「1292」 (1) 4月28日(土)~30日(月)の「福島原発・難民キャンプツアー」のお知らせ。/(2) 6月2日(土)の「政治思想・日本政治の歴史(1960年代からこっち)講演会」のご案内。/(3) SNSI研究員・崎谷博征(さきたにひろゆき)氏の新刊『医療ビジネスの闇』(学研パブリッシング。2012/2/28刊)が出ました。2012.3.13

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副島隆彦を囲む会の須藤です。今日は2012年3月13日です。

三点のご案内を致します。以下、「重たい掲示板」の投稿「[887]これから6月までの 私たち学問道場の 予定を書きます。投稿者:副島隆彦 投稿日:2012-02-20 11:20:07」の文章を少し修正して再掲します。後ほど副島先生が加筆されるそうです。

(副島隆彦の文章ここから)

(1) 4月28日(土)~30日(月)の「福島原発・難民キャンプツアー(会員限定)」のお知らせ。

昨年の6月はじめの事務所開きには、都合が悪くて来れなかったが、一度は福島に入ってみたい、という私たちの会員たち(会員限定です。変なのが入ってくると困るから。ただし会員の、ご家族、ご友人までOKです)を、春になって暖かかくなったら、お誘いします。 2泊3日で、「福島原発難民キャンプツアー」(皮肉を込めてこう呼びます)を企画しますから、是非、参加してください。 期日は、すでに決めました。

期日は4月28,29、30日の土日月とします。春の連休(ゴールデンウィーク)の初日からです。私、副島隆彦が付きっきりでバスガイドをやって、あちこちの避難所の跡地や仮設住宅や、原発周辺の、海まで含めてぐるりとご案内します。宿泊代と観光バスのチャーター代込みで3万円ぐらいで出来るでしょう。

あまりお金のない若者は、10人ぐらいは活動本部に泊まれるので、寝袋持参で、2万円でいい。JR郡山の駅に28日の昼頃に集合ということしましょう。詳細は・・・

副島隆彦です。今日は2012年3月13日です。

ここからさらに加筆で書きます。上記のとおりの予定で、「福島原発・難民キャンプツアー」を開催します。
地震・大津波 そして原発事故から ちょうど1年が経ちました。私たちの会員で、まだ1度も福島に行ったことがない人で、そろそろ春になることだし(本当に3月中は福島でも内陸部は雪が消えません)、行ってみようかという人は、参加してください。私、副島隆彦が、つきっきりでバスガイドおよび添乗員をやって、難民ツアーのバスで2泊3日、連れ回しますから来てください。

何も恐ろしいことはありません(笑)。ただの 田舎 ですから。
地元の人たち(原発避難民というのかなぁ)は、皆、元気で生きています。同じ日本人なんだから、彼らと話をしてください。放射能コワイコワイ派のバカたちは、どうせ、いくら言ったって、現地には来ません。 私たちがこれだけ努力して真実を広めているのに、ちっとも聞いてくれない。自分の脳に刺さった、はじめの恐怖心のまま、大きな世界的な権力者、支配者たちのあやつりの方策、謀略に乗せられて、洗脳されたまま、今も愚かなコワイコワイを言っています。

放射能問題の本当の日本の専門家たちは、放影研(ほうえいけん)に結集している、長年、広島や長崎で放射線の研究と実地の治療をしてきた、放射線医学者たちである。
彼ら放射線医学者たちは、「財団法人 放射線影響研究所」http://www.rerf.or.jp/index_j.html と

「独立行政法人 放射線医学総合研究所」http://www.nirs.go.jp/index.shtml
にいる。
彼ら放射線医学者たちの言うことを、私たち日本国民は、しっかりと聞いて、これからも元気で生きていけばいいのである。コワイコワイ派のバカたちを、扇動し、あやつっている愚かなる言論人どもと、したり顔で今も放射能の危険を言いふらしている者たちは、一度でいいから、事故を起こした原発のできるだけそばまで来て空気を思いっきり吸い込めばいいのである。

