[3471]もう一つのシナリオ

鈴木雄司 投稿日:2022/10/06 21:40

■OPECプラス、200万バレル減産で合意 米欧の反発必至
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR05DJQ0V01C22A0000000/
石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国でつくる「OPECプラス」は5日、ウィーンで閣僚級会合を開き、11月に日量200万バレル減産することで合意した。産油国の財政圧迫を招く原油価格下落に歯止めをかける。エネルギー高に苦しむ米欧の反発は必至で、米ホワイトハウスは「バイデン大統領は失望している」との声明を出した。

■クレディ・スイスの経営再建、株価・社債下落で逆風強まる
https://jp.reuters.com/article/credit-suisse-gp-reorg-idJPKBN2QZ0HO?rpc=122
スイスの金融大手クレディ・スイスは、一連の不祥事や多額の損失計上を受けて、経営再建計画の策定を急いでいるが、市場の乱高下やソーシャルメディア上の憶測などを受けて、一段と厳しい状況に追い込まれている。ソーシャルメディアでは、同社の健全性を巡り、先週末にかけて根拠のない観測が飛び交った。これを受けて、3日の市場では同行の社債が下落。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の保証料率は数十年ぶりの水準に急上昇した。関係筋によると、スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)と、クレディ・スイスが主要拠点を置く英国のイングランド銀行(中央銀行)は状況を注視しており、緊密に連携している。一方、複数のライバル行の関係者は、クレディ・スイスの資本と流動性の水準に問題はないとの見方を示す。

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先日は、ロシアの戦術核使用の可能性について書きました。しかし、NATOとの戦争や核兵器使用は最後の手段であるがゆえに早急には起こらないとも言えます。それならば、考えられうる他のシナリオについてえも探ってみる必要もあります。

コールダー・ウォー(草思社)のような書籍で指摘されているように、ロシアの目的はドル覇権を崩壊させるために用意周到に準備された資源戦争とも言えます。副島先生も指摘されているように「資源とドルの闘い」ならば、長期戦は当初からの想定でしょう。
現代の戦争は多面的に行われるならば、ウクライナでの特殊軍事作戦もそうですが、本筋である資源戦争の側面から欧米を弱体化させるほうが闘い方としてはスマートでより効果的とも言えます。

OPECプラスの石油減産決定は、バイデンが中東訪問をしても手ぶらで帰ってきたように米国の衰退を象徴しているようです。副島先生の指摘のように「資源貧乏国」の新興国で協力しあって新しい世界秩序を構築するほうが無難です。

クレディ・スイスの経営を危ぶむ噂が流れるなど、欧州から金融崩壊して米国・英国も早晩金融危機に見舞われる可能性は高いです。金融危機の前兆とも言える事象は、グレートリセットを企てる欧米支配層のシナリオなのかは判別できません。

しかし、米国が利上げをしてもインフレ退治はできないと考えています。理由としては、エネルギー価格の高騰は米国外に原因があるからです。また、台湾にも口出しする米国に対して、中国はゼロコロナを理由に逆制裁として供給を意図的に遅らせている可能性もあります。世界の工場からの出荷が滞るのも、米国外の事なので、FRBの利上げでは対応できません。米国内に起因するものとしてはコロナ給付金で大量のマネー供給をしたことが副作用となって襲いかかっているようです。

このように新興国連合で欧米包囲網をとっていけば、長期的に見れば決着がつく算段でしょう。

人間はいくら偉そうなことを言っても、食料とエネルギーがなければ何もできません。いくら経済制裁をうけても、食料とエネルギーが自給できる国では最低限の生活や経済活動は可能です。
資源豊富で実体経済が旺盛な新興国連合の繫がりが強固ならば、焦ることなくパワーバランスが逆転するのを待っているのかもしれません。