[2042]トランプ大統領の時代にむけて、私が思ったこと。
副島隆彦です。 今日は、2016年11月10日です。
ドナルド・トランプが米大統領選に勝利して、次の大統領になると決まった(きのう午後5時前。ニューヨークの現地時間では午前3時。朝というよりも真夜中の3時だ。勝利のお披露目の時、みんな眠かっただろうなあ)。
私は、トランプ勝利の宣言は、世界一早く(笑い)、11月5日(下の↓の「2035」番)でした。「トランプは、もう勝者かつ王者の風格だ」と書いた。
私は、手短かに、今の私の考えを簡単にポイント・フォームで書く。
1.アメリカの大きな変化に対応して、日本も変わらなければいけない。 今の安倍晋三のような 世界の大きな変化に対応できないような、愚か者たちを退場させないといけない。 まさか、そんな、そんなことは出来ないよ、と皆、思うだろう。だが、そんなこと分かるものか。世界はどんどん変化しているのだ。
2.大きな変化を感じ取って、「なんか嫌(いや)な感じだなあ」と感じ取っているのは、安倍晋三自身だと思う。「日米同盟(本当は、日米の 帝国と属国の関係)は揺(ゆ)るぎないものであって、さらに堅固なものに」という官僚作文を読んだあと、即座にくるっと後ろを向いて、行ってしまった。イヤだったんだろうなあ。TPP という、いまさらアホとしか言いようもない、世界に向かって赤っ恥の法案をまだ、国会で通そうとしている。トランプが、「私が大統領になったら、TPP交渉は全廃する。そして新しい交渉を始める」と言っているのに。運動会が終わったのに、児童が一人でまだ校庭を走り回っている哀れなさだ。
3.日本は、世界政治(=国際社会)で通用するだけの指導者の人材を、国民が育成しないといけない。もう、今の日本は、世界の大国(たいこく。=主要国)扱いされている無い。 韓国や台湾と同じ程度の国になっている。「北朝鮮と、韓国と日本を合わせてひとつ。こいつらよく似ているなあ」という感じだ。今の日本人の指導者(政権政治家。40代、50代を含む)たちでは、とてもではないが、世界政治の舞台では通用しない。いいように扱われて、カネ(経済援助や貢ぎ金)だけ取られて、おしまいだ。
4.今の天皇、皇后が心配しているのも、このことだと思う。日本国内で威張っているだけの、幕閣(ばっかく。老中たち=譜代の大名の会議)やお奉行様(官僚ども)のような連中ばっかりだ。 ずば抜けた頭をした人間たちを、登用して、一番上に引っ張り上げて、世界舞台で、動けるようにしなければいけない。どう考えても、何も分かっていない、頭の悪いのが、いいかと思って、自分たちが、日本では一番のエリートです、みたいに、しゃしゃり出て、知識、情報の供給をやってみても、その質(しつ)の悪さが、どうしても露呈する。
5.日本のメディア(テレビ局、大新聞)も、反省しないといけない。アメリカの大新聞や、ネットワーク・テレビ局の 言いなりで、下げ渡された情報と、足りない頭の理解力、だけで、ウソの報道を散々やり続けた。日本国民を洗脳(せんのう)するだけの「報道機関」(実態は、権力の広報機関)になっている。
6.自分たちは、頭がいい、と思い込んでいるだけで、実は、何にも知らない、日本基準だけで通用する秀才の坊ちゃん、嬢ちゃんの集まりだ。 あまりにも、自分たちは、先を見ることの出来ない、体制側エリートのアホだったと自覚したら、内部で真剣に反省会を開きなさい。だけど、それも出来るかなあ。その足りない知識、思想、学力で、いくら集まって会議を開いても。
7.アメリカの大新聞、大テレビ局(ネットワーク、ケイブル・テレビ)も、「自分たちは馬鹿だった。自分たちエリート(エスタブリッシュメント)は、アメリカ国民が何を求めているのかを、分かっていなかった。私たち全員が、反省しないといけない」と、ぼそりと言った。
ABCに出ていた、ネオコンの親玉のひとりの、ビル・クリストル(この思想派閥の創業者のひとりであるアービング・クリストルの息子)は、ヒラリー敗北で、内心、相当追い詰められていたのか、困り果てた感じで、「私もカナダに移住しようかな」と言った。 日本のテレビ司会者たちも、プロディユーサーたちもしっかり、反省した方がいい。
8.とくに、あの世論調査会社たち( pollsters 、ポールスター)というには、嘘八百のアメリカどころか、世界の民衆を、1年半に渡って、ウソばかりの、「高度の統計学に基づく支持率の算出」という、民衆洗脳をやったのだから、叩き壊さないといけない。トランプ政権とアメリカ国民が、これをやるだろう。
