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[200]評論家の語る内容の殆どはウソである
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投稿者:相田英男
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投稿日:2022-03-06 11:51:02 | ||
相田です。
エルピーダとは、DRAMという半導体の製造技術を残すために、日立、NEC、三菱電機などが集まって作られた会社なのは、今更私が説明するまでも無い。最近の半導体の価格高騰の中で、エルピーダの破綻の経緯について再び注目されている。その中でも、引用した著者の説明内容は白眉と言える。 政府の資金援助が足りないとか、巨額な設備投資に日本企業は耐えられない、などという、巷に流布される理由とは、実情は全く異なるらしい。全文の引用は避けるが、「坂本幸雄社長は無能である」と断定しているのは重要だ。坂本氏の評価がどうだ、という点ではない。巷で流布されている、経済評論家、技術評論家の考えが、全くもって独りよがりの、信頼の置けない内容である事が、白日の下に晒されている。これが重要だ。 要するに、巷の評論家の殆どは、信用にならんのよ、おそらくはどの分野でも。 (引用始め) まだそんなことを言っているのか!間違いだらけの「エルピーダ破綻の原因」 3/6(日) 11:01配信 yahooニュース ■ 日経新聞の特集記事の「間違い」 坂本氏は、(1)「生き残っていれば、世界と戦えた」とか、(2)問題は「資金力だ」と発言したが、全く事実は異なる。調査結果で論じたように、異常なまでの高コスト体質のエルピーダが倒産したのは必然である。「坂本社長のエルピーダ」は淘汰されたのである。資金力の問題ではない。収益率の低さが問題であり、収益を出せない技術にこそ問題があり、そこに経営のメスを入れることができなかったことが致命傷になったのだ。 日経新聞の(3)「エルピーダの破綻劇は、官民が巨額投資を伴う長期戦に耐えられなくなった構図」というのも間違っている。繰り返すが、過剰技術で過剰品質をつくり、歩留り100%を目的にする、そのエルピーダの企業体質が問題だったのだ。 東京理科大大学院教授の若林氏の(4)「DRAMの技術や最終製品の動向を、当局や金融機関が十分に捉えられていなかった」や(5)「日米貿易摩擦の記憶が残る日本」などは、全く的外れな指摘だ。もっとエルピーダの技術の実態を見て発言してもらいたい。 萩生田経産相の(6)「世界の半導体産業の潮流を見極めることができず、適切で十分な政策を講じてこなかった」という発言もどうかしている。昨年(2021年)6月1日の衆議院の意見陳述でも述べたことであるが、経産省は呆れるほど「合弁、国プロ、コンソーシアムをやり続けた」のである(図5)。そして、全部失敗した。「経産省が出てきた時点でアウト」なのである。その反省をなぜしないのか? (7)TSMCの誘致を奇貨として日本での産業基盤を強くするためには「「設備にしても開発にしても『カネ』と『ヒト』だ」という経産省の西川課長、『ヒト』を育成してからTSMCを誘致すべきではないのか? 順序があべこべだろう。そして、(8)「九州では人材育成の準備を急ぐ」というのは、あまりにも泥縄すぎるだろう。 筆者が日経新聞の特集記事を読んで、うんざりした理由が分かっていただけただろうか? ■ 「マイクロンになってよかった」という社員たち 坂本氏、日経新聞の記者、東京理科大大学院教授の若林氏、萩生田経産相、経産省の西川課長には、EE Times Japanの記事「『Micronになってよかった』という言葉の重さ」(2019年7月8日)を、目を見開いて読んでいただきたい。そして、「Micronになってよかった」という言葉の意味をよく考えていただきたい。 筆者も、2019年に広島で国際学会があった時、旧エルピーダで現マイクロンジャパンの社員たちから、「マイクロンに買収されて本当のDRAMビジネスが理解できた」「エルピーダが倒産したのは不運だったのではなく、当然の帰結だ」「外資企業となった現在は完全な実力主義であり、実績を上げれば昇進・昇格・昇給できる」「仕事は大変だが充実しており、エルピーダ時代がいかに甘かったかが実感される」ということを聞いた(「中国は先端DRAMを製造できるか? 生殺与奪権を握る米国政府」EE Times Japan)。 このような実態を理解せずに、日本半導体産業への政策などは、一切行わないでいただきたい。それは税金の無駄遣いであり、何度も失敗の歴史を積み重ねることになるからだ。本当に、もう、うんざりなんです。 湯之上 隆 (引用終わり) 相田英男 拝 |
[199]風力発電の盲点 その①(その②は無いかもしれない)
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投稿者:相田英男
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投稿日:2022-02-26 20:03:23 | ||
相田です。
世間の流行りはウクライナだが、私は地味に行く。 風力発電は反原発主義者達にとって、期待の星とも言えるシステムだ。ヨーロッパや中国で導入が先行しており、「日本も遅れるな」「日本政府はもっと政策支援すべきだ」などと、毎日のごとくネットで記事を見かける。 でも風力発電の技術は厳しい。機械の構造は極めて単純だ。要するに、歯車が組み合わさって、風車と発電機を回すだけである。しかし、単純なだけに、技術的には誤魔化しが効かない。超重量級の歯車がぶつかり合って、物理(機械)エネルギーを伝達しながら、10年以上も発電機を回し続けるのだ。しかも、風車の構造自体が、片持ちはりの、回転軸にモーメントが加わる形である。ちょっと考えるだけで、歯車や軸受に、強い負荷が掛かり続ける事がわかるだろう。 そして、引用記事にもあるが、風車の導入価格はコストダウンが著しい。安く作れば買う方はありがたい。が、そこには盲点がある。部品や設計コストを下げなけらばならない、という盲点が、だ。 当たり前だが、部品や設計の手を抜くと、故障の確率が高くなる。故障した部品は、洋上の100mを超える高所に存在するのだ。その修理には、海上に大型クレーンを新たに浮かべて、数十トンを軽く超える大型発電機やギヤシステムを、吊り上げる必要がある。修理をするスタッフも、大型船舶をチャーターして、風車の脇の洋上で、数十日間も過ごさねばならない。陸上なら毎日、宿まで往復出来るが、船中の寝泊まりは過酷である。 はっきり言って、原発の修理や定期点検以上に過酷で、高コストになるのだ。発電量とのバランスを考えると、明らかに風車の方が高コストである。 だから、風力発電システムを売る側は、メンテナンスの過酷さをあまりわかっていないか、知っていても、顧客に詳しく説明しないのである。 (引用始め) この世界では、中国の躍進が目覚ましい。21年には、中国国内で4757万kWの風力発電容量を生み出し、そのうち1690万kWが洋上風力だ。企業のコスト競争力も強く、欧米勢でも苦戦しつつある。 日本でも富山県沖での洋上風力発電プロジェクトで中国企業の「明陽智能」(世界シェア6位)が発電ユニットを受注するなど、その存在感は高まるばかり。このままでは政府の思惑とは裏腹に、国内の洋上風力発電ビジネスが中国に牛耳られてしまう可能性さえある。 (引用終わり) 発電システムを安く買ったはいいが、保証期間(大概は2年)が過ぎて、ギアパーツが壊れ出してから、修理見積もりをとった。出された修理代がべらぼうで、文句を言うと、それっきり中国メーカーから音沙汰が無くなり、途方に暮れる、などと、ならないように、重々気を付けることだ。しっかりとした長期保証契約を結べば済むのだが。買い値が上がらなればの話だが。 もっと書く事があるが、あまり書き過ぎると、池田何某あたりにネタをとられそうなので、この辺にしとくわ。 (引用始め) 世界が注目する再エネの切り札! 「洋上風力発電」の開発競争に日本はどう向き合うべきか? 2/25(金) 6:00配信 (この記事は、2月21日発売の『週刊プレイボーイ10号』に掲載されたものです) * * * 洋上風力発電が注目されている。政府は2040年までに最大で原発45基分相当の4500万kWを導入する方針だ。 風力発電はCO2を排出しない、原発のように核ゴミを出さない、太陽光と違い夜間でも発電できるなどのメリットがある。発電単価も急激な技術進歩で世界トップレベルならkWh当たり5円前後、日本国内でも同12~16円前後にまで下がっている。 特に無人の海上に建設される洋上風力は、長さ100m超の長大なブレード(羽)を回す空間の確保が陸地より容易だし、風車による低周波振動の被害を心配する人々の反対も受けにくいといった長所がある。領海の広さが世界6位の海洋大国ニッポンにとって、洋上風力はとても魅力的な電源になるだろう。 また、洋上風力は日本の成長戦略の柱になる可能性がある。どういうことか、説明しよう。 洋上風力には大きくふたつのスタイルがある。ひとつは海底に埋め込んで固定された構造物が風力発電の施設を支える「着床式」。水深50m以下の浅い海に適している。もうひとつが、海底に固定したアンカーでつながれた水上でプカプカ浮かぶ巨大な構造物が風力発電の施設を支える「浮体式」。水深50m以上の深さの場合、このスタイルになる。 国内で強い風が吹く海域は水深50m以上の深海が多く、日本の洋上風力では浮体式が有力だとされる。より広い海域で風力発電の建設が可能になるため、世界でもニーズが高まっている。とはいえ、浮体式は設置方法などの技術が完全に確立したとはいえず、世界の勢力図もまだ定まっていない。 そこで、日本政府は国内企業に浮体式の製造や設置の技術を磨いてもらい、日本の風力発電産業復活につなげることを狙っている。 だが、現実はそう甘くはない。そもそも、風力発電の世界シェアは欧米や中国などの海外勢に握られ、国内に風力発電の製造を手がける企業はほぼゼロになってしまった。昨年末に三菱商事が千葉県など3海域の洋上風力発電事業を落札したが、その発電ユニットを納入するのは米ゼネラル・エレクトリック社だ。 この世界では、中国の躍進が目覚ましい。21年には、中国国内で4757万kWの風力発電容量を生み出し、そのうち1690万kWが洋上風力だ。企業のコスト競争力も強く、欧米勢でも苦戦しつつある。 日本でも富山県沖での洋上風力発電プロジェクトで中国企業の「明陽智能」(世界シェア6位)が発電ユニットを受注するなど、その存在感は高まるばかり。このままでは政府の思惑とは裏腹に、国内の洋上風力発電ビジネスが中国に牛耳られてしまう可能性さえある。 日本政府は19年4月から「再エネ海域利用法」を施行し、洋上風力振興に乗り出したが、この程度では、日本の遅れを取り戻すのは容易ではないだろう。 それでも私が「まだ期待できる」と考えるのは、発電ユニットの重要なパーツや素材を供給する「下請け」メーカーの存在だ。 日本には高機能なブレードや発電機を製造する企業が多くある。主契約者として洋上発電のメイン設備を納入できなくても、その中身はメイド・イン・ジャパンばかり、となれば十分に日本の成長戦略として成り立つ。そのためには、政府がもう一段本腰を入れて規制緩和などの政策的支援を強める必要がある。 ●古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して11年に退官。 (引用終わり) 相田英男 拝 |
[197]大丈夫か、京都大学?
