利用するけど、その土台と出発点をつくった人たちのことを考えようとしないんだ。ここが日本人の弱さですね。

 各業界、学会レベル、専門家の世界では、ヨーロッパやアメリカのそれぞれの学会の一部あるイは、カウンターパート(対応物)として、日本の学会が、ひとつずつ存在するから、欧米を追いかけてやっている。普通の人はそういうことも考えない。
 世界頭脳、ワールド・ブレイン という考えを、H・G・ウエルズというSF作家の祖、お父さん、創業者がつくった。それを、それでいいじゃないかでやっていると、大変なことになってきた。
自分たち自身の脳(ブレイン、思考力、知能)を、この世界頭脳にコントロールされてしまう、という深刻な問題が出てきた。

 私、副島隆彦は、公立図書館なんかほとんど行きません。文字や言葉や文章や作品について、図書館に行かなくても調べられる。とても図書館なんかに行っている暇、時間の余裕はない。それで、電子辞書で、便利でいいじゃないかでここまで来てしまって、いよいよ人類が家畜化される、人間が奴隷化されるという問題が出てきた。このことは、ちょっと気の利いた人たちの間では、割としゃべられる言葉だ。けれども、それをどんどん受け入れている。それに対してどのように、立ち向かうのか、刃向かうか、どのように対決していくんだといったら、ほとんど対策がない。またそれだけの頭脳を持っている人間たちがいない。それは、支配する側が強いからだ。

 ウィキペディアを、実際に作って、運営しているのは、アメリカのCIAだ。それの日本の下請というか出先を、電通と共同通信がやっている。社員たち以外で、例えば東京大学の大学院生みたいなやつらをアルバイトで時給1500円かなんかで雇って、ドイツの思想とか歴史を、日本語に翻訳するときの下請さんで使っている。ただ、それらに日本語の解説文も、去年から動き出した、Google の自動翻訳機 にかけると、おかしな、意味不明の不自然な日本語文が出てくる。やがてこれが少しずつ改良されていくという状況に今なっている。だから、今度は、この自動翻訳の恐ろしさを考えなきゃいけない。

 ただ、ここではっきり言いますけど、AIはできません。できていません。完成しません。
 人工知能が出来るのに、「実はあと500年かかる」。このことは、アメリカのMIT(マサチューセッツ工科大学)の マーヴィン・ミンスキー(Marvin Minsky、1927-2016年、 88歳で死)がはっきりと断言した。今から20年ぐらい前だ。このマーヴイン・ミンスキーが、人工知能の世界的権威と言われていた。彼が、絶望して、AIはつくれない、無理だと言った。

 MIT は、ハーヴァード大学の数キロ先の隣にあって、ボストンの中心から、10キロぐらいの所で、同じチャールズ川のほとりで、MITから、30分間も歩けば、ハーヴァード大学なんだけど。

 このMITの学者で、”AIの父 ”と言われた学者が、人間の脳と同じように考えることのできる人工の脳は、コンピュータをどんなに複雑にしてみても無理だ、と。ミンスキーは5年前に死にました。

マーヴィン・ミンスキー
 なぜ、AI が できないかというと、人間という生き物の脳は、もっと複雑だからと言えばそれだけのことだけど、言葉とか、活字とか、数字とか、数式とかをコンピュータで全部食べて飲み込むことは出来た。記憶も出来た。ところが、人工知能が自分で物を考える、ということは一体どういうことかという問題になる。一番簡単に言うと、好き嫌い、とか機械は判断できない。正義、悪の問題も、人間にとってすら難しい問題です。機械では無理だ。こういうことを考えれば、ああ、無理なんだということが皆さんもわかると思う。

 AIができないんだったら、今あるのは何なんだということになる。今、有るのは、人海戦術です。何万人もの人間を、GoogleやらAmazon やら マイクロソフト社は、人員を雇っている。人海戦術で徹底的に、虱(しらみ)潰(つぶ)しに、例えば自動翻訳機であれば、言葉と言葉を並べていって、繋(つな)いで、徹底的に言葉の変化のところを捉えて、各国の言語ですり合わせの作業をやっている。
 「あなたの料理はとてもおいしかったです」みたいな日本語文に相当する英語文は、これである、フランス語文はこれである、と横に並べていって、「おもしろかった、楽しい、うれしい」の判断語 とか、日本語文の、「5段階活用」で、書かない、書きます、書くとき、書けば、書け、でいいじゃないかと。4段活用とか5段活用というのは、これは嘘の日本文法です。本居春庭(もとおりはるにわ)と、富士谷成章(ふじたになりあきら)という、江戸中期の国学者が、思いつきで作った、分校理論だ。だから、「書いてみたら」とかの「書いたら」とか、、正当には活用しないけどその国では平気で使っている。言葉というのは、それぞれの民族が大変に多様性を持っていて、何とでも使うんです。

