[1252]金(きん)が少し下がった今だからこそ買い増すべきである。
副島隆彦です。 今日は、2013年4月18日です。
金(きん)の価格が、先週末から、急落しました。そして週明けの4月15日、16日に、激しい動きがあったようです。
私の理解では、 1オンス(31グラム。世界値段)が、1550ドルだったのが、1350ドルあたりまで、200ドル下げた。日本国内の値段では、卸(おろし。東京商品取引所、商品先物市場)で、1グラム4800円が、4400円まで、400円下げた。
これを、小売り(田中貴金属など)で買う時は、250円(消費税と手数料)を足すので、5050円ぐらいが、4650円ぐらいの買値になっている。売値は、消費税分が戻ってくる(金と言う鉱物資源は消費、消滅しないので)戻ってくるので、4550円ぐらいで買い取ってくれる。
だから、金の売りを仕掛けた、ゴールドマンサックスや、NYのグローバル・マクロのヘッジファンドたちは、たしかに大きな収益を出しただろう。国際バクチ打ちたちのやることだ。彼らは、懲りることなくこういう荒っぽいことをする。 先週の水曜日(10日)に、ゴールドマンが、「1オンス1390ドルまで金は下がる」という予想価格の変更を急に出していた。 あとにその記事を載せる。 それで、200ドルの急落相場を作ったのだ。
中国の経済見通しが、「成長率7.7%という低い予想だったので」と、それを理由のひとつにした。年7.7%のGDP成長率というのは立派なものである。自分たち先進国の成長率は、マイナス(▼)2%か? 一体、どういう神経をしていたら、他人(ひと)の国の7.7%を悲観して見せて、自分たちの▼2%のデフレ経済(衰退国家。成長なし。デフレ不況のまま)の現実を見ないで、あれこれ勝手な妄想を書けるのか。
私は、今の世界の金融市場の大きな変調と、異常な乱高下の様子を心配している。おそらく世界規模での金融恐慌への突入が迫っている。 秋まではヨーロッパは崩れないと、一番厳しい見方をしている、私でさえ考えていたが、3月18日のキプロス(人口90万人の小国。それでもユーロ圏=ゾーン=17か国のひとつ)が、預金封鎖、銀行預金引き出し凍結、預金への強制課税、という金融危機を世界に露呈させた。銀行の前に人があふれる「取り付け騒ぎ」 bank-run バンク・ランが起きている。 the run on the bankとも言う。
それで、今もヨーロッパ人たちは、各国で、どんどん自分の預金を引き下ろす動きに出ている。キプロスでは、自分の預金を下ろせなくなって怒った人が、ブルドーザーで銀行に体当たりしていったそうだ。すでに世界金融恐慌は、始まっている。私、副島隆彦は、3月20日ごろ、と 4月1日と、4月11日に、矢継ぎ早に、「すでに預金封鎖、金融統制体制に日本も入った。自分で現金を身近に持ちなさい」と書いた。
金(ゴールド)の価格の急落は、乱高下が3日間、金の先物市場(NYのCOMEX市場)で起きただけのことだ。ばくち打ち(目先の金儲けの投資家たち)の間で、400円近い急落があったので、レバレッジ(投資倍率)を10倍から20倍ぐらい掛けていた客たちが、ポジション解消の投げ売り、あるいは、強制的なロスカット(証拠金の没収)にされた。 あるいは、今も追証(おいしょう)とい追加の担保金(保証金、証拠金)の提出を先物業者に求められて慌てている。
それでも、4月16日の金(きん)市場(相場)の最後で、4350円(NYなら、1オンス1400ドル)に戻して、「底打ち」(取り合えず、これ以上は下がらないで。食い止って、反転=反騰した)した。 だから、400円の幅の乱高下で、プロやセミプロのばくち打ちたち(女性でも、一生、この金融バクチが止められない人たちがいる)は大慌てして、そして、もっと規模の大きい金融投資法人のファンド・マネージャーたちは、大慌てして、予想を超える大きな損を出したら、会社をクビになるから、必死の形相で、のたうちまわったはずだ。
ところが、現物(げんぶつ)で金を買っている、副島隆彦の言うことをよく聞いている人たちは、私が、本でも書いているとおり 「4600円ぐらいにまで下がったら買い足しなさい。下がったら買う、暴落したら買い増すという姿勢で、金を保有しなさい」のとおりに今の金の乱高下でも平静を保って市場を見ていられる。
いくらアメリカのドルと米国債の無制限の刷り散らしを防御するために、金を苛(いじ)めて、金に スパイダー・ゴールドシェア(トラスト)という売り崩しの仕組みを使って、大暴落を仕掛けても、15日の1334ドル(瞬間の最安値)ぐらいが、限度だ。
