「1984」番 書評 『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』  副島隆彦の中国研究、10年の勝利である。 副島隆彦
副島隆彦です。今日は2017年7月19日です。私は、一冊の中国関連の本を出版社の社長からいただき、もらったその日のうちに読んでしまった。

 その本は、中国研究が専門の知識人、ジャーナリストの本だ。
 著者の富坂聰(とみさかさとし)氏は、有名な中国研究家だ。 本当は、彼は、日本の外事(がいじ)警察官であり、日本政府が初めからずっと育てて、北京大学留学組の秀才で、中国政治分析の専門家(チャイナ・ウィッチャー)だ。この富坂聰氏が何と、中国は崩壊しない、という本を書いた。書名は、『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』となっていて、ビジネス社という出版社から出た。


中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由

 この本は私、副島隆彦にとって重要な本だ。なぜなら、私は2007年から10年間ずっと、中国は崩壊しない、ますます隆盛して、繁栄して強大な国になっていくのだ、という内容の本を書き続けたからだ。もう合計10冊になる。私の本の書名は、たとえば、『中国バブル経済はアメリカに勝つ』(2011年刊)とか、『それでも中国は巨大な成長を続ける』( 2013年刊)、『あと5年で中国が世界を制覇する』(2009年刊)などだ。

 私が、一番初めに書いた中国研究の本は、『中国 赤い資本主義 は 平和な帝国を目指す』(2008年1月刊)だった。この本は、私にとって極めて重要な本だ。私は、この2007年から、ずっと、中国がさらに巨大な成長を遂げて、やがてアメリカを追い落として、次の世界覇権(はけん)国(ヘジェモニック・ステイト the Hegemonic State)=世界帝国(ワールド・エムパイア a world empire )になる、と、深い決意を込めて書いた。 そして、今の私たち日本人にも誰にでも分かる、この巨大な真実そして真実が、目の前の大きな現実として現れてる。



 副島隆彦の天才級の 未来予知(予言、予測)能力を、馬鹿にできる人間たちは、もういない。

 日本には、「中国崩壊論」すなわち、『中国は多くの民衆暴動が起きて、内部から崩壊する」を、この20年間に、ずっと書いてきた、100人ぐらいの、”反共(はんきょう)右翼(うよく)”言論人たちがいる。それらの本と著者名を、私は、ずっと列挙したいが、今はしない。 そのうち徹底的にやる。

 それらの「中国は必ず崩壊する」を強く強く、唱える本を書いてきた日本の知識人たちがいる。彼らが大きく敗北して、私、副島隆彦が勝利したことを証明する本が、今度の、この富坂聡(とみさかさとし)著『中国はいつまでたっても崩壊しない(それどころか、習近平(しゅうきんぺい)体制になって、ますます隆盛する)』(2017年6月)という内容の、この本だ。

 富坂聰氏自身がこれまで、中国崩壊論の政治分析の本をたくさん書いてきた。その本の数は、私が、ざっと数えたら、31冊になった。 私は彼が書いた雑誌(情報誌、言論誌)の文章を機会があるたびに読み 例えば YouTube などに上がっているテレビ出演の彼の評論等を聞いたことがあるが、彼の本を、きちんとしっかり読んだのは今度の本が初めてだ。やはりこれは非常に重要な本だ。

 なぜなら3ページの「はじめに」で、富坂聡は、このようにはっきり書いている。

「「中国はいつ崩壊するんですか?」。ここ数年(私は)同じ質問を浴び続けてきた。いつの頃からか日本人は、中国の崩壊を前提とし、その日を性急に待ちわびるようになった」と。

 この「日本人は」というのは、富坂君を含めた、日本の熱狂的な反中国、反共右翼の知識人、保守派の中国嫌いの国民だ。「日本人全部が」みたいに言わないでほしい。

 そして次のように書いている。 「中国崩壊論は今や日本人の大好物だ。出版社からそうした執筆依頼は(私に)絶えずある。実際、書店に行けば、「中国崩壊」や「中国経済崩壊」を予言した派手な見出しの本が所狭しと並んでいて……。だが、予想を外したからといって、それが問題視されることもない。不思議なことだ」。

 そして次の行には、「読者のほとんどは、そもそも中国の未来を真剣に知ろうとはしていないのだ。こういう言い方をすると不愉快に思う人もいるので」と、書いている。富坂氏自身が、この「中国が崩壊するどころか、ますます繁栄している、冷酷な現実を」をそれこそ、腹の底から、一番、不愉快に思う人々の仲間であって、その代表の一人だった。これは今や、多くの証拠(すなわちこれまでに書かれた多くの本そのもの)付きで、そういう本を富坂自身が、たくさん書いてきた。もう逃げようがない。

 私は、彼の本の書名の一覧表を、簡単につくった。読み上げてみると、つい最近の 2015年刊の『習近平の闘い 中国共産党の転換期』、2014年『中国経済の危うい実態』、2012年には『習近平と中国の終焉』など、このような本をたくさん書いてきた。だから、今度のああ、困ったなあ、いつまで経(た)っても中国は、崩壊しないよー。俺は嘘つきだったのかなあ」という内容である、『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』である。中国研究で、日本を代表してきた、重要な一人である富坂自身が、大きな思考変更を起こしているのだ。

