[2395]新元号は、ヘンだ。ダメ、こんなのは。もう西暦だけでいい。
副島隆彦です。 今日は、2019年4月2日です。
私は、金融セミナーのあと、喉(のど)を痛めた。それでも本書きの仕事があったので、 組み版屋(英語では、typesetter タイプセッター)に泊まり込んで、1週間で、なんとか金融本を粗(あら)く書き上げた。そうしたら、気管支炎を通り越して、肺炎の初期症状のようになった。今も苦しい。 が、気力を振り絞って、起き上がって、以下のことを書いておかなければ、と思った。
新元号(しんげんごう)が、「令和(れいわ)」だそうだ。何だ、このヘンな元号(日本式の年号)は。まっすぐ読むと、「上の命令をよく聞いて、下の者たち(国民、大衆)は、仲良く働け」という意味にしか、取れない。
もっと頭のいい専門家が、何とか知恵を絞って、皆が、納得する、年号が他に有っただろうに。「平成」は、国民が自然に受け入れた。今度のはダメだ。皆で使用を拒否すべきだ。
さらには、もう、日本式の元号なんか要らない。廃止してしまえばいい。西暦、西洋歴だけでいい。「西暦2019年 」だけでいい。それで何の不便もない。私たちは、それで何も困らない。 公務員たちも、ヘンな制度にしがみつかないで、そうすべきだ。 今の、両方併記も新聞紙と暦だけでいい。日本国内でだけで通用する、ヘンな制度に固執(こしつ、こしゅう)するべきでない。
私は、このあと後ろの方に、この「元号」問題についての、最新の自分の考えを書いた。そのウエブ・マガジンの文の一部を載せる。
今の安倍政権は、皇室(今の天皇、皇后。その次の新しい天皇、皇后、そして、次男坊の家族とさえ)と、ずっと大喧嘩(おおゲンカ)をしている。 宮内庁の若手の新聞記者たちは、そのことを記事にするのに、それが、本社に上がると、必ず、各社の上の方が、その箇所は、削る。握りつぶす。
美智子皇后は、安倍首相に向かって、「あなたたちは、憲法を改正して、また戦争をする気ですか」と、厳しく詰問したという。そのように、いろいろの方角から、漏れ伝わってくる。もう、隠し通すことは出来ない。
だから、安倍政権は、新天皇に、こんなヘンな元号を与えた。皇室への嫌がらせだ。 そうすると、新天皇が死んだあとの諡(おくりな、諡号。しごう)は、昭和天皇、平成天皇 と同じように、令和天皇になる。これを、新天皇は嫌うだろう。
それなら、新天皇は、自分の呼び名を、諱( いみな。即位まえの、若い頃の俗名。英語では、true name トゥルー・ネイム) が、浩宮(ひろのみや)徳仁(なるひと)であるから、諱(いみな)をそのまま使って、徳仁(なるひと)天皇と、国民から呼ばれるようにして、死後も、これを押し通せばいい。何の不便もない。
今上(きんじょう)天皇 という、勿体(もったい)ぶった呼び名もやめて、徳仁(なるひと)天皇で、いいではないか。英国の キング(王)・ジョン(ジョン・プランタジネット)、エリザベス1世(エリザベス・チューダー)や、ジェイムズ2世(ジェイムズ・スチュアート)、ビクトリア女王(ビクトリア・ハノーヴァー)だ。このように、王様は、そのまま名前の呼び捨てが、一番いいのだ。
今のエリザベス2世女王(相当に高齢)は、エリザベス・ウインザーだ。日本は、どうせ、英国(グレイト・ブリテン。連合王国)の真似をしています、と、世界に向かっては、言い訳するしかないのだ。昭和天皇も、外国からは、天皇ヒロヒト だった。
反共バカ右翼の、復古主義の、「オレは、日本男児だー。 ヤマト魂(ダマシイ)だー」 と喚(わめ)く馬鹿者たちを、のさばらせる必要は無い。 ヤマトというのは、山門(やまと)の国というのが、奈良盆地の南に有ったからで、その呼び名だ。長門(ながと)の国や、鳴門(なると)の国 と同じことだ。山門 が、やまとだ。
日本人が、それを、勝手に、西暦600年代に、中国の大和(だいわ)を、泥棒してきて、この山門(やまと)の呼び名として、くっつけただけだ。真実がバレてしまっている。副島隆彦は、この世で公然と通用している、大きな虚妄、虚偽、幻影 の一切を許さない。気づき次第、打ち倒してゆく。
大和(あるいは太和 )は、ダイワ と呼んで、中国語の 「大きな平和」という意味だ。この言葉は中華帝国(歴代の中国王朝)が、好んで使ったコトバだ。英語でなら、grand peace グランド・ピースだ。 「(戦争をしないで済む)大きな平和」だ。 漢字、漢文の知識、教養は、すべて中国から来た。「日本古来の、日本独自の・・・」と、あんまりバカなことを言うな。それは、劣等感(れっとうかん。インフェリオリティ・コンプレックス)の裏返しの、ただの強がりだ。
