[654]福島県楢葉町・広野町のJヴィレッジ前にある検問所に行ってきました

長井大輔 投稿日:2011/08/16 01:01

長井大輔です。今日は2011年8月16日です。

 8月8日、9日に福島県に行ってきました。これは私の福島報告文4になります。

http://www.flickr.com/photos/66408459@N07/6046225904/
【地図】福島県浜通り南部地図

 8月8日に、福島県田村市(たむらし)にある学問道場の福島復興活動本部に行きました。午前3時前に埼玉県にある自宅を出て、関越(かんえつ)自動車道、東京外環(がいかん)自動車道を経由して、常磐(じょうばん)自動車道に乗って、福島県をめざしました。本当は東北自動車道を利用した方が近道なのですが、どうしても震災後の常磐道の様子が見たくて、常磐道を利用しました。

 福島県相馬市(そうまし)出身の私にとっては、常磐道とJR常磐線は思い入れのある交通路です。福島県浜通(はまどお)り地方から、関東・東京方面に向かう際には必ず、常磐道か常磐線を利用します。関東地方と福島県・宮城県をつなぐ両交通路を、何度往復(おうふく)したかしれません。

 いわきJCT(ジャンクション)で、磐越道(ばんえつどう、新潟-郡山-いわきをつなぐ高速道路)に乗り換えて、船引(ふねひき、福島県田村市)に向かおうと思いましたが、広野町(ひろのまち)と楢葉町(ならはまち)の境界にある警戒区域の検問所が見たくて、そのまま、常磐道を直進して、広野IC(インターチェンジ)をめざしました。

 常磐道は、埼玉県三郷市(みさとし)と宮城県亘理町(わたりちょう)を結ぶ高速道路ですが、まだ全面開通していません。宮城県山元町(やまもとちょう)と福島県富岡町(とみおかまち)の間が、まだ工事中です。

 ちょうど、相双地区(そうそうちく、相馬地方と双葉地方)と呼ばれる、浜通り北部を通る区間にあたります。ただし、富岡町は警戒区域(福島第一原子力発電所から20km圏)内にあるため、現在の常磐道の北端(ほくたん)は、広野ICです。そこから先は警戒区域に指定されているため、立入禁止です。

 広野ICの料金所では、ちょっとした渋滞が起きていました。高速道路の料金所には、ETCレーンと一般レーンがありますが、被災者や復興支援のための車両が、無料措置を受けるため、一般レーンに並んでいたためです。

http://www.flickr.com/photos/66408459@N07/6045975326/
【写真①】Jヴィレッジ(福島県楢葉町・広野町)

 広野ICを出ると、すぐ国道6号線に乗ることができます。6号線を北進してすぐのところに、原発検問所は設置されていました。検問所付近には、Jヴィレッジ(東京電力がつくったサッカー施設)があります。広野に到着したのは午前7時でしたが、まだ早朝だというのに、とにかく蒸し暑い。検問所が設置されている交差点で、往来(おうらい)する車両を眺(なが)めていると、作業員をのせた車両や資材を載(の)せたトラックが続々と、警戒区域の中へ入って行きました。交通整理をしていたのは私企業の警備員で、警察官たちは警戒区域への車両の進入許可を行っていました。

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【写真②】楢葉町と広野町の境界にある検問所

 私は南相馬市(みなみそうまし)原町区(はらまちく)、田村市都路(みやこじ)、そして今回の広野・楢葉の3カ所で諸検問所を見ましたが、原発南方にある広野・楢葉のJヴィレッジ前の検問所がもっとも、ものものしく、人々や車両の往来が激しかった。検問所の近くには東芝(とうしば)の対策本部や日立(ひたち)の復興事務所、そのほか茨城県の「東海村(とうかいむら)」と書かれた車両を見かけたので、原発事故対策の最前線は、関東方面に近い広野町やいわき市に設置されているのでしょう。

 一通り、広野・楢葉の検問所の観察を終え、次なる目的地である学問道場の福島活動本部に向かうことにしました。しかし、ここからが大誤算でした。警戒区域が設定され、国道6号線が使用できない状況では、広野町から田村市に向かうには、県道249号線を西進(せいしん)して、国道399号線に乗り換え、北上するしかありません。地図を見ると、249号線は阿武隈山地(あぶくまさんち)を横切る、完全な山道です。嫌な予感が脳裏(のうり)をよぎります。もしかしら、地震による道路の崩落(ほうらく)や落石によって、道路が寸断されているかもしれない。

 しかし、一刻(いっこく)もはやく福島活動本部に着きたいと思っていた私は、一か八かで249号線を利用することにしました。走ってみると、案の上、完全な山道で、急カーヴが続く、かなりの悪路でした。しかも、10kmほど進んだところで、道は落石により、通行止めになっていました。徒労感(とろうかん、無駄な苦労)に襲われながらも来た道を引き返し、しかたなく、いわき市まで後退して、そこから国道399号線を北上することにしました。

 しかし、この399号線は249号線にまさる大悪路、難路で、「国道」なのに一車線、急カーヴ、傾斜の急な上り坂・下り坂の連続でした。私は盛(さか)んに、車のペダルを踏み替え、ギアを切り替えて、難関の399号線を走り切り、目的地の福島活動本部に到着することができました。広野町から田村市に行くのに、約3時間もかかってしまいました。

 厳しい山岳(さんがく)道路を運転したことにより、まっすぐで平坦(へいたん)な道のありがたみが、よくわかりました。福島県の復興のためには、まず国道6号線の通行止めを解除することです。とくに浜通りは6号線がなくては、どこにも行くことができません。そして、JR常磐線を復旧し、中断していた常磐道の工事を再開し、全面開通を急ぐことです。浜通りの交通路の三本柱は、6号線(国道)と常磐線(鉄道)と常磐道(高速道路)です。三つの交通路が開通することによってこそ、福島県の復興が始まると思います。

映像編はこちらです。
http://www.youtube.com/watch?v=i4OJotgoQ6A

長井大輔 拝