[1388]日本書紀と天武天皇の正統性の問題
投稿日:2013/10/02 08:53
古い話で申し訳ありません。
『日本書紀』は、御存知のごとく日本国の最初の正史です。正史と言うのは、その国家の歴史(由来)を公的に述べた書です。『日本書紀』は、天皇家が日本の支配者になった正統性を高らかに歌い上げています。この『日本書紀』が、天武天皇の勅命で編纂が開始されたことは、『古事記』『日本書紀』が明らかにします。」
しかし、天武天皇(大海人皇子)は、平和な禅譲によって即位したのではありません。「壬申の乱」と呼ばれている日本を真っ二つにし、一ヶ月にも及ぶ大内戦によって、兄(天智天皇)の長男(大友皇子)を滅ぼして皇位に就いたのです。故に『日本書紀』は、天武の正統性を最優先に主張しています。大友皇子より天武のほうに即位の優先権があった、と言うのです。これが正史(日本国)の公式見解です。
しかし、それならどうして後世の日本人が天武の決起を「乱」と呼んできたのでしょう。「乱」と言うのは、秩序を破壊することです。臣下が主君に乱暴を働くことを言います。後世の日本人は、天武の行為を「乱」と呼んできた。東大寺大仏の開眼供養のあった前年に上梓された『懐風藻』は、天武の決起を「乱」と明記します。つまり、臣下が主君を討った、天武に正統性はなかったと。
『日本書紀』は、逆臣であった天武(大海人皇子)を、正統化する為に編まれた『書』です。
(今日は、ここまでにします)