 私、副島隆彦が、このように明確に、びしりと書いて、それに反論できる人間が、今や、この国にいるのか。いるなら名乗りを上げて、堂々と出て来い。副島隆彦がお相手してあげよう。その際は、ただでは済まさない、私、副島隆彦と正面戦の激突をして、それで勝てる、と思ったら、名乗りをあげなさい。いつでも、どこでも私はお相手する。他流試合(たりゅうじあい)でもなんでも構わない。今の、副島隆彦と真剣勝負をして、勝てる言論人、知識人、学者の反中国主義者の、「中国崩壊論」の論者がいるというのなら、誰でもいいから、私、副島隆彦に紹介しなさい。 私の方から、その人物に決闘状を叩きつける。

 この『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』をずっと読んでいると、第4章の「私たちが見て見ぬふりをし続けた中国という“不都合な真実” 」という章がって、その166ページに、「この章に入るに際して、私にはひとつの反省がある。それは、習近平がこれほど強烈な政策実行力を発揮するリーダーだと予測できなかったことだ」。

 そして、その4行目で、「習近平政治を代表するキーワードにもなる「反腐敗キャンペーン」をきちんと位置づけられなかったことは、慙愧(ざんき)に堪えない」と書いている。富坂は、ここまで正直に書いて、自分の本心を吐露しているのだ。この「慙愧(の念)」は、強く深く自分に向かって反省するという意味であり、富坂氏は自分でそう書いている。 それはほかの箇所にもあるから、これは富坂聡の思想的大転向だ。思想的大転向そのものだ。私、副島隆彦は、この事実を声を大にして指摘する。


習近平国家主席

「そうじゃない、富坂は、始めから中国に買収されていた男だ」などと、広言する者がいたら、そのような、人間たちこそ、今から、皆で、公共の言論の場に引き釣り出して、徹底的に公開討論をして、真実の究明をしなければいけない。

 この本の168ページには、「しかし、私は当時、習近平の指導力を過小評価していた」。その3行目、「習近平の中央での基盤はぜい弱に思えた」。その次のページでは、「私は早くから習近平の可能性に言及していた。日本のメディアが誰も指摘しなかった習近平の可能性に触れることは、当然のことながら私にとって勇気が必要であった」と、正直な告白もしている。

 次の170ページで、「わかりやすく1カ所を指し示すならば」と書き、「だが、いまにして思えば、習近平は“うつけ”を演じていたのだ。そしてその裏で党内の根回しを行い、自らの政策を実行する際に、最短で最大限の効果をもたらす準備を進めていたのである」。 その次に、「自分がすっかり騙されたから言うわけではないが、驚くべき、政治センスと嗅覚を習近平は持っていると言わざるを得ない 」と書いて、今や、習近平礼賛(らいさん)に近い持ち上げ様(よう)であるから、富坂氏はこれまで自分が長年、書いてきた中国崩壊論、中国の悪口から完全に離れたのだ。

(貼り付けはじめ)

『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』目次

はじめに
「中国崩壊論」という幻想

第1章
新たな「大国関係」から浮かび上がる
中国が得たもの、そして失ったもの
★「中国は米国の『一帯一路』参加を歓迎する」
★~米中の巧みな駆け引きと日本の戸惑い~
報道に見え隠れする“中国の失敗"という願望
「ゴルフ」よりも大切な日本の国際社会での立ち位置
間違いだらけの“トランプ砲"という安心感
「相互尊重を基礎に意見の相違を……」の真意
異例の譲歩ともいえる米朝直接対話への言及
中国にとっての踏み絵となったシリアへの態度
「一帯一路」と「投資協定」というホームラン

第2章
世界で最も大衆に気を使う
中国共産党政府の統治テクニック
★「だったらオレは習近平がいいよ」
★~常に人民しか見ない究極のポピュリスト政権~
「何か」に怯え続ける中国共産党政権
「青春時代の終焉」と火がついた「中国の火薬庫」
よみがえる「維穏」があぶりだす共産党の“アキレス腱"
習近平も李克強も恐れる「選挙の洗礼」
ラジコン飛行機購入にも求められる身分証
「自由」を奪われた不満の矛先はどこへ向かったのか
タクシー運転手が語った「いや、習近平ならいいんだよ」の意味
「中国のエライ奴らは、みんな同じことをやっている」
不可欠な条件としての「大衆路線」
耳あたりのいいスローガンと“有言実行力"

★「党や人民に申し訳ない」
★~毎日700人以上が処分される政治ショーの正体~
スケールが違う「ハエ」たちの蓄財術
地方官僚と「トラ」に対する息つくヒマなき処分劇
社会の安定に大いに役立った「巨星」たちの落下
ますます巧妙になっていく「下の対策」
賄賂も酒も受け取らないが、仕事もしない
加害者も被害者もエリートという怪事件
24年分の昇格が一瞬でフイになる「断崖式降級」

第3章
基盤の脆さと個の強さが混在する
中国のジェットコースター経済
★「十字架はわれわれが背負うしかない」
★~労働者の不安というマグマと並存する爆発的な消費欲~
単なる“老化"か、それとも“致命傷"か
社会に吐き出される600万人もの失業者の行方
裁員、失業、下崗から転崗分流というまやかし
大企業幹部ですら不満と不安を呪う毎日……
浮かれ続けた「黒金10年」という石炭パラダイス
大きすぎて潰せない“東北最大のゾンビ"の惨状
鉄鋼業界発の大規模金融危機という悪夢
“悪が悪を追い落とす"石油業界の閉塞感
バブル崩壊後の日本を苦しめた「3つの過剰」と中国経済
『君の名は。』の大ヒットとアリババの24時間売り上げ記録