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投稿者:相田英男
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投稿日:2022-02-09 23:42:14 | ||
相田です。
私的には面白すぎる内容なので、一応取り上げる。京都フュージョニアリングの記事ばかりなので、他の連中も、もっと核融合の傑作な話題を提供してもらいたいものだ。 (引用始め) 核融合発電をめぐっては、現在、実用化できる規模の反応を安定的に維持するための開発競争が繰り広げられている。こうした技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し、さらにその先の技術を確立させることでスムーズな実用化につなげる。 (引用終わり) この記述には、さすがの私も空いた口が塞がらない。「技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し」などと、よくも抜け抜けと言えたものである。千年くらいの先の出来事を「近い将来」とか言いたいのかね?高齢化社会とはいえど、一体どれだけ長生きするつもりかしら。 社長によると開発する技術は「核融合発電を実用化するにあたって将来、避けては通れない部分」なんだそうだ。 確かにそうかもしれんけどさ・・・自動車を作るのにタイヤとシャーシだけ一所懸命作って、「あとは超高性能エンジンが載りさえすれば画期的です、凄いでしょう。エンジンは誰かがその内に作ってくれるでしょう」とか聞いた処で、単なるアホのタワゴト以外の、何物でもないではないか? 凄えなあ、京都フュージョニアリング。エクセルヒューマン真っ青の厚顔無恥ぶりだよ。近所のばあちゃん達が、しょーもない布団やらアクセサリーとか、何十万円も出して買ってたのを思い出したよ。 (引用始め) 核融合発電へ一歩 京大発ベンチャーが世界初の実証プラント建造へ 産経新聞 2/2(水) 19:14配信 核融合関連の技術開発に取り組む京都大発のベンチャー、京都フュージョニアリング(KF社、東京)は2日までに、核融合発電の実証実験プラントの建設を計画していることを明らかにした。令和5年中にも着工し、核融合反応で生じたエネルギーを発電用に転換する技術開発を進める。同社によると、核融合を想定した発電プロセスの実証施設は世界でも例がないという。 核融合は水素などの軽い原子核どうしが融合して新しい原子核になる反応で、太陽など恒星の中心部で生み出される膨大なエネルギーの源。発電にあたり温室効果ガスや、高レベル放射性廃棄物を排出しないことから、エネルギー問題や環境問題の解決につながるとして期待がかかる。 ただ、核融合炉内の反応で生み出されるエネルギーはそのままでは発電に使えず、転換には特有の技術が必要とされる。 計画するプラントでは、核融合反応でエネルギーが放出される状況を疑似的に再現し、同社が開発する装置で熱エネルギーに変換。さらに発電装置を駆動することで、実際に電気を起こす。プラントは十数メートル四方に収まる規模で、想定している発電能力も数十キロワットとごく小規模という。 核融合発電をめぐっては、現在、実用化できる規模の反応を安定的に維持するための開発競争が繰り広げられている。KF社は、こうした技術的ハードルが近い将来に克服されることを見越し、さらにその先の技術を確立させることでスムーズな実用化につなげる。長尾昂社長は「核融合発電を実用化するにあたって将来、避けては通れない部分。知見を重ねて技術的に先行したい」という。 同社は2日、三井住友銀行や三菱UFJ銀行といった大手金融機関やベンチャーキャピタルから総額約20億円の資金を調達すると発表。技術開発の加速や人員体制の強化などに充てるとしている。 プラントは来年中の着工を目指し、現在、建設候補地の検討を進めている。実証プラントに設置する装置の製造は国内のメーカーに依頼する方針といい、国内で技術やノウハウを蓄積することで、将来的な国際的競争力も確保する。 (引用終わり) 相田英男 拝 |
[195]経済記事屋はとんでもなく間抜けばかりだ、と思った話
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投稿者:相田英男
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投稿日:2022-01-08 23:26:16 | ||
相田英男です。
以下に引用する記事は、東芝の現状についての解説だ。別に大した内容ではない。しかし、私は読みながら、大いなる苛立ちを感じた。特にイラついたのは、以下の記述である。 (引用始め) さらに東芝と時を同じくして、米国を代表する世界的企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、スピンオフ戦略を公表したという潮流も、日本ではまだ実例に乏しいスピンオフ戦略に対する評価を後押していると言えます。 GEやJ&Jが相次いでスピンオフに踏み切ったことは決して偶然ではなく、コロナ禍においてデジタル化の急進展をはじめ、企業経営が大きな転換点を迎え、企業経営が効率化とスピードアップを迫られた結果の前向きな対応として、一歩を踏み出したと言えるのです。 しかしながら、東芝の場合は少々事情が異なります。事の発端は2015年の不正会計という不祥事であり、直後に米国原発事業における巨額損失が明るみに出て経営危機に陥るという、今に連なる大きな汚点がそこにあるからです。さらにこの経営危機からの脱却策として、アクティビストたちからの資金支援を得たことが、その後の東芝にさらなる暗雲を垂れこめさせたと言えます。 成長戦略が描けないことに業を煮やしたアクティビストが経営陣交代要請を強めると、東芝の経営陣は経済産業省の力を借りてこれを排除しようするという、重ね重ねガバナンス上由々しき問題を起こしてしまったわけなのです。 今回の事業三分割計画はこのような流れを受けたものであり、東芝のスピンオフ計画に批判的な意見の根拠が、「GEやJ&Jと同列に語るのはどうなのか」というところにあるのは明白です。 (引用終わり) 相変わらずの米国を賛美して日本をケナす、伝統的なコメントである。しかし、私はもう騙されない、お前ら低脳な経済評論家達には。 GEが、確か2015年辺りだったと思うが、悪名高いアクティブ・ファンドであるトライアンの、経営への介入を許した事、そしてCEOがイメルトからハゲのフナラリーに、生え際が後退、ではなく、交代させられた事、その直後に起きたHA (アドンスドH型)ガスタービンのブレード破損事故を発端として、株価が20数ドルから一桁ドルまで一気に暴落し、経済界に衝撃を与えた事、これらの事実をお前らは、相変わらず、全く無視するのか?もしかして、米国の経済記事を、全く読んでいないのか、お前らは? 東芝が三分割させられるのは、事前に「親会社」のGEで行ったシミュレーションを、単に踏襲しているだけではないか。アクティビストの介入まで含めて。その後の株価の暴落の度合いから見ると、「親会社のGE」の方が遥かに華々しく、罪深いのではないのか? だから、あんまし、中身の無い、軽すぎるコメント記事ばかり書くなっつーの。 もう、本当に、よくわかったよ、お前ら経済記事家の、頭の軽さの程度が。俺にはよ。 GEの凋落に関する記事を結構ストックしているが、結局まとめきれずに終わりそうだ。その前に、アメリカの国家自体の方が、先に崩壊しそうな雰囲気なので。 ただ一つ気になる事がある。昨年末のトランプ落選のドタバタ最中に、パキスタンで大停電が起きた。その理由が、GEの航空機事業を中国ファンドに売り渡す交渉を密かに進めており、それを妨害するための陰謀だった、云々(でんでん、ではない)という噂の記事が、ネットで出回った。その実情が何だったのだろうか? パキスタンには、GE火力のフラッグシップ機であるHAガスタービンを使った、発電所が建設されている。その絡みで、何らかの動きが、あの時にあったのだと思う。シロートの俺でも間違いに気付くような、スカスカのこんな記事でなく、パキスタンの噂の真相でも、ちゃんと調べて教えてくれんもんかね? (引用始め) 大関暁夫 2022年01月06日 14:25 苦肉の「事業三分割」発表でも続く東芝復活へのいばらの道 https://blogos.com/article/575577/ 東芝の事業三分割が大きな衝撃をもって受け止められています。「日本のコーポレートガバナンスにおける大改革と評価できる(菊地正俊みずほ証券チーフストラテジスト)」とこれを評価する声がある一方で、「東芝は自滅への道を突き進んでいるように思える(久保利英明元東京第二弁護士会会長)」という批判的な見方もあります。 その実どうなのか。それぞれの見解の根拠を検証しつつ、東芝の復活に向けた現在地を確認してみます。 まず東芝の事業三分割計画についてですが、2023年度にグループ全体を発電、公共インフラ、ビル、ITソリューションなどを手掛ける「インフラサービス会社」、半導体、パワー半導体、HDD、製造装置などを手掛ける「デバイス会社」、そして「東芝」の名称での存続会社で主にキオクシアや東芝テックなどのグループ企業事業体の株式を保有して管理する「資産管理会社」の3社に分割し、それぞれを上場。お互い株の持ち合いはせず、各社の専門性を高めかつ経営判断の迅速化をはかることで、それぞれの会社が専門領域で最大限の発展をめざしていくというものです。 