このあとのアメリカ政治の動きを予言する。トランプは認知症 dementia で辞任してゆく。
副島隆彦です。 今日は、2026年3月15日(日)です。午前6時です。
私は、今日は、自分の金融セミナーがあるのだが、2月28日に、イランへの先制攻撃(プリエンプティブ・アタック)の爆撃を始めて、今や公然と戦争となったアメリカのトランプ政権の動きについて、緊急で書く。イラン側からの報復攻撃が続いて、「こんな筈(はず)ではなかった。攻撃はもっと早期に終了できるはずだった」という大きな失望がアメリカ国内を覆っている。
アメリカのワシントンの政治の中枢からの情報を元に私は書く。以下は、それらの情報を元に、私のこれからのトランプ政権の動きについての予言(プレディクト predict )をする.
トランプ大統領は、すでに軽度の 認知障害(にちんしょうがい)に陥っていて、正常な判断能力を失っている。認知症を デメンシア dementia という。2007年まで使われたコトバでは、ボケ老人 痴呆症(ちほうしょう、senile シーナイル)である。今年の6月で、80歳になるドナルド・トランプは、すでに常軌を逸した判断をするようになった。
多くのアメリカ国民は、このことを急激に心配している。
だから、「殿、ご乱心」で、トランプは、これから 境界型認知障害(きょうかいがたにんちしょうがい、Mild Cognitive Impairment MCI )と診断されて、大統領の職を、アメリカ議会の手続きに従って、解任されてゆくだろう。
だから2028年までのあと3年の任期を全うできない。トランプが、辞めたあとは、副大統領の、若い41歳の、J.D.Vance ヴァンス 副大統領が継ぐだろう。彼は、「アメリカは、戦争をすべきでない。アメリカ国内のことに集中すべきだ」だ。これが、真の America first ! アメリカ・ファースト!である。すなわち、アメリカ国内優先(こくないゆうせん)!である。
ところが、今もまだ使われて続けている、愚劣なる、✖ アメリカ第一主義 は、大きな誤訳だ。このことを、私、副島隆彦は、ずっと強調して来た。何が、「アメリカが一番だ。第一だ」だ。この言葉を意固地になって、使い続けているお前たちは、本当にバカなのか。
ここからが、私、副島隆彦の冷酷な、実際に起きるだろう、近(きん)未来予測だ。
トランプ大統領の首席補佐官(しゅせきほさかん、チーフ・オブ・スタッフ Chief of Staff )の スージー・ワイルズ Suzie Wyles 女史が、首席補佐官を辞任して、ホワイトハウスから去るだろう。 仕事の引継ぎも、周りへの配慮も一切なしで、去る。今、ワシントンの政界でこの事態が囁(ささや)かれている。スーザン・ワイルズ だけが、トランプの横に居て、直接、助言し、言いたいことを直言(ちょくげん)出来る人間だ。彼女が、怒ってトランプの元を去るだろう。「大統領。私はもう我慢できません。私は、ただちに辞任します」と、“ I resign ・・・effective immediately. ” とだけ言い残して。
スーザンは、始めから、イラン爆撃に反対だった。そして、3月7日に、トランプに、「さっさと戦争の終結宣言をするべきです」と助言していた。その不満そうな顔が、2月28日(土)の 朝8時(現地)の、ハメネイ師 殺害のテヘラン爆撃(イスラエルがやった)の、トランプの休暇先の、フロリダのマール・ア・ラーゴの邸宅の地下の、戦争指揮室( war room ウオー・ルーム) で、深夜にトランプの横にいて、不愉快極まりない、心痛の表情をしていた。
(ここに、その写真を貼る。新聞記事の中にある)

28日、米フロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で、イランへの軍事攻撃の行方を見守るトランプ大統領ら=米ホワイトハウスのXへの投稿より 2026/03/01 07:00読売新聞のニューズ記事から
副島隆彦です。スージー・ワイルズが、突如、辞任する報道は、CNNが行うだろう。
これでアメリカの政界は激動に入る。トランプは、これから大統領の辞任に向かう。そして、アメリカの上院議会が、声明を出す。 “ We declare Donald Trump as imcompetent of the Presidency. ” 「ウイ・デクレア・ドナルド・トランプ・アズ・インコンペテント・オブ ザ・プレジデンシー」と。