 もう、ちょっと言いましょう。「書け」だったら命令文( 正しくは、命令法、=法、mood=
だ。command  コマンド、あるいは、immperative インペラティブと言う) だから「け」でいいんだけど、「書いたら」の「い」はイ音便といって、言葉が崩れたものと言って、現代日本文で、不規則で起きた崩れ現象だという。5段活用の、活用形の中に出てこない。では、「たら」は何ですかというのは今はもうやりませんけど、「書きたら」の「き」が崩れて「書いたら」になったとか。そういう問題はもうやめましょう。

 AIは、人海戦術で、ものすごい人間の労力を入れてシステム開発のところでやっている。だから開発の現場は大変だと思う。それでも、この分野は、きっと、どんどん特許が取れるのだろう。 

 機械が自分で勝手に動いて次から次に複製して、さらに脳細胞みたいに自然増殖してくれて、人間の脳であれば、ニューロンと、シナプス(synapse)というんですけど、思考の単位らしいんですけど、脳科学(Brain Science、ブレイン・サイエンス)の中で、この電気信号に似た、シナプスが自己増殖するような作用をする。これは機械には、まだ出来ない。

 だから、『2001年宇宙の旅 (字幕版)』(1968年)の  

 アーサー・C・クラーク(Arthur Charles Clarke、1917-2008年、90歳で死)原作で、監督スタンリー・キューブリック(Stanley Kubrick、1928-1999年、70歳で死)
2人でつくった映画「2001年宇宙の旅」に出てくる、HAL(ハル)というコンピュータ、あるいは「惑星ソラリス」という、惑星自身が自分で思考する、あるいは、知能を持っていて、そこに迷い込んだ人間をいいように動かすとか、そういうのは無理なんですよ。

アーサー・C・クラーク

スタンリー・キューブリック
 だけど、実際に、「 AIらしきもの 」が使われている現実はある。それは私も否定しないけども、こつこつ何十年もやっている。私が37年前に、電総研に行ったとき、強く感じたのは、「ああ、とても無理だな。自動翻訳機 ALM は、まだまだ無理だ」でした。でも、もうそのとき既に自動翻訳機会社というのは幾つもあった。ほとんど潰れました。小さな会社でも有ったんです。割と優秀と言われている会社もあった。東芝とか、日立とか、松下の大手も始めていた。松下電器(今は、パナソニック)が、徳島県にあったワープロ・ソフトの「一太郎」をつくっていたジャスト・システムという会社を潰しちゃった。大企業の電機会社は何百人も人間を抱えていますから、そういうことをやっている。

 マイクロソフトの Windows を日本が使いたかったら、ただで開発人員を出せ、と言って、マイクロソフトがつくっている Windows を使わせてもらうために、日本の大手電機会社の各社から、500人ぐらいずつ人員を出して、この20年間、日本のラップトップ(PC)は、日本語変換ソフトを自分たちで作って、使ってきた。だからきれいごとじゃない。この真実をみんな言わないだけであって、現場の人はみんな知っている。

 SE( system engineer、システム・エンジニア)という国家資格試験もある、コンピュータ土方みたいなコンピュータ・エンジニアは、日本国内にたくさん存在して、今のリモート・ワークで、内職仕事みたいな賃仕事で、もう会社に来なくていい、家でやれ、出来たら納品しろ、と言われて、「はい、はい」という感じでやっている人の半分以上は、おそらくSEですね。

 SEという言葉でまとめ切れないぐらいいろんな種類のコンピュータの仕事があります。バグ取りとか、あるいはカスタマイズとかいって、それぞれソフトを買ってくれている会社向けに、もう一回ちょこっとあちこち立て直す、つくり直す、部品を入れ直すようなことをやって、それで、日本の社会が動いているわけです。

