[3227]日米経済について

末席の新参者 投稿日:2021/08/13 23:00

最近のマスコミ報道から少し目を引いた記事について、私見を簡略に記したいと思います。

■米債務上限問題、民主党は単独で対応を – Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-08-11/QXOGAVT0G1L101
(関連記事)
「 アメリカ経済に今もつきまとう1965年に始まった狂乱物価の亡霊 」
https://shikiho.jp/news/0/429431

 私見です。米国では債務上限の引き上げが問題になっています。
もっとも債務上限問題はオバマ政権時代からマスコミでも取り上げられているので「またか」と思った人も多いでしょう。
 オリンピックのお祭り騒ぎに加え、さすがに米国債のデフォルトは回避されるとの見通しからなのか、今回はあまり報道されているように思えません。

 しかし今回の債務上限問題はこれまでのそれとは違うように思えるのです。
既報の通り、アメリカは消費者物価指数の上昇でインフレ状態です。長期金利である米国債10年物利回りと米CPIは一時的な逆相関はあるものの、おおむね相関関係があります。
 現在はCPIと長期金利の乖離が顕著な状態であり、長期金利には上昇圧力がかかってると考えられます。
 同様に非常に強い相関性のある、ISM製造業景況指数と米国債金利(10年物)の乖離も顕著で同様に長期金利は本来ならば上昇するべきところを金融緩和で低金利で押さえつけられているとも考えられます。

 MMT(現代貨幣理論)肯定派が主張するフレーズに「インフレにならないならば、紙幣を刷っても問題ない」があります。しかし、米国は既にインフレです。
 このような状況下で紙幣を供給すれば、更に紙幣の価値が希釈化(きしゃくか。水増し)され、その結果として、ますますインフレが進行することになりかねません。かねてより副島先生が著書で指摘されていた米国債(10年物)の金利上昇が起きようとしているように思えます。

 コロナ対策や老朽化したインフラの整備などとお題目を付けようが、お札が紙切れになるまで金融緩和を続けるより他に方法がないのでしょう。

 逆にFRBが金融引き締めでテーパリングを行えば、米国債の消化に悪影響して、これまた長期金利の上昇要因になり同時株安のトリガーになると推測されます。どちらにせよ「毒を食わば皿まで」の境地で、世界的な金融ショックが起きようが資本主義は止まることができないように思えます。

■「 ゴールドマン銀行免許取得で始まる、日本の中小企業“食い散らかし”」
https://diamond.jp/articles/-/277014

 私見です。先の通常国会で成立した銀行法改正案が日本の産業の解体の伏線と危惧されています。このダイヤモンド誌の記事にあるとおり、非上場企業の株式であっても100%取得できるようにするという内容が含まれているからです。

 中小企業に融資をしてくれる味方のはずの銀行が、企業を買収する側になるからです。さらに、外資系の銀行も含まれており、銀行免許を取得したゴールドマン・サックスが魅力のある技術を持った中小企業をマネーゲームの対象として一儲けを企てているなら問題です。ゴールドマンに限らず外資系銀行のターゲットにされてはたまったものではありません。

 コロナの喧騒に隠れて、日本の国力弱体化の外堀がまた一つ埋められているように思えます。