9.私は、さっき、あるテレビ局の番組の依頼を受けたが、断った。「どうせ、私は、言いたいことを言いますよ。それでいいんですか。ご迷惑をお掛けするだけだから、せっかくのお話ですが、出ません。ただの顔見せ興行で、使われるのもいやです。私は、もう63歳ですよ。世の中の裏側も、全部分かるようになりましたから」 と言った。
10.そのあと、私は、考えを変えた。各テレビ局の人たちに、ここで、お願いしておきます。
私、副島隆彦はテレビには、あまり出たくありません。しかし、私の弟子たちに、優秀な人材が育っていますから、彼らをコメンテイターとして使って下さい。 彼らは、私のように激しい人間ではありません。みんなの前で失礼なことは言いません。
11.私の弟子たちは、穏(おだ)やかに、聞かれたことに何でも答えるでしょう。何でも聞いて、勉強して下さい。日本国民に、大きなところでの世界の動きとか、アメリカの現代の政治思想 (ポリティカル・ソート)の諸流派のこととか聞いて下さい。ですから、私の弟子たちを推薦しますから、彼らを使って下さい、と、この場でお願いします。
12.英語(外国語)も、ただのペラペラ日常生活、英語ではなくて、世界で通用している政治思想の諸流派(思想派閥)の全体構造の理解をしたうえでの、英語が分かっている人材もいます。今の日本は、ここが、この一点が致命的に弱いのだ。自覚すべきだ。私、副島隆彦から、こんなことを言われたくないだろうが、ここは、素直に聞きなさい。私はいいから、私の弟子たちをよろしく。
13.私が、今朝、テレビを見ていて、「あ、次の焦点は、ここだな」と、分かったことがある。もう大統領選のお祭り は終わったのだ。「さあ、仕事をするぞ」だ。勝利演説のときの トランプは、もう、選挙戦の最中の、腐った体制を壊す側の代表の攻撃隊長の顔付きではない。もう、経営者の顔になっていた。私が、この国を経営するのだから、馬鹿なことをやっているヒマはない。幹部たちは、全員覚悟しろ、という、引き締まった顔をしていた。
能力の無い幹部は、次々と” You are fired ! ” 「ユー・アー・ファイアード」「お前はクビだ」で、どんどんクビを斬るだろう。「その仕事をお前に任せたんだから、しっかりやれ。出来なければ、クビだ。替(か)えはいくらでもいる」と。この言葉は、本当にトランプのよく使うコトバだ。
もし、ネット上で見つけることが出来るなら、この一瞬の 画像や、動画を、誰か見つけ出して欲しい。そして、ここに貼り付けて欲しい。
テレビ番組「アプレンティス」の「ユー・アー・ファイアード」のシーンだけを集めたもの
女性:「オバマ大統領に対して言いたいことは何ですか?」
トランプ:「ユー・アー・ファイアード」
このあと、以下に貼り付ける日経新聞の今朝の記事の最後の、一行で分かった。
ここに、「 閣僚や省庁幹部など政治任用ポストの人選を進めるのも任務で、トランプ氏はニュージャージー州のクリス・クリスティ知事を責任者に充てると発表」と書いてある。
私が、ニューズ画像で見たのは、雨だったのだろう、いつものトランプ号の専用機から降りてくる、トランプの横に、タラップから一緒に降りてくる 大男のデブがいた。
「あ、クリス・クリスティだ」と私は気づいた。彼は、現職の州知事で、元検事で、
このニュージャージー州というのは、日本で言えば、東京都の隣の埼玉県のような州(ベッドタウン州)で、ちょっと貧乏だがまあまあの州だ。ここの州知事をしているクリスティは、大物(おおもの)である。彼自身も、大統領選挙に出ていた。共和党内の指名争いに参加した8人のひとりだ。自分には勝ち目がない、と分かったら、クリスティは、さっさと選挙戦から撤退して、即座に、ドナルド・トランプの応援に回った。トランプを支持表明して、応援演説にも加わった。先はどうなるか、分からないが、クリスティは、トランプに自分の未来も賭けた。
高齢で重鎮のルドルフ・ジュリアーニ(NY州の検事総長、市長あがり。彼も大統領の呼び声が高かった )ほどではないが、どんなに厳しいときにも、徹底的にトランプを支えた。時代の風向きを鋭く感じ取り、アメリカ国民の切実な願いと、怒り、をよく知っている男だ。
このクリス・クリスティが、「ヒラリーを逮捕、投獄せよ」 Lock Her Up ! 「ロック・ハー・アップ !」の 7月19日の共和党大会での、大会場の7千人の全州からの共和党の代議員たちの 怒号、大合唱(チャント)の立役者だ。このあと、トランプの集会では、行く先々で、この 「ロック・ハー・アップ !」が鳴り響いた。