すなわち、「米上院議会は、ドナルド・トランプは、大統領の職務遂行の能力を喪失している」として、大統領を議会の決定で辞任させる。
「殿、ご乱心」で、「押し込め」というのが江戸時代に、実際に各藩であった。あれに近い。イラン爆撃で、国家元首のハメネイ師(アヤトラ)の爆殺を、イスラエル軍が強行した。その直後に、それに強く引きずられる形で、米軍が、イラン各地の軍事基地を、爆撃した。それが2週間続いた。イランの弾道(バリスティック)ミサイルでの他国への攻撃能力の9割は、消滅した、とトランプは豪語した。
だが、アリカ国内では、「この戦争はすべきでない」という強い反発が起きた。アメリカ国民の7割は、トランプの今の戦争継続の行動に反対だ。特に、下の方に載せる記事の通り、トランプをこれまでずっと強固に支持して来た、MAGA(マガ)派の論客たちの、トランプへの強い批判が大きい。アメリカ国民は、「トランプは、イスラエルに扇動されている」と考えている。
トランプを大統領から降ろして、副大統領の J.D.ヴァンスに、あとを引き継がせる( succeed, succession サクセッション)の 過程に、急激にアメリカ政治は動いている。
トランプは、精神錯乱ではないが、それに近い、認知症、dementia デメンシア(アルツハイマー症、incapability 知能の思考の低下)に陥っていて、正常な判断が出来なくなっている、と、周囲の人間たちが判断し始めている。
トランプは、この6月で80歳だ。人間はどんな人でも、80歳では、認知症、ボケ老人の症状を起こすそうだ。トランプが、これまで通り、少し狂ったまま、自分のSNSの Truth Social トルース・ソウシアルに、ワーワー書き込んでも、おそらく、周囲の反対で、もうすぐ無力化させられる。
まず、テキサス州選出の 上院議員のジョン・コーニンが動く。 「こりゃ、いかん。こいつを止めないといかん」と動き出す。そして、ケンタッキー州選出の、リバータリアンの ランド・ポール議員 と共とに、さらに ルイジアナ州選出のミッチー・マコーネル(台湾人系の ウエンディ・チャオ、労働長官もした、の夫。軍事委員会のボスで、軍産複合体の代表)が、まとまって、彼ら3人が、三頭政治(さんとうせいじ、トライアリミリエット)を組んで、上院共和党を動かして、それに民主党系もそれに賛成して、トランプを抑え込みに入るだろう。下院議長の ルイジアナ州選出の、マイク・ジョンソンも、ずっとトランプ支持で、リバータリアンなのだが、元々、穏健であるから、このトランプ降ろしに加わるだろう。
米上院のトップ(マジョリティ・リーダー 院内総務)は、リンゼー・グラハムだが、彼は、元々、宗教右翼(レリジャス・ライト)の福音派(ふくいんは、Evangelical エヴァンジェリカル)の強硬派であるから、「トランプよ、イランを攻撃せよ」の旗振り人だから、外される。
福音派の5千万人ぐらいのアメリカ大衆が、「ユダヤ・キリスト教」 Judio-Christianity ジュジオ・クリスティアニティ、すなわち ユダヤ教モーセ五書とキリスト教の一体の思想で、トランプのイラン攻撃を熱烈に支持している。この福音派の中に、エホバの証人のような連中がいて、その中に、統一教会 Moonies ムーニーが潜り込んでいることが、やがて明らかになるだろう。大統領執務室で、トランプの肩や手に手を当てて、10人ぐらいで、恍惚と陶酔の祈りをやっている、狂った人間たちだ。
大物の、パランティア社(今や、軍需会社の大手)の ピーター・ティール Peter Thiel が、4日前に、日本に来ていた。官邸に高市首相を表敬もした。ティールは、表面は、FUDEX(フーデックス、food security 食料の安全保障)の会議(お台場で実施)に来たのだが、裏は、イーサリアム、テザー Tether の 暗号資産の ステイブル・コインを日本に押し付ける任務もある。 ティールが、ヴァンス副大統領の資金源であり、育ての親だ。
あとの方に、資料の 新聞記事を載せるが、一昨日(13日)、トランプが、韓国に配備されていた THAAD(サード、高高度防空ミサイル網)と、日本の佐世保に駐留の強襲揚陸艦トリポリと第31緊急展開部隊(海兵即応大隊)も、ペルシア湾に出動させる、と決まった。現地に到着するのに2週間はかかる。米軍の軍人たちは、この半分狂った大統領の命令を嫌がっている。
