[948]再生可能エネルギーに関するイベントを行いました。

松村享 投稿日:2012/04/25 11:57

会員番号5307番松村享(まつむらきょう)です。
私はSpectrum.revoというチームを作って、様々なイベントを行なっております。

先日、再生可能エネルギーに関するイベントを行なったので、そのご報告をさせて頂きます。

写真の載せ方がわからないので、とりあえず写真のリンクを貼っておきます。
http://sperevo.jugem.jp/?eid=309

おしゃれな場所で、音楽鳴らし、紅茶を差し出したりと、スタイルにこだわった催しでした。

ゲストスピーカーはお二人、再生可能エネルギー推進協会理事の今泉亮平さん、長野県の環境対策部で行政のお仕事をされている田中信一郎さんのお二人です。

お二人のパワーポイントを使った話のあと、参加者全員で料理を食べ、議題について考え、ディスカッションを行いました。

やはりというか、原発以後の発想としての再生可能エネルギー、という心持ちのお客さんが多かったように思います。

私個人は、再生可能エネルギーとは地域社会の活性化につながるものであって、それ以上を期待する事はできないんじゃないだろうかと考えています。

つまり、原発のかわりに再生可能エネルギーというのは、無理な話なんじゃないかと。

以下、イベント後に作成した諸々のまとめの、私の記述だけをこちら用に短くして、貼らせていただきます。

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なぜ再エネに注目したのか、ということですが、やはり多数『原発』というワードが出てきました。
だが単に原発を否定するだけではない、すなわち『脱原発』というワードが皆さんの意見の表面に現れていない、思っていたとしても活字になっていない、これは非常に興味深い痕跡だと思い、資料をめくっていました。

私個人の意見(つまりSPEREVOの総意ではない)ですが、原発は原発で必要なものだと思っています。国家規模の話になりますが、エネルギー供給源のメニューは多ければ多いほどいい。つまり、火力、風力などと並んで原子力も貴重なエネルギー供給源となる、と考えています。

メニューの少なさがなにをもたらすか。
かの太平洋戦争、一概に原因を述べることは不可能ですが、エネルギー供給を絶たれた日本が、アジアに資源、生存圏を求めた点も見逃せない。
つまり、エネルギーの枯渇が戦争への数ある動機の中のひとつとなり、破滅的な戦争へと至り、ついには原爆投下、放射能がふりそそぐという大惨事に至っている。

原発なきがゆえに、放射能がふりそそぐ、という事態もありえるのです。
なので、メニューは多ければ多いほどいい。
逆にいえば、だからこそ私は再生可能エネルギーにも着目しているわけです。
原発と再エネは矛盾しないのだと。(核融合にも私は興味がある)

再エネの話。
私自身実際、再エネに着目すると、たくさんのアイディアと構想が生まれ、ありていにいえばわくわくします。単にエネルギー供給源の多様化というだけではない。自然環境の保存もさることながら、ビジネスにおいて、また地方自治への目覚めにおいても、かなり広範な未来を構想することができると、このイベントを通して学ぶことができました。

以下、再生可能エネルギーを
①環境の観点
②ビジネスの観点
③地域復興の観点
から、記述したいと思います。

打ち合わせの段階で、今泉亮平さんからとてもおもしろい話を聴きました。
オランダの話です。
覚書なので、事実との相違があるかもしれませんが、養豚業者のお話でした。

その養豚業者、豚の糞尿が原因で、事業の縮小をせまられたとか。
業者は悩みました。せっかくの事業、どうすればこの苦境を乗り越えられるのかと。
そこで思いついたのが、糞尿の再エネ利用。この、ムダを転じて利益となす、の思想は功を奏し、ついには豚を飼うことをやめ、糞尿再利用業者として、事業を拡大したというお話しです。
ゴミと豚、ゴミを選んだら事業が拡大したという、とても興味深いお話です。

このように、西ヨーロッパには、いまひとつの大きな流れが起きています。(ドイツの脱原発はどうかと思うが)とくにやはり、近代という爆発的な時代の、発祥の地である西ヨーロッパにおいてその濫觴、濫觴どころかもはやメインストリームになりつつあるというのは、とても興味深い。

しかし、これはまた、世界的に見れば局地的な出来事だということも加えておかねばなりません。西ヨーロッパなんて、いわば世界の局地であります。ユーラシアの片隅に巣食っているだけ、ユーラシアを見渡せば、中東、中央アジア、ロシア、インドや中国をふくむ東アジア、と世界は広がっている。

ここは大事な点で、我々は西ヨーロッパといえば巨大なものを想像しますが、実はほんのちっぽけな地域、ユーラシアの僻地です。
で、西ヨーロッパ以外の地域では何が起こっているかといえば、大きな事象として、新興国の勃興があげられるでしょう。中国、インド、まあBRICS。
この地域は、やたらエネルギーを消費している。