事業分割は一般にスピンオフ(分離)と呼ばれており、分割後の単体事業に将来性が見込めるならば、大きな効果が期待できるとされています。すなわち、コングロマリット・ディスカウント(多岐にわたる事業を扱うことで、個々の事業価値が目減りしている状態)に苦しむ企業体がそれを解消し各事業単体での正しい事業価値を得ていくという意味で、スピンオフは大きな期待が持てる事業戦略であると言えるのです。 この観点から考えれば、まさにコングロマリット・ディスカウント状態にあるとアクティビスト(物言う株主)たちから強い批判を受けてきた東芝にとっては、この上ない良策であるように思えます。 スピンオフに関しては、米国では既に毎年50件程度が実施され、大企業の転換戦略として定着しています。例えば、2015年にネットオークション大手のイーベイからスピンオフしてナスダック市場に上場したWEB決済サービスのペイパルは市場に好感され、イーベイとペイパルを合わせた株式価値の合計はスピンオフの前よりも上昇。狙い通りにコングロマリット・ディスカウントを脱しているのです。 このような海外での実例をひいてのスピンオフ効果認識が、東芝の事業三分割をそれなりに評価する理由になっていると考えられます。 さらに東芝と時を同じくして、米国を代表する世界的企業であるゼネラル・エレクトリック(GE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)が、スピンオフ戦略を公表したという潮流も、日本ではまだ実例に乏しいスピンオフ戦略に対する評価を後押していると言えます。 GEやJ&Jが相次いでスピンオフに踏み切ったことは決して偶然ではなく、コロナ禍においてデジタル化の急進展をはじめ、企業経営が大きな転換点を迎え、企業経営が効率化とスピードアップを迫られた結果の前向きな対応として、一歩を踏み出したと言えるのです。 しかしながら、東芝の場合は少々事情が異なります。事の発端は2015年の不正会計という不祥事であり、直後に米国原発事業における巨額損失が明るみに出て経営危機に陥るという、今に連なる大きな汚点がそこにあるからです。さらにこの経営危機からの脱却策として、アクティビストたちからの資金支援を得たことが、その後の東芝にさらなる暗雲を垂れこめさせたと言えます。 成長戦略が描けないことに業を煮やしたアクティビストが経営陣交代要請を強めると、東芝の経営陣は経済産業省の力を借りてこれを排除しようするという、重ね重ねガバナンス上由々しき問題を起こしてしまったわけなのです。 今回の事業三分割計画はこのような流れを受けたものであり、東芝のスピンオフ計画に批判的な意見の根拠が、「GEやJ&Jと同列に語るのはどうなのか」というところにあるのは明白です。 三分割案を提案したのは、6月にアクティビストたちとの協議を経て招いた、ボーン・プロフ氏ら新社外取締役で構成される執行部から独立した同社戦略委員会であり、東芝経営陣の意思で組み上げた新戦略とはおよそ言い難いわけですから。 同委員会による執行部への提案から組織決定までの時間の短かさをみても、事業三分割後の事業について十分な仮説検証がなされたとは思えません。 この点について事業コンサルタントの大前研一氏は、「3事業のうち可能性を感じるのはインフラ事業の一部のみです。残り2事業は全体としてアップサイドがほとんど見込めない状況ですし、半導体メモリー事業にいたっては本社がキオクシアの株を保有しているに過ぎず上場するなど夢の話」「今回発表された3つの事業分割のままでは、勝てる見通しはほとんどない」(大前研一 ニュースの視点Blogより)と、かなり手厳しいです。 このような考察から結論として見えてくるのは、東芝の事業三分割を前向きに評価するとすれば、スピンオフという手法を日本を代表する大手企業が取り入れたことに関する評価であるということ。 すなわち、税制改正によってスピンオフ戦略をとりやすくなったという背景もあり、東芝のような大手企業が率先してこの戦略にのりだしたことで、大規模化と多角化によって利益率が下がった多くの昭和企業にとってスピンオフは有力な選択肢とし顕在化し、日本における産業の新陳代謝が進む可能性はあると言えるでしょう。 しかし、東芝の事業三分割というスピンオフ戦略は、ガバナンス不全に端を発したアクティビストとの関係悪化の結果として追い込まれた感は否めず、それが本当に同社にとって有効であるのか否かは現段階では何とも評価のしようがない、という印象ではあります。 同社の株価は11月12日の分割案発表前の4937円から、現在4600円前後にまで約7%も下げており、市場の受け止めは至って冷ややかです。 先の久保利弁護士の「東芝は自滅への道を突き進んでいる」が言い得ているか否かは別としても、不正会計以降の「沈みゆく東芝」からの復活は今なお、茨の道にあると言わざるを得ないでしょう。 東芝の株主は、現在その約2割がアクティビストで占められているとみられています。そのうちの有力な1社3Dインベストメント・パートナーズは、事業三分割を「支持しない」とする書簡を公表しており、年明けに開かれる事業三分割の信任を問う臨時株主総会はなお予断を許さない状況にあると言えます。 もし議案が否決されるなら東芝は再び迷走し、目先の利益を重んじるアクティビスト主導での「解体ショー」という最悪の事態すら否定できません。 鳴り物入りで報じられた事業三分割が、今はまだ東芝復活の切り札であるとは到底まだ言えず、本当の正念場はこれからということだけは確かなようです。 (引用終わり) 相田英男 拝 |
[192]私はウソ記事蒐集家になるばい
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投稿者:相田英男
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投稿日:2021-10-04 23:14:31 | ||
相田です。
核融合炉の記事にこだわるぜ、と宣言してしまった手前、やはり、引用せざるを得まい。 よく読むと、私にはツッコミ処が満載なのだが、今回はもう、こまかこつは言わんどこ。 こげな会社が、スタートアップのベンチャーキャピタルで、株価がこれから上がる、とか、注目されちょるんか?こげな話を堂々と書き並べるとは、正真正銘の詐欺広告、としか、私には見えんちゃけど。 大学も京都大学やけんねえ。超一流のブランドをチラつかせるのも、詐欺の資格充分なんよねー。 素人さんには意味不明な、何やら良さげに聞こえる横文字専門用語ばっかし並べちょんなる。読者が騙されて株ば買うてくさ、株価が上がって経済が活性化される、とか、記事を書かせた連中は思ちょるとかいな。書いた人は素人のごたるけん、あんまし罪はなかごたるばってんが。AIが書いた記事かもしれんばってんくさ。 いっちょん訳んわからん、何とんしれん話ばいやん。 (引用始め) ガンダムにも搭載の「核融合発電」実用化を目指す「京都フュージョニアリング」。世界のエネルギー事情を覆すか 10/4(月) 12:05配信 毎週1社ずつ、気になるスタートアップ企業や、そのサービスをザクッと紹介していくシリーズ「スタートアップ・ディグ」。第2回は「核融合発電」の実用化・商用化を目指す、2019年創業の京都フュージョニアリング株式会社を紹介していく。 核分裂と核融合は違う 「核融合発電」とは、現在世界中で行われている原子力発電とは似て非なるもの。原子力発電は原子核の「分裂」によって発生するエネルギーを利用するのに対し、核融合は文字通り原子核同士を「融合」させることでエネルギーを生み出す。これは太陽が輝いているのと同じ原理だ。ちなみにガンダムのエネルギー源も核融合なんだとか。 分子の核を扱うという点において同じであっても、核融合は原子力発電における臨界事故やメルトダウンを起こす危険性は原理的にありえず、高レベル放射性廃棄物も生まれないらしい。 他にも原子力発電に用いられるウランはおよそ100年で枯渇するとされているけれど、核融合発電に用いられる重水素は海水から取り出すことができるので、ほとんど無尽蔵。ちなみに化石燃料に関してはこのままのペースで採掘が続くと石油と天然ガスは約50年、石炭は130年ほどで枯渇してしまうとされている。新しいエネルギー源の確保は喫緊の課題であることは間違いないため、世界的に注目が集まっている。 半世紀以上にわたり研究が続き、未だ実用化の目処はたっていないけれど、実用化すればエネルギー情勢を大きく変える可能性を秘めた、まさに人類の未来をになう技術だ。 京都大学がエネルギー問題を解決するのか 京都フュージョニアリング社は、そんな核融合炉の実用化、商用化を目指し、核融合炉に関する装置の研究開発・設計・製造、装置・コンポーネントの輸出を行う、京都大学発のスタートアップ企業。 同社が主に打ち出している技術は2つ。「ブランケット」と呼ばれる、発電に必要な熱を取り出すと同時に、燃料となるトリチウムを製造するための装置と、核融合反応時に発生するヘリウムやその他の不純物を除去、分離する「排気系」の製造だ。 どちらも核融合炉の中核を成す装置であり、稼働時に高温などの極端な条件に曝されるため、非常に高いクオリティが要求されるそう。そのうえ、交換が容易であることなどメンテナンス性も求められる。これらを向こう数十年にわたり継続的に製造・納品していくことで核融合炉の商用化に貢献するということだ。 技術開発は京都大学エネルギー理工学研究所内の小西哲之教授を中心とする核融合装置とエネルギー利用に関する研究がベースとなっており、京都大学宇治キャンパス内にオフィスを構える。またCEOの長尾 昂(ながお たか)氏は、京都大学大学院工学研究科機械理工学専攻出身であり、京都大学が100%出資するベンチャーキャピタルの京都大学イノベーションキャピタル社が主な株主と、まさに京大一丸となって挑戦するプロジェクトと言えるだろう。 さらに、今年1月には、ベンチャーキャピタルのCoral Capitalから約1.2億円の資金調達を実施。6月にはテレビ東京などが主催する、REVERSIBLE WORLD 2021のGreat Entrepreneur Award 「社会的に異次元なインパクトを与える可能性のあるスタートアップ企業」カテゴリにおいて1位を受賞するなど、社会からの期待も大きい。 AI、VRやAR、ブロックチェーン、ロボティクスなど、どれだけテクノロジーが先鋭化しようと、それを動かすエネルギーがないことには始まらない。同時に次世代のエネルギー産業を握ることは世界の覇権を握ることにも通じるだろう。その是非はともかく、各国がますます力を入れることは間違いない。引き続き注目したい分野だ。 赤井大祐(FINDERS編集部) (引用終わり) 以前に漫画家のとり・みきが、工事現場の立て看に書かれたオジギビトを集めて、雑誌に載せていた。オジギビト蒐集家の彼の真似をして、私も「核融合炉の可能性を賛美するウソ記事蒐集家」として、ここでは活動しようと思う。 相田英男 拝 |
