[646]フフホト通信

石井裕之 投稿日:2011/08/03 18:22

中国の内蒙古の石井です。
この度、急遽7月28日~8月1日という日程で日本に帰国してきました。
目的は2つ。
日本の友人とビジネスの摺り合わせをすること。もう一つは残り少ない「日本円」を救うことでした。

http://searchina.ne.jp/exchange/?type=USD_CNY&mode=chart2
↑こちらは、サーチナというサイトの米ドルと人民元の為替相場の値動きチャートです。観て頂ければ「一目瞭然」ですが、人民元は米ドルと決別すべく準備に入ったのではないでしょうか。
そして、日本で副島先生の「大災害から復活する日本」を購入し読んでみてその思いに確信を得たのです。
先生にメールしようと思い、メーラーを立ち上げてはみたのですが、ふと気が変わり、今この掲示板に投稿しています。

私が今回の帰国で感じたことを以下に記してみたいと思います。
先ず驚かされたのが、日本行きの飛行機の空席が目立ったことです。ガラ空きと言っても過言ではないでしょう。通常この時期はチケットの確保が難しいのですが、前日でもチケットが取れた意味がようやく理解出来ました。
中国でも日本の放射能汚染の報道が連日為されています。中国国民にとって立証不能ですから日本行きを延期する(或いはキャンセルする)という行為に及んでいるものと思われます。日本にとって今や中国人の落としていく「土産物代」はバカにならない筈です。今回の震災の影響は、このようなところにも現れています。
日本に帰れば、「高速鉄道の衝突脱線事故」のことで、鬼の首を捕ったかの如くの難癖を聞くハメに陥ります。「人命尊重」「安全第一」で言えば、事故の後の処理方法はお粗末であったとしか言えませんが、その事故の原因が「日本やフランスの技術のコピーだから」とするのは如何なものでしょう。日本にも3月11日に原発人災が起きている訳です。大事なのはその事を如何に教訓にしてその後の事故を未然に防ぐか、ということであって、今の中国政府のことを(高速鉄道そのものを)とやかく言うことではないと思うのです。仮に半年後にやはり同様の事故が起きるようなことでもあれば、その時は隣国の「高速鉄道の父」としての意見を粛々と述べる、ということで良いのだと思うのです。トンデモ論で言えば、中国の民主化が遅れているのが一番大きな原因だ、というモノまで現れる始末です。議会制民主主義国家を標榜する我々日本人が胸に手を当てて一番に考えなければならないところでしょう。
中国の経済バブルが崩壊するぞ、と、熱心に教えて下さる人にも沢山出会いました。ご心配無く。中国の経済はバブルではなく「高度経済成長」なのです。
私は加治将一氏の書かれた「舞い降りた天皇」を読んで妙に納得した事例がひとつあります。その本の中で加治氏は、纒向遺跡には中国大陸からの優秀な頭脳と技術を基にした都市建設の跡が視られる、としています。我々日本人は都市を後天的なものとして捉えています。そこに何か特別なモノがあるから人が集う(例えば新幹線の駅が出来たから、その周りの開発が進んだ)、というのが我々の都市というものに対する基本的な考え方です。
しかし、大陸の人々の考え方は違います。彼らは数千年の長きに亘って、正に都市の破壊と構築を繰り返してきた民族どもなのです。極端に言えば、家を一軒建てるくらいの勢いで都市を創り上げます。
今中国で起きている現象もこの事に他なりません。政府の青写真に則って民間が開発を進めます(決して民間のやりたい放題ではない)。良く「ゴーストタウン化した中国の地方都市」という話を聞きますが、それは実に人口の7割を占めるという農民人口のこれからの受け皿となるべきものなのです。この戸籍制度のことも都市計画のことも判らずに、まるでお題目のように「中国バブルの崩壊」を唱えていると、事実が全く掴めなくなってしまいます。第一中国人の消費購買意欲はますます旺盛になってきています。さながら40年前の日本を見ている思いです。このような強大な内需が地方都市、内陸部といったところで沸き起こってきているのですから、この国はまだまだ大丈夫だと思うのです。第一暗い話というのがありません(消費マインドの冷え込みなんてものが存在し得ない)。
私に「中国は危ない」と熱心に説きながらも、私の中国におけるビジネスには興味深々な人が多いのも驚きました。隣の芝が青く見えるのでしょうか。或いは隣の芝が青かったら困るのでしょうか。
副島先生もご指摘のとおり、日本の経済状態が今後大幅な盛り上がりを見せることはありません。ならば、我々元気なモノたちが海外に出て行って活躍し、それによって祖国に貢献することが真に求められているのではないでしょうか。
今回の震災の直後、副島先生は先ず行動なされた。そしてその事実を基に様々な提言をなされています。結局我々日本人に一番苦手なのは、「先ず行動する」ことなのではないでしょうか。ビジネスにおいてもそうですね。