「「沖縄差別」とは、つまり、こういうことなのです。」
「渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ 日記」」から貼り付けます。
(転載貼り付け開始)
2010年06月13日
「「沖縄差別」とは、つまり、こういうことなのです。」
昨夜は、神田駿河台の明治大学で、沖縄タイムス論説委員・屋良朝博さんのトークを聴いてきた。
有意義な時間だった。
沖縄だけが理不尽かつ過重な基地負担を押し付けられてきた歴史と現実、県民の意識をおもんぱかると沖縄タイムスの社説でも「差別」という言葉を使わざるを得ないと判断しているという現状認識、「海兵隊の抑止力はユクシ(ウソ)」である理由等、盛りだくさんの内容を、パワーポインターとやら(でよかったかな。昔はスライド映写だったよね、、、苦笑)を駆使し、図解と写真を交えつつ、手際よくわかりやすく説明してくれていた。
仕事部屋に戻ってから、大変遅ればせながら、会場で購入した屋良氏の著書『砂上の同盟 米軍再編が明かすウソ』(沖縄タイムス社、09年7月刊)を読んだ。著者本人の話を聞いたあとだけに、理解は深まった。普天間問題を考える上で、これは必読の書。皆さんも、ゆたしく、です。
結論的な感想のみ述べれば、普天間基地の代替施設を沖縄に造らなければならない必然性は皆無であるし、決して造らせてはならないという思いを強くした。というより、現在ののような日米政府の「甘い考え」を、沖縄県民が許すことはもはやないだろうという認識を新たにした。
そして僭越な感想を述べれば、屋良氏は、「辺野古新基地建設を許さない」という、沖縄側の真っ当な世論をリードしていくことのできる一人に違いないと実感した。
話は前後するが、じつは、屋良氏のトークは、沖縄以外の国民の意識を嘆くところから始まっていた。沖縄で世論調査をすれば、普天間基地の「県外・国外移設」を望む声は、8~9割にも達するわけだが、それに引き換え、、、、という話。
菅新政権が誕生した途端、「辺野古新基地建設」の日米合意を踏襲するとした首相の考えを肯定する人間が、約半数も生まれた、その世論調査の結果について、屋良氏は、大いなる怒りを胸のうちに隠しつつ、静かに嘆くことから、トークを始めたのである。
わたし個人は世論調査というものについては、その方法も含めて疑問がないわけではないし、結果が常に正しく民意を表しているとは思っていないけれども、次の2例ぐらいは、事実としてご紹介しておこう。屋良氏のあらわした嘆きを理解するためにも。
朝日新聞・2010年6月10日・世論調査結果記事
http://www.asahi.com/special/08003/TKY201006090513.html
《沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題で、菅首相が日米合意を踏まえて対応するとしていることについては「評価する」は49%で、「評価しない」26%を上回った。》
毎日新聞・2010年6月10日・世論調査結果記事
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100610k0000m010112000c.html
《8月末に工法などを決める期限を迎えるが、菅首相は沖縄県名護市辺野古周辺に移設する日米合意を引き継ぐ考えを示している。世論調査では、合意通りに「進めるべきだ」との回答が51%と半数を超えた。5月調査では辺野古移設への賛成は41%で反対の52%を下回っていた。》
蛇足的解説を、ひとつ。
多くの国民にとって、鳩山前首相の「普天間問題」への取り組みを批判していた理由は、「普天間移設問題は、代替基地を辺野古に押し付けて、さっさと解決しろ」というものだった、ということが判明したというべきか。大手メディアの確信犯的「思考停止」に、まんまと付き合わされ、誘導されている人びとがいかに多いか。そのことが察せられる、おぞましい結果ではある。
アメリカの意向ばかり尊重する外務・防衛官僚、タフな外交交渉をする気のない関係閣僚や首相&官邸、そのような権力にベッタリ癒着した大手マスコミ。しかし彼らをわらうだけではすまないのだ。国民一人ひとりの意識、つまり「あなたの中の、沖縄に対する意識」こそが、大問題なのである。
もう「普天間問題」は、終わりにしたい、なんぞと「あなた」は、言うつもりなのだろうか。
しかしどっこい、そうはいかないのである。
何度でも書くが、沖縄をなめてはいけない。
追伸:
しかし、昨夜はびっくりしましたなぁ。
今年2月に、石川真生さんが那覇市と沖縄市で写真展を同時開催したというのはご記憶の方もおられるでしょう。で、そのとき石川邸で合宿状態だったメンバーの一人、真生さんの友人で娘婿の母でもある、加藤賀津子さん(その節は、毎朝おいしいご飯をありがとうございました!!)が会場におられてわたしに気づき、声をかけてくださったのだ。
でもよく考えてみたら、不思議ではない。
6月26日には、宜野湾市長の伊波洋一さんを東京・文京区民センターに招き、普天間基地を抱える自治体の首長としての思いを、たっぷり語ってもらうとのこと。賀津子さんは、日ごろから、そういう活動にも熱心なフリー編集者なのでありました。
沖縄県民のみならず、むしろ全国的規模でいろんな立場の人びとが、ゆるゆるしっかり、繋がっていくことは、とっても肝要でありますね。そのための力にならんとして、入れ替わり立ち代り沖縄からヤマトへやってきてトークを繰り広げる、複数の政治家、ジャーナリスト、文化人、市民の存在があると知り、ホッと安堵もいたします。「沖縄の底力」を感じます。皆さん、お疲れさんです。
では、わたしもまた、今週、ささやかな歩みを前向きに歩んでまいりましょう。
(転載貼り付け終了)