やはり、新興5大国の、インド、中国、ブラジルの新興の小金もちたちが、1500ドル/オンス以下になるとどんどん買ってくる。 成長国家群であるBRICS と 先進国(歴史の運命、必然としての衰退国家群)との重要な闘いの場のひとつだ。
そしてBRICSがどうせ勝つのだ。 先進国が、もう歴史的に成長が止まっているくせに、「成長にさらに成長を付け加える」というような インチキの金融政策1点張り ― これが日本では、アベノミクスだ ― をやってみても、それは人類を支配する歴史の法則に反する。
「クローサーの国家の6つの発展段階説」 の すでに、第6段階である、 「貿易赤字に続いて経常赤字にもなり 資本収支を食いつぶす段階に来た」ところの「対外債権の取り崩し国家段階」に日本も突入しつつある。 この冷酷な現実のことを、近刊の拙著である『浮かれバブル景気から 衰退させられる日本』(徳間書店、2013年3月末刊)に私はある程度詳しく書いた。
国家の発展段階の第7段階とは何か、そんなものがあるのか、を私、副島隆彦は、今、真剣に考えている。超新星爆発(スーパーノヴァ)以外には、考えられない。誰も考えることが出来ない。 誰も正直に答えられない。
金の値段は、結局、私が、買いなさいと進めて、数人の読者に買わせたときが、2週間ぐらい前に、1キロ480万円(1グラムなら4800円)だったのが、今は、これが、田中貴金属で買うと、465万円 (1グラム 4650円)だから、たったの250円下がっただけだ。為替は1ドル98円ぐらいで全く変わらない。これ以上の円安にも向かえない。世界中から、「日本は通貨戦争で、自分だけ通貨安を仕掛ける気か」と叱られる。
だから金(きん)を今こそ今の安値で買いなさい。まだ買ったことがない人は、100グラム(47万円)でもいいから買いにゆきなさい。そして自分の手元に置いておきなさい。それが近い将来、自分の生活を守ることになるだろう。なんら動揺することなく、不安がることなく、どんどん余裕資金の預金のある人は預金を銀行から下ろして(引き出して)、金とかの安全な実物資産(タンジブル・アセット)に換えなさい。 この実物資産というコトバは、私、副島隆彦が、日本の金融・経済の世界に流行らせたコトバだ。使う専門家は、副島隆彦の顔が頭に浮かぶ。「属国・日本論」と同じだ。
今は、もう世界中が、市場経済(マーケット・エコノミー)ではなくて、統制経済(コントロールド・エコノミ―)なのだ。 すべては統制されようとしている。 世界恐慌への突入を前に、すべての経済活動を、政府、官僚が、各国連携で統制、管理しようとしている。
だから自由な価格決定の市場(マーケット)が操作され、政府の資金で動かされ存在しないのだから、経済学(エコノミックス)も経済学者(エコノミスト)も死んでいる。生きているのは、フィナンシャル・サプレッション(金融抑圧)をやると決めた統制主義者たちだけだ。
国債(ナショナル・ボンド)を中心とする 債券市場(ボンド・マーケット)の乱高下が激しい。この債券市場で、高速ロボット・トレーディング(CTA コモディテイ・トレイディング・アドヴァイザリーズ)が暴走して、それで大きな金融システム破壊、大爆発、大暴落が、近く起きるだろう。
だから皆、今のうちに、自分の預金を下ろして、金を現物で買いなさい。
副島隆彦拝
( 新聞記事の転載貼り付け始め)
●「 日本で高まる金の需要、アベノミクスで世界に逆行 」
2013年 04月 17日 17:00 JST ロイター
金に向かう個人投資家の中には、国内総生産(GDP)の2倍以上の債務を抱える日本の財政が、「アベノミクス」で危機的な状況に陥る可能性を懸念する向きもある。「金を買っている人は、アベノミクスが引き起こす円安と物価上昇、財政破綻を懸念している」と、田中貴金属工業の原田和佳子・貴金属部長は言う。「円資産の劣化は避けられないということで、ヘッジをしたいとして来店する」。
安倍政権の経済政策に反応し、日経平均株価は今年に入って27%ほど上昇した。しかし都内で年金生活を送るある女性(64)は、アベノミクス効果が長続きしないと感じている1人だ。彼女は先週、銀座で開催された金製品の展示会で、30万円分の24金製の金貨を3枚購入した。女性は紙袋に入った金貨を手に、「(株は)自分が働いていた会社の持ち株はあるし、ほかの銘柄は買おうとは思わない」と言う。「株は下がるときは大きく下げるし、今は(相場は)強いけど、どれだけ持つか分からない」。
<売れ筋は金の仏具>
スタンダードバンクの池水雄一・東京支店長によると、2─3年前に金の価格が上昇した際は、大量の現物売りが出たという。しかし、今回は様相が異なる。「下がったところは買ってきている。金融危機や、日本の財政状況を見て、円、債券や株なども不安だということから、発行体のリスクのないものとして、金に資金を振り向けている人が出ている」と、池水支店長は指摘する。