この巨大な流れは、高度成長が終わってもなお、終わらないでしょう。
なにがいいたいかというと、環境は二の次になっているということです。
いまだ世界の趨勢は、環境だの再生可能エネルギーなんていってられる状況ではないということです。

たとえば貿易について、工業製品、電化製品など発達していない、輸出で稼ぐことなんかできない、という国は、農作物なりなんなり、自然の豊富な資源使ってお金を稼ぐしかない。
ということは必然的に、大規模に自然物を生産することが条件になる。『大規模に』やらなければ稼ぎはでない。生態系を壊してでも。

このあたりの話は、お客さんとして来ていただいた関良基さんが専門的にやられていることで、またお話を伺えれば嬉しいですが、ようするに自由貿易の論理にしたがえば、自然物をあつかう産業(収穫逓減産業)の大規模化は、そのまま環境破壊につながる、つまり貿易のあり方を見直し、さらに新しい構想においては現段階での稼ぎより、より大きな稼ぎを生まなければ、どの新興国も環境に配慮した産業なんてやりたがらない、ということがいえると思います。

ここを膨らませれば、貿易システムの話になってしまいますので、今回はやめておきますが、どうすれば新興国が自然環境と経済活動を両立できるかのヒントを田中信一郎さんがくれました。

これもまた個人的に話している中、伺ったことでうろ覚えなのですが、ドイツは魚取り放題を法律でシステム化し、稚魚の段階ではとらない、としたと。魚というものは2歳、3歳になれば値段も飛躍的に上がってゆく。ならば成長してからとった方が経済的にも環境的にもメリットがあるということで、漁業における自由放任を是正、ルール付けしたそうです。

この事例をヒントにして、収穫逓減産業における、無理ある収穫を是正し、持続可能なレベルで、さらに儲けがあがるというやり方を模索し実行し成功できれば、先進国以外の、世界の大部分における環境破壊は是正されるのではないかと考えております。前述のように貿易システムにも広がる話です。時間かけてじっくり、私は考えたいと思っています。

同じ流れで、再生可能エネルギーもまた大事なのはお金の問題で、儲けがあがるというやり方をとらないと現実的とはいえない。これは今回のイベントでも何度と出てきた意見です。

またどのような儲けのシステムがあるにせよ、最初期は、行政と企業がタッグして進めてゆくという国家事業、あるいは大企業が推し進めてゆくかたちにならざるを得ないでしょう。初期投資にかなりの額がかかるので。ただしアイディアならば、我々投資するお金のない者でも生み出すことができます。生み出しましょう。

で、再生可能エネルギーが全世界津々浦々に行き渡った日を念頭においての話なのですが、私は貨幣の未来を構想しています。
貨幣とはなにか。
ドルとか円のことですが、ドルとかはどういう成り立ち方をしているのか。

あれは原理的には金(GOLD)のかわりになります。
GOLDは錆びない、永遠の価値がある、だから人々がものを買う際、さしだして問題ない。信用できる。ということで、持ち歩くのに不便なGOLDを中央銀行に眠らせて、かわりに国家の信用を後ろ盾に紙を印刷し、その紙を現在、お札という形で使っています。(いまはもっと複雑な話になってますが原理的にはそういうこと)

で私は思いました。
もしも再生可能エネルギーが全世界に行き交い、エネルギー供給が半永久的に確保されるのであれば、これはGOLDのかわりになるぞ、と。自然エネルギーならば、どこの土地でも少量ながらつくれる。エネルギー供給源を地球のどこでも持つことができる。

つまりはなにかの事態に直面した時の、エネルギー不足というリスクの分散、分散そのものが地球をまたがるエネルギーのインフラ、どんな事態があってもエネルギーは不滅、不滅の再生可能エネルギーをGOLDのかわりに貨幣の裏づけにできるならば、地球上はすべて同じ貨幣、為替レートで円高がどうの、輸出の減りがどうのそんな事で悩む必要はなくなります。国境の弊害がひとつ、なくなります。

いわばとても民主的な貨幣です。全世界にまたがると同時に、ひとつひとつの地域に根付いた貨幣です。ようやく『地域』というワードに行き着きました。

私は、再生可能エネルギーの白眉、最終的な目的は、イベントでもよく出てきた地域の活性化にあると考えています。

互いの顔を知る、一緒に仕事をする、最終的には人間本来の暮らしにつながってゆく事、いまこの社会で失われているものにいたる事、人間本来の行動様式を取り戻すことが精神の危機を救う。とくに日本人は協働する事でつながってきた民族です。日本人の協働は、キリスト教徒でいうところの教会です。一緒に働く事でつながれるのが日本人です。

ここまで
①環境
②ビジネス
③地域復興

を念頭において記述させていただきました。これらひとつひとつは、再生可能エネルギー普及の道筋、その途上で実現してゆくであろう未来の絵です。
最終的に、この再生可能エネルギー普及へのステップが、未来において諸々のメリットをもたらしてくれれば、と私は考えています。

松村享 拝