覇権アメ第4章を読む(4)アメリカ合衆国は、「近代思想」による世界初の、そして成功したほとんど唯一の人工国家である。(続)

伊藤 投稿日:2025/08/15 08:03

伊藤睦月です。本日は、2025年8月15日です。朝7時過ぎくらい。

1)この項で、お伝えしたいのは、226ページの「ヨーロッパ政治思想の全体構図」という、1枚のポンチ絵。30年前、この絵を見たときの衝撃は、今でも忘れない。この本を第1章から順番に読んできて、感心しつつも、頭にストレスが溜まってきたところで、この絵をみて、スッキリさせられた、というもの。思想を「微分」するという、アイデアはとても新鮮だった。ここで、「ヨーロッパ政治思想」、というのは、「世界覇権国(アメリカ)の保守思想」、だろうという、重箱の隅をつつくことしかできないが。

2)ここで、確認しておきたいのは、アメリカ政治思想対立の本命は、自然法派(バーキアン)対人定法派(バーキアン)だということ。自然権派(ロッキアン)、人権派(現代リベラル派)、動物の権利派(アニマルライツ派)は、自然法(人間の意思を超えるものがある)を前提している、という点で、自然法から展開されたもの。外見や事象はずいぶん違うが、根っこは同じ。ああ、そうか。

3)しかし、現実の社会や政治世界を形作っている政治思想は、自然権と人権であり、これによる人工的な、国造りに最初に成功したのが、アメリカ合衆国、(人工ではない、という意味で)自然国家を人工的な改造手術(これをソーシャル・エンジニアリング、社会工学というらしい)を施して、大成功を収めたのが、わが国、日本、であるらしい。中途半端な結果に終わったのが、フランスとドイツ(ワイマール共和国)それぞれ明暗が分かれ、悲喜劇を繰り返している。違う改造手術を施されたのが、ロシア。後、イタリアとかスペイン、ギリシャの例もあるが、そこは、置いといて、おおざっぱなくくりでとりあえずは、十分かと思っている。

次からは、少し、重箱、というかウンチクに入らせていただく。悪しからず

以上、伊藤睦月記