[1226]南相馬の近況
震災から2年が経とうとしています。
震災当初は1万人まで減った市の人口も、5万人近くまで回復してきました。
他地域からの被災者も滞在しているので、もう少し多い実感です。
雪の多い会津にあった大熊町の仮設住宅は、分解されて市内に運び込まれ再築されています。
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ただ、若い人はまだ戻ってきてません。震災前はコンビニなどで働いていた中国人の出稼ぎ労働者も戻りません。
津波による損傷が酷かった市内の火力発電所はすっかり復旧し、2月からは試験運転が始まっています。
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同じく津波で被災した真野川河口の漁港も復旧しました。
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町中では新しい飲食店なども開店し、少しだけ復興ムードが出てきています。
もともと潰れるべきだった工務店や建設会社までが、
社員への給与補償や、除染などの復興関連事業でゾンビのように息を吹き返してます。
休眠状態のまま、賠償金だけもらっているような会社もあるようです。
農業の方は、市内での稲作が今年も耕作中止となりました。今の状況では、風評で作っても売れないだろうという理由です。
それと、現在、農地から宅地への転用が被災者の住宅建設目的の場合のみ、認められやすくなっており、
跡継ぎもいない老齢の農家は、農地を宅地化して売り払う動きが多くある事情もあるんだろうと思います。
昨年は人手が入らなかった田んぼや畑で、外来種のセイタカアワダチソウという植物が在来の植物を駆逐し生い茂っている様子をよく見かけました。
この黄色い花を咲かせる植物は、根から微量の毒をだし、他の種の植物を根絶やしにし、最終的には自分の毒で自家中毒となり枯れてしまいます。
そういった毒のため、田んぼの土が使い物にならなくなってしまうそうです。
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最近の新聞折り込みの求人チラシです。
こちらの生活感覚がいくらか伝わるでしょうか。
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<除染事業について>
市内の幾つかの仮置き場がようやく決まり、来年度から本格的に除染事業が始まるようです。
南相馬市の除染事業は提案コンペで竹中工務店が請け負うことになりました。結局、予算規模は400億円程になったようです。
埃よりも小さい物質を地面から取り除くという公共事業をどこまで本気でやろうというのか、私は半信半疑です。
<住宅事情について>
相変わらず市内では賃貸物件が足らず、被災者の生活再建や復旧・復興事業の足かせとなっています。
少ない空き部屋を被災者と復興事業者で取り合っている状況です。
物件が足りない理由として、借上げ制度による物件の差し押さえ状態があります。
借り上げ契約だと、どんなオンボロな物件でも最低6万円の補償金が県から貸主へ支払われ、
借主は家賃負担がないので、一度借りると元の家に帰還しても借りっぱなしのままでいるようです。
この補償金を当て込んでか、一棟7千万円から一億円ほど建築費のかかる集合住宅が、市内のあちこちで建設中です。
復興補助金が200万円ほど出るものの、元が取れるかは疑問です。
警戒区域の帰還困難の被災者がそろそろ帰還をあきらめて、中古住宅を購入したり、
土地を買って新築するケースも増えています。
少し前は、大工や、特に内装の請負人員が足らず、購入の契約をしても引き渡しまで3年待ちと言われてましたが、
今は全国規模の工務店では人員を増強して、早く引き渡しできるようになったと聞きました。
<隣の小高区や浪江町の状況>
市の南部の小高区では、水道工事で掘り起こした土を置いておく仮置き場が昨年終盤にようやく決まったので、
復旧はまだまだこれからです。
国指導のがれきの撤去作業が2月1日から始まりました。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3104F_R00C13A2CC0000/
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=201301303
小高区や隣の浪江町の賠償は、住民の帰還できない警戒区域指定から5年間を経過すると住宅については全損扱いになり、
全額賠償される事になっています。(5年間に満たない場合は年数で比例した分が支払われる)
しかし実際は、人の手が入らずに1年半放置された住宅は、相当損傷が進み、大がかりな改修をしなくては住めなくなってしまっているそうです。
小高の住人の話では、水道管が鉄管の場合は、錆びて使い物にならなくなっており、
屋内の家財や畳は、雨漏りやカビで損傷して、またネズミが繁殖して家の中が荒らされていて柱がかじられるなどの被害もあるそうです。
その人は相当不満が高まっているようでした。
また、野生のイノシシと家畜の豚の合いの子のイノブタ(猪の凶暴性と豚の繁殖力と食欲を併せ持つ)により屋内が荒らされるケースもあると聞きました。
近況は以上です。