この米軍の軍事命令の E com com(イー・コム・コム)が大統領から直(じか)発令されているのに対して、軍人、兵士たちが、ストライキを起こしそうだ。いつもトランプにべたりとくっついている、ピート・ヘグセス国防長官という、歯をいつも無理やり食いしばっている、軍人上がりの若いガキ(CNNの司会者をしていた)のことを、米軍人の上層部は、大きらいだ。
スージー・ワイルズが、「大統領、そろそろ戦争をやめなさい。そうしないと、アメリカ国内がまとまらなくなります」といくら助言しても、トランプが、錯乱状態で聞かなかった。トランプは、スージーに、「俺は ブッシュ(父、ウオーカー)のような、弱虫、wimpy 腰抜けではないぞ」と喚(わめ)いている。ブッシュ(父)は、1992年に、湾岸戦争を、途中でやめた。そしてイラクのサダム・フセイン政権が、そのまま残った。このことを指して、トランプは、「俺は弱虫のブッシュとは違う。戦争を続ける」と感情的になって言う。
9年後に、息子ブッシュが、大統領に就任してすぐに、2001年の「9.11」のWTCの航空機突撃のヤラセ事件を起こして、すぐにアフガニスタンに米軍が侵攻した。そして2年後の2003年3月20日のバグダッド爆撃から、イラク侵攻(16万人の米兵を派遣)をした。そしてサダム・フセインを絞首刑にした。
アメリカ帝国は、このようにして、帝国を続けるために、どうしても、 このウオー・エコノミー、war economy 戦争刺激経済、「戦争で、経済、金融危機を吹き飛ばして、国家を続ける」をやるしかない。
半狂乱になっているトランプに、誰も意見をする者がいなくなったら、最後には、奥さんの メラニア Melania が、「あなた、もういい加減にしなさい」と、抑制するしかなくなるだろう。
イスラエルに引き摺られているトランプを、アメリカ国民は、心配し、怒っている。
再度書くが、トランプのイラン攻撃を、熱烈に応援しているのは、福音派 ふくいんは、Evangelical エヴァンジェリカル と 呼ばれる、キリスト教の 全米の地方に根強い、宗教右翼(レリジャス・ライト)の 集団だ。最近も、トランプの執務室で、10人ぐらいで、トランプの肩とか手に、手を当てて、全員で陶酔した、おかしな祈りをささげている。
この福音派の中に、エホバの証人 のような、その裏側は、統一教会 Moonies ムーニーたちが、入り込んでいる。ムーニーを動かしているのは、イスラエルだ。アメリカ帝国の首都(キャピタル)のワシントンの政治も、この恐ろしい仕組みで動いている。
このようにして、おそらくトランプは、認知症の病人として、辞めさせられてゆく。この動きにアメリカ政治は入った。以下に2本、長い記事を後々の証拠として貼る。
うしろの方の、 Wedge 誌(JR東海、反共右翼で、統一教会だった、会長の葛西敬之。安倍晋三の先生が、作った雑誌)に書いている、斎藤彰(さいとうあきら)は、読売新聞のワシントン総局長をしたジャーナリスト(82歳ぐらいか)だ。きっちりとした優れた、現下の、網羅的な良い文を書いている。
(転載貼り付け始め)
〇 「 トランプ氏、イランに「来週にかけ激しい打撃」 在沖縄海兵隊も派遣 」
2026年3月14日 6:08 日経新聞
トランプ米大統領㊧とヘグセス国防長官(7日、大統領専用機)=AP
【ワシントン=坂口幸裕】トランプ米大統領は13日、米FOXラジオのインタビューでイランでの軍事作戦について「来週にかけて非常に激しい打撃を加える」と述べた。米メディアによると、米国防総省は早期の戦闘終結をめざし、周辺地域へ艦艇や部隊を追加派遣する方針だ。
米FOXニュースは13日、米海軍の佐世保基地に配備する強襲揚陸艦トリポリのほか、沖縄県に駐留する海兵隊の即応部隊「第31海兵遠征部隊」を中東に派遣すると米国防当局者の話として報じた。海兵隊と海軍の米兵をそれぞれ2500人ほど増派する。
第31海兵遠征部隊には地上部隊と航空部隊があり、特殊作戦など幅広い任務に対応できる。
派遣は中東を管轄する米中央軍の要請を受けた措置で、トリポリが現地に着くまでに1〜2週間ほどかかる見通しだ。
米軍はイラン攻撃をにらみ、南シナ海に配置していた原子力空母エーブラハム・リンカーンを中核とする空母打撃群を中東へ移動させた経緯がある。在韓米軍が韓国南部に設置する地上配備型ミサイル迎撃システム「THAAD」を搬出しており、アジアの安全保障への波及が鮮明になってきた。
