[43]Re:Re:中国の内蒙古から
よっちんさま。
上海万博のレコードチャイナの記事に対する私のコメントの仕方がまずかったですね。勿論、よっちんさまを批判するようなつもりは毛頭ありません。あの記事に私が敏感に反応してしまっただけのことです。私も時々件のサイトを訪れて記事を読むことがありますが、サーチナと比べても中国に対する批判的な立場を強く取っているような気がしてなりません。日本のTV各局との連携も強いようですしね。考えすぎでしょうか。
あの記事の元となっている新聞のモトネタを、私はみていませんからその確度についても言及は避けるべきなんでしょうが、どうも地元の新聞を翻訳しただけですよ、としかとれないような記述の仕方が鼻について仕方有りません。
ただ、株式会社レコードチャイナは、間違いなく日本の法人であり日本のメディアです。我々には中国のメディアにしか見えないところがまたミソなんですね。私の指摘したかったことはそういう事です。
中国の近代自動車産業の大きな転換は、1985年に起こりました。上海汽車(第三汽車)がドイツのフォルクスワーゲンと合弁会社を立ち上げ、サンタナというとてもオーソドックスなセダンの生産を開始したのです。この車、時を前後して日本でも日産がノックダウン生産をしており、その意味ではフォルクスワーゲンの世界戦略車種だったのでしょう。競合他社に先駆けて中国市場にデビューしたフォルクスワーゲンのシェアが広がっていくのは自明の理です。勿論、中国政府は同時期、トヨタやホンダに対しても市場参入の打診をしていたようですが、レクサス立ち上げに忙しいトヨタは、アメリカべったりで、聞いた話では子飼いのダイハツを遣わしてお茶を濁したとか・・・。最近めっきり見かけなくなりましたが、ちょっと前まで小さめのタクシーの中に、古いシャレードのセダンタイプのものが随分沢山見受けられたのがその証左ということでしょうか。それも、北京オリンピックを前に、古いタイプのタクシーを新車に交換するように、との政府の号令に一気に市場から姿を消してしまいました。フォルクスワーゲンのサンタナは、その生産開始から20年以上経った今でも新車購入することが出来ますが、シャレードの新車は今ではどこにも売っていないでしょうね。
その後、日本が重い腰を上げるのが、中国がWTOに加盟した2001年前後の話です。本来日本のお家芸である筈の家電や携帯電話といった工業製品についても同様ですから、中国における日本の製品のシェアは低空飛行を続けています。ついでに申し上げると、カメラのフィルムでは世界的に有名なフジフィルムなど、中国では見る影もありません。コダックがその市場を独占してしまっているからです。日本企業の対応不足ですね。
前述したように、親方(アメリカ)の顔色を伺わないといけない日本以外は、結構中国と仲良くしているようです。お隣の韓国も、政治的背景は日本と似たり寄ったりだと思いますが、サムソンも現代も随分頑張っているところを見ると、やはり国民性の問題なのでしょうか。
自動車の話題でもう一つ。
フォルクスワーゲンとの合弁で生産技術を身につけた上海汽車は、イギリスのローバーの生産設備をデザインスタジオを買い取ります。そうあの有名なレンジローバのローバーであり、ローバーミニのローバーです。悲しいかな、ローバーは1980年~90年代に経営難に陥り、そのブランドは解体されてしまいますが、乗用車の生産設備が上海汽車の元に転がり込んだと言う訳です。そこからラインオフしてくるセダンのデザインはとても良く、品質も間違いなく一級品です。私など、内蒙古の自宅近くのショールームにふと立ち寄った際、思わず衝動買いしてしまった位ですから。
また、最近自動車雑誌を賑わせている新車の中にも、優れた自動車が沢山現れ始めています。それも、それぞれの中国メーカーが外国の合弁先の企業の力を借りず(あまり借りず?)に作った自動車が少しずつ出て来始めているのです。前回掲示板で、後5~6年もすると、完全に日本は中国に追い付かれてしまうのではないか、と書いたのはこの為です。日本の優秀な頭脳が沢山中国に吸収されていっている、という話も聞きます。
産業どころか、日本そのものが空洞化を始めているようで怖いですね。