[1220]OZのボス

寺平 浩 投稿日:2013/02/17 10:48

OZ(オージー)庶民ニュースの寺平浩です。

今年は水害からスタートしたクィーンズランド州ですが、ゴールドコーストは無事でした。中部バンダーバーグは一帯が水びたしになり今はどうにか水が退いたようですが、家々ライフラインともに大きなーダメージを負い、復興にはまだまだ時間とお金がかかるようです。

今回のテーマは一転かわりまして政治経済です。
「OZ(オーストラリア)のボスは誰ですか?」
ということに焦点を合わせようとおもいます。最初にイメージするのはジュリアギラード首相、いやいやあそこは英国連邦だからエリザベス女王に違いない(ちなみに2018年にコモンウェルスゲームはゴールドコーストで開催予定です。)と思われますがこれも違います。答えは大手資源採掘会社のオーナー達です。2011年輸出統計からみる鉱物、燃料の構成費はなんと64.7%鉄鉱石、石炭だけでも42.4%あります。

なぜOZのボスが民間会社の社長達かというのに一つの面白い事例があります。2008年総選挙で政権を奪取した労働党ケビン=ラッド前首相は、目玉の政策に鉱山超利潤税を提案し、その財源をもとに国民の福祉やインフラに分配するとして資源採掘会社達と戦いました。結果はケビンの惨敗。彼らは一斉に反鉱山利潤税キャンペーンを 貼り、ロビー活動で与党の重鎮までも動かしました。その後ケビンはみなさんご存知のジュリア=ギラード首相にすり替えられました。後にジュリアは鉱山資源使用税を前鉱山税のかわりに発表しましたが資源採掘会社に配慮した結果、抜け穴だらけで30億ドルを2012年後期に予定していたが実際は1億2600万ドルだったと今月に修正している。

2012年は鉄鉱石、石炭を採掘会社にとって苦難の年でした。中国、インドを中心とする需要が急激に落ちこみ、そのことが価格に反映され一時は売るに売れず港に山積みになっている鉄鋼石、石炭をニュースでよくみたものです。これによってOZ経済は実質2012年7月から不況に突入したと思われます。後にファーガソン資源大臣がここ数年の資源ブームにより経済を強力に牽引し、人々がその恩恵を受けたが、ついにこの資源ブームは終わったと率直に認めました。ところがどこかから横槍がはいり翌日訂正している。

今までOZの資源は鉄鉱石、石炭のことを指していましたがこれからは天然ガスとウランが加わります。これは鉱物から燃料に変わることを意味します。天然ガスは3.11震災後我が国日本の需要によるもので国際石油開発帝石(インペックス)、ガス会社、電力会社そして商社がこぞってダーウィンからブルームにかけての新しいプロジェクトに参画しています。ウランに関してはまだ未知数なところがあります。なぜならこれまでOZはウランの輸出を原則禁止していましたが昨年のジュリアのインド訪問でウランのトップセールスを始めたことで解禁となりました。ただいま天然ガスとウランのプラントを建造中で2015~2017年に主なプラントが創業予定となるためこれが軌道に乗るまでは不況が続きそうです。

最後になりましたがOZの都といえばシドニーもしくはメルボルンでしたがこれにも変化が現れています。天然ガス市場の活況により西のパース(ダーウィンも)の人口そして地下上昇率、そして人手不足ととんでもないことになっています。現在オーストラリアの経済を牽引しているのはまぎれもなくウェスタンオーストラリア(首都パース)とノーザンテリトリー(首都ダーウィン)
でしょう。これにより経済の軸足も東海岸から西海岸へと大移動中という意味ではOZはまだまだ発展の余地がありそうです。

ということで今日のOZ庶民ニュースは終わりにします。

Hiro Teradaira