[3348]白と黒の金融政策
副島先生が著書の中で、新しい世界銀行ができる場所と指摘していたカザフスタン(間違っていたらすみません)で非常事態宣言が起きたり、ウクライナの問題が一番のテーマの中でピントがずれているかもしれませんが、掲題をテーマに書いてみたいと思います。
円高で日本が崩壊すると騒いでいたのも遠い昔ではない2022年。今では円安で日本は貧しくなるとの意見が多く聞かれます。思えば、日銀総裁の金融政策に依拠するところが大きいように思えます。
前日銀総裁といえば、白川総裁です。円高志向であったとの評判です、2008年4月に総裁に就任していますが、この年にミスター円の異名を取る榊原英資氏は「強い円は日本の国益」という本を出版しています。天然資源が希少化していく21世紀、日本は円高政策に転換しなければ生き残れないとのことです。
海に囲まれた日本には探せば資源があると主張する識者もいます。また、日本が強い国になっては困るので、外国から資源開発をしないで輸入に依存させるように仕向けられているという説もあります。
とにもかくにも、現在は円安による原材料の高騰で値上げラッシュの報道が連日行われています。まさに強い円でなければ生き残れない様相を呈しています。
白川総裁の名前が”白”だけにホワイトハットとは言いませんが、通貨高が間違っているわけではなさそうです。
一方、現在の日銀総裁は黒田氏です。名前が”黒”だけにブラックハットとは言いませんが、通貨安の弊害が顕著になってきたようです。工場は人件費の安い海外に移転済みで、現地生産現地販売の今では通貨安の恩恵は限定的のように思えます。
円高時は、「安全資産の円が買われて円高になった」と頻繫に報道されていました。株式だろうと土地であろうと値上がりすればうれしいはずです。日本人が保有する円貨が値上がりして喜ぶどころか、日本が崩壊すると声高に叫んでいたわけです。
当然、急激な為替レートの変動は企業の利益に大きく影響するので是正の必要があります。
今では食料もエネルギーも自給率の低い日本は弱いとの理由付けで投機筋が円売りを仕掛けいると言われています。「リスク資産の円が売られて円安になった」と報道されて喜んでいたらマゾヒズムの極みです。
ローマ帝国が崩壊したのは、通貨発行量を増やすために金の含有量を減らしたことで信用が低下して覇権国家の座を失ったと言わています。歴史に学ぶならば、通貨を発行するために債務上限の引き上げを繰り返している米国は質の悪い通貨を発行しているも同然で覇権国家の座を失う道を進んでいるように思えます。
歴史を顧みても、通貨安で国家破産した国は枚挙にいとまがありません。一方、通貨高で国家破産した国はありません。円安と円高の究極の二択であるならば、通貨高のほうに軍配が上がりそうです。日銀の異次元緩和はルビコン川を渡ってしまったとの見解があります。もう二度と引き返せない一線を越えているようです。
庶民としては、日本の行く末を憂慮するばかりですが、その運命は・・・日銀総裁の名前が名前だけに既に「白黒はっきりしている」のかもしれません。