それで、具体的な話ですが、まず、4月28日にJR郡山駅の東口(栄えている西口の方ではありません。こっちには、観光バスを止める場所がありません)の方にお昼12時に集合してください。その日は、郡山市や、二本松市や福島市の仮設住宅(難民キャンプ)などを回ります。夕方になったら、復興活動本部のある田村市都路(みやこじ)の旅館に泊まります。寝袋の人は、本部に10人ぐらい泊まれます。ここで手作りの夕ごはんを食べます。

翌日は、早くから南相馬の方に行きます。途中、浪江町や飯舘村の方を回ります。そして、南相馬の渋佐(しぶさ)の海岸まで行きます。ここも原発まで20キロの地点です。その途中で、活動本部の吉見くんが見つけてくれた “よい場所”で、「高濃度」(笑)の放射能を「たっぷり」含んだ土を皆で採集します。畑の表土を取ったら叱られそうなので、雑木林やそこらの荒地の表面の落ち葉のついた土をスコップで集めます。計測器(ガイガーカウンター)で計測しながら、できれば60マイクロシーベルト毎時(パーアワー)の土をみんなにおみやげにあげます。これがこのツアーの最大の目玉です。
60マイクロシーベルトぐらいの低線量の放射線には、ホルミシス効果といって、人体に良い影響を与える効果があります。ガン抑制遺伝子の活性化や、老化の抑制になります。身体にいいのです。だから、福島第1原発の作業員も、地元の子どもたちも赤ちゃんも、誰一人として、放射能の影響で倒れたり発病した人はいない。この問題では、政府や東電がウソをついているとすれば、どうせ、地元の人たちの間からウワサが広まって、事実が露見する。放射能のせいで病人が出たら、まわりが黙っていない。

ですから、この「高濃度(笑)」の土を自分の家に持ち帰って大切に抱いて寝てください。または、身近にいる、コワイコワイ派のバカたち、いくら言っても聞いてくれない人には、投げつけてみてください。おもしレェ。

夕刻までにはまた、復興活動本部(国道沿い)のある都路の部落に戻り着きます。この夜は、本部でみなで宴会(パーティーとも言う)をやります。私のミニ講演会もやります。4月の末ですから、もうそんなに寒くないと思いますけれど、やっぱり夜は、かなり冷え込むと覚悟してください。さっさと旅館に帰る人は、そっちに夕飯があります。食べてからパーティーに来てください。いくらなんでも夜の9時までにはお終いにしましょう。(まだ、それからお話をしたい人たちは、居残っていいです。)

次の朝(4月30日)は、南の方へ向かって、まず、川内村(かわうちむら)で、東電が作ってくれた豪華な「かわうちの湯(公営の大衆浴場)」に行きましょう。ただし、その日は、営業休止しているかもしれません。その後、2時間ぐらいかけて、いわき市に向かいます。何とか、広野町の火力発電所の方を目指し、四倉(よつくら)の海岸や、舞子浜(まいこはま)の海岸に行きます。いわき市は大きな広域合併した市です。湯元という地区にある例のあの有名な「スパリゾート ハワイアンズ」(私たち年配者には、「常磐ハワイアンセンター」の懐かしい名前です)の正面玄関だけ見てフラダンスは見ないで、帰ります。できれば小名浜(おなはま)まで行って、残っている津波の爪あとを見ます。

この日、このいわき市のJRいわき(かつては平=たいら=と言った)の駅でスーパーひたちで常磐線で帰りたい人は上野駅まで帰ってください(水戸を経由)。そして何とか、夕方6時までにはJR郡山まで常磐道(高速道路)を使って、帰りついてここで、全体の解散とします。そうしないと、関西方面からの参加者がその日のうちに自宅に帰り着かないからです。

これ以上の細かいことについては、参加者たちにだけ別途、お知らせします。先着40名だけを受付ますから、早めに申し込んでください。もっと集まるかもしれないけれども、私がどうしたらいいか分かりません。知恵を持ち寄って、注意深く用心しながら実行しましょう。とりあえず以上です。