 話を元に戻しますが、ワールド・ブレインが、今のウィキペディアになった。このことの怖さ、恐ろしさをまずわかってください。今日は、細かいことはこれ以上言いません。私はもっとわかっていることがあるけれども、話しません。

 H・G・ウエルズ(Herbert George Wells、1866-1946年、79歳で死)という人の経歴を説明します。彼は、社会主義者(ソシアリスト)です。彼は、ロシア革命が1917年に起きたとき、1920年に。マクシム・ゴーリキー(Maxim Gorky、1868-1936年、68歳で死)という作家と友達だったので、ロシアレーニン(Vladimir Lenin、1870-1924年、53歳で死)というロシアの指導者に自分から会いに行った。

ゴーリキー(左)とレーニン

 PEN International(ペン・インターナショナル)、国際ペンクラブの会長もしていたから。リベラル派であるところのH・G・ウエルズは、ロシアのモスクワまで会いに行った。革命のさなかで大変な動乱状況だった。ロシア革命をたたき潰してやると言って、西側諸国や、日本もウラジオストクに4万人ぐらい兵隊を出した。イギリスが行けと言って。ソビエト干渉戦争といいます。

 そうやって革命、反革命の激しい戦争にもなって、それは第1次世界大戦(1914-1918)の後ですけど、やがて第2次世界大戦 WW2 にまで雪崩れ込んでいくわけで、世界は戦争だらけになっちゃった。レーニンに会いに行って、その後スターリンにも会いに行っている。そういう人です。

 H・G・ウエルズという人が、当時の社会主義者だということは、キリスト教が大嫌い、特にローマン・カトリックなんか大嫌いです。宗教が世界を支配してはいけないという思想だから、激しいリベラル派です。フェビアン協会(Fabian Society)というのがイギリスにあって、このフェビアン・ソサエティーというのは穏やかな社会主義社会の実現を目指した団体です。

バーナード・ショー

ハロルド・ラスキ
 作家のバーナード・ショー(Bernard Shaw、1856-1950年、94歳で死)や政治学者ハロルド・ラスキ(Harold Laski、1893-1950年、56歳で死)という人たちが創立した。穏やかな社会主義者の、世界的にすぐれた知識人たちの集まりです。それに紹介されてH・G・ウエルズも入った。人類の世界は、必ず社会主義の体制になるだろう、と皆信じた。簡単に言えば、貧しい労働者階級は報われる。当時のヨーロッパでも、1日12時間労働が当たり前でした。それをしなくて済む、労働者がみじめな暮らしをしなくてもいい世界になる、という理想主義の人々だった。

 だから、ロシア革命がドカーンと起きたとき、それに希望を持った、期待した人々でした。ところが、そのあとロシアの内情がヒドいものであることが、明らかになった。そしてその惨状のピークの1936年に大きくバレてしまって、実は収容所列島で、革命家たち自身が内部で激しい殺し合いをやって、収容所列島にして、銃殺刑になって、何十万人もシベリアに囚人送りをした。帝政ロシア、ロマノフ王朝のときよりもっとひどいことになったじゃないかという話になった。世界中ががっかりしていった。

 やがてロシア革命は中国革命に伝染、伝播していって、毛沢東(Mao Zedong、1893-1976年、82歳で死)時代に、また中国でひどいことになりまして、1950年代、60年代、70年代もひどかった。私の小さいころ、共産主義というのは悪の組織だ、全体主義(トータリタリアニズム)の思想だと言って、それを、撲滅するぞ運動みたいなのが日本にもあって、それが今の安倍晋三みたいな人たちの、燃えるような情熱のかたい反共(はんきょう)の信念になっているわけです。それが今の私たちにまでつながっている。

毛沢東

 H.G.ウエルズたちは、理想と夢と希望を持って世界の社会主義政治体制化を望んでいた。何故か
かというと、H・G・ウエルズ自身が、使用人階級の出の人だ。お母さんが大きな貴族のお屋敷で働いていた家政婦さんでした。家族で住み込みの感じで暮らしていた。ということは、貴族や大金持ちに対する憎しみがすごい。