トランプ氏は13日のFOXラジオで、イランとの戦争がいつ終結するかと聞かれ「私がそれを骨の髄まで感じた時だ」と答えた。イランが事実上封鎖したホルムズ海峡を通航する民間船舶への米軍による護衛については「必要があればする」と語った。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、増派する艦艇や部隊を配備してもホルムズ海峡でイランの脅威が軽減されるまでは船舶の護衛を始める計画はない。
米軍はミサイルやドローン(無人機)などの武器庫を標的に攻撃を継続しているものの、護衛できるまでに脅威を取り除くには1カ月以上かかる可能性があるという。ライト米エネルギー長官は12日、護衛を3月末までに実施する可能性に言及した。戦況次第ではずれ込む事態もあり得る。
現時点ではイラン攻撃について「ミサイルやドローンを徹底的にたたき潰すことに集中している」と明かした。製造拠点を破壊し「ミサイルの90%近くを無力化した」と主張した。
ペルシャ湾にあるイラン原油輸出の9割を担う供給地基地、カーグ島の実効支配を検討しているかと聞かれ「答えられない」と否定しなかった。「優先順位は高くないが、様々な選択肢のひとつだ。考えはすぐに変わる可能性がある」と話した。
トランプ氏はイランの体制転換へ同国民に蜂起を促してきた。13日のインタビューでは「武器を持たない人にとっては乗り越えるべき大きなハードルだ。すぐには無理かもしれない」との認識を示した。「街には銃を持った連中がいて、抗議すれば撃ち殺される」と唱えた。
「副島隆彦注記。 以下の 文が、一番、直近の アメリカ政治 を 網羅している。
〇 「 イラン攻撃で米国民がいら立ち…「MAGA」支持基盤にも予期せぬ “地割れ” 、「ベネズエラ・モデル」狙うトランプ政権の大きな勘違い 」
2026年3/11(水) Wedge誌 斎藤 彰 の文
出口の見えないイラン戦争に米国内でいらだちと不満が高まり始めている。対外関与より「アメリカ・ファースト」を信条とする保守派の著名人たちからの批判も表面化、トランプ大統領も急遽、「戦争早期終結」発言をするなど、対応めぐり混乱が続いている。 【一覧】先制攻撃後に公表された米メディアの世論調査
MAGA信奉者からも批判の声
「アメリカが常に世界のあらゆる地域の警察官になろうとするのは大間違いだ」「イランと戦争してもビタ一文何の得にもならない。わが国にとって資源のとてつもない無駄使いだ」「莫大な戦争資源は国内に振り向けるべきだ」
ほかでもない。この言葉は2年前の大統領選当時、「MAGA=Make America Great Again(再び偉大なアメリカを)」の旗振り役を務めてきたJ.D.バンス氏が副大統領候補の選挙公約として打ち出した宣言の一部だ。
そのバンス副大統領は、去る2月28日始まった米軍のイラン奇襲攻撃以来、「わが国は戦争に時間がかかっても、イランの暴力的体制に終止符を打つべきだ」などと、手のひら返しトランプ大統領の主張に沿った発言を続けている。
しかし、その後、他の著名なMAGA信奉者の間からは、今回の対イラン戦争に声高に異を唱える発言が飛び出し、主要メディアも「MAGA支持基盤に亀裂」といった報道があいつぐなど、トランプ政権も対応に苦慮している。
トランプ氏の「無類の親友」とされてきた保守派の代表的コメンテーター、タッカー・カールソン氏は、MAGA運動推進に中心的役割を担ってきた一人だ。そのカールソン氏はイラン攻撃開始の翌日、ABCテレビ番組に出演、その中で以下のように語った。 「イラン攻撃は絶対的に邪悪で、反吐が出るくらい間違いだ。そもそも、この戦争は米国が決定したものではなく、ベンジャミン・ネタニヤフ(イスラエル首相)が下し、トランプをそそのかしたものだ」
カールソン氏は攻撃開始の直前にも、ホワイトハウスを訪問、「イランとの戦争開始は、アメリカ・ファーストを主導してきた大統領の考えと齟齬をきたす」として、スージー・ワイルズ首席補佐官らに作戦を踏みとどまるよう働きかけていた。 同じMAGA信奉者で保守系テレビ局「Fox News」の人気司会者メギン(副島隆彦注記。普通は、メイガンと表記する)・ケリー女史も、イラン側の反撃で米兵6人が死亡したことに関連して「外国のために死者を出すべきではない。亡くなった6人はわが国ではなく、イラン、イスラエルのために命を落としたことになる」と批判の声を挙げた。