[187]もちっとくさ、どげんかならんとね
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投稿者:相田英男
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投稿日:2021-09-17 19:55:47 | ||
相田です。
アゴラに掲載された、ある記事を全文引用する。 前にも書いたが、核融合発電の問題はプラズマ閉じ込め方式のアイデア構築ではなく、デューテロン ー トリチウム(D-T)反応で発生する、高速中性子(14MeV, ミリオンエレクトロンボルト)の封じ込めにある。というか、高速中性子は電荷を持たないので、鉛などの金属板材で遮蔽する事がほぼ不可能なのだ。エネルギーを失って減速するまで、ある程度の距離を取る以外に方法はない。茨城県の原研那珂研究所にイーターを置こうとしたら、中性子が10km位離れた太平洋岸まで到達する、と計算で出たらしいので、何をか言わんやである。 だから、核融合炉が動いて電気を起こす間には、高速中性子がバカスカと周りを透過してゆき、JCOの臨界事故のような中性子線による被曝被害を、周囲に発生させるのだ。そんなシステムが、まともな商業発電用途に使えるなどと、本気で信じる者がいるのか? それで、事情をよくわからん人達が、以下のように騒ぐ訳だ。 中性子を発生しない核融合反応も、あるにはある。日本人は割と知っているが、あのガンダムの動力源は核融合炉である。ヘリウム3という元素同士の核融合反応で、中性子を発生しないため、システムが小型化された、という設定である。 ただヘリウム3の核融合反応は、D-T反応よりも実現が非常に難しい。D-T反応核融合は1億度の粒子運動エネルギーが反応を維持するために必要だが、ヘリウム3核融合反応は30億度の運動エネルギーとなる。1億度のプラズマを安定制御するのにあたふたする現状で、30億度の反応を実現するのは、全くもってナンセンスだ。 あとヘリウム3は地上には殆ど存在せず、月の土中か木星の大気中とかにしか、ないらしい。なのでガンダムには、木星までヘリウムを採取に出向くための、宇宙貨物船団の話が出てくる。よく知っとるんだわ、あの監督さん 下の記事には、原料が地球上に大量に存在する、と明記されているので、D-T反応核融合の話なのだが、アニメの監督さんの方がよく勉強されているので、少しは反省した方がいいと思う。 たまに池田信夫が、自分のブログで「量子力学の観測問題」などの物理の話を書いて、高級そうな雰囲気を醸し出して、読者を惑わす事がある。が、池田信夫の物理の話は、全て東大出身の学者である柳瀬睦男(やなせむつお)の講義をネタにしている。柳瀬は非常にユニークな人物だ。その内に書くつもりだが、柳瀬睦男こそは、日本人の科学哲学者の頂点だと私は思う(少なくとも理科系の人物から「この人は凄い」と、尊敬される唯一の日本人科学哲学者であるのは、間違いない)。村上陽一郎の「本当の先生」も柳瀬である。ネタ元がバレると困るので、村上は柳瀬の事を殆ど言及しない。そんな処が村上は賢い。 柳瀬の話だから内容はもちろん間違ってはいない。だが、人からただ単に聞いただけの話を、さも「自分が深く勉強して理解しました」などと、読者に誤解を与えるような書き方をする池田信夫も、どうかと私は思う。 (私は、核融合の記事については、これからも徹底的にコメントするぞ) (引用始め) 2021年09月12日 アゴラより 高市候補が言及した核融合発電に追い風の吉報 「皇室維持とエネルギー政策が判断材料」と拙稿に書いたからのはずはないが、河野太郎候補は10日の出馬会見で、この二つに関するこれまでの持論をあっさり引っ込めてしまった。これを臨機応変な現実的対応と見るか、単なる姑息な変節と見るかは人によって異なろう。 筆者は後者だと思う。その訳は原発について「安全が確認された原発を再稼働していくのはカーボンニュートラルを目指す上である程度必要だ」としながら、「いずれ原発はなくなっていくだろうが、あした、来年やめろと言うつもりではない」と彼が述べたからだ。 「安全が確認され」て「再稼働していく」原発が「いずれ」「なくなっていくだろう」とする、破綻しているようにも聞こえる思考回路を筆者は理解できない。つまりこれは、河野候補の反原発が理屈ではないことを物語る。女系容認での変節も理屈ではないのではあるまいか。 日米首脳会談の菅さんの様子を、ルーピー鳩山が「不慣れなオロオロ感がモロ」と腐したが、筆者は「『飾らずに地を出した』と好感した。人となりを見せ合う場に付け焼刃は要らぬ」と拙稿*に書いた。河野候補は「日本を日本足らしめているのが皇室(と日本語)」と述べたが、「付け焼刃」は脆い。 他の2候補のエネルギー政策だが、原発について岸田候補は「まずは再稼働を進めるべきだ。そこから先は国民と対話していく」とし、「大きな柱は再生エネルギー」だが「それだけでは現実的には難しい。原子力は引き続き維持しなければいけない」と、この人らしい優等生の発言をした。 高市候補はJ-CASTニュースの3日のインタビューで、これもこの人らしい正直さで「文藝春秋には小型モジュール原子炉(SMR)について書」いたが、炉が小さいSMRは「地下に立地させることで安全を担保」できるが「核廃棄物が出」るとし、「本当に見据えているのは核融合炉」だと述べた。 その核融合発電で8日、ビッグニュースがあった。マサチューセッツ工科大学(MIT)が「MITが設計したプロジェクトは核融合エネルギーに向けて大きな進歩を遂げた」と発表したのだ。「新しい超電導磁石は磁場強度の記録を破り、実用的で商業的な無炭素電力への道を開く」と小見出しにある。 現存する原発は核分裂のエネルギーで蒸気を発生させて発電タービンを回す仕組みだが、核融合はこれとは仕組みが異なるようだ。我が文科省は核融合とそれを使った発電について「核融合研究」なるサイトで判り易く説明している。先ずはその概要を見てみる。 太陽のエネルギーが核融合によって生み出されていることから、核融合研究は「地上に太陽をつくる」研究ともいわれる。核融合発電には「資源(*重水素)が海水中に豊富にある」、「二酸化炭素を排出しない」などの利点がある(*核廃棄物もほとんど出ない)。 「磁場閉じ込め」による核融合エネルギーの研究開発は、軍事用技術と原理が異なるため、冷戦下85年のレーガンとゴルバチョフの会談で、平和目的のための核融合研究を国際協力の下で行うことが提唱された。目下、日欧米露中韓印がITER協定を締約し、ITER(イーター)計画が推進されている。 研究開発は大きく三段階に分けられる。第一段階は、核融合プラズマ生成に必要な加熱エネルギーよりも、そのプラズマで実際に核融合反応が起きたときに出るエネルギーの方が大きくなる状態(臨界プラズマ条件)の達成が課題とされる。 第二段階は、加熱をやめても核融合エネルギーによって核融合プラズマが持続する状態(自己点火条件)を達成することと核融合プラズマの長時間維持に道筋を付けることなどで、実験炉の建設を通した炉工学技術の発展や材料開発など多くの課題があり、現在はこの段階。 第三段階では、実際に発電を行い、経済性の向上を目指して必要な課題に取り組むための核融合原型炉デモの建設、運転等を行う。これらの段階を経て、実用段階である商用炉を目指すとしている。 核融合反応を起こす方法としての「磁場閉じ込め」の代表例としてトカマク方式とヘリカル方式があり、「慣性閉じ込め」の代表例としてレーザー方式がある。MITの方式はトカマク方式で、フランスのITERや日本のJT-60SAが採用している。少々難解だが文科省サイトの概要を続ける。 核融合反応を起こすためには、燃料を加熱してプラズマにする。その時、プラズマは分子が電離、つまりプラス電荷を持つ陽イオンとマイナス電荷を持つ電子に分かれて運動している。電荷を持つ粒子は磁力線に沿って運動する性質があるため、磁場を使ってプラズマを閉じ込め、更に加熱することで、超高温の核融合プラズマを生成する。これが「磁場閉じ込め」方式。 トカマク方式は、Dの字の形をしたコイルを円状に並べ、コイルの中にドーナツ状の磁場を発生させる。