円建ての金価格が史上最高値に迫った先週、都内の貴金属店には高齢者を始め、使わなくなった金の指輪やネックレスを売る人の長い列ができた。しかし今週火曜日には状況が一変、買い手が売り手を大きく上回った。田中貴金属の銀座本店には、金を買う人々が列を作り、中には3時間待ちという人もいた。
田中貴金属からほど近いSGC銀座では、火曜午後だけで6キロ分の金製品が売れた。店から出てきた男性客(60)は、500グラムの金を220万円で購入したという。また、松坂屋銀座店で開催していた金製品の展示会でよく売れたのは、平均価格400万円の、仏具として使う18金製の鈴(りん)だった。「(客は)これらの金製品の仏具を家宝として購入していく」と、展示会の販売員は言う。「仮に家が火事になっても、形は変わっても金製品は金製品として残るので、価値をそのまま残すことができる」。
●「 NY金、3日ぶり反発 6月物1387.4ドルで終了 一時1400ドル回復 」
2013/4/17 6:22 NQNニューヨーク=大石祥代
前日まで急落していたニューヨーク金先物相場は16日、3営業日ぶりに反発した。ニューヨーク商品取引所(COMEX)で取引の中心である6月物は前日比26.3ドル高の1トロイオンス1387.4ドルで終えた。中国や米国の低調な景気指標などを背景に前日まで膨らんだ売りが一服。短期的な戻りを期待した買いが優勢になった。一時は心理的な節目である1400ドルを回復した。
外国為替市場でドルが対ユーロで下落したため、ドルの代替資産として逆の値動きになりやすい金に買いが入りやすかった面もある。一方、市場では「追加担保の差し入れなどに伴う金先物の換金売りはまだ一巡していない」と相場の先行きに慎重な声も聞かれた。
6月物は15日夜の時間外取引で1321.5ドルと、中心限月として約2年3カ月ぶりの水準まで売られていた。銀、プラチナはともに3営業日ぶりに反発した。
●田中宇(たなかさかい)の国際ニュース解説 無料版 2013年4月16日 http://tanakanews.com/
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★通貨戦争としての金の暴落
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金地金の相場が暴落した。4月12日からの2営業日で、金価格はドル建てで10%ほど下がった。しばらく前から、米国の金融界は、金相場の大幅下落を予測する報告書を出していた。3月末にはゴールドマンサックス(GS)が、金相場が1オンス1200ドルまで下がるという予測を出していた。3月末の金相場は1600ドル前後で、急落後のいま(4月16日)は1300ドル台だ。GSの予測はほぼあたっていた。
http://www.activistpost.com/2013/03/ignore-banks-bearish-statements-on-gold.html
Ignore Banks’ Bearish Statements on Gold
米金融界が、今回の金暴落を事前におおむね正確にあてられたのは、当然ともいえる。金相場の暴落は、米金融界が引き起こしたものだという指摘があるからだ。暴落が始まった4月12日、メリルリンチ(バンカメの一部門)の仲買部門が、顧客からの依頼を受け、金先物市場で60億ドル分の売り注文を出し、相場が急落したという。その後、ヘッジファンドや投資銀行などの機関投資家がこぞって金先物を売り放ち、合計150億ドル分の売り注文によって下落が加速した。
http://investmentwatchblog.com/massive-20-billion-paper-gold-sell-orders-trigger-stop-loss-selling-and-unfounded-panic/
Massive $20 Billion Paper Gold Sell Orders Trigger Stop Loss Selling And Unfounded Panic
この日の数時間で売られた金先物は、金地金の現物に換算すると400トン分で、世界で1年間に掘り出される金地金の15%にあたる。とはいえ実際に売られたのは金の現物でなく、現物とつながりがない金先物だ。金地金の価格は、金相場によって決まるが、金相場は現物の市場でなく、現物との交換を前提としていない先物市場だ。