クリスティのことは、私の「トランプ大統領と アメリカの真実」(日本文芸社刊、7月1日)に書いたので、読んで下さい。この巨漢(以前は、200キロぐらいあった)のクリスティ州知事が、トランプの政権移行チームの、新閣僚、高官名簿を作成する係になった、と、上述した記事に書いてある。だから、クリスティは、トランプの政権の大統領に次ぐ、No2の実力者ということになる。
このクリスティが、トランプと、一緒に、雨の日の、10月中の遊説先の、空港で、専用機から、降りてくるときに、降り口(出口)から出てきたとき、大きな黒いこうもり傘をさしていた。 その傘を持って、トランプの頭の上にかざしながら、「一緒にタラップを降りてください」と案内係のトランプの身の回りの世話係のスタッフに、咄嗟(とっさ)に言われたのだろう。この瞬間を、飛行場で待ち受けていた、報道陣のカメラの砲列が捕らえたのだ。
ところが、クリスティは、出口を出てすぐのタラップ(階段)のところで、なんと、その傘をトランプに渡してしまった。そして、トランプよりも、ほんのわずかだけ、前を歩いて、ほとんどくっつくようにして階段を降りてきた。トランプは、「しようがないなあ」という感じで、自分で傘を持って、すこしだけよろよろしながらクリスティと降りてきた。 この 一瞬の動作が大事だ、と私、副島隆彦は分かった。
クリス・クリスティは、自分は、ドナルド・トランプ支持にまわり、彼を支えて、応援している人間だ。そして、自分も政権の長官(閣僚、キャビネット・メンバー)になろうとしている。だがクリスティは、「自分は、トランプの言いなりの、家来、子分ではない」という意地を、この瞬間に見せたのだ。 「私は、あなたを一番、近いところで支えている。だが、子分ではない。同じ目的に向かって、アメリカ国民のために、本当のデモクラシーのために闘うための、同志として、あなたと付き合っているのだ」という意思表示を、クリスティは、このとき、「この傘は自分で持ちなさい」とトランプに渡すことで、やったのだ。 これが、大物のやることだ。
だから、さらに、副島隆彦は、ここから政治分析をする。日本国民に大事なことを教えてあげる。
クリス・クリスティが、トランプが、4年、あるいは8年間、大統領をやったあとの、「その次の大統領は、私だ」という 意思表示なのだ。クリスティは、まだ50代の若さだ。 自分とトランプの二人の間でだけは、こうやって、「私は、子分ではない。だから、あなたの傘は持たないよ」とやってみせたのだ。
こういう瞬間の、政治家の行動は大事だ。 私、副島隆彦に、政治分析、人間観察の才能があるのは、こういう一瞬を捕らえることが出来る、ということだ。こういう一瞬から、“政治を読んでゆく”のである。 分かりますかね。
(転載貼り付け始め)
●「 米トランプ政権へ移行準備始まる 来年1月就任 」
2016/11/10 6:19 日経新聞 ワシントン支局
米大統領選が共和党のドナルド・トランプ氏の勝利に終わり、来年1月の政権移行に向けた準備が始まった。オバマ大統領は9日昼(日本時間10日未明)、ホワイトハウスで声明を読み上げて「党派は関係ない。国家が第一だ」と円滑な政権移行を進めると表明した。トランプ氏には9日午前3時半に電話で祝意を伝えたと述べるとともに、10日にトランプ氏をホワイトハウスへ招いたと語った。
米大統領選で勝利宣言を終え、支持者と言葉を交わす共和党のトランプ氏(9日、ニューヨーク)=ロイター
オバマ氏は声明で「次期大統領と私の間に、かなり大きな違いがあるのは秘密でもなんでもない」と述べたうえで「8年前はブッシュ大統領と私の間にも大きな違いがあったが、成功裏に移行できた」と強調した。
一方、大統領選に敗れた民主党のヒラリー・クリントン氏は9日、ニューヨーク市内で支持者を前に「結果を受け入れて前を向かなければならない。トランプ氏が素晴らしい大統領になることを期待している」と結束を呼びかけた。
トランプ氏が来年1月に正式に大統領に就任するまで、政権移行準備チームが発足し、約2カ月をかけて現政権との間で引き継ぎが行われる。閣僚や省庁幹部など政治任用ポストの人選を進めるのも任務で、トランプ氏はニュージャージー州のクリス・クリスティ知事を責任者に充てると発表している。
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦 記