大統領選挙では、民主党(Democratic Party)と共和党(Republican Party)が候補者を立てて争うが、実は他にも緑の党(Green Party)やリバータリアン党(Libertarian Party)など複数の政党が大統領選挙に立候補者を出して戦っている。1992年の大統領選挙では、第三党の候補者として出馬したロス・ペロー(Ross Perot、1930-2019年、89さ9弟子)が本選挙で2000万票近くを得票し、現職大統領で再選を目指した共和党ジョージ・H・W・ブッシュ(George H. W. Bush、1924―2018年、94歳で死)の落選、民主党のビル・クリントン(Bill Clinton、1946年―、73歳)の当選の原因となった。現実的には、民主党と共和党のどちらかの候補者が大統領となる。
民主・共和両党は全国党大会で正式に大統領候補と副大統領候補を決定する。決定後はアメリカか国内の全有権者に向けた選挙運動がそれまでよりももっと激しく展開される。投票日までに重要となるのが、大統領選挙候補者討論会(presidential debates、プレジデンシャル・ディベイツ)だ。この討論会は大統領選挙候補者討論会委員会(Commission on Presidential Debates)という非営利団体が主催する。この団体は民主・共和両党が協力して設立したものだ。
有力候補者たちを色分けすると、ブティジェッジ、バイデン、クロウブッシャーは中道派から右寄り、サンダースとウォーレンは左派となる。2019年4月から毎月1回のペースで民主党全国委員会主催の候補者討論会が行われてきた。そこでの焦点は、医療保険制度や大学学費無償化などであった。サンダースやウォーレンは「メディケア・フォ・オール(Medicare for All)」という政府が全国民に健康保険を提供する制度を主張してきた。一方、中道派から右派はこのような政府だけが健康保険を提供する主張には反対してきた。