副島隆彦拝

(申し込み方法)

「副島隆彦を囲む会」事務所宛てへ、メール
snsi@mwb.biglobe.ne.jp
もしくはファクス(042-529-3746)をお送りください。
書式は以下のものをお使い下さい。会員番号が不明な場合は、記載されなくても結構です。

(お申込の書式ここから)

件名:「福島原発・難民キャンプツアー」参加お申込み
本文:
会員番号○○番
○○(お名前)です。

「福島原発・難民キャンプツアー」に申し込みます。
参加人数は ○名 です。

(お申込の書式ここまで)

※お車でお越しの方は、その旨もご記載下さい。バスの後ろから、お車で着いてきていただくことになると思います。※
(詳細ここまで)

今、一番、重要なことは、仮設住宅や借り上げの住宅で暮らす、福島の原発避難者たちの現状を、同じ日本国民として見てまわることだ。そんな時間と金の余裕が自分にはない、生きてゆくのが精一杯だ、という人には無理強いはしない。

(2) 6月2日(土)の「政治思想・日本政治の歴史(1960年代からこっち)講演会」のご案内。

それから、これはまだ募集を始めていませんが、さらに次の会員向けの定例会として、6月2日(土)に、「政治思想・日本政治の歴史(1960年代からこっち)講演会」を企画しています。これは参加者を200人ぐらいに限定して、政治問題に興味のある会員だけに来てもらいたい。ここでは従って金融や経済の話は一切しません。

私が自分の体験を通した60年代、70,80年代史としての、私が出会ったり仰ぎ見ていた知識人たちの思い出話をします。そうやって日本知識人の闘いの苦難の歴史を、さらに若い知識人たちに繋(つな)いで行かなければいけないのだ。

私が、今のうちにたくさん、金子光晴(詩人)、荒畑寒村(あらはたかんそん)や鮎川信夫、久野収(くのおさむ)やら、それこそ数百人のことを話して置かなければ、もう日本知識人の系譜と系統が途絶えてしまう、と危機感を持ったからです。質問も大歓迎です。

こういう「政治知識人の歴史の講演会」を私は、10回ぐらいやって、話し尽くしてそしてそれをDVDにして残して(遺して)置かなければと本気で考えるようになりました。乞うご期待。

受付は、5月はじめから行います。注意して、私たちの広報を見ていてください。

(副島隆彦の文章ここまで)

(3) SNSI研究員・崎谷博征(さきたにひろゆき)氏の新刊『医療ビジネスの闇』(学研パブリッシング。2012/2/28刊)が出ました。

須藤です。
崎谷博征(さきたにひろゆき)研究員の新刊『医療ビジネスの闇』(学研パブリッシング。2012/2/28刊)が先日発売され、書店に並んでいます。アマゾンへのリンクを以下に貼りますので、皆様是非ご注文下さい。

『医療ビジネスの闇 “病気産生”による経済支配の実態』

著者:崎谷博征
単行本: 373ページ
出版社: 学研パブリッシング (2012/2/28)
言語 日本語
ISBN-10: 4054051529
ISBN-13: 978-4054051522
発売日: 2012/2/28

はじめに  現代医療の惨状から見えてくる真実
第1章 病気ビジネス
第2章 健康の産業化
第3章 洗脳される医師たち
第4章 惨事を利用する医療
第5章 食糧支配と人体汚染
第6章 産業がガンをつくる
おわりに 進化する脳―免疫系の功罪

(『医療ビジネスの闇』まえがき:ここから)

崎谷博征

はじめに 現代医療の惨状から見えてくる真実

今、WHO(世界保健機関)から「世界一」と評価されている日本の医療現場で、大変な混乱が起こっています。

まずは治療代の3割を負担する健康保険制度です。なんと、その3割でさえも支払えない世帯が急増しているのです。今まで大病の経験がない人でも、両親や祖父母が病に倒れ、入院したときに初めて医療、介護にお金がかかることを実感された方は多いのではないでしょうか。治療代の3割を負担するだけでなく、今は入院中の給食代やオムツ代は別勘定です。

