新聞社のデスク段階でネジ曲げられる「小沢実像」

会員番号4781番 投稿日:2010/09/09 23:17

日刊ゲンダイ2010年9月10日号 2ページより転載します。

(転載開始)

「政治記者はなぜ小沢嫌いなのか②」

記者「政治資金の問題は世論とのギャップがあるんじゃないですか」

小沢「あなたたちの報道でしょ。でも、みなさんに理解していただけるよう常日頃から努力します」

記者「小沢さんは記者会見はサービスと言ったことがあるそうですが、いまでもそう思っていますか」

小沢「サービスという言葉を曲げて取らないで。サービスとは私たちの義務だし奉仕ですよ。そういう意味で言っているわけです」

 小沢一郎が民主党の代表や幹事長を務めていた頃の定例会見でのひとコマだ。こんなストレートな質問をコワモテの小沢に遠慮なくぶつけるのは、30歳前後の若い記者が多い。そのたびに小沢は真摯に答え、会見室の空気は決して悪くない。小沢のジョークに会場がドッと沸くことも多かった。
 ところが、その記者たちが社に戻って小沢の主張をデスクに伝えると、こう言われる。「お前は小沢を知らない。きれいごとを言っているが本音は違うんだ」
 若い記者の報告は無視されるという。
 小沢バッシングの紙面が作られる背景にはこんな事情があるのだ。
 第一線の若い記者がいくら小沢の実像を上げても、社に陣取る古い記者やデスクがネジ曲げるというのである。
 ベテランの政治部記者はこう言い放つ。「いまの若い記者は、小沢さんの過去を知らない。だから小沢が語る政治理念を真に受ける。デスクたちは小沢の本質を頭に入れて記事を手直ししている」
 だが、現場の若い記者はこうした先輩諸氏の姿勢に疑問を持つのだ。
「小沢さんが熱く語る民主主義論や政治主導は筋が通っていると純粋に思う。でも、うちのベテランたちは、頭ごなしに小沢の話を聞こうともしない。我々としては不満ですね。今回の代表選でも、小沢さんはさまざまな政策を語っていて、菅さんを圧倒している。でも、デスクは『カネの問題は小沢に染みついている』とハナから決めつけていますからね」
 自民党時代、血気盛んだった小沢に邪険にされたベテラン記者の「小沢アレルギー」は大きい。これでは国民に「小沢像」が間違って伝わるのも仕方ない。

(転載終了)