「168」薪(まき)ストーブへの憧れは、勝手な思い込みである

副島隆彦です。今日は2026年2月1日です。

今日は薪(まき)ストーブのことを話します。「ユーチューバーたちの世界1回目」でも少し話したんだけど、そのつながりでもあります。薪ストーブというのは、薪(まき)を燃料とするストーブ、それで家の中を温かくして暮らす装置です。誰でも分かるから説明はいらないんですが。ただ実態として、薪ストーブに興味を示す人なんていうのは一部の人。前回の軽トラと一緒で、都会で暮らす人には本来無関係です。都市生活者には、もう死んだ言葉と言える。けど薪ストーブに憧れる(た)人は、私を含めて一定数いるからね。

薪ストーブ
薪ストーブ初心者必見!失敗しない薪ストーブの選び方
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薪(まき)とは何か。薪は辞書を引いたらね、薪(たきぎ)と同じ。「たきぎ」とも読むんです。「たきぎ」は「焚く木」ですからね。これは火の中に入れて自らが燃えることで、人間がその周りに集まって暖房に使うというものです。今、ちょうど真冬の1月、厳寒期で寒いですから。暖かさがないと人間は生きていけない。この暖房という問題は人間の生活に避けては通れない。4月、5月まで寒いですからね。

都会暮らしの人はエアコンの時代になっているから、冷房だけじゃなくて暖房もエアコンを使っています。だからいよいよ、薪ストーブなんていうのは現実の世界から消えたんです。一方で薪ストーブに興味を持つ人たちがいて、これはもう田舎暮らし、その中でも別荘に住みたいという人たちですね。もしくは民宿やペンション、レストランで薪ストーブがあるよ、ってそれを「売り」にしているところもあります。でも多くの人は、薪ストーブなんて興味ないんですよ。

私自身は、エアコンで暖房するのが嫌いなんです。理由は分かりません。ただ単に空気が乾燥するから喉に良くないというのでもない。特殊なイオンというのかどうかも分からないけど何か問題が隠れていると思っている。だから冬季は家中に電気ストーブを配置して、それで暖をとっています。まあ、こういう話はいいんだ。

 

■この60年間のエネルギー革命

前々回、「稲作」のところで「エネルギー革命」という言葉を使いました。人類の、このたった60年間、私自身の人生とも重なる期間に私が経験した話をした。改めて列挙しますと、

①薪(たきぎ)・すみ(炭、木炭)
②七輪・・・最初は木でできていた。
③炭団(たどん 木炭の粉から)、豆炭(まめたん 石炭の粉から)、練炭(石炭から)火鉢
④オガライト(おがくずから)・・・と薪でお風呂を沸かしていた。
⑤ダルマストーブ・・・本来は石炭を燃料とする。
⑥ガス灯(ガスライト)・・・暖房に使うのはずっと後
⑥石油コンロ・・・灯油を燃料とする。炊き用
⑦プロパンガス・都市ガス
⑧石油ストーブ・石油ファンヒーター
⑨電気こたつ・電気ストーブ
⑩エアコン・・・1970頃~、最初はクーラーのみ
⑪IH(アイエイチ)、原子力発電
⑫太陽光ソーラーパネルと蓄電池(バッテリー)
⑬EV

私の少年時代は、まだ①炭とか木炭を使っていました。そして②七輪、練炭火鉢(れんたんひばち)もあった。お風呂は、五右衛門風呂(ごえもんぶろ)みたいなのを薪(たきぎ)焚いていました。③豆炭というのは練炭の一種です。豆炭を使うこたつとかあんかがありました。非常に暖かいです。今もあります。

炭、木炭、七輪、五右衛門風呂


練炭火鉢


豆炭あんか

それから、灯油を使う⑥石油コンロというのができた。私の小さい頃は、台所の石油コンロの上に鍋をのっけて煮炊きをしていた。そういう時代が日本人にはあったんですよ。その後、ナショナル(松下電器)の⑨電気コタツというのが発達したんです。当時は赤外線コタツと言っていた。赤外線が赤い色であるわけはないんだけど、わざと赤くした光ね、電気こたつの中から出るわけです。その世代ですからね。今は赤外線じゃないけど、電気こたつの根強いファンがずっといるようです。