★「党員及び党幹部は緊迫感を感じるべきだ」
★~2012年、中国に訪れた本当の危機とその後遺症~
中国社会の根底を支え続ける妙な“明るさ"
転んでもタダでは起きない労働者たちの“耐久力"
「湿ったマッチ」には簡単に火はつかない
中国人がどんなときも失わない「サバイバルの鉄則」
中国の「水戸黄門」と化した北京の党中央
文化大革命の肯定と“中国崩壊"というリアルな危機
薄熙来が中国政界に残した火種の本質
中国共産党が文化大革命を“暗黒"と見なす真の理由
国家の「ちゃぶ台返し」という、いまそこにある危機
時代の変化に無節操なほど対応するリーダーたち
「亡党亡国」を防ぐ「ソ連崩壊」と「アラブの春」という教訓

第4章
私たちが見て見ぬふりをし続けた
中国という“不都合な真実"
★「大きな爆発が各地で起こるだろう」
★~ふたつの改革から見える新時代の始まり~
想像を超えた反腐敗キャンペーンのインパクト
“うつけ"を演じきった習近平と党中央の危機感
対立点も目的も説明しない呆れた“派閥抗争ネタ"
習近平体制のポイントとなる4つの「妙」
「毛・鄧」両路線を象徴する「楓橋経験」と「南巡講和」
なぜ習近平の次に顔を見せるのが王滬寧なのか
人事こそ「集団指導体制」から「核心」への変化のカギ
伏魔殿にも果敢に斬り込む「嫌われる勇気」
正月気分をぶち壊す旗艦企業へのがさ入れ
党・軍関係の改善こそが「機能する軍」への近道
対内的に“大敗北"を喫した人民解放軍

★「人民を豊かにし格差と腐敗を抑える」
★~権力闘争観では見えない知られざる中国の戦略と変化~
改革の起点は2013年11月にできた「小組」
国務院“中抜き"は決して権力闘争の結果にあらず
「習VS李」という日本のメディアの妄想バトルの実態
「ふたつの責任」「ふたつの主体」「ふたつの全面カバー」
私たちが見たくない現実にこそ未来がある

おわりに
もうそろそろ「神風の期待」から卒業すべき

(貼り付け終わり)

副島隆彦です。富坂聡の本の内容は、上記のとおりだ。
 私の弟子の中田安彦君が、3カ月ぐらい前に、「富坂聰はもう中国に取り込まれたんじゃないですか」という独特の言い方で情報をくれていた。どうも、永田町の辺(あた)りでは、そのような声が広がっていると。それがこの本になって表われた。

 ということは、特にこの5~6年、とにかく中国の悪口を書く人たちが多かった。それは、喧(かまびす)しいと言っていいほどの、大騒ぎだった。この「反(はん)中国言論」は、2012年12月に、上手に仕組まれて、すーっと登場した安倍晋三政権によって、強力に支援され、演出された。中国(習近平)が、安倍晋三を、どれほど、嫌ったかは、この5年間、私たち日本人も、テレビで、ことある度(たび)に、ニューズ報道の際に、見てきたとおりだ。

 安倍晋三を支える言論人や新聞記者たちは、とにかく中国や韓国、そして北朝鮮を嫌がり、中国はもうすぐ政権が崩壊して共産主義体制が崩壊するのだ、と言い続け、書き続けた。そんなこと起こらないない、中国はどんどん豊かになっているから、民衆もそれに応じて、貧困からどんどん脱出している、だから中国は崩壊などしないと、私、副島隆彦は、冷酷に、彼ら、中国崩壊論の 愚か者たちに向かって、大きく反対のことを書き続けた。

 あれからの10年だ。 私は、ずっと、「どんなに、皆さんが、テレビ、新聞、週刊誌とかで、中国を腐(くさ)し、あれやこれや、物凄い量の悪口を書き続けても、そうはならないよ。その反対で、それでもなお中国の経済は巨大に拡大するとか、中国はもっともっと繁栄を続ける」 といった内容の本を、私、副島隆彦は、たった一人で、言論人としては、孤立に堪えながら、我慢に我慢を重ねて、書き続けて来て、ああ、よかったなあ、と思っている。私、副島隆彦の勝利だ。その記念碑的な証拠となる本が、今度の富坂聡の新刊書『中国がいつまでたっても崩壊しない(ああ、困ったなあ)』本である。

 私は、繰り返すが、2008年1月に『中国 赤い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社刊)という本を書いて出して以来、『あと5年で中国が世界を制覇する』、『それでも中国は巨大な成長を続ける』、そして2011には『中国バブル経済はアメリカに勝つ』という本を書いた。2015年には、『中国、アラブ、欧州が手を結びユーラシアの時代が勃興する』という本も書いている。



 中国の国家体制がさらに、もっともっと強大になって、経済的にも繁栄して、中国人がどんどん豊かになっていくという事実を、とにかく嫌がって、憎んで嫌って、ねたんで、悪口を言って腐(くさ)すことを、日本国民の一部がやってきた。その総数は、500万人ぐらいだ。彼らは、まさしく、今の安倍政権を支えている中心的な勢力だ。

 ここで念ため言っておくが、私、副島隆彦は、中国の共産主義体制そのものを支持してきたわけではなく、かつ、中国から1円もお金をもらったこともないし、中国の肩を過度に持つ気もない。しかし、中国がどうなっていくのか、いう冷酷な未来予測をすることは、それらの政治的な党派性とか好き嫌い、とは別の問題だ。

 私は近未来(きんみらい)の予言をする人間、予言者型言論人 として、3年後、5年後、10年後、これからその国は、どうなるのかを、自分の勝手な主観や、思い込みや、好き嫌いなどを、捨て去って、冷静に冷酷に「これからこうなる。こういうことが起きる。その次はこうなる」と書き続けた、生来、ずば抜けた知能をした人間だ。

 そして、こういう態度、生き方こそが、知識人、言論人のあるべき態度であると強固に思っている。この意味では、私のこの10年の予測は、はっきりと的中したことになり、故に副島隆彦の勝利だ。

 「 副島隆彦は中国の手先だとか、親中(しんちゅう)派で、”反日分子”、日本を嫌っている人間だ」という悪口もずっと書かれた。しかし、私の中では、そういう低劣な、知恵遅れたちからの批判などは、どうでもいいことで、それらをじっと睨みつけながら、冷静に見て中国はもっともっと繁栄すると書いてきた。

 中国は、毛沢東の時代に大躍進(だいやくしん)運動(1958年から1961年までの4年間。=人民公社運動。この4年間で2000万人の農民が餓死した。1962年1月、毛沢東の自己批判 )と、そのあとの、文化大革命で、1966年から毛沢東が死んだ76年(9月9日死去)までの、丁度10年、中国人民(国民)は、地獄の底をはい回った。文字通り、生きるか死ぬかの飢餓線上をさ迷った。(そして1977年7月21日、鄧小平=デンシャオピン=が復活した。 )

 世界史・中国研究の学者たちが、世界基準で認めている数字では、2300万人が、文革(ぶんかく)の10年間で、政治弾圧で死んだと言われている。その中身は餓死(がし)者も含めた、政治的な死だ。殴られて殺されたり、ビルから突き落とされたり、あるいは自殺した知識人や共産党の幹部たちも多くいた。実際に、こ「の10年間で2300万人が殺された」という数字は、世界的に認められている。

 農業生産の集約化=私有制度の否定、国営企業化で、あまりにも農業と、工業の生産が低くなって、餓死した農民がたくさん出た。恐らく1億人ぐらいが文化大革命のおかげで死んだと思われる。直接、私は、たくさんの中国人に聞いたが、当時は、木の皮を剥いで食べて飢えをしのいだそうだ。こういう事実を隠す必要もない。

 私、副島隆彦は、常に冷酷に、何が事実かを、究明して、事実(facts ファクト)だけで、自分の頭を満たし、それを理論化する。日本では珍しい、この本来の世界基準(ワールド・ヴァリューズ world values )の 知識人としての態度、生き方において、副島隆彦ほど己(おのれ)に厳しい人間は、この国にはいないだろう。だから、私は、予言者型の言論人として、常に、自分の判断を大きく間違わないでやってきたのだ。己(おのれ)の主観、思い込み、好き嫌いに引き摺られるような者は、どうせ、本物の知識人にはなれない。 歴史の藻屑(もくず)に消えて行く。

 あれだけ、駄本(だほん)、ゴミ本を一人当たり数十冊も書いても、あとに評価など何も残らない。消えていなくなる。 一番、みっともないと思うのは、自分自身だろう。自分が過去に書いた本の、あまりものおかしな記述に、顔を埋(うず)めて、顔を真っ赤にしながら、深く恥じ入って、「おれはバカだったなあ」と、反省するだろう。

 だが、どうせ、この者たちの多くは、居直る。居直って、知らん顔をして、すっとぼけて、また、全く、別のことを、平気の平左で、書き散らす。 バレないと、思っている。 本当に心底、馬鹿な野郎どもだ。

 彼ら、”反共右翼”のあるいは、ネトウヨにような、ゴロツキ評論家、知識人、学者にまでいる、者たちを、私は、一斉に、一覧表にして、公表するつもりだ。 私、副島隆彦の、攻撃から逃げられると思うな。証拠は、自分たちがこれまでに書いた本、そのものとして、いくらでも残っている。 

 その 嚆矢(こうし)、先陣を切ったのが、富坂聡なのだから、さあ、このあと、どうやって残りの者たちは、雪崩(なだれ)を打って、「自分の判断は甘かった。大きな判断として間違っていた(それでも自分が書いたことに取柄はある、などと言い訳たらたらも含めて)」転向を開始するのか。私、副島隆彦はじっと見ていてやるよ。首を洗って待っていなさい、ということだ。

 地獄の底からはい上がって、1978年に、鄧小平(とうしょうへい。デンシャオピン)という指導者が指導力を握った。”プチ鄧(トン)”と呼ばれた小柄な人物だが、彼は、とにかく何があっても、中国を豊かな国にする、と死に物狂いになって中国の復活を計画した。この鄧小平が偉かったのだ、と私はずっと私の本で、この10年、書いてきた。

 4人組(江青たち、過激派の文革派)に命を狙われながら、山の中を逃げたりして、生き延びて3度、不死身の復活をした鄧小平は、資本主義(capitalism カピタリスムス )という制度のよさと、市場経済(market economy  マーケット・エコノミー)のすばらしさを中国にどんどん導入した。共産党の支配と統治は残すが、国民がなるべく自由に自分たちの活力を伸ばして豊かになっていくことを政府は極力、邪魔をしないという態度を取った。これが「改革開放(かいかくかいほう)経済」と言われている。

 一番わかりやすい言葉で、「黒い猫でも白い猫でも、ネズミをとる猫がいい猫だ」という重要な言葉があった。それが1978年末から始まった、中国の新しい経済体制だ (1978年12月18日、鄧小平の大号令、第11期3中全会)。そして、深圳(しんせん)でのマーガレット・サッチャー首相との、香港返還の会談、交渉(20年後の、1998年7月1日に返還と決定)。

 1979年1月末、鄧小平、訪米。鄧小平・デイヴィッド・ロックフェラー会談。ロックフェラー財閥が中国の成長、発展に全面的に本気で応援する、ということがこの重要な会談で決まった。大統領との会談よりも、こっちが重要だったのだ。このあとすぐの2月、鄧小平は、中国の帰るとすぐに、中国軍の、ベトナムへの懲罰的な侵攻をした。丁度一か月で撤収した。国境線に、中国兵の死体の山が築かれた。

 これで、中国軍の幹部たちを、「お前たちの愚かで頑迷な毛沢東主義が、最新鋭の米軍の武器で武装したベトナム軍にボロ負けしたのだ。原因を真剣に考えろ」と、鄧小平が中国軍幹部たちを粛清した。

 中国の、改革開放(1979年から)の最初の10年、20年は、それでも、中国は、まだ汚くて、どうしようもなく惨めで哀れな国だった。恐ろしいほどの、ぞっとするほどの穢(きたな)さだった。私が初めて中国に行ったのが1987年で、(その前に、香港には、1970年代に数回、行っていた)、そのころは、まだ北京や上海の大都市でも、本当に恐ろしいぐらいに汚(きたな)かった。表面だけは高層ビルも建っていたが、裏通りは、本当にどぶ川がそのまま残っている、見るも無残な汚い国だった。

 そこから10年が経ち、さらに10年がたった(今年、2017年)。こうなると、日本人はもう中国人には勝てないということがはっきりした。8年ぐらい前の本で、私は、中国にはもう100億円ぐらいの資産を持っている国民が500万人ぐらいいると書いた。そうしたら、「副島よ、そんなウソを書くな、そんなことはあり得ない」と言って私の本をたたいた人たちがいた。

 しかし今は、もう、そういう巨富(きょふ)化した中国の事実を、全ての人が認めている。どこから、あれほどの富が、湧いて出てくるのか、私、副島隆彦にも正確にはまだ測定、解明出来ていない。それでも、中国の巨大な成長は、実際に、私たちの目の前で起きて、そして今も続いている。

 中国の人口は13億人ということになっているが、本当は16億人、いや、17億人いるようだ。毎年6000万人ぐらいずつふえている。その強大な人口増殖力が経済繁栄を支えていく。

 今も貧乏な層がたくさんいて、7億8億人いる農民は、まだまだ貧しいと言われている。私が20年前に中国に行ったころは、都市のお店で労働している若い人たちの月給が、大体800元だったから1万円ぐらいだった。その人たちが、いま恐らく月収8万円ぐらいまで来たのではないかと思う。最低限層で、3000元ぐらいだから、1元=16円として、都会の出稼ぎ労働者のような貧しい層でも、月給5万円から6万円ぐらいまでにはなっている。大卒の企業勤務、公務員たちで、16万円(1万元。年収で、ボーナスが、高いので、200万円)ぐらいになっている。

 中国人のエリートの大卒の、外資系の企業の若い幹部社員たちは、平気で、年収2000万円(13万元)もらっている。これは、欧米社会の大企業の水準に、中国はすぐに対応するので、こういうことになる。だから、日本は、もう追い抜かれた、ということだ。 

 私、副島隆彦は、必ず1年に1回の中国調査旅行を、ずっとやって中国の各地の現地調査をやった。ほとんどの気巨大都市には行った。その周辺の農村地帯も見て回った。それが、私、副島隆彦の毎年一冊出してきた中国研究本の10冊に詳しく書かれている。それらを今からでも、読みべきなのだお。

 とくに、中国崩壊論に、ずっとくっ付いて、あれらの本に、「そうだ、そうだ。中国共産主義は、崩壊するのだ」と追随してきた者たちは、自分自身の内心で、ボッキリ来れて、もう、強がりなど言えない、その正直さ、で、私、副島隆彦の中国本を、今からでいいから、読みなさい。それが、ひねくれ者でない、まじめな人間のするべきことだ。

 繰り返し書くが、中国は、男女差別がない国だから、大卒で銀行員とかになっていると、恐らく月給で15~16万円まで来ている。マネジャークラス、課長、部長、管理職になっていくと月給30万円ぐらいの人がかなり出てきている。公務員は、さらに優遇されているから、若い管理職なら月給20万円ぐらいにまで上がってきている。そして民間企業の場合、管理職ではもう年収2000万円3000万円の人たちが、たくさん出てきている。だからもう日本を追い抜いてしまっている。

 日本の40歳ぐらいの大企業サラリーマンが、年収で1千万で手取り30万円ぐらい(日本の税金は、ヒドい。過酷だ)だとしたら、あと数年でこれを追い抜いていく事態になる。

 だから、2006年の世界GDPにおける比較で、日本は中国に追い抜かれてた。今は、もう中国が世界GDPの80兆円ぐらいのうちの15%だから15兆ドル、1200兆円ぐらいを持っている(香港を含む)。
それに較べて、日本はこの25年間ずっと、まったく経済成長がなくて、地獄をはい回っている。

 日本のGDPは、ずっと4.8兆ドルだから、簡単に言えば500兆円だ。ずっと20年間、この500兆円弱を続けている。25年も、国民経済が停滞し続けるというのは大変なことだ。日本人はこの20年間の間に、本当に貧乏になってまった。 それに比べて、中国は、この10年で、10倍、30年間では、100倍の経済の国になった。私、副島隆彦のこの書き方は、決して、誇張でも、駄法螺(だぼら)でも、大風呂敷でもない。


深圳にある200メートル級のビル

 「・・・中国は経済低迷が続き」と、ずっと、この20年間、書いてきた、新聞、雑誌の記事と評論文の山は、あれは何だったのか? あの記事たちを書いた奴らで、今も、だま、同じことを書き続ける気がある奴は、出て来い。私、副島隆彦が、その首根っこをへし折ってやる。事実(ファクト)は、どうだったのか、という1点で、だ。

 そろそそ、本当に、中国崩壊論を、書き続けた者たちは、自分の首の辺りが、ひやーとすることを自覚せよ。

 それでも、これだけ、アメリカにむしり取られ、食い潰されてきた(米国債を担保で、アメリカに奪われた日本の国富は、この30年間で、その残高は、今や、1400兆円=12兆ドルぐらいだろう。そのように、副島隆彦だけは、ずっと書いてきた。毎年30兆円だ=2500億ドルぐらいだ。本当だぞ! )が、それでも、日本の経済は底力を持っている。

 日本の理科系の技術者と輸出大企業の2000社ぐらいがしっかりしているから、貧乏がそう表面に出るわけでもなく、日本は金融経済的にはまだアジアで唯一、G7にも入っている先進国だ。だが、それも怪しくなってきた。ここまで貧乏になったら。

 東芝が潰れかかっている。東芝は、ウエスチングハウス社という原発製造販売会社(今は、破産した、ボロ会社)を、8年前に無理やり7000億円で買収させられて、その時の大損がそのまま、今の東芝の破産、崩壊、消滅の傷口の原因になっている。アメリカはひどいことをする。暴力団のような国になってしまった。

 日本はそれでも、ヨーロッパとは肩を並べている。ヨーロッパ人も軒並み貧しくなっている。私たちの生活実感は本当に貧しく厳しいものになっている。それを国民に自覚させないように、自覚させないように、ウソと洗脳情報ばっかりで、日本の政治は動いている。

 その間(あいだ)に、中国で月給が10年前に、1万円(6000元)だった人たちが今は、10万円になっている。これで国力は10倍だ。しかし、その前の中国の10年は、月給が1000円(600元)だった。1000円が10万円になったということは、この20年間で、実は100倍の国になったということだ。それに対して、日本は、この20年間、いや、30年間、年収が変わらない。 日本の大卒の初任給で、30年前(1987年)に14万円だったが、2017年の今も、14万円だ。この30年間に、日本で、一体、何が起きていたのか、そろそろ、本気で、考えなさいよ。恐ろしい事実を日本人は分かるべきだ。

 私、副島隆彦だけは、これらのことをずっと書いてきた。明確にわかっていた。10年前にこれからの10年先にどうなるか、を見据えて自分の本を書いてきた。20年前にも、10年後はどうなる、と書いてきた。それが、ついに近年、予言者宣言をした副島隆彦の底力(そこじから)であり、揺(ゆ)るぎない自己能力への評価だ。

 だから、中国はこのあとも、もっともっと繁栄する。恐らくあと10年もせずに、アメリカを追い抜く。アメリカは、嘘八百が入って、GDPで14兆ドル(1700兆円)を公表している。それで、世界GDPの20%を占めている、と豪語している。だが、本当は、2008年のリーマン・ショックで、ガタンと来ていて、インチキ金融・経済で、水増し、隠蔽、粉飾帳簿だ。中国のGDPは、今、12兆ドル(1400兆円)まで来た。日本は、先述した通り、20年間4.8兆ドル(500兆円)のままだ。この冷酷な事実を、そろそろ、自分の頭に叩き込みなさい。

 副島隆彦の本を読んで来た人なのだから。そろそろ、自分の知能を成長させて、おおきな真実に、数字で、到達しなさい。 ヨーロッパは、EU(イーユー)28か国で、ようやくアメリカを抜いて、15兆ドル(1800兆円)ぐらいのものだ。

 副島隆彦の次の予言で、来年、2018年には、中国の習近平とロシアのプーチンとアメリカのトランプで、3巨頭会談を開く。それが新しい世界秩序である、第2次ヤルタ会談体制、英語でいえば New Yalta 2.0 (ニューヤルタ・2点ゼロ)だ。この体制が生まれつつあるというのが私の最新の予言だ。

 中国のこの巨大な成長を、いやいやながらでも、日本国民ももうわかってきた。5~6年前から「爆(ばく)買い」という言葉が出てきた。インバウンド(inbound)とは、買い物にやってくる外国人旅行者という意味だが、このインバウンドの6~7割は中国人、台湾人、韓国人、香港人たちだ。この人たちのものすごい購買力に日本国民が圧倒された。今は中国政府がこれらの外国買い物税金をかけるようになった。あまり高価なものをたくさん買うと帰りに空港で税金を取られるようになったので、爆買いが少しおさまっている。

 中国人の激しい成長と繁栄は、中国の現地行ってみなければわからない。私は毎年1回は中国を調査しに行っているので、主要な大きな都市は、大体見て知っている。西安(シーアン)の他にも、ウルムチ、ハルビン、成都、重慶、フフホトという広大な内モンゴル自治区の州都(本当は、中国モンゴル族の首都)にも行っている。

 日本人は、今も、中国の実態を知りたくない、わかりたくない、それと、対抗心ばかり燃やして、とにかく中国を見下(みくだ)したい、という気持ちがある。安倍晋三を支えている反共右翼の人たちは、西洋白人に対しては一言も文句を言わないのに、中国、ロシア、朝鮮、韓国の人々を、とにかく自分たちより劣った見苦しい、惨めな愚かな人間たちだと言ってけなす、ことばかりをしてきた。それが非常によくないことなのだ、とそろそろ、わかるべきでだ。

 だから、副島隆彦が、長年、言ってきた通り、「アジア人どうし戦わず」、アジア人どうし戦争だけはしてはいけない、だ。 日本には基礎工業力を支えるものすごく強い文化の力もあるから、それをアジア諸国にまだまだ輸出して、日本は大きな繁栄を目指さなければいけない。中国人に教えることがまだまだ、山ほどある。彼らは、日本人を経由しなければ、自分たちは、欧米の先進国を、洗練された高度の文化、芸術でも追い越してゆくとは出来ないのだ、と腹の底から知っている。だから、中国人は、今も、日本人の優秀さと、欧米の文明を必死で150年間かけて取り込んできた洗練された感覚の凄さを、よくよく知っている。

 中国が大成長を遂げ隆盛していくということは決してきれいごとではない。この20年間にも、もぼろぼろの大赤字で、生産効率の非常に悪い、国際競争力のない、質の悪い中国製品しかつくれない国有企業はたくさんあった。それらを地獄の苦しみと血のにじむような努力で、中国人は業態転換していった。それが改革開放経済だった。

 1991年にソビエト連邦が崩壊して、ただのロシアになった。が、あのときにもソビエトの国有企業がたくさん破産し、その中の目ぼしい建物や土地や工場を使って新しい生産を始めた連中がいた。それがオリガルヒで、彼ら若い、ロシアの新興階級の人間たちが、工場や会社の共同所有権、すなわち株券を普通の労働者たちから買い集めていって、新しい資本家になっていった。

 中国でも同じように40年前の「鄧小平の号令」と時から、オリガルヒが出現した。1980年代には、彼らは、「万元戸(まんげんこ)」と呼ばれた。丸々赤字で、実質倒産してしまった国営工場を買い集め、自分たちでもう一回立て直し、経営者に成り上がっていった人々だ。中国の富裕層はそこから出てきた。薄汚く薄汚れ、どんなことでもするという商売っ気がある人たちだから、中国全土の環境をものすごく悪くして、ひどい状況に陥れてでも外国の企業からの注文があれば、どれだけでも無理をして、安いお金で工業製品をつくっていった。

 だからお金のために、他に何も売るものがない女の人たちは自分の体を売って、外国人でも、金持ち相手にでも、売春婦をやり、当時は田舎なら50万元、700万円ぐらいあれば立派な家が建ったから、それを稼いで田舎に帰った。それが豊かになるということだった。この中国人の、恐ろしいまでの這い上がる力を、日本人は、軽く見て、舐(な)めてきたのだ。本当は賢い、目端のきく経営能力のある人間たちが、万元戸(まんげんこ)という名前でどんどん栄えていった。

 都市に住んでいる連中は、高層アパートがどんどんできたから、最初は非常に粗悪なのも作って、今でも建て直さなければいけないぼろぼろな30階建てぐらいの高層アパートが、山ほど、中国全土に、たくさんある。それでも中国人は負けていない。その鉄筋ボロ高層アパートを、今からでも、幾らでも建てかえていき、西洋や日本水準のものをやがてつくるようになっている。

 このようにしてあっという間に、強大で豊かになった国で、中国人の一人一人は、やはり地獄の苦しみを味わいながら生き延びてきた。それが中国共産党に襲いかかって民衆暴動を起こして倒すのではなく、中国共産党側も深刻に反省して、独裁国家体制ではあるけれども、民衆の生活をよくすることに指導部が本気になった。

 今から5年前の2012年の10月の、今から5年前の、習近平(しゅうきんぺい、シーチンピン)の党大会(18大)の直後の、総書記(国家主席になる)に就任した時の演説は、「私たち指導部は、たくさん反省する。だから、人民も頑張ってください。共に偉大なる中華民族の復興を果たしましょう」という、しみじみとした、中国民衆の胸にこたえるものだった。私は、それらのことも、自分の本に書いた。

 習近平は、次の5年間どころか、さらにその次の5年間までも、あと10年、中国の最高指導者をする、ということが、決まったようだ。それが、「桃の実には、おおきな種が一つある」で、これが、「党の核心」という意味だ。