だから、もう、年号を私たちの生活から外してしまっていい。中国でさえ、中華民国(1912年1月1日)成立の時から、年号を消滅させた。それで少しも困らない。昭和の元号で生きて来た爺さん、婆さんは、どうせ死んでゆく。グレゴリオ暦を、天文学の最新の計測で計り直した 現在の西洋暦(キリスト生誕は、紀元前6年になっている)で十分だ。西洋暦だけで十分だ。何の問題も無い。あるなら、言ってみろ。
以下が、私が最近、3月末に書いた、文の一部だ。
(転載貼り付け始め)
・・・日本(人)は、どうせ世界の言うこと(世界普遍価値、ワールド・ヴァリューズ)を 聞かなければいけない。しかし残りの3割は、民族固有価値(ローカル・ヴァリューズ)
だ。
この考えからすると、日本国内だけで通用する、元号という制度も、国家体制としては、やめてしまえ、となる。もう、ここまで来たら、西洋暦だけでいい。本当に、この2つを使い分けるのは、本当に、面倒くさい。いい加減に無くして欲しい。
何だか、最近、和号、すなわち日本式の年号(中国は元号は無くなった)を、故意に強調して、使おうとする風潮(ふうちょう)が見られる。私は、反対だ。
私は、言論人として、たくさんの文章を書いてきたが、昭和63年=平成元年=1989年を、いちいち思い出し、これに従って、変換するだけでも、大変、不便であった。
例えば、平成25年は、西暦で何年ですか、と、言われて、即答出来る人間はあまりいないだろう。本当に迷惑した。西(洋)歴だけで、公務員の公文書もいいではないか。何か問題があるのだろうか。
いいや、元号で、オレ様は、生きている。西暦なんか、大嫌いだ。オレは、日本男児だ、大和魂(やまとだましい)だ。ニッポン万歳、天皇陛下万歳。と言って聴かない人に、私は、何も言う気は無い。
今の天皇も、次の天皇も、「天皇陛下、バンザーイ」を、嫌う人であり、やめて下さい、と思っている。と皆さんは知っているか。そういう復古調の、保守反動の、奇妙な生き方は、皇室も厭(いや)がっているのであり、愚かである。 ザ・カルト・オブ・ヤスクニ(靖国)の集団だけが固執している。
皇室の制度としては2019年5月から、浩宮徳仁(ひろのみやなるひと)が今上(きんじょう)天皇になる。奥様はちょっとご病気だけど雅子妃が、皇后になる。国家体制としては、これで続いて行けばいい。だが、日本は王国(キングダム)なのであって、決して帝国(エムパイア)の皇帝(エムペラー)ではない。
日本は、世界中にまだ、50ぐらいある王国(たとえば、ヨーロッパ諸国のベルギー、スウェーデン、オランダ、スペインなど。次第に女王が多くなっている) と全く同じ、ただの王国だ。飾りの冠(かんむり)だ。王国は、帝国ではない。このことも、はっきりと、釘を刺して、繰り返し、私が、言い続けなければいけない。
新天皇の弟の秋篠宮(あきしののみや)は立皇嗣(りっこうし)の礼(皇位継承順位1位)という特別な儀式をやるそうだ。こんなものは、天皇家の私的な儀式として、密やかにやるべきだ。そのことを、秋篠宮本人が、最近、はっきりと発言して、安倍政権を驚かせた。「必要も無い、大切な国のお金を、私の儀式の為に掛けないで下さい」と言った。極めて正しい発言だ。
秋篠宮の長男である悠仁(ひさひと)親王が、今の皇室典範(てんぱん)(という法律)に従えば、次の次の天皇になると、安倍政権は考えている。しかし、そうはならないだ ろう。私は、皇室典範、という法律を改正して、新天皇の長女である、愛子さまが、そのあとの天皇になれば、それが、いい、と思っている。
女性の天皇でいいのである。どうして、女の天皇だと、何が、困るのか。「男系の男子が皇統(こうとう)を継ぐ」と、皇室典範に書いている、と、頑迷な右翼と、復古主義者は、自分が、何か、素晴らしい、深い知恵のある、考えの持ち主だと、自分たちで信じているようだが、愚かである。
「絶対、男の天皇でなければいけない。女の天皇だと、日本国は、危機に陥る。女系のDNAを、男系に戻すのは大変だ」などと、憂慮する者たちは、女性差別主義者で、ある。
女性差別は、公然たる憲法違反で(憲法24条「両性の平等」違反)ある。世界基準(ワールド・ヴァリューズ)違反である。
世界中から来ている外国人の記者たちから見たら、「男系の男子が皇統を継ぐ」と書いてある皇室典範は、はっきりと女性差別になる。世界基準から見たら、女性、女系(じょけい)の天皇を認めない法律は、法務省の人権擁護局が、女性差別だ、と、動かなければいけない。男女平等に反している憲法違反(憲法24条、両性の平等) だ。
このことをはっきりと、知識として知ったら、日本の女性たちの多くが、眉毛をつり上げて、怒り出すだろう。いまどきの右翼志向の、なにかあると、「オレは、日本男児 だ、ヤマト魂だ」と言わないと気が済まない、奇妙な男たちは、反省した方が良い。