そしてドーナツの中心にあるコイルでプラズマに誘導電流を流し、ドーナツの断面を回るような磁場を発生させる。 これら2つの磁場の重ね合わせによってねじれた磁場を形成し、プラズマを閉じ込める。なお、誘導電流を半永久的に流すことは現実的に不可能なため、プラズマを長時間閉じ込めるためには、加熱装置を使用して電流を流し続ける必要がある。 そこでMITの発表だが、先述のように核融合発電では「臨界プラズマ条件」が、トカマクでは「磁場の発生」がキーワードだ。MITの成果をごく単純化していえば、「世界最強の核融合磁石」を創って、高効率の「臨海プラズマ条件」を達成したということのようだ。 この「世界最強石」の開発に協力したコモンウエルス・フュージョン・システム(CFS)は、このデモの成功は「消費するよりも多くの電力を生成する世界初の核融合発電所の建設」という「不確実性を解決するのに役立つ」とする。つまりは、エネルギー効率がプラスになったということだ。 小泉環境相のお好きな再生可能エネルギーの最大の弱点はこのエネルギー効率だ。CO2の発生を軽減するための電気自動車や水素自動車、そして太陽光発電にしても、電気や水素や太陽光パネルの生産時や、太陽発電送電時やバックアップ発電時の、CO2の発生やコストなどを考慮する必要がある。 つまり、100の価値を生み出すために、別の価値を110投入するのでは間尺に合わないということ。MITの核融合発電は「世界最強の磁石」の開発に成功したことによって、例えば90の投入によって100を生み出せるようになったということだ。 高市候補がMITのことを知っていて3日の取材に答えたのかどうかは知らぬ。が、計ったような絶妙のタイミングでMITの成功が報じられたことは、彼女に運があることの証左。ワクチン接種とオリパラの大成功が、デルタ株で相殺された菅さんの不運を思うと、運も実力のうちか。 (引用終わり) 相田です。 「現存する原発は核分裂のエネルギーで蒸気を発生させて発電タービンを回す仕組みだが、核融合はこれとは仕組みが異なるようだ」 とあるが、実際には同じ仕組みだよ。トーラスの炉壁内部に水が流れる冷却パイプがたくさん配置されて、核融合反応の発熱を吸収して外に取り出して、最後は蒸気タービンを回すのよ。その辺の細かな仕組みまでは、初心者向け資料には書かれていない。 水パイプの材料は316ステンレスのL(エル)材にするしかないから、運転中に応力腐食割れが起きるわな(軽水炉でも多発した)。割れたパイプを溶接で塞ごうとしたら、金属内部で中性子との核反応でできたヘリウムガスが集まって、ヘリウムのミクロバブルがたくさん出来る。不活性ガスのヘリウムバブルは絶対に潰せないので、溶接で塞ごうとするほどバブルが出来て、割れが次々に広がって、収拾が付かなくなるよな。 それなら、割れた水パイプ全部を交換してやれ、となるのだが、停止直後の装置内部には、原発炉心に匹敵する高濃度の放射線が飛び交っている。核燃料の燃えカスはないのだが、高速中性子の照射で周囲の部材が強烈な放射線を帯びるのだ。低放射化材料とかいう物を使うとはいえど、数日位で人間が装置の間際まで近づけるようにはならない。あと、燃料のトリチウム(水素の放射同位体)も大量に存在する。その状況で、複雑怪奇な構造の核融合炉の壁に張り付いた、水パイプだけを取り出して、新品パイプを元に戻すのは至難の業である。現実にはほぼ不可能だ。 そやけん、せいぜいこれからも、こげなふうにくさ、素人さん達を巧みに騙し続けんね、あんたどんは。どんこんされんとばいやん。 相田英男 拝 |
[181]忘備録①
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投稿者:相田英男
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投稿日:2021-08-29 10:30:35 | ||
相田です。
あちこちサイトを眺めていたら、とある場所に「島村原子力懇談会(通称)」の会話記録が、丸々アップされているのを偶然見つけた。以前から私が読みたいと探していた資料だ。ありがたく、私のPCに全ファイルをダウンロードさせて頂き、眺めている。アップしたサイトの管理者は、内容について全くコメントしていない。読んでも何が語られているのか、理解できなかったのだろう。 全文は膨大なので(A4で620ページ)読み切れていないが、気になった箇所を引用する。これからも何回か続くだろう。 下記の島村武久(しまむらたけひさ、戦後の原子力導入時期に活躍した大物官僚)と、物理学者の大塚益比古(おおつかますひこ、大阪大学の伏見康治の教え子)の会話を読みながら、「ああ、昔からみんなわかってたのか」と、私はため息をつく。 島村と大塚は、日本の科学技術には「メタフィジックスが足りないのだ」と、はっきりと認識している。今の私が言い換えるとそうなる。メタフィジックスに裏打ちされた技術を持つ欧米と競争しても、日本は容易には追いつけない、と、二人は以下の会話で語っているのだ。 心ある理科系の読者の方々は、読みながら何事かを感じるだろう。文科系の、ようわからんままで「原発反対」とか「ワクチンうつとすぐ死ぬ」とか、騒ぎまくる左翼や、「日本の科学技術は中国、韓国に泥棒されている」とか、ヤフコメにあげ続ける右翼連中は、読んでも無駄だ。 あんたどんは、読まんでよかとばい。なんのこつか、いっちょんわからんやろけんな。 (引用始め) (対談は1985年9月26日) 島村: そこで話は変わるんですけど、さっきの学術会議の雰囲気ですね。原子力をやられる 推進派もおられたかわりに、全体的な何は否定的なあれが一時は少なくとも強かったわけですね。予算も付いてやると決まったから、条件付けたと言う形になっちゃってるわけで。予算でも出なかったら、まだまだ議論が。 大塚: そうだと思います。 島村: そこの、何ですか、これは割に新しい8月の末の、27日の新聞に、鈴木治雄さんが書 いてるんですよ。最後のところだけ読むと、「ともかく量子力学が原爆を製造し、かくして 現在世界を核の恐怖のもとにおののかせていることになっている」と、「そこで、物理学者には原罪感に似た感情があるのではなかろうか。つまりそれに由来した良心が、多くの物理学者を平和主義者に導いているのであろうと想像される」と、昭和電工の鈴木さんにしちゃね、ちゃんとしたことを書いておられると、こういう気がするんですが。 確かにそれが非常に強い何だと思うんです。戦争直後だし、日本の物理学者が原爆つくって広島に災害生んだわけでは全然ないけれども、かなり考えてみると、学者も戦争に駆り立てられてて、もう三度と政府のあれに乗って、戦争に協力するようにはしないぞという空気が強かったことは、確かだろうと思うんだけれど。 (それでも)私みたいな、そういう崇高なあれでなくて、疑い深い人間にとっては、原子力なんか始めたら、研究者がそっちに取られちやう、というような気分の人もいたんじゃないだろうか、という気もするんですが。その、研究体制が不十分な何なんでという辺のニュアンスは、どういうことなんだろうか。研究体制が不十分な日本でというのは、何もさっき鈴木さんが言う良心とはあまり関係ない理由の、 おそらくどういうことなんだろうか、という気がするんですけど。 大塚: だからさっき申しましたように、平和利用の問題っていうのは、自分の職業離れっていうか、日々のこと離れて、皆持ってるわけですけど。実際はここに大きな、何十億も、当時何十億はすごい金ですけど、そういうので原子力づくりが始まると、ただでさえ困ってる基礎研究、原子核研究その他が相当マイナスの影響受けるだろうとは、皆思ってたんだと思います。 それはやっぱり皆切実に、今に至るまで加速器は、加速器はまあでかくなり過ぎてるんですけども、常に欠乏感はあるような感はいまだにあるわけですから。当時なんかは、全部海に沈められて加速器一台もないわけですから、その時の飢餓感っていうのは皆さん大きかったんです。そこへ原子炉がいきなり現れたんでは。 島村: だから、学者の良心から学術会議が否定的な空気にあったのか、その他の事情もあったのかと、いうようなこと考えておったんですけど。なぜ学術会議が。それはもう明らかに、鈴木治雄さんが言ってたような理由も基本的にはあっただろうと、そう思うんですけど。 しかし、たった30年ぐらいの間だけど、ずいぶん変わるもんですね。もし学術会議が否定しておったら、またさらに10年ぐらい遅れてたんでしょうな。あなたがおられる時は、阪大は菊池(正士、きくちせいし)先生はもうおられなかったのかな 。 大塚: いえ、菊池先生は原子核研究所長に出る1955年まで、阪大におられました。 島村: 原子核研究所つくるときに移られたわけ。 大塚:ええそう、そうです。 島村: だから、菊池先生はどっちかというと実験物理だな。 大塚: そうです。どっちかっていうとよりは、実験物理の親玉だったんです。 島村: 素粒子とか何とか言うほうは、理論物理ですな。その頃、戦前の理論物理っていうのは、どうだったんですか。 大塚: 戦前はだめです。僕は知識と批判能力がない。(笑い) 島村: それじゃ大塚さんおられた頃までのあれで見ると。やはり日本は相当遅れとったんで すか。日本も仁科先生もおられるし菊池先生もおられるし、まあまあだったんですかな。いろんな先生が沢山おられて、それこそ、原子核の連絡会か何かあったんでしょ。 大塚: そうそう。 島村: 核物理っていうものの研究がやっておられたわけなんだ。 大塚:ですけどその、まあ決して進んではいなかったですよ。 今村: 最近ちょっと読んだ本で、本当か嘘か知りませんけれど。