この西森マリー著『ディープ・ステイトの真実』は、アメリカ政治の現在の動きを大きく解明している。日本の主要メディアは、アメリカに「ディープ・ステイト」が存在することを、まったく報道しない。 西森氏は、この本で、アメリカ国内政治の重要な事件や出来事を丹念に調べ上げ、それらをまとめ上げ、アメリカ(と、そして世界)を支配する「ディープ・ステイト」Deep State の正体に迫った。アメリカでもディープ・ステイトに関してこれだけの詳細で精緻な調査をまとめた本はまずありません。
この現状をよく表している言葉が「ドレイン・ザ・スワンプ!」Drain the Swamp ! だ。日本語に訳すと、「沼や川に、長年の泥が積もって、水が汚れて腐って底が見えない。この沼の水を抜いて、乾かして、きれいにせよ」である。日本のテレビでも、各地の池や沼の水を抜くと、そこに意外な、気持ちの悪い、生物がうようよいることを見せることで人気になったテレビ番組がある。このイメージだ。
スワンプ(よごれて腐った臭い沼)とは、まさしく、ワシントンDC(ワシントン政界。 inside the beltway ともいう)のことを指している。それを、汚水を抜いて、それらの奇っ怪な、よごれた政治家、官僚、メディア、軍人たちを、太陽の光と熱で、白日(はくじつ)の下(もと)に晒(さら)して、日乾しにせよ! ということだ。これが、トランプを熱烈に支持する、アメリカの温厚で、誠実な人々の強い願いだ。だから、「ディープ・ステイトを暴き立てろ」こそは、今のアメリカ国民の、一番、大事な政治スローガンである。
だから警官は何もできないでいるという状態。これがもっと続くと、これまで浮動票だった白人の女性が、法と秩序(law and order [ラー・アンド・オーダー])を求めてトランプ寄りになってしまう。だから、黒人たちにとってはかえって不利な状況になると思うんですけどね。どうしてそのことが分からないんだろうと、私は不思議でしょうがない。