価格操作が頻発する先物相場に影響されない、現物の需給だけで決まる「金の現物価格」は、今の世界に存在しない。先物の価格が現物の価格である。先物市場は、実際に賭けた資金の10倍とか20倍の価格分を投資できるので、取引の額は、現物より先物の方が何十倍も大きい。だから、金相場は金融界の意志によって簡単に動く。
http://tanakanews.com/130413bubble.php
◆世界的バブル崩壊の懸念
米金融界が金相場を急落させたのだとしたら、その理由は、債券や株などの市場から、金市場に資金が流出していく事態を未然に防ぎ、金融界の儲けの源泉となっている債券や株の市場を守るためだろう。金融界の中心にある債券金融システムは、08年のリーマンショックのバブル崩壊後、米連銀による資金供給の大増加策(量的緩和、QE3)などによって表向き再び繁盛しているが、実体的には延命しているだけで、連銀がQE3をやめたら再崩壊の危機に陥りそうだ。連銀はQE3ドルの刷りすぎによって不健全な状態になっており、連銀内から「早くQE3をやめるべきだ」との声が挙がっている。
http://www.marketwatch.com/story/fed-could-start-tapering-qe3-this-summer-williams-2013-04-03
Fed could start tapering QE3 this summer: Williams
金融システムの崩壊を防ぐには、資金量を増やして価格を維持する方法のほかに、金融界から他の分野への資金の逃げ道を断ち、資金がほかに行かないようにする方法がある。そして、株や債券から資金が逃避しうる先の一つとして存在するのが金地金だ。株や債券、預金、現金(通貨)などは、いずれも連銀など当局と金融界の発明物であり、金融界が価値を操作して崩壊を防げる。
対照的に、人類が金融界を持つ前に価値の備蓄先として使っていた金地金は、古くさく野蛮なものであるが、金融界やドルのライバル的な存在だ。だから金融界は、連銀のQE3が限界に近づき金融崩壊が再来する懸念が増す中で、金相場に先制攻撃をかけて暴落させたのだろう。金融界は、ドルを守るために金を攻撃する通貨戦争をやっている。
米金融界が金相場を暴落させたのなら、それは自分たちの儲けを守る意味もあるものの、同時に、ドルや米国債を崩壊から守り、世界の混乱を防いだともいえる。だがさらに深く掘り下げると、ドルや米国債を崩壊に瀕する状態にした原因は、この30年間続いた債券金融の急拡大であり、米金融界はその急拡大を煽って儲けてきたのだから、もともとの悪者はやっぱり金融界だともいえる。
明確に報道・指摘されていないので、多くの人は気づいていないだろうが、このところ世界的に、通貨や金融界に対する信用がゆらいでいる。日米などは株高だが、その背景にあるのが日銀や連銀による過激な緩和策であり、株価は目先上昇してみんな浮かれているが、上昇の理由を考えると恐ろしさ(高いリスク)を感じる人も多いはずだ。
日本株5月下落説なども出ている。ユーロ圏は投機筋の攻撃を受けてキプロスが金融危機となり、銀行口座が封鎖・没収(徴税)される事態が起きた。日本人の多くは、自分らと無関係な遠くの出来事と思っているだろうが、欧州の人々は、これまで無リスクだったと思っていた銀行預金が、実はリスクの高い資金置き場であることを感じ始めている。
債券も、債券群の上位にある国債が、米国も日本も政府の財政難がひどくなり、以前のような無リスクな投資先でなくなり、それに連動して下位の社債やジャンク債の安全性が低下している(本来は、安全性が低下すると債券の価値が下がるが、その下落を連銀や日銀が緩和策による流通資金増によって止めている)。ドルや円といった現金も、日銀や連銀の過剰発行によって、いずれインフレ(お金の価値の減価)がひどくなるかもしれない状態だ。株や債券だけでなく、預金も現金もリスクが高まり、安心してお金をあずけられなくなった。
リスクの高まりを感じた人々は世界的に、昨年あたりから、金地金を買う傾向を強めていた。資金を安心して置ける先がないので、金地金が注目された。
この状態を放置すると、株や債券、預金から資金が流出し、金融崩壊が起こりかねなかった。それを防ぐため、金融界が金地金相場を暴落させ、金に群がり始めた世界の人々を追い払った。金融界は、金を買おうとする人に「金は安全でない」と思わせることで、金への資金流入を防ぎ、ドルと金融界自身を延命させている。
http://tanakanews.com/120830gold.php
金地金の復権