このことを、自分の周りの女たち、すなわち、母親、兄弟(姉妹)そして自分の奥さん(配偶者)に、聞いてみるといい。
自分の偏狭なアタマが、いつまでも、通用する、と思わない方がいい。自分が、日本国民の多数派ではない、と思い知るべきだ。「女性の天皇でいい。愛子様が次の次の天皇でいい」と思っている日本国民は、多くの国民調査で、8割を越しているのだと、知るべきだ。安倍政権も、どうせ、あと2年で終わるのだ。
このことでは、私は、「男の天皇でないと駄目」と言っている、櫻井よしこさんと激しく、議論してもいい、と考えている。私は、「女のくせに」というコトバを、わざと使ってでも、「女のくせに、女の天皇を認めない、というのは、どういうことですか」と問い質す。そして、「『北条政子』を書いた、小説家の永井路子(ながいみちこ)さんが、女性の天皇で何か、いけないの、と言っていますが、櫻井さん、どうですか」と彼女に詰問する。
繰り返すが、秋篠宮が、昨年11月22日に公開された誕生日会見で、大嘗祭(だいじょうさい)の費用について「宗教色が強いものについて、それを国費で賄(まかな)うことが適当かどうか」と発言して、物議を醸(かも)した。代替わりの儀式は簡素にやればいい、ということだ。宮中賢所(かしこどころ)でさっさと終わりにすればいいのだ。国家体制に宗教色を出してはいけない。
私は言論人の菅野完(すがのたもつ)君が、外国人記者クラブで会見した時の発言をネットで見て、気づいた。皇室典範(こうしつてんぱん)というのは、ただの法律だ。
だからこれを改正すれば、女性、女系の天皇を認めることが出来る。戦前は皇室典範というのは、憲法と対等のものだった。
明治憲法体制では、特別なものだった。何しろ明治憲法は、皇祖皇宗(こうそう)とその時の天皇との契約、という形になっていた。天皇は、憲法体制の外側にいて、憲法典の上にいた。今は、そういうことはない。天皇は、憲法の中にいて、憲法によって規制される存在だ。だから、立憲君主制(リミッテド・モナーキー)なのだ。
いまの日本国憲法は、「世界の人々に、日本国民がお約束します。私たち日本国民は、もう戦争はしません」という内容の文章だ。世界に向かって、まるで選手宣誓のような、平和宣言をしている、おもしろい憲法だ。今の日本国憲法は、世界の人々に向かって、日本国民が代表者を立てて、約束(契約)しました、と言う形の憲法である。
この日本国憲法は、米軍の進駐軍の中の軍人の、ハーヴァード大学を出た法律家たちが、たった2週間で作って、「これを、お前たちの新しい憲法としなさい」と、下げ渡した憲法典だ。だから、自民党の中に長く、「押しつけ憲法だ」と主張がある。始めにこのことを言って、「自分たちの手で、憲法改正すべきだ」と動いたのは、鳩山一郎 首相(当時、1954年)だ。鳩山政権は、ものすごく国民に人気のあった政権だ。だが、アメリカが嫌って、鳩山政権を潰した。
今回の天皇の「譲位(じょうい)」、つまり代替わりと改元に関して、私は前述した通り、元号なんか国家制度としては廃止した方がいい、という考えだ。今度の生前譲位と改元ぐらいのことで、日本に革命思想が入った、と大騒ぎする人がいる。私は、そういうのは、つまらない議論だ、と思う。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦です。新聞記事を一本だけ載せる。
(転載貼り付け始め)
●「新元号、各国にファクスで伝達へ 「興味ない」の見方も」
2019年3月29日 朝日新聞
https://www.asahi.com/articles/ASM3Y5533M3YUTFK019.html
政府は、4月1日に決まる新しい元号をその日のうちに世界の国々に知らせる 予定だ。
平成への改元の際には英語で「the new Japanese Era be called Heisei」(新しい日本の元号は平成と呼ばれる)と伝えたという。
新元号発表後の1日午後、日本が国交を持つ195カ国の在日大使館や、国連、欧州連合(EU)の代表部に外務省から英語の文書でファクスを送る。外務省関係者によると、文面は未定だが、天皇陛下の退位と皇太子さまの即位 の予定のほか「5月1日以降の元号を●●とすることが決まった」などと説明する 見通し。漢字では伝えないという。海外の日本大使館にも、各国に同様の説明を するよう指示を出す。
各国は天皇陛下の退位への関心は高いが、外交では西暦が主役で、元号には 「あまり興味がない」(外務省幹部)との見方もある。
(転載貼り付け終わり)
諸外国は、日本独自の年号なんかに何の興味もないだってさ。当たり前だ。
副島隆彦拝