覇権アメ第4章を読む(6)その他、第4章の次にどこを読むべきか。

伊藤 投稿日:2025/08/17 20:47

 伊藤睦月です。本日は2025年8月17日です。さきほど、大河ドラマ「べらぼう」を見終わったところ。時代は田沼時代末期の世情、「浅間山噴火」「天明の大飢饉、大洪水」「天明の米騒動」に対し、当時の為政者や庶民がどう対応していったかなどを描いており、現代の世情を想起させるものとなっている。大河のテーマは、2年前には決まっているから、当時から現在を予見していたのか、あるいは、ある種の「誘導」が行われているのか、よくわからん。ドラマの今後の展開が楽しみ。

1)これまで、覇権アメ第4章を読みながら、気になるところを書いてきた。これ以上書くと,第4章すべてを引用しなくてはならなくなるので、この辺でやめておこう。

2)そもそもこの本は、高校社会科書(倫理、政治経済、世界史、日本史)程度の知識しかない者を対象に、アメリカ政治思想の全体像を、わからせようとするもので、1995年の初版以来、この本を超えるテキストは、まだ出現していない。

3)それだけに、他の政治思想本とは際立った特色がある。

①この本で取り上げられた、政治思想は、あくまでも「世界覇権国アメリカ」で受容された思想、しかも「英語」で理解された思想を、現代の「日本語」で説明した本。

➁そのため、欧米の政治思想の各テーマの取り上げ方、説明の仕方は、かなり、メリハリが効いている。高校教科書の記述とはかなり、異なったものになっていることがある。ただし、「間違って」いるのではない。「世界覇権国アメリカではこのように理解され、説明されている」ように執筆されているのだろう。

➂例えば、フランス(デカルト、モンテスキューなど)やドイツ(カントなど)といった、教科書定番の思想や人物は、ほとんどふれられていない。欧州思想との関連については、フランシスフクヤマの「歴史の終わり」を取り上げているが、この本で扱われているのは、ヘーゲル、ニーチェ、くらいだ。

④でも、アメリカ政治思想の全体像を把握するためには、大変すぐれた記述法だと思う。副島先生は、このことに関して、次のように説明している。

(引用はじめ)日本人は、世界帝国(覇権国、ヘジェモニック・ステイトhegemonic state)という考えをきわめて軽視している。アメリカは現在、世界覇権国なのであり、日本は、他の多くの国々と同じように、その属国である。覇権国であるアメリカの、文化と政治と知識と社会の動きを軽く見てはいけない、と私は思う。

 とりわけ政治思想や政治哲学において、いつまでたっても、フランスとドイツが偉いなどと考えていること自体大間違いだ。フランスもドイツも、それからイギリスも、実はこの数十年の間にアメリカに負けて、あらゆる意味で現在はその支配下にある国である。・・・(中略)このことに、どうして日本の知識人たちは気づこうとしないのだろう。それとも政治思想なら何が何でもフランスとドイツが一番で、アメリカの優位に気づきたくないのか。明治以来の、独仏=高級思想の構図が否応なく崩れてきているのだ・・・

(以上、引用終わり:覇権アメ第二章134ページ)

4)伊藤睦月です。私が第4章から読んでいるのは、高校教科書に加えて、大学法学部の教養科目のテキスト(法思想史、政治思想史)を読みかじっていたからであって、必然性はない。読者諸兄の、知識レベルに応じてどこからでも、ザクザク読んでいけばよろしいかと。でも高校世界史、倫理、政治経済の教科書や共通試験レベルの参考書は、読んでおいた方が、この本も読みやすくなるであろう。(詳しすぎるとかえって混乱するかも)教科書に出てこない、人名やトピックがてんこ盛りで出てくるのに戸惑わないために。ウィキペデイア情報もかえってわかりにい場合が多いように思える。

5)伊藤睦月です。覇権アメの次に読むべき本、英語力のある方は、この本に紹介されている、英語本や雑誌に直接当たられるのがよいと思う。また、私のようにそこまでの学力がない者は、そういうレベルの読者のために、副島先生が用意している本にアクセスすることだ。私もそうやってきた。具体的な紹介は、また後日。

以上、伊藤睦月記

 

 

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