[1227]総理一任

福田 博之 投稿日:2013/03/17 20:36

「TPP バスに飛び乗る 火縄虫 夏を待たずに 参加表明」

一部の人間の合理的選択が、多くの人にとって不合理だとしたら、
説得力に乏しい「ロゴス」を用いて、あとは「パトス」に訴えるということでしょうか。
タテマエが「国益」で、本音は「耐えがたきを耐え」となるのでしょうか。

「属国であるということ」が、読むべき空気。
最初から参加ありきなら、長老に一任して、落としどころを探すだけ。

「ルールを作る側」という、早期参加の正当性は、説得力があるのでしょうか。
中国の国家資本主義と対峙して、どのように中国の成長を取り込んでいけるのでしょうか。
中国へはまた別のアプローチをするのでしょうか。

(以下すべて引用。)

『それでも中国は巨大な成長を続ける』副島隆彦 
まえがき
「果たして、中国からの撤退など簡単にできることか? できるはずがない。
今も成長し続ける巨大な中国市場を無視して、日本国が生きていく道はない。」

『その言い方が人を怒らせる』加藤重広 
第三章 ロゴスとパトスを使いこなす

論理を意味する英語のロジック(logic)は、古代ギリシャ語のロゴス(logos)と語源
が同じである。ロゴスは、「理法」と訳すこともあるが、「論理」であるとともに、「理
性・真理」であり、「言語」、特に「神のことば」でもある。神のことばは真実を語る論理
であり、理性のことばだと考えると、ロゴスのなかにいくつもの意味がとけ込んでいるの
も当然だと思えてくる。唯一神的な世界では、神こそが理性であって真理であって、神の
ことばこそが論理として正しいことを伝えると考える。しかし、日本のような多神教的な
世界では、唯一の真理を表すことばという発想は出てきにくい。八百万の神々は、それぞ
れに合理性と正しさを持っているかもしれないが、すべての神々の言う真理が矛盾なく成
立するとは限らない。唯一の≪真理=論理=言語≫であるロゴスが世界を支配する西欧世
界に対して、日本をはじめとする汎神的な世界では個々の≪真理≫が世界の中で調整され
て均衡して安定を得ていると言えるだろう。

私たちは、自分たちがどう感じているかを人に伝えようとすると、それがことばで思い通りに表
現できなくてもどかしく思う。これは、ロゴスに対して、気持ちや感情を表すパトスとい
う言い方で象徴することができるものだ。

第四章 読むべき空気と読まざるべき空気

「場の空気」は、特定の集団や地域や文化ごとに決まっている常識のような
ものであり、その決まりを知らない者にはわからないことが多い。

「人が作り出す空気」とは、いわば聞き手が望んでいることや想定していることの総体である。

ことばにして口に出すのはロゴスだけだが、そこからパトスを推測して読み取れ、と言い換えていいか
もしれない。この場合、ロゴスは建前に、パトスは本音に近い。

終章 時代の求めることばのありかた

かつて、日本の共同体がムラ社会のあり方を基本にしていたころには、いちいちロゴス
として説明しなくとも、みんなが納得しているというパトスのレベルの一体感さえあれば、
物事はつつがなく動いていったのかもしれない。いまでもよく「(最終的に)一任する」
という決定方法が日本ではよくとられるが、実はロゴスのレベルで考えてもうまくいかな
い場合や、単純に結論が得られない場合には、パトスとしてみんなが受け入れられるかた
ちにすることで、落としどころを得るのが日本人にとっては丸く収まるからだろう。