電気ストーブ、電気こたつ

⑧石油ストーブ、その時代もかなり続きました。今でも日本全国、ちょっと地方に行くと石油ストーブで生活している人はたくさんいます。石油ストーブや石油コンロは電気を使わないから、災害対策やキャンプにもいいとされている。ガソリンスタンドに20リットルの灯油缶を持っていって灯油を買ったり、田舎だと家まで配達してくれるところもある。寒冷地の戸建ての家だと400リットルぐらい入る鉄製のタンクが各家に置いてあったりね。そこに灯油を保管して配管を家の中に引き込んで、石油ヒーターで暖房している家が日本全国にはまだかなりあります。

まもなく石油ファンヒーターというのができた。これはファンがついてる石油ストーブのことで、燃料は灯油だけど電気も要る。これも今でもあります。

各家庭に⑦プロパンガス、都市ガスが普及した。

その次が⑩電気です。電気の普及がすごくて、都会では、もう暖房もエアコンが主流です。その後⑫ソーラーパネルをつけて、そこから電気を取ってそれで暖房機もそれで動かすという時代に入りました。あとね、ガスヒーターがあるんですよ。私が埼玉の大宮で暮らしている頃は、外付けのガスのファンヒーターを使った。それは排気を外に出すという理屈だったんだけど、本当はあれ、嘘だったんだ。外に排気が出なかったようです、仕組みとしても。そういう時代が20年間以上ありました。

石油ストーブ、大型タンク、石油ファンヒーター、ガスヒーター

 

■なぜ薪ストーブに憧れるのか

20年前、実は私も薪ストーブに憧れたことがあって、いろいろ調べたんです。それで当時は薪ストーブを買おうかと思った。いろいろ考えて結局やめました。今から思うと、やめておいてよかったなと。だからね、今のところ、最後は電気なわけです。私は「電気でいい」と思っている。この熱海の家は別荘地にあるから大型別荘なんだけど、買った時から、私は電気だけでやると決断したんです。

私を含めて、薪ストーブに憧れるのはどうしてなのか。これはやっぱりね、日本人の体の中に「火のそばで暖(だん)をとる」という2000年の文化の、その名残(なごり)が遺伝子として残っているもんだから。要するに、原始人たちは火を焚いて石で周りを囲んで、寒い冬も火の周りで生きていた。そのまま夜寝て次の朝まで残り火が暖かいわけですね。それを頼りに生きていたわけです。そうしないと北の国、雪国ではもうたまらない寒さですから、凍えて死んじゃう問題が本当にあります、今でも。

だから結局、囲炉裏(いろり)という言葉になるんです。日本はずっと囲炉裏の国なんですよ。2000年間。囲炉裏って聞いて、若い人はわかるのかなあ。

囲炉裏

囲炉裏という暖房装置の周りを人間が囲んで、そこで土鍋を上から吊るして、土鍋の中で煮物を炊いて生きてきたんですね、日本人は。その中にお米でも麦でもそばでも野菜とかもなんでも、全部混ぜて食べていた。例えば山梨県には、有名な「ほうとう」という郷土食があるけど、あれはどう考えても、本当の山暮らしの人たちの貧しい食事ですね。ほうとうを食べれば分かりますけど、肉なんか入ってるわけないんでね。山鶏、鶏肉を入れて作るというのは相当のご馳走なんです。野菜をいっぱい混ぜて、米や麦と一緒に煮物にして食べて生きてたんですよ。それは支配階級の人たちでも一緒なんです。これが日本の国の真実ですね。

ほうとう

話を戻すと、薪ストーブほどじゃなくても、キャンプで焚火(たきび)をするのが好きな人もいる。焚火をぼーっと眺めるためにキャンプをするっていう知人もいます。キャンプ場の地面を傷めないように焚火シートとか焚火台というのを使うのがマナーというか常識みたいです。

 

■薪ストーブへの憧れは、歴史への反動

あと一つはねダルマストーブという時代がある。明治からこっち西洋文明が入ってきた時代、樽のようなストーブがあった。東京なんかの気の利いた小学校中学校には、ダルマストーブがおいてあったようです。

ダルマストーブ【だるまストーブとは、日本で古くから使われてきた鋳鉄製の薪ストーブで、その丸みを帯びた形状が「だるま」に似ていることから名づけられました。主に学校や駅舎、農村の集会所などで使用されており、シンプルな構造で直感的に使えるのが特徴です。また、明治時代から使用されている独特な円筒形の暖房器具で、直接鍋やケトルを加熱できる利点もあります。byAI】

私は九州で育ったけど、九州の冬も寒いですからね。私の頃の小学校中学校の冬は、何の暖房もなくて、吹き曝(さら)しのボロの木造校舎だったから非常に寒かった。職員室だけは石油ストーブで温めていたから暖かった。皆さんも記憶にあるでしょう。