また、同テレビ局キャスターのマット・ウォルシュ氏も、攻撃開始直後、マルコ・ルビオ国務長官が米議会指導者たちに行った背景説明の中で「トランプ大統領が攻撃を命じたわけではない。大統領はイスラエルの攻撃を事前に知っていて、中東地域の米軍基地がイラン側から報復攻撃されることを心配していた。米軍が先制的に攻撃に出なかったとしたら、わが方が受ける被害はさらに大きくなっていただろう」と語ったことを受け、SNS番組の中で「ルビオは、イスラエルに尻を押されて戦争に踏み切ったと言ったも同然だが、そうだとしたらとんでもないことだ」とコメントした。
もう一つの亀裂要因
これに対し、大統領はとくに、カールソン、ケリー両氏の論評について、自信のSNSで「二人が言っていることは、わが支持層の声を代弁したものではない。MAGAとはTrumpであり、それ以外が代表者ではない」と反論した。 しかし、保守派の有力者ランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)は「そもそも米国民はイラン攻撃に投票したわけではない。戦争権限は国民の代表である連邦議会にあることを憲法は明記している」としてこれを論駁した。
先鋭的MAGA推進者で知られるマジョリー・テイラー・グリーン前下院議員も「イラン攻撃には怒りを禁じえない。MAGAとはそもそも、アメリカ・ファーストのことであり、イスラエル・ファーストであってはならない」とトランプ批判の狼煙を挙げた。 今のところ、大統領の反論通り、こうした一部著名人の発言でMAGA地盤が大きく揺らいでいるわけではない。
米議会でも、今月初め、イラン攻撃に強く反対する民主党議員団から大統領戦争権限に歯止めをかける決議案が緊急提出されたが、共和党が多数を占める上下両院で否決し、大統領への忠誠を示した。他の保守系メディアの著名評論家たちも、大統領の戦争政策への支持を表明している。
しかし、カールソン氏を筆頭とする新たな保守思想家たちの動きに焦点を当てた著書を出版した作家ジェイソン・ゼンガール氏は、AP通信記者に対し、「現段階では、トランプ批判はMAGAの主流になってはいない。しかし、今回のイラン戦争が米政権の思惑通りに行かなかったり、長引いたりした場合は、保守支持層の間で一層対立が深まり、さらにはトランプ大統領退任後に、MAGAそのものの本質的論議に発展することになろう」と語っている。
保守メディア間での結束の乱れについては最近、児童虐待容疑で罪に問われ獄中で死亡した富豪ジェフリー・エプシュタイン氏の残した「交際記録」の扱いをめぐっても、以前に交際があったトランプ大統領が当初、関連文書公開を渋ったことから、一時保守派の間で「隠蔽だ」として批判が渦巻いていた。 そして、今回のイラン攻撃でMAGA基盤の”地割れ“がさらに表明化したことになる。
世論調査に見える米国民の姿勢
11月中間選挙を控えトランプ政権にとって当面の最大関心事は、今回のイラン戦争に対する国民の反応だが、先制攻撃後に公表された各メディアの最新世論調査はいずれも以下の通り、「不支持」が「支持」を大きく上回っている。
上記の世論調査結果のうち、NBCが対象者を党派別に分けて調査したところ、「共和党支持者」の間では、イラン攻撃への賛同者は77%だったが、反対も15%に達していることが分かった。また、同調査では「MAGA信奉者以外の共和党支持者」のうち、36%が「戦争反対」と回答しており、共和党の戦争支持が一枚岩ではないことを示している。
いずれにしても、2003年当時、G.W.ブッシュ共和党大統領が「9/11テロ」を受けイラク戦争に踏み切った直後の世論調査支持率は一時、民主、共和両党支持者合わせ80%を超えていたのと比較しても、今回のイラン攻撃の場合、当初から「反対」が「賛成」を上回るという異常な事態になっていることは間違いない。
しかも、当時のイラク戦争についても、ブッシュ政権は直後に大規模攻撃でサダム・フセイン政権打倒に成功したものの、その後も、温存されたイラク国内反乱分子や反米勢力の鎮圧にてこずり、戦争開始から4年後の07年には「混乱収拾」目的で大統領が新たに2万5000人もの米軍投入を余儀なくされたため、米国内でも戦争の長期化に対する批判や厭戦気分が一段と高まっていった。 そしてその結果として、08年の米大統領選で共和党は、バラク・オバマ民主党政権の誕生を許す苦い経験を味わっている。
