[1197]『メルトダウン 金融溶解』

福田 博之 投稿日:2013/01/27 15:13

アベノミクスの評価に対して視線が偏らないように、
オーストリア学派によるアベノミクスの意見を聞いてみたいです。
しかし、見当たりません。。

●現代ビジネス ニュースの深層
浜田宏一教授が圧勝した野口悠紀夫氏との議論!
アベノミクス実現で「1ドル=120円、日経平均1万6000円」も見えてくる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34650

●DAIAMONDonline
「インフレ目標批判のFAQ無効論を検証する」
http://diamond.jp/articles/-/29974

●JBPRESS「資本主義の危機と経済思想の新潮流
オーストリア学派に妙な親近感を覚える理由」
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34281

DAIAMONDonlineのインフレ目標批判のFAQ無効論を検証する。
という記事の中に、人工減少デフレ論「デフレの正体」を個別品目の問題で、
本来のデフレではないとして、俗論として切り捨てる記載があった。

ミクロ経済現象であり、マクロ経済現象ではないとするものだ。
ならば、私はここでいうミクロ経済現象にこそ、いま着目するべきだと思う。

人口減少による需要減を補うべく、
各企業は、生産設備の縮小、人件費削減、新規事業の拡大、
付加価値創造による高額商品の販売などに努めている。
人口減による需要の低下により、競争が激化して、
主要販売商品の価格競争は厳しいものになっている。

人口減による影響、波及効果は上記の点で存在してる。

主力商品を購入する購買層と、高付加価値商品を買う購買層とでは所得が異なる。
いま、注目すべきはこの価格競争が激化している商品を購入している低・中所得者層の現象だ。
物価上昇率の数値の増減のみでは、この様な企業の活動や庶民の生活は見えない。
「サラリーマンは気楽でいいよな~」という批判の影で、
企業の従業員のなかにも、「実質過労死」や「プレッシャーに耐えかねての自殺」など、
総務課などの努力?によって、表面化されていない厳しい現実もあるのではないだろうか。
経済指標と引き換えに、政策のしわ寄せがどこにいくのかは見えにくい。

また、中国輸入デフレ論の否定でつかわれている、
他の中国から輸入をしている海外の国がデフレでは無い、という例の提示は、
日本とその国では、比較の為の前提条件が違うのではないかと、私は疑問をもつ。

※すでに皆さまが読んだと思われる文章ですが、
下記貼り付けさせていただきます。
あまり長文を貼り付けるのも何なので、
引用は少ししか貼り付けませんが、
私が個人的に参考になった要点は他にもたくさんあるので、
もっともっと貼り付けしたかったです。

2009年の翻訳本をいまいちど読んで、
アベノミクスについて考えてみたいと思います。

『メルトダウン 金融溶解』トーマス・ウッズ 
監訳・解説=副島隆彦 訳=古村治彦 序文ロン・ポール

(以下すべて引用)

「現在の経済危機を理解するために読むべき本は、
この本以外にはない。私は喜んでこの本を推薦し、皆さんにご紹介する。」
序文=ロン・ポール

「ノーベル経済学賞を受賞したF・A・ハイエクは、
市場ではなく、政府の作った機関である中央銀行が社会全体の富を増やすための近道を進もうとして、
結局は、好景気の期間を短くし、不景気がすぐにやってくるようにしてしまう道筋を私たちに示している。
社会全体の富を急に増やす方法など存在しない。中央政府のいかなる試みも、
経済の大不況を招く結果に終わってしまう。今まさに起こっていることがそうである。
連邦準備制度が、経済の実態とはかけ離れたレベルにまで金利を引き下げたために、
長期間にわたっては持続できないことが明らかだった産業部門(金融、不動産)に資本が流れ、
無駄に浪費される結果となった。
ハイエクは、ノーベル経済学賞受賞者のうちでも、今の私たちが耳を傾けるべき経済学者である。」

「新しく作り出された通貨を最初に受け取るのは、
政治的に優遇されている者たちである。
例えば、政府と取引がある銀行や企業がそれに当たる。
政府はそれらの銀行や企業との取引を通じて金を使う。
これらの恵まれた金の受け手は、
インフレーションによって物価が上昇する前に新しく作り出された通貨を受け取る。
そのときには、経済全体でどれくらいの通貨が新しく作り出されるか分からないので、
物価も変動しにくい。
新しく作り出された通貨が経済全体に行きわたると、物価はすべての分野で上昇するようになる。
しかし、このプロセスが進んでも、インフレーションが起きる前に金を受け取っていた恵まれた企業は、
物価上昇前の価格で原材料を購入していたので、それで利益を得る。
それはまるで、自分たちの製品の買い手たちから少しづつ収奪しているようなものだ。
一般の人々が新しく作り出された通貨を、
収入の増加分、もしくは借り入れコストの減少分の形で受け取るときには、
物価は上昇をはじめてしばらく経っており、
収入の増加分がなかったときに、高い物価のモノを購入していた。
普通の人々の手元に新しく作り出された通貨がいきつく前に、通貨の価値は減少してしまっている。」

「政府は、資金を無から作り出すことはできない。
銀行の救済策を実行するには、政府は、どこからかお金を借りてくるか、
紙幣を印刷するか、もしくは国民から金を奪わねばならない。
増税すれば政府の歳入はいくらかは増えるだろう。これは即効性もある。
金を借りてくるとなると、もう少し長い時間がかかるであろう。
政府の借入が増えると、富(実需)を作り出している部門に資金が回らなくなる。
資金不足によって破産しなければならない企業が増える。
銀行を救済する資金を得ようとして、他の企業を犠牲にしてしまうことになる。」

「ピーター・シフは次のように批判している。
「政府は『物価の安定』などと言っているが、実際は、年間二~三%の物価上昇を容認している。
物価上昇によって、政府は国民が物価下落で得られるはずの利益を奪っている。
また物価の安定という騙しを行ない、それによって、国民から票を買う。
そのために国民から富を奪っている。
簡単に言うと、有権者の生活水準を犠牲にしながら、
自分たちが再選されるように仕向けているのだ」」