 H・G・ウエルズ自身も、13歳ぐらいから、でっち奉公なんだけど、実際は工場労働者になる。当時は、12,13歳から働きます。それで18歳くらいに、何とか機会を見つけて学校に入って、グラマー・スクールに何とか入れてもらって、ロンドン大学の市民講座に潜り込んで、二十齊ぐらいからは奨学金をもらって、ヘンリー・ハクスリー(Henry Huxley、1825-1895年、70歳で死)の授業に出て進化論を勉強しました。貴族のお屋敷に図書館があったので、そこでプラトン(Plato、紀元前427年 – 紀元前347年、80歳で死)の『政治理論』や、文学の古典とか、一生懸命1人で読んでいた。

ヘンリー・ハクスリー
 文字が読めれば、頭のいい人は、自分でどんどん本を読めるようになります。だから10代のころから独学ではい上がった人です。そして25歳ぐらいから小説家になっていく。チャンスに恵まれていたというか、それだけの能力があったから。そして、29歳で『タイムマシン』を書いたとき作家として人気が出て、その5年後には、もう大きな家を自分で建てて、召使いと使用人を抱えるような人になっていったんですね。

 ですから、H・G・ウエルズ自身が、貧しさというのを体で知っている。だから社会主義者になったんです。マルクスの『資本論』が書かれた、本当のきっかけは、チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens、1812-1870年、58歳で死)という小説家の『オリバー・ツイスト』(1838年)という小説です。

チャールズ・ディ

オリヴァー・ツイスト(新潮文庫)
 チャールズ・ディケンズも、12歳から工場労働をさせられる。靴磨きの靴墨をつくっている会社だった。この工場で働いて、その体験から「オリバー・ツイスト」を書いた。
 貧しい、親も亡くなったような子供たちを、フェイギンという男が集めて、昼間は泥棒をさせたり労働させたりしながら、子供たちからピンはねやった。このピンはねしたもので、子供たちに最低限のご飯を食べさせていた。殴ったりしながら。これを初期資本家といいます。どこの出版社でも、大企業でも、従業員をこき使って、資本家(キャピタリスト)すなわち企業経営者が、大きな会社にしていくわけです。

 この話が『資本論』を生んだ。マルクスが、30歳で、1849年に、イギリスに家族とともに、政治亡命して来て、貧乏なまま革命家として生きるのだけど、丁度、この数年前から、ロンドンで、ディケンズの「オリバー・ツイスト」が、大評判になっていた。マルクスもこの小説を読んで、「資本論」の土台にした。

 H・G・ウエルズは、ドレイパー(draper)と伝記に書いてありますが、洋服の生地をつくっている工場ですね。丁稚(でっち)奉公(ほうこう)なんですけどね。でっちと言っちゃいかんな。Apprentice、職人見習い です。この工場労働者を4、5年やって、そこから脱出して物書きになっていったから偉い。だから彼も社会主義者なんだ。

 世界頭脳の話に戻りますが、今はウィキペディアになったけど、ウィキペディアはやっていることが怪しい。すぐれた情報、知識が、ただでどこからでも手に入る、人類は理想社会に近づいた。それは非常に便利だけど、一方で、民衆、人民に対してものすごい洗脳(brain washing、ブレインウォッシング)をやるわけですね。
 知らなくていい知識は知らなくていい、おまえたちは、これだけ知っていればいいという方向に向かいます。本当の知識、思想、学問というのは、本当に裏側の裏側まで、暴き尽くさなきゃいけないんです。隠してあるものを全部暴き立てなきゃいけないんです。それを本当のサイエンス(science フランス語なら、スシャンス )、学問(ドイツ語なら、ヴィッセンシャフト)といいます。このことをわかってください。

 編集者とか、私の手伝いが、「副島先生もすぐウィキペディアを見ますね」とか、私に向かって失礼なこと言う。それは使っていいんです。使えるんだから。編集者は、朝から晩までウィキペディアを使っている。「だから、あなたたちの出版社が潰れるんだ。あなたたちの知能が足りないからだ」と私が怒鳴る。考える力も何もなくて、目先のことで、言葉調べばっかりやって、いるから、ウイキに、騙されて、いいように洗脳されるんだ、と、私が、怒る。彼らは、何で怒られているか理解できないんです。叱(しか)られたワンちゃんと一緒で、キョトンとしています。

 私の周りの人たちや、編集者レベルの知能はその程度です。なのに自分では頭がいいと思い込んでいます。私は、キョトンとした、その目をしたワンちゃんを「あー」と言って見返す。その程度の知能しかないのが周りにいっぱいだ。

 だから、私の対策としては、ウィキペディアを使う、どれだけでも、使って読み進めればいい。そして、こいつらが隠している、裾から隠しているものが、ちらちら見える。その裾をめくってやる。スカートをめくってパンツ丸見えにしてやる、この野郎、というぐらいの覚悟で、私はいつもウィキペディアの説明文を見る。どこに、彼らが隠
バごとに、疑いながら探索するように読みます。

 日本国内のウィキペディアは、重要人物や名声のある人たちは、彼らの悪い情報、知識は全部覆い隠しています。表に出しません。私みたいな人間の場合は、「陰謀論者」かなんかのところで悪口言われ放題です。「アポロの副島」とかなんとか書かれて、ある種の精神障害者の一部みたいにされてしまう。放っておくしかないんです。いくら抗議したって、向こうは受け付けません。

 彼らウイキ Wiki が、更に、たちが悪いのは、ウィキペディアはみんなが参加してつくる百科事典と言っていることです。うそ言え、馬鹿やろう。そんなのはでまかせだ。
 確かに、日本の神社仏閣の古い歴史を調べる、ヴォランティアの執筆者の、おじさんたちのグループがあって、テレビに時々出てきます。この人たちが、ウィキペディアの文章に参加して書いている人たちだ、と言っている。わざとらしいといったらありゃしない。本当は、共同通信と電通が管理して日本語のウィキペディアはやっているんです。

 だから私が弟子たちにずっと言ってきたのは、無料のソフトウエアは使うな、ということです。コンピュータ・ソフトウエア会社は、無料ソフトの形でいっぱい利用してもらいたいから無料のソフトを、ばら撒いている。だけど、そんな無料ソフトは、いつサーヴィスが打ち切られるか、分らない。  

 だから1万円でいいから払え。1万円払っていれば、有料でやっているから向こうに責任が生まれる。タダ、無料のソフトを使うな、と20年間から、私は言ってきました。10万円のソフトでもいい、買ってそれを 入れなさいと言ってきました。

 あと一つは、ベトナム解放戦線は、ベトナム戦争のとき、アメリカ軍と戦うときに、自分たちに何も武器がないから、やがてソ連や中国から武器の援助が来ますけど、始めは何をやっていたかというと、米軍が持ち込んだ戦車や自動車、いろんな武器があって、それの壊れたやつが捨ててある。そのタイヤを盗んで、タイヤを懸命切り裂いて自分たちのサンダルを作った。ジャングルの中を走り回るためのサンダルです。そこからベトナム人の闘い始まった。

落ちたり壊れたりしている米軍の残骸から、自分たちの兵器を作る。それが正しい戦い方だ。私は最初からそういうことが分っている人間だ。だからウィキペディアを利用する。このことがわからないとだめだ。こそこそ使う必要はない。

 だから、ここでの一応の結論は、ウィキペディア、ワールド・ブレインに対して。おまえたちを叩(たた)きのめしてやる、おまえたちの裏の秘密を徹底的に暴き立ててやる、この考えで、今は私は立ち向かおうと決めている。

 ウィキペディアをさらに笑い物にする何かが有るらしいけど、まだよく分かりません。それは、ノーベル賞は、たちの悪いスウェーデン王家がやっているたちの悪い世界支配であり、賞状システムで褒めたたえる側が偉い、という 仕組みだ。表彰状とか言って、あげるだけのことです。なのに威張りくさっている。オリンピックとノーベル賞をたたき潰さなければいけないんです。もう、こんなものは要らない。今や人類の不要物だ。ヨーロッパの貴族たちが、偉そうに上で構えているわけです。

 イグノーベルという賞がある。ノーベル賞をあざ笑う、特殊な発明、発見をした人たちに賞を上げるらしい。そういうのは私はよくわかりません。

 今回は、ワールド・ブレインとウィキペディアが等しくて、そのアイデアを最初に出したのは、SFの父と言われているH.G.ウエルズという小説家でしたということで終わります。

(終わり)

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