また、医療費をはじめとした社会保障削減によって、自立できない高齢者を抱えた家庭は自宅で面倒を見るしか選択肢がない状況に追い込まれています。もとより、すでに20年にもなる経済不況で、自宅で介護できる余裕のある家庭はほとんどありません。自分でなくとも、近親者が病気になってはじめて、そのような厳しい現実に突き当たります。

医療を提供する側も実は追い込まれています。救急疾患などを治療する理息の中核病院を「急性期病院」と呼んでいます。急性期病院では患者さんの入院期間が長くなればなるほど、病院の収入が逓減していくシステムになっています。病院としてはなるべく早く退院させるか、次の「慢性期病院」に転院させたいという動機が働きます。患者さんをどんどん回転させていかなければ、経営が成り立たないからです。

慢性期病院も、リハビリを主におこなう病院などでは、入院期間があらかじめ設定されています。設定された期間を過ぎる患者さんを入院させていると、国からもらえる「診療報酬」を減らされるために、やはり回転をよくしていかなければならないのです。

病院の中心として働く医師たちは、短期間に診察、治療する数も増え、それに伴う書類作成などの雑用に追われて心身ともに病んでいます。病院あたりの医療スタッフ数は基準値ぎりぎりでないと収益が上がらない構造になっているため、少ない人数で目まぐるしく入れ替わる患者さんの応対に追われる状況が深刻になっています。そのような余裕のない空気は、もちろん入院している人にも伝わります。私たちはこのような医療に、満足のいく治療を期待できないでしょう。

私が最近驚いたのは、認知症病棟を含む100床もある4階建てのとある老人保健施設のの実態でした。なんと、夜勤の看護師ひとりだけで回していたのです。老人保健施設といっても、以前は急性期病院で入院しているような重症の患者さんばかりです。どの人も急に病態が悪化してもおかしくない状況なのに、どうやってひとりで管理できるのでしょうか。認知症病棟では夜間に徘徊する人が多く、転倒なども日常的に起こっています。まさに毎日が綱渡りなのです。

患者さん側から見ると、いくら重症でも短期間で次々と病院や介護施設を転々としなければなりません。しかし、このような医療・介護制度はおそらくほとんどの方はご存知ないでしょう。自分自身や親族の病気をきっかけに、はじめて現実に突き当たることになります。医療を提供する側も期限が近付くと、状態にかかわらず退院させるか、どこかの介護施設に移すしかありません。そのことがもとで、患者さんあるいはそのご家族と、病院や介護施設側とのトラブルが絶えません。

また一般的な開業医も毎日50人以上の患者さんの診療をしないと経営が成り立ちません。営業時間で割るとひとりの診察にかけられる時間は数分になります。数分でできる診療はおのずと決まってきます。そのような診療に受診する側の満足が得られることはほとんどないでしょう。

これでも、日本の医療制度は効率が世界一と評価されているのです。医療・介護スタッフも精神的、肉体的余裕をなくし、患者さん側も追い込まれている状況がますます深刻になっている……。このままで日本の医療は、継続できるのでしょうか。

医師である私自身が首をかしげざるを得ません。その一方で、日本の医療制度を決める厚生労働省、およびその上に立つ財務省は、医療費、介護費を削減していくことに血眼になっています。それはおのずと国民負担を増やすことにつながります。この姿は、まさに沈みゆく日本国家というボートから経済的、社会的弱者を次々と追い出すことで自分たちだけが助かろうと、官僚たちが必死で延命を図っているようにみえます。

医療・介護費の高騰だけに目を奪われていてはいけません。私たちから消費税をはじめありとあらゆる税金を絞り取ることで、世界の財閥に地位を保全してもらおうという売国奴たちが、この国にも多数存在しています。私たちの血税はこの売国奴たちを通して、世界の財閥たちが支配する多国籍企業、とくに医薬・農業コングロマリット(アグリスィーティカル)を潤すために、湯水のごとく遣われているのです。