だからね、薪ストーブに憧れること自体が歴史に対する反動なんですよ。リアクションって言うんだけど単なる憧れなんですね、マキストーブの本論で言うと。別荘を買ったら薪ストーブを入れたいというだけのことです。

 

■薪ストーブは手入れが大変

ユーチューバーたちの中に薪ストーブを推奨推薦して努力している人たちがいて、まず薪割りを一生懸命やってみせるんです。古民家暮らしの人たちも薪割りという仕事を本気でやって見せますね。これが大変な作業なんですよ。私の近所の〇〇さんも薪割りをやって、3年分の薪を蓄えています。ナタっていうか大きな斧でパカンパカン割る。その〇〇さんも、ついに薪割り機を使うようになった。ぐりぐりぐりと横からでドリル式で圧すと薪が割れるというものです。

薪割り機

実際はね、「薪ストーブを買ったはいいけど、ほったらかしてやめました」というのが薪ストーブの真実です。これをユーチューバーの人たちもはっきり言いません。小さなフランス料理のお店とかにも薪ストーブが隅にあったりするけど、ただの飾りですね。

薪は、屋根がついた場所で2年間干して乾かさないとだめなんだって。生(なま)のまま使ったら、煙(けむり)がすごいわけですね。煙との戦いが人類の戦いですから。煙を上に上げていって外に出すのが煙突で、英語ではチムニーと言う。薪ストーブは必ず上に煙突がついてるわけですね。煙を外に排気しなきゃいけない。その煙突に煤(スス)がつくわけです。ススって何だろうと思ったら炭素化合物ですね。有機物が不完全燃焼した際に発生するもので、それが配管にたくさん溜まる。だから、スス払いのプロに薪ストーブの配管の掃除をしてもらうんだけど、これも大変な作業で、一回あたり2万円くらいかかるらしい。それに出張費と消耗品の交換費用もかかる。年に2回やってもらうんだと、〇〇さんが言った。

煙突内部の煤(スス)

薪気ストーブが最初から当たり前、みたいな小民家はあるにはあるんです。ものすごく頑丈なダルマストーブみたいなのを設置してね。毎朝、ストーブの中に乾いた太い丸太みたいなものでも投げ込んでおけば、1日暖かいという。だから古民家暮らしの人たちでも、薪ストーブが生活に溶け込んでいるタイプの人がいます。生活実感のところで薪ストーブが生きているんです。

それに対して、別荘を建てた(買った)からその中に薪ストーブを新たに設置します、という考え方の人はね、知恵が足りないんですよ。「ええかっこしい」なんですね(私もそうだった)。灰を取らなきゃいかんし、さっき言った年1、2回の煤(スス)払いと、薪の補充もしなきゃいけないですからね。今、ホームセンターで薪を買ったら、丸太1本分の薪で880円しますけど、それくらい一晩で全部使っちゃいますからね。毎日使うとかなりの費用です。身近にある廃材とかをくべるとしても、乾いてないといけないし手間が要りますから。あと、薪ストーブも高いのから安いのがあって、素材が違う。高級品ほど頑丈で強い火力に耐えて長持ちするんでしょう。

 

■煙突は上に真っすぐ

薪ストーブの煙突はね、簡単に言うと、まっすぐ天井を突き破って上に伸びてなきゃいけないんですよ。それを日本の薪ストーブの会社が紹介している物件では、大体が横についていて、横壁に穴を開けてそこから屋根の端っこのところから鉄の支えをいっぱいつけて上に煙を登らせるんです。曲がっているところが2カ所もあったら、そこに煤(スス)がものすごく溜まる。斜めであってもね。煤払い業者がどうしても必要になります。

真っすぐの煙突

そういう曲がった煙突を、薪ストーブ会社が平気な顔をして推奨・宣伝している。あれはちょっと犯罪に近いと、私は思いますよ。素人はそれが当たり前だと思って横壁に配管を作ってしまう。本当は、上にまっすぐ、バーンと天井を突き抜けて屋根を突き抜けて煙突を作らなきゃいけないんです。ススが最小限度になるように。

それをはっきり私に見せてくれたのが、前に紹介した『山奥暮らしチャンネル』、徳島県の山奥で暮らしている加藤さんの動画でした。加藤さんは自分の家の瓦屋根を外して、まっすぐ直線で垂直に煙突を作りましたからね。その代わりに瓦を外してるから、その部分だけ雨漏りがどうしても起きるんだと、そこにセメントとかでガリガリ、徹底的に周りを固めてました。それでも少しは軒のところに水が出ると言ってましたね。