ベネズエラ攻撃とは大きく異なる事情
今回のイラン戦争の場合も、米軍は最高指導者ハメネイ師ほか政権中枢の高職者多数の殺害に成功したものの、政権転覆や親米政権樹立には至っておらず、ホワイハウスは明確な「出口戦略」(副島隆彦注記。このでぐちせんりゃく は、exit strategy エグジット・ソトラテジー、と言って、始めた戦争を、どうやって終わらせるかを、始めから考えおく必要のことを言う) を未だに示していない。
この点に関連して、トランプ大統領は去る5日、米メディアとのインタビューで、先の対ベネズエラ軍事作戦で独裁政権を打倒し、その後誕生した新政権との関係修復に成功していることに言及、今回のイラン戦争についても「ベネズエラ・モデル」を目指していることを明らかにした。
しかし、大統領および側近たちが、もし作戦面でイランとベネズエラを同一視しているとしたら、それはとんでもない誤解だ。イランは国の規模、経済力、軍事力、政治体質など多くの面でベネズエラと異なる。 9100万人の人口を擁するイランは、天然ガス埋蔵量世界2位、原油世界4位を誇り、その他の食料など天然資源にもめぐまれているため、治安も比較的安定している。政情も、一部不満勢力による反政府デモや集会の動きがあるものの、政府による監視・締め付けが徹底しているため、統治体制を揺るがす事態には至っていない。
兵力は、陸・海・空軍から構成される国軍「イラン・イスラム共和国軍」61万人のほか、エリート軍として知られる「革命防衛隊」推定19万〜40万人、さらに準軍事組織として「人民後備軍」が存在し、その規模は2000万人前後といわれる。
これに対し、ベネズエラは人口2600万人、石油埋蔵量こそ世界一ながら、経済危機と政治混乱で超インフレを招き、国民生活は悲惨な状況が続いてきた。治安は極めて悪く、多くの国民が“難民化”していると伝えられる。軍事力は、正規軍12万人だが、経済危機により装備の劣化、兵員の訓練不足、低賃金による士気の低下などが懸念されてきた。
去る1月初め、米軍侵攻の際も、軍は全くなすすべもなく、ニコラス・マドゥロ大統領夫妻の身柄をあっさり拘束され、米国に連行されるという醜態をさらしたのも、何ら驚くに当たらない。
しかし、今回のイラン攻撃の場合、米国・イスラエル軍は空爆で最高指導者ハメネイ師殺害に成功したものの、攻撃開始から1週間を過ぎても、イランの体制転換や戦争終結のめどは全く立っていない。
トランプ大統領は6日、自身のSNSで今後の見通しについて、「イランが無条件降伏するまで戦争を続ける」と言明した。これに対し、イランのマスード・ペゼシュキアン大統領は「その夢は墓場まで持っていくべきだ」と反論、徹底抗戦の構えを崩していない。 実際、イランの歴史や内情に詳しい専門家たちの間では、トランプ政権が描くシナリオ通りのイラン内部崩壊や体制転換、降伏に対する懐疑的見方が少なくない。
中間選挙に与える影響
電子メディア「The Hill」の最新報道によると、共和党連邦議員たちの間でも、戦争の長期化が11月中間選挙に及ぼす影響を心配する声が上がり始めており、その一人、ケブン・ケリー下院議員(カリフォルニア州)は「最善の策は、とにかく早期終結することだ」と語っている。
また、ワシントンポスト紙が7日、独材として報じたところによると、米国の最高情報機関である「国家情報庁」(NIC)は大統領によるイラン攻撃開始決定の1週間前に作成された秘密報告の中で、「イラン攻撃によって体制転換や宗教指導体制の一掃を図ることは困難」との分析結果を出していたという。
同報告の指摘通り、トランプ政権が今後の戦争処理にてこずることになれば、政権支持基盤の亀裂はさらに深刻化が予想される。 こうしたことから、トランプ大統領は9日、記者会見で、これまで「イランの無条件降伏まで戦争継続」としていた姿勢から転換、「イランはすでに壊滅的打撃を受けた。戦争は間もなく終わる」と語った。しかし、イラン側は「無条件降伏」の意思は皆無であるばかりか、対米強硬派で知られる故ハメネイ師の息子のモジタバ師を最高指導者に選ぶなど、徹底抗戦の構えを崩しておらず、具体的な戦争終結の見通しは立っていない。 斎藤 彰
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝
