「2218」 副島隆彦先生の最新刊『中国はアメリカに戦わずして勝つ』が発売 2025年9月16日
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SNSI・副島隆彦の学問道場研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)です。今日は2025年9月16日です。
副島先生の最新刊『中国はアメリカに戦わずして勝つ』(ビジネス社)が2025年10月1日に発売になる。
『中国はアメリカに戦わずして勝つ』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます
本書は副島先生の中国研究本は18冊目になる。本書の注目点は、体調不良が噂される習近平の後継者は誰になるのかという点で、副島先生は陳吉寧(ちんきつねい)という人物の名前を挙げている。上海市党委員会書記だが、全く聞いたことがない人物であり、日本での紹介は初と言えるだろう。
陳吉寧
以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載する。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。
(貼り付けはじめ)
まえがき 副島隆彦(そえじまたかひこ)
この本の書名(タイトル)「中国はアメリカに戦わずして勝つ」にある、「戦わなくても勝てる」は何故か。第3章で説明する。
この本で、一番の大事は、「習近平の次は誰になるか」である。きっとこの問題には多くの人が関心を持つだろう。
どうも噂(うわさ)どおり習近平の体調は良くないようだ。この噂(ルーマー)が5月から世界中に広がった。だから中国の次のトップは誰かが問題になる。私は、ここではっきりその名前を書く。最有力は陳吉寧(ちんきつねい)(チェン・ジーニン 1964年生まれ、現在61歳)という人物である。日本人は誰も聞いたことがない名前の男だ。
私のこの予測(予言)についても、本書の第1章に書く。中国のトップ人事のことに、多くの人が関心を持つだろう。
3ページに載せた、米と中の関税(タリフ)(貿易)交渉についての最新の動きを説明する。去る7月28、29日にアメリカ財務長官のスコット・ベッセントと、中国の何か立峰(かりつほう)副首相が交渉した。この記事にあるとおり、どうせトランプは習近平と2人で直接、サシで話し合おうとしている。果たして、この秋から来年にかけて首脳会談となって習近平がトランプの要望(その実は哀(あい)願、願訴である)に応じるかまだ分からない。
中国は、アメリカにヘコヘコしない。日本、欧州(EU)、イギリスのように「関税(タリフ)を15%にしてくれて、よかった!」というような軟弱野郎ではない。中国は〝音無しの構え”である。自分の方からは、尻尾(しっぽ)を出さない。余計なことは一切言わない。何故なら、アメリカ(トランプ)は、強大国で強そうなことをさんざん言っているが、本当は、国家財政(ファイナンス)がボロボロの借金(負債)大国だ。だから、世界中に関税(タリフ)(外国への税金(タックス))をかけて、おカネをぶったくって国家予算に回しているのである。日本からは7月22日に、合意で(ただし、まだ合意文書なし)80兆円〈5500億ドル〉を払わせる。トランプは、これを日本からの投資(インヴェストメント)(自由に使える)だ、と強弁(きょうべん)する。しかし日本側の赤沢(あかさわ)大臣は、「これは融資(ゆうし)(ローン)です(厳しいヒモ付き)」と言った。
日本のメディア〈テレビ・新聞〉は、この初原(しょげん)(そもそも)の「アメリカは破産している」を言わない。トランプが狂ったように、外国への課税をしているのだ、と書かない。説明しない。
現在の最先端の半導体(はんどうたい)戦争の主役は、① 台湾TSMC(ティエムエスシー)(モーリス・チャン元会長、94歳)と、② 中国ファーウェイ(華為技術。任正非(じんせいひ)CEO、80歳)と、それからこの3年で急激に出現した③ NVIDIA(エヌビディア)(米国企業。しかし台湾人のジェンスン・フアン社長・CEO、62歳)と、それから、④ 中国 DeepSeek(ディープシーク)というAI(エイアイ)企業の40歳(1985年)のガキンチョの梁文鋒(りょうぶんぽう)である。
この4社の競争のことも説明する。なんだ、みーんな中国人じゃないか。
加えて、Apple(アップル)社の最新のスマホiPhone(アイフォーン)16(シックスティーン)は、ぜーんぶ、本当は中国製じゃないか。フォックスコン(富士康(こう)、郭台銘(グオダイミン)会長、74歳)が中国各地で作っている。
これらのことも全部ぶちかまして真実(本当のこと)を私は書く。
この本の仕上がりに石破辞任のニューズが流れた。石破首相は、よく頑張った。アメリカに80兆円(5500億ドル)の貢(みつ)ぎ金(がね)を、最後の最後まで、払わないと、頑張った。日本国民の為(ため)である。それで自民党内でイジめが続いて辞任表明した(9月7日午後6時)。
このあと、日本に反共(はんきょう)右翼の政権ができるだろう。参政党と国民民主党と連合する。新しい政党になるかも。そうなると自民党は分裂する。残った全国の温厚な保守の経営者、資産家たちの意向を受けた、自民党ハト派(中国、ロシアとも仲良く付き合う)の政党ができるだろう。私はこの動きを支持する。
副島隆彦(そえじまたかひこ)
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『中国はアメリカに戦わずして勝つ』 目次
まえがき ──1
第1章 習近平の次のトップが分かった
「戦わずして勝つ」は「孫子兵法」に書いてある ──14
習近平の次のトップは誰か ──20
アメリカのトランプ大統領の動揺が中国に影響している ──30
第2章 日本人よ、バカ右翼に乗せられるな。日米中の背景を理解せよ
日本の過去のあやまちを昭和天皇は鄧小平に詫びた ──40
松下幸之助は鄧小平に「よろしおます」と言った ──47
こういう流れで中国はアメリカと組んだ ──51
第3章 米中半導体戦争
米中の関税交渉と半導体交渉が重なり合う ──58
スマホ屋の時価総額が日本のGDPに匹敵する異常事態 ──75
半導体は6つある ──76
「線幅2ナノ」の技術競争に中国企業が加わった ──78
TSMCとトヨタとソニーの関係──79
日本のロジック半導体で起きた〝問題〟 ──82
中国は台湾に攻め込まなくても奪い返せる ──84
この状況下でさらにバカさが目立ってきた日本人 ──87
商売人は商売になる方に付くのが当たり前なのだ ──90
台湾のTSMCの争奪戦というのが、米中問題の正体 ──92
台独の人たちはすでに台湾脱出の準備を終えている ──94
TSMCのモーリス・チャンが開き直ったから恐ろしい ──96
半導体が中国人にしか作れなくなったから、台湾が中国に帰ってくる ──98
第4章 「中国が衰退し、日本が復活する」の大ウソ。煽動する者たち
ソロスのブレーンが突然表に出てきた ──102
バブル崩壊後の1992年からが、「失われた30年」 ──111
1995年に、斎藤ジン氏はサイスを卒業 ──117
2009年から2017年がバラク・オバマ大統領 ──119
その国のことは、その国の頭のいい原住民に聞かないと分からない ──122
同性愛者特有の「血の命脈」 ──123
第5章 「日本を中国にぶつけよ」
参政党を操るアメリカの新戦略参政党躍進の裏にあるもの ── 134
神谷宗幣を操っているのはこの男だ ──147
「日本を中国にぶつける」という戦略 ──150
第6章 トランプは、参院選を利用して
石破を脅して日本から70兆円を奪ったトランプが自讃した「史上最大の取引」 ──154
変質するトランプ政治 ──160
日本人が理解しようとしない「ファースト!」の真の意味 ──166
日本の操り方を変えてきたアメリカに備えよ ──171
第7章 習近平と父習仲勲の苦難の人生の物語
育ての親の胡錦濤を平然と切り捨てた習近平 ──182
「大長征」の真実は地獄の逃走劇だった ──186
毛沢東は裏で日本とつながっていた ──190
フランスに通行料を払って中国を侵略しに行った日本軍 ──193
習仲勲の失脚と文化大革命 ──198