これまでの問題提起は、じつはすべて「お金の問題」です。医療・介護を含む社会保障にお金をもっと費やすか、あるいは根本的にお金のかからない社会、つまり世界の財閥たちの支配から自立した、官僚のいない社会に変えていくのかという選択が今、私たちに突きつけられているのです。

このような現在の医療の惨状は、現代の日本社会の縮図です。この悪循環から抜け出すには、医療を見ているだけではダメです。もっと大きな構造を俯瞰しないで、小手先の「対症療法」によっているだけでは、傷口がますます広がってしまうからです。

医学は「サイエンスの端くれ」といわれますが、そのサイエンスは独立した存在ではなく、時代に奔流されてきました。これはコペルニクスが「地動説」を唱えてから、正式にローマ教皇庁が認めるまでに約450年もかかったことに象徴されています。

科学技術や学問的知識は、「純粋にそこにある」というものではありません。これらを保持し、コントロールできる個人や集団が、自分たちの利益に合うように利用しているのです。しかも、科学技術や学問的知識が他者の利益になることを妨害しながらです。

医学研究も同じく独立した善意の第三者ではなく、政治やそれをコントロールする人々の影響下にあります。このことを包み隠さず明らかにしない限りは、医療にまつわる「お金の問題」を解決する端緒にも立てません。医学や医療もキレイ事ではないのです。

まずは、そもそもなぜ医療にこれだけお金がかかるのか。医療にまつわるお金がどのように流れているのか。またその医療につぎ込まれた莫大なお金はどこに行くのか。近代医学はどのように作られてきたのか。

このような現代医療にまつわる私たちの身近な「お金の問題」を端緒として、現代医療の大きな枠組みを理解していただくと同時に、現代社会の歪みを医療、医学というひとつの切り口を通して分かりやすく説明していきたいと思います。

その過程で「どうして私たちは病から逃れられないのか」という問題が解かれていきます。

さらに本書が、現代医療でさらに悪化している病や医薬品、ワクチンなどの副作用によって〝作られた病気〟「医原病」で苦しんでおられる方々の救いとなることを願ってやみません。

(『医療ビジネスの闇』まえがき:ここまで)

(『医療ビジネスの闇』あとがき:ここから)

おわりに 進化する脳―免疫系の功罪

今、世界は1%の支配者と99%の貧困層に分極しています。世界の自然科学を含めたものの判断基準もまた同じく大きくふたつに分かれています。ひとつはアメリカを中心とした「科学主義(エビデンス主義)」。もうひとつはEUを中心とした「予防原則主義」です。前者は科学的なデータに基づくという建前のもと、そのデータ以外の危険性や生態系に及ぼす影響は無視します。データが「神(ゴッド)」です。後者は、データで分からない危険性をある程度のマージン(幅)をもって対処しておこうという考え方です。ですから、もっと分かりやすい言葉に置き換えると、前者の科学主義とは「知識}、そして後者の予防原則主義とは「知恵」と考えてもらえればよいでしょう。

現在、日本でも「放射能」あるいは「遺伝子組み換え食品」の危険に関して真っ二つに意見が分裂しています。「科学主義」の立場をとる人は、実証された事実(エビデンス)がないのであれば何ら心配することはないと主張します。彼らの主張は、自分たちが目先の損得勘定で得をするなら、少々のリスクは99%の弱者に押しつけておけばよいとなるでしょうか。

一方、「予防原則主義」の立場をとる人は、まだ時の試練を経ていない、新しく分からないものに関しては、慎重に対応しなければならないと主張します。それは、後から甚大な影響が分かったときには、すでに生態系に与えた影響は取り返しがつかないし、複雑系の世界では結果がどのようなものになるのかまったく予想もつかないからです。

本書で詳述しましたように、「科学主義」の依拠するデータそのものが、1%の権力者たちによって操作可能でかつ恣意的であり、しかも不安定なものであることを考えると、今後私たちは、自分たちに突きつけられるさまざまな問題に対して「知識」か、あるいは「知恵」のどちらで対処すべきかは、自ずと答えが出てくるでしょう。

しかし、この科学主義の不安定さはいったいどこから生まれてくるのでしょうか。

環境の情報を取り込み、常に変化させていく進化の最先端は、私たちの脳―免疫系です。脳は文字情報も含め、さまざまな情報を処理し、その情報をもとに行動します。免疫系は外界の異物情報をとらえて、異物に適合する抗体や免疫反応を作り上げていきます。じつは、脳―免疫は互いに分かちがたく結びついていて、互いに影響を及ぼし合っています(このことを学問的に研究している分野を「精神神経免疫学」といいます)。この融通性があるために、私たちは環境に柔軟に適応できる能力を獲得しました。しかし、融通が利きすぎるのは、同時に不安定さを内に抱えるという副作用を生みます。

それでも脳を使って、人類はエネルギーを大量に投入することで、寿命を倍に延ばすことも可能になりました。寒ければ暖房、暑ければ冷房、そして感染症を防ぐような衛生システム、重労働から解放された快適なライフスタイル。こうしたものは、大量にエネルギーを消費することで成り立ちます。しかし、その脳の発達によって原爆、原発、化学物質といった、かつて生命体が経験していない、つまり従来のシステムでは対処できない人工的な放射線核種に代表される人工化合物を大量に作ることになりました。現在、それらを根本的に処理する方法を開発できないため、将来、人類は自分が生み出したモンスターに滅ぼされることになるでしょう。なぜなら、自らが地球上で生み出した人工化合物は、必ず循環して自分たちの体に入ってくるからです。この大きな自然の法則には、人類を含めた生命体は逆らえません。

免疫も同じです。経験したことのない人工的な放射線核種や化学物質によって引き起こされるフリーラジカルによる身体の慢性炎症は、とどまることがありません。慢性炎症はガン、脳・心臓血管障害を含め、さまざまな心身不調を引き起こし、私たちを病に陥れ、そして滅ぼしていきます。

人間はこの進化の最先端である高度な脳―免疫システムを持つがゆえに、地球の生命体の頂点に君臨したかに見えたのですが、その片方で自らの刃で自分の体を切り裂いてしまっているのです。このような暴走はもはや止めることができません。それは根源的に不安定な人間の大脳のシステムにかかわるものだからです。

その不安定な大脳システムの代表が「肥大した欲(グリード)」です。人類にしか見られない肥大した欲のために、人間は自分たちの将来にとって致命傷になることでも喜んでやります。

それは近代資本主義という〝スーパーモンスター〟を生み出しました。医療もその延長線上にあることは、ロックフェラーがアメリカ医療をもって証明してくれました。そして、近代資本主義の行きつく先が、現在の私たちの国家の政府、あるいは世界の財閥の、目も当てられないようなおびただしい暴挙なのです。これを特に、金融で世界を股にかけて金儲けするユダヤ人などは「合理性」というような言葉で説明しますが、なんのことはない、不安定な人間の大脳のシステムそのものを指しているのです。

近代学問や近代資本主義というものが、このような不安定な大脳に全幅の信頼を寄せ、基礎としている以上、その土台は著しく不安定です。決して人類その他の生命体が、安心して命を全うできるようなシステムではないのです。そして残念ながら、私たちはこの不安定な大脳が作り出した不安定なシステムの終点に確実に近づいているのです。

自分たちの体が自分たちの刃で引き裂かれ、死滅するまでこの刃は振り下ろされ続けるでしょう。もはや肥大した欲が生み出したさまざまなシステム(=刃)は、これから私たちを幸福にすることもなければ、救うこともありません。この刃を止めるのは、もはや何の財力も権力もない99%の私たちひとりひとりの「知恵」しかいないことをお伝えして、この本の結語としたいと思います。

2012年1月
崎谷博征

(『医療ビジネスの闇』あとがき:ここまで)

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