今回、金と銀は暴落したが、商品市場の中でも、白金など他の金属や原油、食糧は、大して価格が動いていない。金以外の商品の多くは、リーマンショック後の世界不況の中で実需(工業需要など)が減り、値下がりしたので、それ以上の下落にならない。金と、金に準じると考えられている銀だけは「商品」でなく「通貨」の側面があり、リーマンショックがドル崩壊でもあったため、その後、他の商品が安値を続けるのをしり目に、金と銀の相場だけは上がる傾向が続いた(銀は、2011年に暴落させられた)。
http://tanakanews.com/081107gold.htm
操作される金相場
金地金は、ドルと対極の関係にある。ドルが隆々とすれば金がすたれ、ドルが弱体化すると金が輝くのが自然な関係だ。今回、金相場が暴落したが、それはドルが隆々としたからでない。ドルは依然として弱く、むしろ金融崩壊を防ぐために、ドルの発行者である連銀が無理に続けねばならない量的緩和によって、ドルの弱体化が進んでいる。
今回の金暴落は、ドルの弱まりを顕在化することを防ぐためのものだ。ドルが再生するのは難しい。連銀と日銀以外の世界の中央銀行の多くが、自国の通貨の今後の後ろ盾(外貨備蓄)を、失墜しつつあるドルや米国債から金地金に替えるべく、金地金を買い増している。金融のプロである中央銀行自身が、ドルへの見放しを意味する金の買い増しをやっている。
http://www.tanakanews.com/100405gold.php
操作される金相場(2)
長期的にみると、金は再び買われるだろう。しかし、金が再び買われるようになると、米金融界が債券システムで簡単に作れる資金を使って金先物に巨大な売り爆弾を落として金相場を暴落させる攻撃を再発するかもしれない。金の現物価格が先物で簡単に下落させられる、金にとって無力な価格決定の仕掛け(それを作ったのは金融界だ)は、今後も変わらない。金に対する通貨戦争はまだ続きそうだ。
◆世界的バブル崩壊の懸念
http://tanakanews.com/130413bubble.php
【2013年4月13日】米国以外の投資先が隆々として繁盛していたら、米国から他の投資先に資金が流出し、債券金融バブルが崩壊しかねない事態になるが、他の投資先が次々と壊れていけば、少なくともその間、ドルは安泰だ。ユーロ危機など、米国以外の市場が崩壊するたびに「いちばん安全な投資先はやはり米国債だ」という話が喧伝され、投資金が米国債からジャンク債までの債券金融システムから資金が逃げず、ドルのバブル崩壊が防げる。米金融界は、ドルのバブル崩壊を先送りするため、米国以外の世界中のバブルを崩壊させようとしている。
◆北朝鮮と世界大戦の危機
http://tanakanews.com/130411nkorea.php
【2013年4月11日】報道を読むと、北朝鮮を発火点に米中が戦争して世界大戦になりかねない感じを受ける。だが、世界的な視野に立つと、世界大戦が起きるとしたら、その可能性は、北朝鮮より、イランとイスラエルなど中東地域の方が高い。米国の著名な分析者の何人もが、これから世界大戦が起きるとしたら、イランなど中東から発生すると予測している。米国の権力筋を動かす政治力で見ても、日韓よりイスラエルの方がはるかに強い。
◆キプロス金融危機の意味
http://tanakanews.com/130402cyprus.php
【2013年4月2日】キプロスで検討されているような、銀行危機に際して預金を返さず損失の穴埋めをするやり方は、これから増えていく可能性がある。
ニュージーランドでは、このやり方が危機対策の一つとして検討されている。
リーマン危機が直後に感染して08年に銀行危機に陥ったアイスランドでは、銀行を救済せず国有化したうえで破綻させ、その代わり、アイスランド国民の預金は保護するやり方を採った。日本でも、デフレ脱出のためと称し、円や日本国債を意図的に弱体化する策が続けられており、今は安定している日本の金融界が、国債危機などが起きて不安定化した場合、日本人の預金も安泰でなくなる。
(副島隆彦注記。田中宇(さかい)氏は、倦まず弛まず、正確な情報を書き続けている。)
●「 インドの結婚・祝祭シーズンに金需要増の見込み-相場下落で 」
2013年4月16日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MLC3JR6JTSEB01.html
金相場が過去30年で最大の下落率を示したことにより、結婚・祝祭シーズンを控えたインドで主婦や新婦の宝飾品需要が回復するとの見通しを、同国 の宝飾品業者、ジタンジャリ・ジェムズ とラジェッシュ・エキスポーツが示した。
