[2129]まさか陰謀論でくるとは・・・・

相田英男 投稿日:2017/04/20 00:08

相田です。

東大元教授で原子力研究者の諸葛宗男(もろくずむねお)氏が、東芝問題について書かれていた。諸葛氏は福島事故の際に、コメンテーターとしてテレビに出ずっぱりだったので、顔を見れば誰でも、あああの人か、とわかるだろう。

http://www.gepr.org/ja/contents/20170418-01/

私が先にぼやきで書いた内容は技術の話に留めたのだが、諸葛氏の場合はSNSIの私の向こうを張って、思い切りアメリカ政府の陰謀に振っているのが、大変可笑しかった。私もアメリカで実際の建設現場を見た訳ではないので、本当の処はわからない。諸葛氏は東芝にもツテがあるみたいなので、内部情報もいろいろ御存知なのだろう。

それでも、WECの軍事技術が中国に渡ることを恐れたアメリカが、AP1000の建設工事を密かに妨害したという諸葛氏の推測 には、ちょっと無理があると思える。ぼやきにも書いたが、空母の原子炉を作っているウェスティングハウスはノースロップ・グラマンの子会社で、東芝のWECとは全くの別会社である。だから東芝が軍事用の核技術を中国に渡すことは出来ない筈だ。

空母や原潜の原子炉も同じウェスティングハウス設計のPWRだろう、とも思えるのだが、実はウラン燃料が軍用と民間用では全く異なる。発電用ウランの濃縮度はせいぜい5%程度であるが、空母用のPWRには濃縮度95%という、とんでもない高濃度のウランを使うらしい。濃縮度が90%を超えるとそのまま原爆として使えてしまう凄まじいウラン燃料を、空母や原潜は平気で積んでいるのだ。 原子炉の構造上、核爆発に至ることは無いらしいが・・・・

確かにこんな技術が中国に渡ってしまったら流石にマズイと思うが、東芝はこっちは関係ないのだ。AP1000 は中国では一足先に完成しつつある。ということは設計図面も中国は既に見ている。図面から建設過程から全てを見れる訳だから、AP1000の技術的なノウハウに関しては、リバース・エンジニアリングをやり尽くしてほぼ全てを中国は理解している筈だ。特許の関係で中国は自由に使えないだけで、東芝が隠す技術など今更ないと思う。

ウィキペディアの英語版でストーン&ウェブスターについて見たところ、ショーに買収された後では、とんでもないアコギな仕打ちを受けていることが書かれていた。敢えてここでは引用しないが、ショーに買収された時点で、ストーン&ウェブスターにはまともな技術など殆ど残っていなかったのではないだろうか?

そもそもが東芝は、GEの意向を忠実に伺いながら事業を進める会社だ。アメリカが中国との関係を嫌うならば、GEが東芝に指示すれば済む話だと思う。でもこの件でGEが東芝を指導した形跡は全く無い。

今回の経緯については、原子力規制委員会のメンバーをアメリカに派遣して、関係者にヒアリングして真実を書き留めておくべきだろうと、私は強く思うがどうなのだろうか?断層の周期が一万年とか十万年とかの、馬鹿げた議論を繰り返してる場合じゃないだろうに・・・・。もうやってるならいいんだけどさ。

相田英男 拝