 鄧小平は、1993年の死ぬ間際に、胡錦濤(こきんとう)に命じて、「お前たちは、我慢の我慢で、あの習近平という若者を育てよ。江沢民、曽慶紅(そうけいこう)の悪人どもからから、上手に取り上げて、諫(いざ)と言うときには、軍事力も使える、叛乱分子の鎮圧も出来る、悪(あく)も体現できる人間として、習近平を育てよ」で、今の中国があるのだ。

1989年の天安門事件(6.4事件)の、民主化運動の急進的な学生や知識人たちの、運動を弾圧しなければ、今は、中国はまだ、成長経済のよる強国化を達成できない。だから鄧小平は、泣く泣く、学生たちを弾圧した。その時期に、鄧小平が、自分の次の指導者として、期待していた、胡耀邦(こようほう)と、趙紫陽(ちょうしよう)のふたりの総書記(国家指導者)たちは、学生たちをうまく説得して、
押さえ付けることが出来なかった。だから、このふたりは失脚した。

今の李克強(りっこうきょう、国務院総理=首相)たちは、胡耀邦(こようほう)が作って育てた、強制団(きょうせいだん)だ。その前も、胡錦濤(こきんとう)と温家宝(おんかほう)も、共青団(共産主義青年団。ソビエトのピオニール少年青年団と同じ)だ。 共青団で、真面目で、腐敗せず、秀才の者たちでは、現実の汚れまくった、危険に満ちたこの世界では、本当の強い指導者に成ることは出来ない。

だから、江沢民系の太子党(たいしとう、タイズータン)に属して、悪いこともたくさん見てきた、そして、それを超えられる習近平が、人材として、いいと、鄧小平が、極めて厳しい眼鏡にかけて、判断したのだ。それが今の中国人の、ずば抜けた人材育成であり、世界を領導してゆくに足る、人間たちの成長だ。 今や、チンコロ国民である、日本人ごときには、もう、こういうずば抜けた能力選抜と人材育成は出来ない。 私たちは、そろそろ、深くこのことを思い知るべきだ。

 2015年の末から、「(中国共産)党の核心(かくしん)」運動というのを始めた。これが何なのか、私、副島隆彦も分からなかった。ようやく、この3月に分かった。「党の核心」とは習近平そのものだ。そして、「桃(もも)には大きな種(たね)がひとつだ」で、これが、「党の核心」運動(キャンペーン)だ。反腐敗(はんふはい)闘争に続く習近平の大きな戦略だ。この一環として、北朝鮮問題をきちんと片付ける。その際に、政府(共産党)に対して、増長している中国軍を、北朝鮮に侵攻させて、鍛えて、鼻っ柱をへし折る計画だ。

 今の中国には、今も、どうやら、1人で500億円、1000億円どころか、どうかすると1兆円とかをかき集めている地方の共産党の幹部たちがいるようだ。「温家宝首相が、一族で2千億円の政府のお金を着服した(ニューヨークタイムズ紙が暴露報道した)なんて、中国人には、少額過ぎて、笑い話ですよ」と石平(せきへい)氏が、笑いながら、私に教えてくれた。温家宝は、「私は、首相の任期が終わったら、引退して消えるから、跡を追わないでください」と言って消えた。彼も実に立派な人物だった。

 腐敗分子の党幹部たちを、人民からの告発もよく聞いて、摘発して、どんどん牢屋に入れて、あるいは死刑にした。習近平は、2013年から恐ろしいまでの反腐敗闘争を始めた。この4年間で、2万人ぐらいの共産党の幹部たちが捕まったようだ。これは日本人にはちょっと理解できない恐ろしい動きだが、中国人ならば肌でわかるのだろう。

 お父さんが捕まって死刑になると、家族は悲惨な目に遭う。それまで500億円とかを不正蓄財して、賄賂をかき集めて生きていた人たちが、中国の地方都市には500万人や1000万人はいる。今でも、生き残っている人たちはたくさんいて、その中で、まあまあ10億円ぐらい稼ぐことのできた人たちが日本に爆買いに来ている。

 日本だけではなく、ヨーロッパ諸国やアメリカにも行く。世界中どこにでも、中国人が旅行に行っている。それこそアンデスの山中にでも。そのことのすごさを冷酷に見るべきだ。中国人は1億人が失業しても、その人間たちが新しい職業や新しい事業、新しい産業に入り込んでいく。必死に物をつくって、世界中に工業製品を輸出して生き延びてきた。私が着ているほとんどの洋服、100円ショップで売っているもの、簡単な家具、ほとんどのものが中国製だということは、日本人も世界中の人々もみんな知っている。それが、この40年間の世界だ。

 だから富坂聰氏が、ついに中国は崩壊しないのだと、もっともっと繁栄するのだと言ってしまった段階で、彼を第1番目として、これから、200~300人の日本のまじめな中国研究家も含めた、右翼保守言論人たちは、次から次に転向していかなければいけない。そして自分の考えを変えていかなければいけない。そういう段階が出現したということだ。正しい国家戦略は、冷酷で正しい現状分析、現状認識からしか生まれないのだ。このことを思い知るべきだ。

 これが6月1日に出たばかりの富坂聰著『中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由』を読んで、私が思ったことだ。

副島隆彦拝

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