売上高でインド最大のダイヤモンド・金宝飾品小売企業、ジタンジャリのメフル・チョクシ最高経営責任者(CEO)によると、金相場が15日、 9.1%下げ、1983年以降で最大の下落率を示したことから、インド人は金を購入しやすくなっている可能性がある。ラジェッシュ・エキスポーツ のラジェッシュ・メータ会長は、相場下落により既に消費者の金に対する関心が再び高まっていると指摘した。
インドでは8-10月が祝祭シーズン、11-12月と3月下旬から5月初めが結婚シーズンに当たる。
●「 金相場急落、多くのファンドマネジャーに驚き=米著名投資家 」
2013年4月16日 ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE93F01Q20130416
金への長期投資家として知られ、ヘッジファンドを運営するジョン・バーバンク氏は、最近の金相場の急速な下落は多くの投資家にとって驚きだとの認識を示した。
米サンフランシスコを拠点に活動するバーバンク氏は、先週の劇的な金相場下落を「予期しない出来事」と表現。世界的に中央銀行が金融緩和政策を進める中、インフレ率が上昇するとみていた複数のヘッジファンドがすきを突かれたと
いう。
バーバンク氏は、金相場が下落すれば備えが不十分なファンドマネジャーにとって大きな打撃となると指摘。電話インタビューで「金をロング(買い待ち)にしている人の大半はロングポジションしか持っていない」と述べた。
ただ、同氏のファンド「パスポート・キャピタル」(資産運用規模37億ドル)は、現物金を保有する一方、金鉱株をショート(売り待ち)にしており、リスクをヘッジしていたという。現在、金鉱株は急落している。
● **社 ***編集長へ
副島隆彦から 2013年4月12日
以下の記事は、重要です。 アメリカ政府は、ゴールドマンを使って、スパイダー の 売り崩しの 仕組みを使って、金を 下落させることの 宣言文だと 考えるべきです。
BRICS は全て産金国 です。 彼らは、金を買い上げる密かな合意があります。しかし、 先進諸国を 敵に回して あからさまにやる気はない。これは、世界規模での大きな闘いです。ですから、「金は、これからも 何度か、暴落する (させられる)から、 その時が買いだ」 という のを 、私たちの次の本の標語にするべきです。
副島隆彦拝
(副島隆彦注記。金の暴落の開始 は、以下の記事から始まった。)
●「 ゴールドマン、金価格見通しを引き下げ-サイクルの転換加速 」
2013年4月10日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-ML2E616JIJVM01.html
米ゴールドマン・サックス・グループは2014年にかけての金相場の見通しを引き下げた。米景気回復の勢いが増し、金相場サイクルの転換が加速し ていると指摘した。金相場は12年連続で上昇していた。
ゴールドマンは、金相場の3カ月間の見通しを1オンス当たり1530ドルと、1615ドルから下方修正。半年間の見通しは1600ドルから 1490ドルに、1年間の見通しについては1550ドルから1390ドルに、それぞれ引き下げた。アナリストのダミアン・クールベイリン氏とジェ フリー・カリー氏は10日のリポートで、10年10月11日に219ドルの上昇の可能性を見込んで推奨したニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門のロングポジション(買い持ち)を手じまうよう勧めた。
景気が回復する中、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激策を縮小するとの観測を背景に金相場は年初来で5.8%下落している。ソシエテ・ ジェネラルは2日のリポートで、金相場はバブルの領域に入っていると指摘した。金ETF(上場投資信託)としては最大の「SPDRゴールド・トラスト」を通じた金保有量は9日、約1200トンと11年6月以来の低水準に減少。ドイツ銀行は同日、ドル相場の上昇と安全資産としての買いの減少 を理由に今年の金相場見通しを12%引き下げた。
ゴールドマンのアナリストらはリポートで「ユーロ圏に関連するリスク回避の動きが再開し米経済指標が低調でも、金相場の動向は過去1カ月間、変化しなかった。それは、金保有への確信がいかに急速に低下しているかを示している」と指摘。「インフレ率上昇が次の金相場サイクルのきっかけとなる 可能性があるが、数年先だろう」との見方を示した。
原題:Goldman Cuts Gold Price Forecast Through 2014 as CycleTurns
(転載貼り付け終わり)
副島隆彦拝