凄さと曲解を合わせ持つ、遠藤誉の習近平論 ──201
鄧小平を嫌う中国のインテリたち ──210
毛沢東が死ぬまで、中国は堕ち続けた ──215
中国人エリートたちが海外留学で獲得するもの ──220
集団発狂した人間の群れの恐ろしさ ──223
善人は使い物にならないと分かった鄧小平 ──226
女も稼げという客家の精神 ──231
習近平は戦争ができる男だと鄧小平に見込まれた ──234
天安門事件の学生たちは留学したあと海亀になった ──236
葉剣英が鄧小平と習近平をつなげた ──238
サッチャーは鄧小平の脅しに震えた ──244
1992年に天皇は夫婦が中国に行ったことの重要性 ──248
あとがき ──250
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あとがき 副島隆彦
この本は、私の18冊目の中国研究本である。これまでの18年間(2007年末から)に私は年に1冊の割合で、コツコツと自分の中国本を書いてきた。その全18冊の表紙を小さな画像(写真)にして、表題(タイトル)を1ページの一覧表にしようと企てたが、今回はできなかった。来年やります。
私は、18年前の2007年(アメリカでリーマン・ショックの金融危機が起きる前年。私は54歳だった)に、中国旅行から帰ったあと、猛然と中国の政治経済についての本を書きたくなった。いや、どうしても書かなければいけないのだと激しく焦(あせ)った。
中国は巨大な成長を始めていた。そのことに私は現地(広東(カントン)省の東莞(トンガン)市)で気づいたからだ。中国の現在を、日本の政治的0 知識人の眼を通して「中国で何が起きているのか」を通史として書き残さないといけない、と強く思った。
それは司馬遷(しばせん)が『史記(しき)』(紀元前90年)を編年体(へんねんたい)で書いたことの伝統に従ったものである。18年前の第1巻の私の中国本の書名(タイトル)は、『中国 赤い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社、2007年12月刊)である。ここに刻印された文字たちは、やがて歴史の証拠となる。
私の志(こころざしを理解してくれた、この本の版元(はんもと)(出版社のこと。あるいは書肆(しょし))の社長が、私が毎年、時間を見つけて、中国の現地の各都市(その年に大事件が起きた都市)に現地調査に行く費用を出してくれた。毎回100万円の出費がかかった。担当の岩谷健一氏が同行して写真を撮り、資料集めを手伝ってくれた。有難いことである。
私には今に至るも、たった一人の中国人の親友もいない。中国語もできない。人物名を漢字で表現する拼音(ピンイン)さえ読めない。それなのに私はずっと、中国の各地を見て、そして次々に起きた政治動乱の跡の気配(けはい)を感じに現地に行った。住民たちは何事(なにごと)も無かったように静かに暮らしている。中国報道プロパーの新聞記者たちではない者が、厳格で冷酷な政治知識人の目を通して、中国を観察しその記録を残さなければいけないのだ、との強烈な自我(信念)がこの作業を私に続けさせた。漱石や芥川が書いた中国探訪記に続くものだ。
「中国は崩壊する。中国共産党の一党独裁に反抗する民衆反乱が起きて、中国は必ず滅びる」と書いて多くの本にした、数十人の、歪(ゆが)んだ精神をした反共(はんきょう)右翼たちは、全員が、その本たち(証拠として残っている)と共に滅び去った。あ、まだ、何人か残党(リメインンズ)が残っているか。
今の巨大中国(私が作ったコトバ。書名にも使った)に戦争を挑(いど)む、そして勝てると思う馬鹿はいなくなった。
それでもまだアメリカが「日本を上手に騙(だま)して、唆(そそのか)して、中国にぶつけろ。台湾有事(ゆうじ)を嗾(けしか)けて、戦争をさせろ」という悪辣(あくらつ)な戦略で動いている。そのことを本書で書いた。
日本人は動かない。全くと言っていいぐらいに動かない。押し黙っている。「なんで、また(英と米に)騙(だま)されて戦争なんかするものか。真平御免(まっぴらごめん)だ」と、腹の底で思っている。しかし、口には出さない。まだあと日本だけでも500万人はいる反共右翼たちが残存しているが、あと数年で勢力として消えるだろう。私の冷静な客観予測(近(きん)未来への予言(プレディクト))である。
なぜ日本人の大半は、そして台湾人も、「戦争になる」の煽動(せんどう)に乗らないか。その理由の一つは、倨傲(きょごう)に聞こえるかもしれないが、私、副島隆彦が、この30年間、「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはいけない」と書き続けたからだ。日本国における私の地位は自(おの)ずとそれぐらいはある。
この本の最終章だった「台湾は今どうなっているか」の台湾現地調査の報告は、50ページ分もあって浩瀚(こうかん)(分厚い)になるので、来年に回した。今の私には、もう1、2年を争うということがなくなった。遅らしてもどうということはない。
この本では、3年前の中国本で約束した「習仲勲(しゅうちゅうくん)、習近平親子の2代に渡る苦労」(第7章)をようやく完成させたことがよかった。この2人が分かれば、現代中国のこの100年間の苦闘の歴史が分かり、大きく概観(アウトルック)できると考えたからである。
最後に、私は上野千鶴子(ちづこ)女史(東大の女性学の講座を護(まも)った。私より5歳上)が、そのマルクス主義フェミニズム(略称マルフェミ)の立場から、戦闘的に男女の性愛論を書き並べた本たちが北京大学の超(ちょう)秀才の女子学生たちの話題になり深い感動を与えていることを知っている。
現在の中国共産党(中共(ちゅうきょう))研究の最先端(せんたん)はまさしく、この中国で起きている、「私たちエリート女たちにもっと男女の性愛の自由を認めよ。日本の自由さを見よ」という女性闘争である。これには、中共の幹部の男たちが動揺してオロオロしているはずである。
まるで、1919年の五四(ごし)運動(中国の現代政治闘争の始まり)の再来だ。
中国社会科学院は、まさしく金看板のマルクス主義フェミニズムの上野千鶴子を招いて、新たなる意識(文化)革命を中国で開始すべきだ。中国が文化の先進国0 0 0 0 0 0 である日本から学ぶことは、まだまだたくさんある。私は、中国人指導者と知識人層が( 魯迅(ろじん)のときと同じく)今も日本人を深いところで尊敬していることを鋭く知っている。箸の上げ下ろしから鰻(うなぎ)の蒲焼(かばやき)の食べ方まで、日本人の一挙手一投足を凝視している。日本を通して世界を学べ、は今も中国で生きている。
それでもアメリカ帝国の属国(ぞっこく)を長くやり過ぎた日本は、この40年間で本当に貧乏になった。中国どころか台湾、韓国からさえ哀(あわ)れみ(憐憫(れんびん))で見られる。
それなのに、何と、私たち日本人は、恐れ入ることに今も威張っている。襤褸(ぼろ)は着てても心は錦、の構えを、一般庶民でも持っている。愚かと言うか、何と言うか。40年も経済成長が止(と)まって貧乏なくせに。全く以(もっ)て明(あき)れ返(か)える。全てが見通せる私のような総合知識人の目には何でも映(うつ)る。
上野千鶴子女史は、女性学(ウィメンズ・スタディーズ)が流行廃(はやりすた)れしたあと、さらに才長(さいた)けて、老人(老女)評論家になって、名著『おひとりさまの老後』(2007年、法研刊)を書いた。人は老いて末期(まっき)を迎えたら、施設に入らないで(収容されないで)自分の家で死ぬべきだ論に私は深く同感した。だから私も自分の家で死ぬ(直前にだけ病院に入院する)と決めた。この意味でも、私は上野千鶴子が老いて、ますます中国に乗り込んで勇ましく中国の知識人層と権力者層に、いろいろと号令を掛けることを望む。
最後の最後に。この本を書き上げる最後の1カ月は、この夏の猛暑と共に私の地獄だった。モノカキ人生を40年もやって、200冊も書いて、それでもまだ、このように、1冊の本を仕上げるのに、のたうち回っている。私には人生の達観はない。サラサラと書かれた本に碌(ろく)な本はない。このことを痛感している名うての編集者であり、苦しい本作りに同伴してくれた大久保龍也氏に記して感謝します。
2025年9月
副島隆彦(そえじまたかひこ)
(貼り付け終わり)
(終わり)