アメリカもマンハッタン計画をやっとったわけですが、理論物理はそう進んでなかった。そういうときに研究者がオーガナイズされて、むしろ原爆つくろうと。日本もまあ同じような状況だったんで、蓋を開けてみたら、理論面ではそう差がなかったという風に書いてありました。本当かどうか知りませんけれ ども。 大塚: アメリカの原爆の時に理論面を指導したのは結局、よく知られているようにフェルミ、オッベンハイマー、ベーテ。だけどウィグナーとかフェルミは亡命者ですし。だからその当時は、アメリカは物理学の先進国でなかったことは確かです。その当時はヨーロッパであって、アメリカ には別段物理学の権威は、そんなにいなかったんじゃないですか 。 今村: いずれにせよ、やはり戦争があって、勝った国も負けた国も戦争協力の方からやってたんで、理論的なことは―。 大塚: それと、原子核理論とか素粒子論の興味から言えば、原子爆弾の理論なんていうのは、 物理としてはどうでも、あれはそんな面白い、学問的に興味のある話ではないですもん。 島村: 理論物理なんて難しいこと言わなくたって。 大塚: そうです。ただ、臨界になるかどうかの、中性子の吸収、核分裂断面積を測らにゃいけませんけど、そういうのはしかし、むしろ実験でしょ。 B: 実験するということには、そういう設備はやはり向こうの方が良かったんでしょうな。 大塚: いやだから、結局マンハッタン計画に20億ドルの金を戦時中に出して、あれだけのことやったわけですから。 島村: 何故そんな音のことに興味を私が持つかというのは、ひとつは歴史的にどうであった か、ということを知っておきたいということだけではなくて、数年前にドイツに行ったんです。ドイツの連中と話をした時に、あなたの話にもあったように、日本もドイツも原子力を禁止されてた。日本のほうがちょっと、どっちかっつうと少し早めに解除になったんです。ドイツの方が少し遅れてて、まあほぼ同じ時期に解除になったと考えていいでしよう。それから出発して、日本の原子力は、相変わらず技術導入ばっかりやってて、ドイツの方は約30年近い間に、逆に原子炉を輸出するようなあれに変化した。ドイツ側としては何故だと思うかと。 私は、私にもし責任があるとすれば、あやまらなければならんけれども、技術導入によって何でも輸入してやろうとしたんです。例外は国産一号炉ぐらいのもんです。ドイツは最初から国産でやろうとした。その違いがやはり、今日に出てきたんではなかろうか、と私は思ってたんだけど、それに対してドイツ人の意見は、ドイツは戦前から物理学なんかで原子力を研究しとった、だから早かったんだと 。そういう話を向こうはしたんです 。 日本だって、やってないわけじゃない。大阪大学、京都大学のあれまではよく知らなかったけど、少なくとも仁科さんのサイクロトロンが東京湾にぶち込まれたぐらいのことは、知っておるわけでしよう。 ドイツがその頃やっとったくらいの何は、日本もやっとったんじゃなかろうかという気もして。日本は本当はどうだったのかしらんと。 大塚: これは忘れぬうちに言っておきますが、1954年の秋に伏見先生が中央公論に書いてますけれども、三原則が出た後のあれですけど、日本は理論物理は外国の理論物理の文献を見て勉強した。実験物理屋さんは外国の実験物理のレポートを見ながら実験した。物理の世界でも理論屋と実験屋は別々にやっとった。日本の実験を見ながら理論を組むわけでもないし、日本の理論屋の刺激を受けて実験を計画するわけでもない。まして今度は理学と工学は、理学のベースに立って工学をやるわけでもないし、皆それぞれ独立に、外国のイミテーションでやっとるって話が、そこにも出てますけど。 僕が今先生に言われたことで勝手に思ってるのは、ドイツって言う国は、さっきも申しましたように戦争負ける前は、ヨーロッパにおいて機械工業その他で、とにかく世界の先頭を一度切ってるわけです。第一次世界大戦以後でしょうが、戦争に負けるその前に。要するにドイツは、ある時期世界の先頭切って自分たちの科学、自分達の工学でもって物をつくり出し、何とかした経験を持ってるわけです。そういう国は、戦争に負けて研究が禁止されたり何かしたことがありましても、そういう先頭を切った経験と体質を持ってますから、解除になったら時間のロスを防ぎ時間を稼ぐために、情報を買ったりいろいろなことはするにしても、物を自分達で考えて自分達でつくるという伝統を持ってる人たちは、やはり自分達でつくるんだと思います。 ところが日本は、戦前がそういう風に全て買ってきて、その上に乗っかってつくる。理論屋も外国の理論の論文を見ながら、それにヒントを得ながら仕事をする。実験屋も外国の実験の論文を見ながら仕事を。まして産業界や工業界は、戦争前は日本の学者なんか全然相手にしないで、皆向こうから買ってきてやった経験しかないわけです。そういう国は、その継続をするんだろうと思います。 島村: 私も実は、そういったような考え方を持っておったんです。てのは、1956年に、私は大屋敦ミッションについてぐるっと世界を回ったんです。井上五郎さんも一緒だったし、木川田一隆さんも一緒だった時です。ドイツに行って、RWE(西独最大の電気事業者)に行ったんです。休みの日で、偉い人は出てきてくれなくて、技師長が、なんて名前だったか調べてみたけど、原産の視察団の報告にもその名前が出てないんです。そこに行ったんですが、一行は二十数名だったんだけど、そこへ行ったのは電力会社の人だけだったんです。 私も付いていったんです。 その技師長さんが、いろいろドイツの会社でやってることを説明してくれてすぐわかったのは、日本側は 「あなた方が計算したところによると、発電コストは、コールダーホールがいくらになりますか、日本でも我々も計算やっとんだけど 」っていうようなことを訊いたわけだ。電力屋さんらしいわな。ところが技師長さんが言ったのは、「いや我々は、コストまで調べてない、我々が発電炉をつくりたいと思っておるのは、早く英米に追い付くためにはどうすりゃいいか。どこの技術をもらい何するか。日本も同じだろうけど、そのうちに必ず追い付いてみせる」と。そういう気持ちでやっておるので、初めてつくる炉のコストがいくらになるかなんてことは問題じゃないと、こう言ったわけ。 こっちから行った人たちは、「ああやっばし技師は駄目だな」って顔しとるわけです。「経営者じゃなきゃだめだな」って顔してたけど、僕はそれ見て、「この技師長さんは偉い」と思ったんです。それが今あなたの仰ることに通ずるし、日本はもうとにかく、買ってくるということだけ考えとるわけでしょう。開発していこうという気がない。それは、メーカーが言うなら話わかるんですよ。ところが電力会社の人がそういってるんですから。そのへんの国民性の違いっていうのは 。 大塚: それは、僕は国民性だとは思わないです、国が経てきた経験だと思うんです。だから こういうの、島村さんに言うのはちょっと恥かしいですが、結局彼らは一度世界の先頭切って、つまリカンニングしたくたって何もないところを、自分達で歩いて来た訳です。その人たちは戦争に負けたために、そこで大きなギャップができた、それを埋めさえすれば、自分達はまた戦前の栄光ある状態にもう戻るのは、当たり前だと思ってるわけです。自分たちで考えて。 彼らは ASME(米国機械学会基準)じゃなくて、もともと自分の技術基準 (DIN:Deutsche lndustrie Norm) を持ってるわけですから、やっばリドイツの基準にあわせてやってかなきゃいかんし。ものの発想が、たまたま戦争負けた時だけが異常なことであって、全て自分で考えて自分でつくるのがむしろ正常な、かつて皆もやってきたし、その時代の人たちは生き残ってるわけですし。 だから、その異常な戦後だけをどう乗り切るかだけを、彼らは考えておってやるのに対して、日本は前から技術を買ってやってきました。 だから戦争負けていよいよ今度再スタートする時は、また同じように買ってやる気になるから、それこそライセンス契約だって、期限を切るようなことやらんわけです。いつまでも仲良くする。 向こうは、ドイツだってフランスだって、期限を切ってそこへ来たらもうそこでおしまいで、いよいよ後は独立するのは彼らは当然と思ってるわけです。だからそれは国民性じゃなくて、一度先進的な経験をした民族だからで。 だから日本だっていずれ電子工業かどっかの分野で、右見ても左見てもカンニングするもの、お金を払っても買えるものがない、本当の意味の世界の先頭切れば、必ず僕はそういう状態が出てくるんじゃないかと思う んです。 島村: それは、まだまだ勝負がつくのは早いんで。明治維新の時のように何もかんも入れて、そして追いついて、それを今度は追い越してという、日本は経験持っておるから、全てそういうやり方で。原子力についてもどんどん入れて、入れてやっとる方が結局勝つのか、どうかっていうけど、少なくとも30年経った今日では、かなりいいところまで来ている。 (引用終わり) 最後に加えるが、福島原発事故が起こった原因は、日本の原発技術にメタフィジックスが無かったからだ。メタフィジックスが無かったので、電力会社は、GEが作った設計スペックを錦の御旗にして、自分達で、勝手に、神棚に祭り上げて、「畏れ多くも一言一句、この文言を修正する事はまかりならん」「はは〜、仰せの通りに致します」と、福島1号機を導入した当初から、延々と崇め奉った訳だ。そしたら、御教祖たるGE様から「ここに置いておくように」と、ありがたい御宣託を受けた、地上に露出した非常用のディーゼル発電機が、見事に津波に流されて、メルトダウンしたのだ 後からなら、「バッカじゃ無かろか」と誰もが思うだろう。でもそれは、原発技術者達がバカだ、というよりも、日本人の技術の背景に「メタフィジックス」が不足しているからだ。私はそのように断言する。メタフィジックスとは、外人から教わることなく、カンニングせずとも、自らの手と頭で、製品を作り上げる能力の事だ。日本人が自分達の頭を使わずに、すぐに外人に頼るのが問題なのだ。 ディフォルメして書くとくさ、上んごたるこつやけん。ちっとは物を考えてみらんね、あんたどんは。 相田英男 拝 |