この加藤さんはさらに賢くてね、素人のくせに煙突を二重に作るということを知ってましたね。つまり鋼鉄の煙突の内側と外側との間の2~3センチあるところに、断熱材をギューギュー入れて断熱していた。これをしないと危ないんです。薪ストーブ自身が熱を持つわけで、周りに火を出して火事になることもあるんです、甘い考えの人たちは。だからストーブの真正面の真上に煙突を出して、その一番上は蓋みたいなのを少しかぶせるんですけどね。これをしないで薪ストーブを売っているという連中はちょっと問題だと思う。

 

■煙突掃除人は、ヨーロッパ中世からいる

『メリー・ポピンズ』(1964年のミュージカル映画)という映画の中に「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」っていう、ロンドンの煙突掃除人たちの歌が描かれてます。「chim」は「Chimney(煙突)」から派生した言葉です。19世紀、1800年代の先進国であったヨーロッパの都市の家には煙突がまっすぐ立っていた。最初は木炭、炭を焚いていた。やがて石炭になったんだと思います。だから煙突掃除人という人たちが下層労働者として当然のようにいた。煤払い業者ですね。そういう人類の歴史があるわけです。

Dick Van Dyke sings the evocative song Chim Chim Cher-ree
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日本にはレンガでできた立派な大きな家の煙突なんかなかったわけです。だからやっぱり、「日本の文化ではない薪ストーブなんか、やるもんじゃない」というのが私の結論です。普通の人には無理ですね。手間もお金もかかるしね。

 

■原始人の生活に戻るわけにはいかない

結局、薪ストーブはメンテナンスが大変。そういう大変なことは、都会生活者はもう捨てたんです。都会の人だって2代遡(さかのぼ)れば田舎出身に決まっています。みんなもう昔の田舎の記憶を、嫌になって捨てたんです。私が自宅に薪ストーブを設置するのをやめた理由、その時の判断が、「原始人の生活に戻るわけにはいかない」というものです。

ウクライナ戦争中の去年、ロシアのプーチン大統領が痛快な皮肉を言ったんです。「制裁」という理由でロシアの天然ガスを買わないというドイツに対して、プーチンは「ドイツはロシアのガスもいらない、原子力も開発しない、と。じゃあ何で暖をとるつもりなんだ?薪か?でもその薪だってシベリアに行かなきゃ手に入らないぞ」とね。

プーチン大統領「何で暖を取るつもりなんだ?薪か?」
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私はプーチンが言ったこの言葉は正しいと思う。暖房なしの冬の生活なんて、凍えますからね。零下20℃みたいなところでの鉄筋アパートで暮らさなきゃいけなくなる。キエフやハリコフは、もう電気もおそらくガスも全部止まっているでしょう。そういう状況で今の冬を生き延びているわけです。もういっぱい着込んで分厚くなったまま何とか体を温めて寝るという形で生き延びる。人類はそれをやってきたから。

 

■人類が手に入れた最高度の技術は、今のところ「原発」

20年前に、薪ストーブの設置をやめるという私の決定は、「原始人の生活に戻るわけにはいかないんだ」という判断だったと、前に話しました。人類が手に入れたエネルギーは、各段階でテクノロジー技術として産業への応用される。テクノロジーはインダストリー、産業界に応用されて商品・製品になっていくんです。その過程が必ずあります。

近年はソーラーパネルみたいなのが普及して、普通の家の電力を賄うぐらいはできるようになりました。あと蓄電池バッテリーも発達したから自動車でも何でもEVができて、それくらいは電気で動かすことができるようになった。それで、「自然エネルギーを活用して、それで原子力を使わないエネルギーの開発をする」と。この40年間、ずっとそう言っています。

しかし大きな生産工場の電力は、ソーラーパネルとかそんなものでは作れないんです。巨大なモーターを動かすから、それが止まると工場が止まって大変な損害が出る。例えば中国に進出している日本企業は、「絶対に電力の供給が停止されることはない」という特別契約を結んでいます。自家発電用のガスの発電機を持ち込んでいるんですね。非常用電源としてGEが作っているんだけど、そういう、いざという時の電源を持っているんです。日本の大企業たちも。電力だけは絶対供給しなきゃいけないし、かつ弱電じゃないですからね。

