[875]私の英雄
会員番号7416番
「副島隆彦の学問道場」学生会員、加地 龍太(かじ りょうた)です。
以下、「~だ。~である。」調にて私の英雄、坂本龍馬について、副島隆彦先生の著作「改訂版 属国・日本論」を読んで私が考えたことを記載させていただきます。
「改訂版 属国・日本論」の第3部「属国・日本の近代史」を参照にして、幕末の真相を知っていた坂本龍馬が英雄であるかどうかを論ずる。
上記の「改訂版 属国・日本論」に記載されていることだが、坂本龍馬は17歳のときにジョン万次郎(中浜万次郎)から当時の世界情勢の真実を教授されている。この世界情勢の真実は、そのまま「幕末の真相」である。
幕末の真相とは、「官軍(薩長土肥)と幕軍の対立は、その当時 世界覇権を争っていた大英帝国(手下は官軍)とロシア帝国(手下は幕軍)及びロシアの同盟国だったフランスの代理戦争である」というものである。
繰り返すが、坂本龍馬はこの「幕末の真相」を17歳のときにジョン万次郎から教授されている。岩崎弥太郎と後藤象二郎も、それぞれ岩崎18歳、後藤14歳のときにジョン万次郎から「幕末の真相=当時の世界情勢」を教わっている。坂本龍馬が幕臣 勝海舟と接触できたのは、龍馬が幕末の真相を知っているインナーサークル(秘密の仲間)の一員であったからだ。(副島先生の著作「属国・日本論」 参照)
龍馬をはじめとする反幕の志士たちは皆、大きな枠組みで捉えれば大英帝国の家来として使役されたのである。坂本龍馬以外では、高杉晋作、井上馨、伊藤博文、大村益次郎、五代友厚、岩倉具視などが本人が自覚して大英帝国の家来として動いた人間たちである。「維新の三傑」と称えられる西郷隆盛、大久保利通、桂小五郎(木戸孝允)の3人も、本人が自覚していたかどうかは別として大英帝国の家来・手先として使役された人間たちである。
明治維新を主導して、ロシア・フランス系列の政権担当機関である幕府を叩き潰したのは、「イギリス政府とジャーディン・マセソン商会(大英帝国)」である。
坂本龍馬のハンドラー(指令を出す人)であったトーマス・グラバーのグラバー商会は、ジャーディン・マセソン商会の直系商会である。坂本龍馬の亀山社中(後の海援隊)は、グラバー商会を通してジャーディン・マセソン商会が取り扱っていた兵器などを貿易していた。坂本龍馬は大英帝国に取って利用価値のある仕事をしていたのである。
ちなみに、ジャーディン・マセソン商会は、イギリス・ロスチャイルド家の直系企業であり、現在も「ジャーディン・マセソン・ホールディングス」という名前で存在する。
ここまでを見ると坂本龍馬はただのイギリスの傀儡として動いて用済みになったから殺されたように見える。
しかし、龍馬が暗殺された理由は、反戦争の志を抱いて大英帝国(イギリス政府とジャーディン・マセソン商会)の武力倒幕路線に反発し、戦争を起こさずに平和的に開国をするべく奔走したからである。
国家vs国家の戦争ならば、帝国側の国内の景気が戦争刺激経済によって一時的に上がるという帝国側のメリットがある。だが、国内紛争はいたずらに国力を疲弊させるだけである。大英帝国の目的は、日本を自国の属国として使役してロシア帝国に対する尖兵とするというものであった筈だ。
それならば、国内紛争を引き起こして国力を疲弊させた日本を尖兵として使役するよりも、国内紛争を起こさずに国力を保持したままの日本を尖兵としてロシアにぶつけた方がイギリス側にもメリットがあるということを、龍馬は自分のハンドラーであるトーマス・グラバーやトーマス・グラバーの上司であるハリー・パークス(当時の駐日イギリス公使。イギリスの対日工作員たちの親玉)に説いたのだと私、加地龍太は思う。そう思えてならない。
尤も、「そう思う」という部分については専ら私の主観であり、客観的で確実な証拠はないのであるが、坂本龍馬が「反戦争」をずっと主張し続けていたということは誰もが認めていることである。
アーネスト・サトウがブルー・プリントを作った「船中八策」の第一条を「大政奉還」に進化させ、武力倒幕派だった同志の中岡慎太郎を説得し、14歳のときにジョン万次郎から世界情勢の真実を教授されていた後藤象二郎を協力者として得て、彼らと協力して大政奉還を敢行させ、それゆえにイギリスによって暗殺されたのである。
戦争が起こり、日本が戦火で焼き尽くされることを嫌悪した龍馬は、言論で大英帝国側に反戦争を説いた。外交において最も重要視される「相手側のメリット=イギリス側のメリット」も説いた。
しかし、大英帝国はそれを拒否した。大英帝国に取っては、敵対するロシア帝国とフランス系列の政権担当機関である幕府を完膚なきまでに叩き潰さねば後々の日本管理の観点から見て不安だったのであろう。
坂本龍馬が大英帝国の武力倒幕路線に反発したのは、龍馬が愛国者であったからだと思えてならない。
「属国の人間」であるという現実的制約の下で、日本のために大英帝国の権力者どもに対して人間一匹で吼えた坂本龍馬は一生涯、私の英雄だ。
何かご意見がありましたら是非とも私のアドレスにメールを下さい。
加地 龍太 拝