[174]メタフィジックスとは「設計」である
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投稿者:相田英男
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投稿日:2021-07-15 21:50:14 | ||
相田です。
この4月から環境が激変して、頭と体が分離しそうな気に襲われる毎日だ。じっくり練った文章を書く余裕が、全くないののだが、それでも、これだけは、ちょこっとだけ、書き留めたい。 会員専用掲示板で副島先生が、物質と精神の関係について書かれている。先生の話にしては、別段、激しくも無く、暴き系でもなく、淡々と静かに話が進むだけだ。が、その中で「メタフィジカル」について触れられた箇所は、技術屋としての私の頭に刺さった。 メタフィジカルとは「形而上的」などではない。物質の下にある、ものの成り立ちを規定する「概念」である。建築物を作る際の設計図のようなもの、と考えれば良い。 このように副島先生は、語られている。いきなり、非公開掲示板のネタバラシをするのも、どうかとは思う。また、上の文の内容も別に、そんなに大した内容でもないじゃん、と、多くの方は思うかもしれない。 しかし、私は、副島先生からまたしても、偉大な概念を教わった。目から鱗が、またおちた。 メタフィジックスとは設計の事だった。 設計こそがメタフィジックス 同じことばかり繰り返してバカじゃねえの、と、言うならば言え。 根詰めて書くと気力が続かんので、途中で止めるが、技術で最も大切なのは設計である。設計とは、単に図面を書く事ではない、とかいった文章を、だいぶん前に描いた気がするが、とりあえず、もういいや。 村上陽一郎大先生の高弟達の方々の文章から、全く聞くことも無かった概念を、さらりと語られる。やっぱし、あのアホ連中とは一味違うわ、私の師匠は。 (あとは書ける時に書きます。←日本語がヘンだ) 相田英男 拝 |
[173]少しくらい漏れたからと、別に大騒ぎするな、と言いたいのだろう
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投稿者:相田英男
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投稿日:2021-06-18 16:21:23 | ||
相田です。
中国のEPRでトラブルが生じた、と米CNNが報じたという。EPRとは、第3世代プラス型と呼ばれる、新型の軽水炉型原発だ。私の原発本にわかりやすく書いたが、電源を全て失っても、自律的に炉心を冷却出来る「受動的安全性」を持つ原発が、第3世代にプラスが付く。プラス型でない第3世代型は、受動的安全性を持たない「能動的安全性」である。 このプラス型原発は、EPRの他に、ウェスティングハウスが設計したAP1000の2種類が、既に建設されて稼働している。AP1000については、説明する必要はあるまい。どちらのタイプも、稼働しているのは中国のみである。 ネットで断面的に載るニュースでは、状況が全くわからないので、少し調べた。すると以下の記事を見つけた。筆者には申し訳ないが、全文引用する。書いてある内容は、概ね正確だ。 「台山原発のSNS「微博」公式アカウントは当直の職員が端午の節句用のちまきを食べたとか、宿舎前のマンゴーの樹からもいだマンゴーを食べているとか、平穏な日常をアピールする投稿があり、少なくとも放射能汚染が起きているような様子はなかった。」という箇所には、思わず笑った。「少しくらい漏れても、それが何なん?」と、表向きは言いたいらしい。 今回のネットのニュースの書き込みでは、「中国の技術は信用ならない」とか、「欧米日本から技術を盗んで作られた原発」とかの、悪意ある意見が満載である。「何もわかっていないな」と、私は思う。 中国の原発技術は、既に世界最高レベルなのだ。欧米日本は、既に、中国に遥かに負けているのだ。第3世代プラス型の2タイプの原発を、どの国よりも早く、建設し、運転できたのが中国だ。日本人が、何を舐めた目で、中国を見る事が出来るのか?思い上がりも大概にした方が良い、右翼連中よ。 華龍1号に使われるシームレス圧力容器も、既に自前で中国はつくれるようになったらしい。わざわざ日本製鋼所室蘭から買う必要も、最早無くなったようだ。私が兼ねて言うように、中国の技術が世界を制する時代が、遂に来たのだ。そのように、冷静に受け止めべきでは無いのか? 放射能漏れの原因は、ウラン核燃料の不具合であるようだ。原発自体の設計や、作り方の欠陥では無いらしい。欧米日本では、すぐに原発をシャットダウンするレベルだが、「原発自体が壊れた訳ではないから、別に止めなくてもいいじゃん。もっと電気を起こす方が大事だぜ」というのが、中国の主張だ。「無茶苦茶だ」と、一般の方は思うだろう。が、風力発電などのクリーン発電でも、機械のトラブルを抱えながら発電を続けるのは、ごくごく普通にやっている事だ。電力会社達は、そんな事は全く公にしない。ひたすらに美辞麗句を並べ立てるのだが。 まあ要するに、だ。東芝がAP1000で大赤字を出した時に、「原発なんか、無駄な金ばかり掛かる、時代遅れの発電だ。原発にこだわる日本は、世界に遅れている。自然環境に優しい、再生可能エネルギーに早くシフトしないと、欧米の流れに取り残されるぞ」と、何処の誰かもわからない、投資家の宣伝屋とか、左翼の運動家達が主張した通りの事態が、日本に目出たく現出したという訳だ。 よかったな。あんた達が望んだように、日本の国はなったよ。そうして、技術力と経済力を少しずつ失って行けば良い。みんなが望んだのだから、その道を。 ものづくりの力を失うのは、亡国への道だと、いつになったら気づくのか。 (引用始め) どうすれば防げるのか? 世界が中国の原発だらけになる日 6/17(木) 10:01配信,JB press (福島 香織:ジャーナリスト) 米CNNが特ダネとして報じた、中国広東省の台山原発で「差し迫った放射能危機」が起こり得るという報道には、正直言ってちょっと焦った。中国でそろそろ大きな原発事故が起きても不思議ではない頃だと、かねてより思っていたからだ。 【写真】中国・台山原子力発電所の制御室で作業するフランス人と中国人の技術者。 中国の易姓革命の思想からいえば、国家指導者が2期10年を期限とした禅譲を拒否し、権力をほしいままにせんとすれば、相次ぐ厄災に見舞われ天命が改められる、かもしれない。禍はたいてい連れ立ってくるものだ。疫病とセットになってくるのは、飢饉、大地震、隕石か。現代科学技術が直面する最大の厄災といえば原発事故だろう。旧ソ連の崩壊の引き金はチェルノブイリ原発事故だった。原発大国を目指す国は必ず一度は大事故を経験してきた。中国とて例外のはずがなかろう・・・と。 幸いなことに、CNN報道の直後、国連のIAEA(国際原子力機関)は「放射性事故が発生したという痕跡はない」とのコメントを出した。CNNの勇み足報道だったのか・・・。いや、新型コロナ肺炎のアウトブレイク初期に、WHOも「ヒトからヒトへの感染はない」と間違った発信をしたではないか。 本当のところ中国の原発の安全性はどうなのかを、改めて考えてみたい。 ■ ホワイトハウスは技術提供に同意 CNNは6月14日、中国広東核電集団(CGNPC)と国営フランス電力会社(EDF)が合弁で建設、運営している広東省の台山原発で放射性物質を含んだ希ガスが漏れていると報じた。EDFの子会社で技術供与をしているフラマトム社が米国エネルギー省に問題解決のための技術支援を求め、その中で「差し迫った放射能の脅威」が発生し得るという表現があったという。 広東省台山原発は、フランスが設計した第三世代欧州加圧水型炉(EPR)の2基1組の原発で2009年から建設が始まった。商業運転を開始したのは2018年、2019年と比較的最近のことだ。このタイプの商業運転は世界初であり、目下世界で最大の単基発電容量を誇る原発ユニットである。同時に、中仏エネルギー領域の最大合弁プロジェクトでもある。運転開始式典にはマクロン大統領も出席した。この中仏協力プロジェクトの出資比率は広東核電が70%、EDFは30%で、原発の管理と運転にフラマトムも関与している。 こういう経緯で造られた原発の問題で、フランス側が米国に救援を求めるというのは尋常でない。さらに不安にさせられることには、フラマトムが米国側に提出した報告の中で、事故発生後、中国政府は放射能漏洩の警戒基準値を、フランスの基準を上回るレベルまで緩和し、台山原発の稼働停止を免れようとしているのだという。 CNNの報道によれば、フラマトムは5月末に米エネルギー省に、台山原発には潜在的問題があると報告。続いて6月初めに、反応炉から放射性ガスが漏れていると報告した。そして、事故と緊急安全事態への対応のために、中国とフラマトムに技術協力するよう米国に正式に要請した、という。 米国側の事態への関心は大きく、ホワイトハウス国家安全委員会では1週間かけて何度か会議を招集してこの問題を検討。技術提供して問題解決を支援することに同意しているという。