結局、ヘビーエレクトリシティ(heavy electricity)というのは、今の人類の段階における太陽光発電のようなものではまかなえないんです。このことをみんなが、国民がわからなきゃいけない。だから端的に言うと、原発を動かすしかないんですよ。

最新設備を日本はたくさん持っているから、原発を動かせばいいんです。原発の施設は50年間は使えますから。古い、40年以上経った原発は廃棄処分すればいい。【日本に新しい原発があるんですか?】たくさんありますよ。福島第二原発なんてできたばかりで最新鋭だったんですよ。100万ワットが4機並んでてね。それを私は見に行ったからね。「福島50」って、そこに残ってた人た50人が第一原発に移って管理をやったんです。管理と言っても水浸しにして冷却しているわけで、放射線量もほとんどないわけですよ。

福井県の「もんじゅ」というのも相当新しいんですよ。もんじゅはプルサーマルといって、一回原発から出たプルトニウムをもう一回燃やすというか、使い回すというかね、最高級品だったんです。

もんじゅ

【原発の廃棄物の問題は?使用済み燃料の再処理の過程で、放射性物質を含んだゴミがでて、それが溜まる一方だと聞きました】その話もね、嘘が含まれている。日本の技術は最新鋭ですから、廃棄物の問題も解決できるレベルになっているんです。国民を欺く嘘の情報を振りまいて、何をコントロールしようとしているのかは、今日は話しませんが。

 

■技術の進歩は不可逆(あともどりはしない)

結局、原発というのが、人類が手に入れた現段階で最高技術のエネルギーですから。原子力爆弾(原爆)や核兵器の廃絶の運動自体はやっていいんだけどね。ただ、「恐怖心だけで、原子力発電所までなくせと言うな」ということです。最高度のところで人類が獲得したエネルギーを、それを「無し」にしちゃいけないんですよ。

だから今、原子力発電所が日本全国に54機あります。その一部の再稼働をですね、「2機、3機だけは動かしたい」と言って、各電力会社(東北電力も九州電力も)が一生懸命やってるわけです。

それに対して反原発運動をしている人たちがいる。「自分たちが正義だ」という旗を掲げて反対する。さっき言ったプロパガンダの影響もあって、そういう反原発の人たちが国民の3割いるわけですが、中間派はもう黙っているんですね。

真実は、どうも原発の現地で放射能被害が出ていないんですよ。これが大事なことで、白血病が増えたとかね、そういう事実が出てない。【福島でも?】一切出ていない。だから私が福島原発の直後(7日後から)に現地に行って、第一原発の周りを何十回かパトロールして測定しましたが、検出したのは、たった140マイクロシーベルトパーアワー(140μ㏜/hour)です。パーアワーは1時間あたりという意味なんですけどね。これを24(時間)×365(日)で8760倍にしたパーイヤー (/year)、すなわち122m㏜/y だと、放射能量の取り違いをおこさせるように政府がわざとやって、国民を恐怖に落とし入れたんです。

放射線量が健康に及ぼす影響(環境省)

それで国民をヒステリー状態にして、原発のそばに「近寄らせない」という施策を取ったんです。何のためかは今は話しません。私はもう、事故の1週間目から「もうみんな戻りなさい、こんなもんで赤ちゃん1人作業員1人死にません」と言った。それで私もワーワー叩かれたんだけど。「野菜も何も汚染なんかないんだ、こんな微量のわずかの放射線量では」と私は言った。

原発事故から14年。「放射線による死者はゼロ」健康被害を科学的に検証すると
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ちょうどその頃、私が尊敬している吉本隆明(よしもとたかあき よしもとりゅうめい 1924-2012 87歳で死)が死ぬ1年前かな。原発事故の直後に、吉本隆明が「原発反対というのは簡単に言ってはいけないんだ。事故と人類の健康被害へのその予防策を講じることは大事だけど、しかしやめるというのを簡単に言ってはいけない」と言ったんです。「エネルギーとしての原子力発電所の操業を簡単にやめるとかいう動きをしてはいかん」「技術の進歩は不可逆である(前にしかすすまない)」ということです。吉本主義者というのが全国に5万人くらいいてね、10万人はいないな。そのうちの9割が黙りこくった。

「反原発」異論 吉本隆明 著
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吉本主義者代表というのはね、もうはっきりしている。音楽家の坂本龍一(さかもとりゅういち 1952-2023 71歳で死)と糸井重里(いといしげさと 1948- 現在77歳)です。彼らは自分でもそう名乗ってるしね。しかし彼らは、「原発反対」と言ったんです。私がそれを批判した。そういうことがありました。

 

終わり

 

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