ただし、CNNは「まだ危機レベルには至っていない」というホワイトハウスの認識も報じている。 ■ 中国当局は「安全面の基準は満たしている」 このCNN報道の後、各国メディアは後追いし、中国当局に確認しようとした。だが、その日(6月14日)は旧暦の端午の節句の休日であり、中国政府機関も広東核電側も電話やメールに応じず、台山原発として「運転開始以来、厳格に規定文書に照らして、技術プロセスコントロールメカニズムが運行されており、2基の原発とも、運行基準は原子力安全法と原発技術基準の要求を満足させている」「目下原発周辺地域の環境観測データはすべて正常である」と一方的にコメントを出しただけだった。 台山原発のSNS「微博」公式アカウントは当直の職員が端午の節句用のちまきを食べたとか、宿舎前のマンゴーの樹からもいだマンゴーを食べているとか、平穏な日常をアピールする投稿があり、少なくとも放射能汚染が起きているような様子はなかった。 EDF側がAFPなどの取材に応じて説明したところでは、燃料棒のコーティングに問題があり、蓄積された希ガスが放出されたが、「メルトダウンとかそういった状況が発生したわけではない。汚染がどうのという話ではなく、ガスの排気をコントロールしているということだ」という。この希ガスはキセノンとクリプトンで、放射性物質ではあるが、半減期が短く、構造も安定しており、放射能濃度も中国基準値に至っていない、という。 台山原発から135キロの地点にある香港天文台の観測によれば、香港での放射能濃度に異常は見られない、としている 原発運転停止を避けるための放射能濃度基準値を引き上げたというCNNの気になる報道については、中国生態環境部の報道官は6月16日になって、「発電所の外では、放射能検査の許容限界基準値を引き上げることは承認していない。承認したのは原子炉内の冷却剤の不活化ガスの活性比率に関する限界値の基準であって、これは原発外の放射能濃度検測と無関係だ」と説明した。 また中国生態環境部は16日に、燃料棒の破損により冷却材中の放射性物質の濃度が上昇したことを改めて認めて発表したが、技術や安全面の基準は満たしていると述べている。 ということで、今のところCNNがちょっと大げさに報じすぎたのではないか、との見方に落ち着きつつある。 ■ 世界最大の原発大国になろうとしている中国 ただ、いずれにしろ今回のCNNの報道は、私たちにいろんなことを考えさせた。 たとえば、5月末に台山原発に問題が発覚した後、中国側は半月も何のアナウンスもしなかった。米国に技術支援を求めたのは、運営管理に参与するフラマトムだった。なぜフラマトムが米エネルギー省に直接助けを求めたのだろう。 フラマトムのパートナー企業の広東核電は、2019年8月に米国商務省から人民解放軍関係企業としてエンティティリスト(制裁リスト)に指定されている企業だ。「よっぽどのこと」でない限り、米国が技術支援に同意するはずがない。これをどう理解するのか。 実は「よっぽどのこと」が起きていると米国が認識しているのか。それとも、いざというとき、原発技術を提供してくれるかどうか、フラマトムを通じて広東核電が探ってみたのか? あるいは広東核電がフラマトムを通じて米国の技術データや文献を手に入れようと画策したのか? そして、G7閉幕と同時にCNNにこの情報がリークされたた意味はなんだろう。 あー、なんだCNNの誇張報道か、と安心するだけでなく、中国が世界最大の原発大国にならんとしている現状の意味を、いろいろ考えるきっかけにする必要があるのではないだろうか。 ■ 隠蔽された大亜湾原発の放射能漏れ事故 フラマトムはもともと米ウエスチングハウスの技術を導入したフランスの原子炉メーカーだったが、独シーメンスの原子力部門とともに、フランスの原子力総合企業アレバに統合され、「アレバNP」と社名を変更した。だが、2015年にアレバの経営危機により、アレバNPはフラマトムと社名を戻して国営フランス電力会社(EDF)傘下に入った。 だから台山原発の技術は、米ウエスチングハウス、旧フラマトム、シーメンス、アレバに出資していた三菱重工などの技術を集約したものだといえる。 2015年にアレバ製の原発圧力容器材質に問題ありとフランス原子力安全省から指摘を受けた際は、台山原発の工事が延期された。この時、一部中国メディアは、中国側が問題を見つけられず、パートナーのフランス側から工事延期を申し入れられたことについて、「安全の確保を外国に頼り切っている」と中国当局に批判的な報道をしている。2017年に竣工して1年試験運転した時には部品の破裂事故があり、それも香港メディアに暴露された。 つまり、最先端技術の原発を一番乗りで商業運転にこぎつけるも問題が相次ぎ、いずれも外部からの指摘や告発で明らかになった過去がある、ということだ。 中国側は、第3レベル以下の原発事故は「無傷の事故」であり、国際的に可視化させるのはよろしくない、という立場を表明している。とはいえ、深刻な事態が発生したときに、中国は正しく適時に情報が公開できた試しがない。新型コロナしかり、SARSしかり。 原発事故でいえば2010年、中国広東省の大亜湾原発の放射能漏れ事故が1年のうちに3度も起きた際もずっと隠蔽し続けていた。このうちの事故の1つは、反応炉の冷却管に3本の亀裂が入ったところにホウ素の結晶ができており、職員が2ミリシーベルトの放射線を浴びるという深刻な事故だった。大亜湾原発は1993~1994年に運転開始となった中国初の外国(フランス)の資金と技術を使って作った古い原発で、最初の商業原発でもある。 ■ 世界の原発の大半が中国製に? 中国は、こうした隠蔽体質に加えて、過剰な自信が問題だ。 中国は今年(2021年)3月、自主開発の第3世代原発「華龍1号」をパキスタンで竣工させ、試験運転に入っている。これは中国国産原発の海外輸出第1号で、その後、中央アジアや東南アジア、アフリカなどの途上国に中国製原発を輸出しまくり、エネルギー「一帯一路」を作ろうという野望の第一歩とみられている。 中国は国内だけでも2030年までに100基以上の原発を稼働させる予定の“原発大国”だが、真の狙いは世界の途上国の原発の大半を中国が造ることで、その国のエネルギー政策に関与していくことだ。 今、石油が国家の命綱であるように、今後、原発がエネルギーの主役になれば、原発技術が国家の命綱になる。つまり、原発事故の処理や廃炉の際に、必要な技術を持っている者がその国の生殺与奪の権を握る、ということになる。 IAEAによれば2030年までに世界で造られる原発は300基近いと予測されているが、その大方を中国が造る可能性がある、という予測もある。 華龍1号は、日本の原発エンジニアたちから見ても設計がよくできている、という感心の声を聞く。フラマトムから受け継いだEPR技術と自主開発技術ACP1000を融合させた中国の独自技術は、福建省・福清原発5号機の原子炉にも使われている。 ただ、これは中国の原発関係者からもよく聞く話ではあるが、設計が素晴らしくても、実際に建設すること、安全に管理すること、そしてトラブルや事故発生時に適切に対処できることはまた別である。それを維持するために膨大な経験と技術の蓄積、人員の育成が必要だが、中国は技術の獲得を追い求めるあまり、後者、特に人材育成が遅れていると言われている。作業員の研修時間が異様に短いことなども指摘されているが、同時に、国家の隠蔽体質、言論統制体質が、現場の風通しを悪くし、いざというときに事態の処理にあたる人材を育てにくくしている。 こうしたところまで考えると、世界が「カーボンニュートラル」を目指すなら、中国が唯一の原発大国になるシナリオだけはどうしても防がなくてはならない、と改めて気づかされる。 日本は福島原発事故の不幸な経験からいまだに原発アレルギーが強いが、依然として世界トップレベルの技術力を持ち、しかも「フクシマ50」(事故発生後も原発内に残り対応し続けた50人)と呼ばれた名もなき作業員に代表されたようなハイレベルの人材を育成ができる土壌がある。今回の報道を機に、日本としても原発との向き合い方を考えてほしい。 (引用終わり) 相田英男 拝 |
[170]フラーの論考を読んで
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投稿者:宮林謙吉
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投稿日:2021-05-21 09:00:13 | ||
相田さんが引用しておられるフラーの論考は、西欧の研究者が日本の研究者や技術者に対して抱く観点を説明したものですが、これは今や日本人研究者の中で科学の真髄に触れた人が中国の研究者の研究スタイルに抱く感想と似ているかも知れません。
中国の研究コミュニティは競争が激しいのか、身につけた技能で可能なテーマに手当たり次第に手をつけ、論文を出版した数を稼ごうとするスタイルが鼻につく研究者が実際にいます。結果を得たときに、ある世界観・自然観に照らして、それらが深まるために役割を果たし得る知見をもたらすかどうかを考慮して研究テーマの選択をする、というセンスが感じられないのですね。文化大革命で、アカデミックな活動をするコミュニティの、ある年代の層がごそっと抜けた断絶の影響であるかも知れません。 その中国は、もう10年以上にわたって、欧米や日本で研究歴があり、ひとかどの仕事がまとまった人を、ポジションを用意して呼び戻すことを続けていますから、サイエンスの研究に臨むときの世界観・自然観を体得した研究者もこれから増えてくることは間違いないでしょう。 |